インタビュー前日、英語の論文を大量に送りつけられました

8月 9th, 2012 | Posted by maggy in 小ネタ - (インタビュー前日、英語の論文を大量に送りつけられました はコメントを受け付けていません)

'Bodleian Library, Oxford' by jimmyharris

はじめまして、maggy です。落ちこぼれ研究者のたまごから、ライターに転身したアラサー女子です。これから、自身のイギリス大学院留学の経験談から、役立つかサッパリわからない小ネタまで、翻訳や外国語にまつわる記事をお届けしていきます。どうぞよろしくお願いします。

さて、改めて「スピード翻訳」を見ながら、「あの時、こんなサービスを知っていたら良かったのに!」と思うイギリス留学時の苦い経験が、走馬灯のように頭の中を駆け巡りました。自戒の念と、皆さんにはもっとうまくやっていただきたいという気持ちを込めて、今回はひとつ、私の経験談をご紹介します。

イギリスの大学院で修士論文を書いていた当時の私は、リサーチに必要なインタビューのために、オックスフォード大学まで、ある教授の話を聞きに行くことになりました。教授は、「日本の学生さんがわざわざ来てくれるとは!」と、依頼を快諾してくださり、さらには、似た研究をしている大学院生さんも紹介してくれるとのこと。

「インタビューの後は、ハリー・ポッターのロケ地に行くぞ~!」などと、のんきに観光情報を調べていた前日のこと。大学院生さんから 1 通のメールが届きました。「僕が今まで書いた論文を、ぜひ読んで!」。大量の英語の論文が送られてきたのです。

道中で読もうと急いで印刷しましたが、短そうな論文 3 つの abstract(要旨)と conclusion(結論)だけ読んだあたりで、オックスフォードに着いちゃいました。

そんなこんなでキャンパスに到着。教授へのインタビューは、事前に送っておいた質問項目に沿って行うだけだったこともあり、つつがなく終わりました。その後、例の大学院生さんが登場。イギリス人かと思っていたら、タイからの留学生でした。

自分の研究の話をしていたらしいのですが、英語は訛ってるわ、専門用語をバンバン出してくるわで、正直、何を言ってるのか 5 % くらいしかわかりませんでした。苦痛の 1 時間を過ごしました。

「彼の論文の内容がもうちょっとわかっていれば、話していた内容もわかって、いい時間を過ごせただろうな……」。自分の修士論文の参考文献としても使えそうだったので、誰かがさくっと翻訳してくれて、お会いする前に大まかにでも内容を把握しておけば、全然違っていたんだろうなと思いました。

オックスフォード大学を後にし、訪れたハリー・ポッターのロケ地は、イギリスには珍しく天気こそ良かったものの、暗雲がかかっているかのように見えました。まるで悪役の登場シーンのように。

後悔先立たず。海外で過ごす限られた時間を有効に使い、リサーチや仕事のチャンス、観光のチャンスのどちらも逃さないようにしていただきたいと思います。そんなときにすこしぐらい「スピード翻訳」を使ってみてもよいのでは?
※ 通常、イギリスの修士課程は 1 年間。ホントにあっという間なんです!

おまけ : 論文の abstract は、論文の冒頭に書き添える、その論文の要旨です。日本では、そのままアブストラクトや略してアブストと呼ばれることも多いようです。200 – 300 語程度の英文で記述され、論文を読む査読者が内容を短時間で把握できるように記述しなければならないため、学術論文では非常に重要なパートになります。「スピード翻訳」にもアブストラクトの翻訳のご用命は多数いただいております。(BLOG ADMINISTRATOR 談)

photo : “Bodleian Library, Oxford” by jimmyharris


ナイス・ボケ! ナイス・ツッコミ?

7月 30th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (ナイス・ボケ! ナイス・ツッコミ? はコメントを受け付けていません)

'Josefina with Bokeh' by carlosluis

こんにちは、maki です。「ナイス・ボケ!」……こんなフレーズをネット上で見かけることがちょくちょくあります。ここでいう「ボケ」は、漫才の「ツッコミ」に対する「ボケ」ではなく、bokeh という言葉になります。どこで見られるフレーズかというと、Flickr のような海外の写真共有サイトが多いですね。写真で bokeh と言えば、それは日本語の「ボケ(味)」になります。被写体の人物だけに焦点が合っていて、背景がぼけている写真ってよくありますよね。そのボケ具合がいい雰囲気の写真に Nice bokeh!Great bokeh! というコメントが付いているのをかなりの頻度で見かけます。日本語の写真用語が英語に借用語として取り入れられた例のひとつです(英語版の Wikipedia にも bokeh で立項されています)。

この bokeh は、DoF と言う人も多いようです。これも bokeh と同じぐらいよく見かけます。これは、Depth of Field (Focus) という写真用語で、日本語では被写界深度と呼びます。「被写界深度」とともに用いられる形容詞は、「浅い」と「深い」になります。「被写界深度が浅い」写真の中の被写体のピントの合っている部分が限定的でそれ以外はボケているもの、「被写界深度が深い」写真は画面の中のボケが少なくてどこもピントが合っているようなものということです。写真へのコメントで Nice DoF! などと言う場合は、ほぼ間違いなく「被写界深度が浅い」写真になります。被写界深度の深い写真はドラマチックなところが洋の東西を問わず人気のようです。浅いのか深いのかがわからないニュートラルな DoF よりも被写界深度が浅いボケ味のある写真を明示的に bokeh と呼ぶのはなんかわかるような気がします。

写真関連の文献であれば、bokehDoF被写界深度など専門用語を熟知している人が翻訳すれば、質の高い翻訳に仕上がります。「スピード翻訳」では、数多くの各種専門分野に通じた登録翻訳者が待機しています。専門性の高い翻訳はぜひ「スピード翻訳」までご用命ください。

おまけ : コンパクトデジタルカメラだと難しい場合も多いですが、一眼レフなどのレンズ交換ができるカメラで、焦点距離の長いレンズ(望遠レンズなど)で、絞りを開いて撮影すると nice bokeh な写真が簡単に撮れたりします。ズームレンズがあれば、90mm 以上の焦点距離にして、絞りを開放にする(最大に開く)とかなりのボケが得られます。涼しくなったら、ひさしぶりに写真撮影しようかな。

photo : “Josefina with Bokeh” by carlosluis


ザリガニパーティー:サカナだけどサカナじゃない

7月 25th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (ザリガニパーティー:サカナだけどサカナじゃない はコメントを受け付けていません)

'Crayfish Party' by Victoria Reay

こんにちは、maki です。IKEA からダイレクトメールが届きました。2012/08/25 に開催されるザリガニパーティーcrayfish party)のお知らせでした。ザリガニパーティーは、スウェーデン発祥の夏のイベント(フィンランドでも広まっている)で、夏の終わりにみんなで集まって、ザリガニを食べるイベントなんだそうです。その案内ページで初めて知ったのですが、ザリガニは英語では crayfish と言うんですね。英語圏で生まれ育った人であれば、こどものときに覚えて当然の単語でも、日本の英語の授業ではこういうごくごく日常的な単語に触れることが少なかったりしますから、「そう言えば、crayfish って知らなかった!」という発見がありました。

crayfish つながりで思ったのは、fish って付くけど、サカナじゃない生き物っているなあ……ということ。最初に思いついたのは、jellyfish。クラゲですね。ゼリー状だから jellyfish。他には starfish。★の形をしたヒトデ。どちらもサカナではないですね。

思いついたのはこれだけしかなかったのですが、他にもあるのかな……と調べてみたら、shellfishcuttlefish というのが見つかりました。shellfish は、体の外に殻(shell)を持つものということで、貝やエビがこの範疇に入るそうです。cuttlefishは、イカのことだそうです。

でも、イカって英語だと squid とも言うよね……と思って調べてみたところ、cuttlefishsquid は別の種類のイカのことでした。同じ疑問を持った方のブログを読んで、初めてこの違いを知りました(翻訳者の方のブログでした! 翻訳者なら気になりますよね)。squid はいわゆる「イカの耳」(エンペラ)のあるようなヤリイカとかスルメイカのようなイカで、cuttlefish はコウイカのようなずんぐりしたタイプのイカのようです。確かに Wikipedia で cuttlefish を調べてみると、そんな感じのイカの写真がありました

スウェーデンのザリガニパーティーでは、ザリガニを塩ゆでして、ディルなんかを添えて食べるそうですが、どんな味なんでしょうね。小さいロブスターみたいな感じなんでしょうか。気になります……。写真を見るだけでもおいしそうです♪
※ このページに掲載した写真は IKEA で出されるザリガニ料理ではありません

photo : “Crayfish Party” by Victoria Reay


Manhattan の特別な夕日 – Manhattanhenge

7月 20th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (Manhattan の特別な夕日 – Manhattanhenge はコメントを受け付けていません)

'manhattanhenge.' by Shana Berenzweig

こんにちは、maki です。先日テレビを見ていたら Manhattanhenge という現象を紹介していました。2 年近く住んでいたのですが、その間はまるで聞いたことがなかったので、見てみたかったなあ……と思いながらテレビを見てました。

Manhattanhenge とは、ニューヨークのマンハッタンのビルの間に夕日が沈んでいく現象のことなんだそうです。厳密には朝日が昇ってくるのも Manhattanhenge だそうです。この現象は年に 2 回観測できるそうで、夕日は夏至に近いころ、朝日は冬至に近いころに見られるようです。そのため、Manhattan Solstice とも呼ばれるとのことです(solstice は、夏至とか冬至とかの「至」という意味の単語です)。

Manhattanhengeは、イギリスの Stonehenge で夏至に観測される巨石柱の間を通過する現象になぞらえて、Stonehenge の hengeManhattan を合成して作られた造語なんだそうです。写真を見てみると、ビルの間を太陽が沈んでいく様子は Stonehenge を連想させます。ちょうど東西を横切る大通りの延長線上に沈んでいくんですね。

Manhattan には碁盤の目のように縦横を走る道路が数多く造られています。東西を走るのが Street、南北を走るのが Avenue と呼ばれています。日本語だと Avenue の方は「◯番街」と訳されることが多いですね。Fifth Avenue五番街なんてのが有名です。一方、Street の方は「◯丁目」。42nd Street42 丁目とか。どの街でも Avenue は「◯番街」、Street は「◯丁目」と訳すわけではなく、Avenue や Street に数字が付いている場合が多いようです。「◯◯街」の代名詞的な存在のベーカー街は、Baker Street ですよね。エルム街Elm Street ですね。数字でない XXX Street を「◯◯街」と訳す例は多いのかもしれません。作家の常盤新平氏は、Manhattan に関する文章に Steet が「ストリート」と訳されているのを見るとその本を閉じたてしまいたくなる……といったようなことを言っていたと Wikipedia に紹介されていました。こだわりがあるんでしょうね。

photo : “manhattanhenge.” by Shana Berenzweig


ジャン=リュック・ゴダールの「=」は何?

7月 11th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (ジャン=リュック・ゴダールの「=」は何? はコメントを受け付けていません)

'Jean-Luc Godard at Berkeley, 1968' by Gary Stevens

こんにちは、maki です。外国の方(特に西洋)の名前で、「ジャン=リュック・ゴダール」(フランスの映画監督)みたいに姓や名の間に等号のような記号(=)が入っているのをちょくちょく見かけます。でも、同じ人名が「ジャン・リュック・ゴダール」のように記述されているのもあります。「=」が正解なのか、「・」が正解なのか、よくわかりません。ちょっと気になったので調べてみました。

いきなり結論ですが、「どちらでもいい」ようです。「・」でつなぐか、「=」でつなぐかについては、従わなくてはならない厳密なルール(正書法)はないようなのです。

日本語は、英語や多くのヨーロッパ言語と違って、単語ごとにスペースで区切って記述することはしません。例えば「私は今朝は10時に起床した」に対して “I woke up at ten this morning.” といった具合です。これは、「分かち書き」と呼ばれますが、英語などは分かち書きする言語、日本語は分かち書きしない言語ということになります。この分かち書きをしない日本語の中に分かち書きをする言語の人名を混ぜると「昨日観たジャン リュック ゴダールの映画はおもしろかった」のようになってしまい、なんとも具合が悪いのです。

そこで、第一のルールとして、「外国人名の区切りは『』で表記する」というのがあります。これにより、「昨日観たジャン リュック ゴダールの映画はおもしろかった」は、「昨日観たジャン・リュック・ゴダールの映画はおもしろかった」となります。

次は、懸案の「」問題です。これは、元の人名を見れば解決します。「ジャン=リュック・ゴダール」は、本来は Jean-Luc Godard と綴ります。この JeanLuc で姓名の「名」の方になります。フランスでは複合名といって、聖人の名前ともうひとつ別の名前をハイフンで接続するのが伝統的な命名法となっているようです(ちなみに、Jean とは、聖ヨハネのこと。英語では John となります)。この (ハイフン)を日本語で文字表記する際には、 に置き換えているということなのです。この が等号記号に見えてしまうので、Jean = Luc?(ジャンとリュックが等しい?)のように思えてしまうのですが、これはダブルハイフン(二重ハイフン)という記号なのだそうです。ここでは、全角の等号記号で代用していますが、本当は全角の等号記号とダブルハイフンは別物なのだそうです。
フランス人のファーストネームに関して詳しく説明されているページを見つけました。ご興味をお持ちの方は一読されるとおもしろいと思います

おまけ : イギリスのハードロックバンド、Led Zeppelin のベーシストの John Paul Jones さんは、John と Paul の間にハイフンがないので、ジョン・ポール・ジョーンズでよさそうです。しかし、John(ヨハネ)と Paul(パウロ)の組み合わせは豪華(?)ですね。

photo : “Jean-Luc Godard at Berkeley, 1968” by Gary Stevens


ママが馬を叱りましたか? マーママーマーマー?

6月 28th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (ママが馬を叱りましたか? マーママーマーマー? はコメントを受け付けていません)

'Pinyin Tone Chart-zh-hans.svg' by Wereon

こんにちは、maki です。前回前々回と中国語に関連するエントリーを書いてきましたが、その中で特に説明もせずにいたのですが、「麦当劳」の màidāngláo や、「可口可乐」の kěkǒukělè の母音の上に書かれた記号について、いまさらという気もしますが書いておきます。

これは、中国語の標準語にあるイントネーション(声調)を表わす記号で、四声と呼ばれるものです。中国の標準語で使われる 4 つのイントネーションをマスターすることこそが、中国語学習者にとってとてもとても重要なのだそうです。というのも、日本語の文字で表記すれば同じ「マー」という音だとしても、中国語では声調が違うだけで漢字にするとまったく別の意味の文字になってしまうからだそうです。漢字一文字一文字に声調が決まっていて、それを覚えるだけでも大変そうです。ざっくりと説明すると……

  1. 第一声 :  ̄ : 高い音で平板に
  2. 第ニ声 :  ́ : 中ぐらいの高さで始めてさらに高く
  3. 第三声 :  ̌ : 中ぐらいの高さからいったん低く下げ、最後は尻上がりに
  4. 第四声 :  ̀ : 高い音から低い音に下げる

……というパターンがあります。このように説明するよりは、上の図を見てもらった方がイメージが湧くと思います。

ちょっとした言葉遊びのようにも思えますが、四声の練習用フレーズに「妈妈骂马吗?」というのがあるそうです。ここで用いられている漢字、は、カタカナ表記すればすべて「マ(ー)」です。

  • 妈妈 = 母、お母さん
  • = 叱る、罵る
  • = 馬
  • 吗? = (疑問文を示す助詞のようなもの)

……で、カタカナ表記すると「マーママーマーマー?」となってしまいますが、声調は māmamàmǎma となります。ちょっと、これはとてもマスターできそうにありません……。

おまけ : 「妈妈骂马吗?」の声調は、māmamàmǎma のようにアクセントのような記号で表記することもできますが、ma1mama4ma3ma のように数字で表記することもできます。1 は第一声、2 は第二声、3 は第三声、4 は第四声に対応しています。また、māmamàmǎmama1mama4ma3ma のように漢字を使わず、発音をアルファベット表記したものを拼音ピンイン)と呼びます。

chart: “Pinyin Tone Chart-zh-hans.svg” by Wereon


オバマは、奥巴马? 欧巴马?

6月 26th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (オバマは、奥巴马? 欧巴马? はコメントを受け付けていません)

'可口可乐 adds life' by Arimm

こんにちは、maki です。先日、ハンバーガーチェーン店のマクドナルドが、中国語では麦当劳と綴られるというエントリーを書きました。中国では、外来の固有名詞(人名・地名……)などを漢字表記するために、原語と近い発音の音を持つ文字を組み合わせて使うというやり方で対応しているようです。

日本人にもわかりやすい例で言えば、「克林顿」が挙げられます。1文字めは知っていないとすこし難しいですが、2文字め以降は音読みのままで「リントン」。「」は という音で、k の音を表現するのによく使うようです(例 : 克莱斯勒 = Chrysler = クライスラー)。なので、「克林顿」は「クリントン」となります。
※ 簡体字の「顿」は「頓」に相当します

この中国語表記を誰がどのようにして決めるのかについては、特に決まりはないそうです。そんなときにおもしろい記事を見つけました。オバマ大統領の中国語表記について、アメリカと中国の間でもめたという内容です。中国のメディアでは、ほぼ「奥巴马」(àobāmǎ)で統一されていたのですが、アメリカ側から「欧巴马」(ōubāmǎ)と表記するよう求めたんだそうです。アメリカ側の主張する「」(ōu = オウ)の方が「」(ào = アオ)よりは「オバマ」の音韻には近いように思います。日本では「奥州」(おうしゅう)という読み方もありますから、中国側の主張する「奥巴马」もそのまま読めてしまうかも。
※ 簡体字の「马」は「馬」に相当します

どなたかのブログにも書かれていたのですが、この当て字の感覚というのは、日本神話の神の名前の綴りにも似たところがあるように感じました。日本の国土を作り上げた神のひとり、イザナギノミコトは『古事記』では「伊邪那岐命」と綴られ、『日本書紀』では「伊弉諾神」と綴られます。確かに「奥巴马 vs 欧巴马」問題と似ています。漢字をカタカナのように使うしかないという意味では、カタカナのなかったころの日本も中国語も状況としては同じということですね。

スピード翻訳」で対応させていただいた日中翻訳の案件で、依頼原稿中に登場する製品名をその名称の音韻に似た文字を与えるスタイルで翻訳するか、音韻は無視して、その製品の特徴がどんなものであるかがすぐに理解してもらえるような名称に翻訳するかで、お客さまと翻訳者の方の間で何往復かやり取りをしたことがありました。中国語翻訳のポイントのひとつかもしれません。「コカコーラ」は中国語では「可口可乐」と綴られますが、これは 音韻的には kěkǒukělè で、「コカコーラ」とは音韻としては違っていますが、音韻的にも大きくは外れておらず、かつ好印象を得ることのできる文字を選んだという話を聞いたことがあります。商品の場合は印象が大事ですから、中国語訳にはネーミングセンスも大事な要素なのかもしれません。
※ 簡体字の「乐」は「楽」に相当します

なんだか当て字つながりで「仏恥義理」とか「夜露死苦」なんかも連想してしまいました……。

photo: “可口可乐 adds life” by Arimm


マクドナルド、麦当劳、バクトウロウ……?

6月 22nd, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (マクドナルド、麦当劳、バクトウロウ……? はコメントを受け付けていません)

'McDonald's in Shanghai' by Jesse Varner

こんにちは、maki です。前々から気になっていたことをちょっと調べてみました。ファストフードの「マクドナルド」(McDonald’s)は、中国語では「麦当劳」と綴ります。中国語の知識ほぼゼロの私にとっては「バクトウロウ」(?)としか読めません。日本の漢字の音読みと現代中国語の音韻は大きく異なるものが多いので、この「バクトウロウ」(?)も、もしかしたら「マクドナルド」に近い発音なのかもなあ……とぼんやり想像していました。その辺をちょっと調べてみました。

「麦当劳」は、それぞれ

  • 麦 = mài
  • 当 = dāng
  • 劳 = láo

……となり、あえてカタカナで表記すれば、「マイダンラオ」になっちゃうみたいです。これは、中国の標準語である現代標準中国語(普通話)の発音なのでしょう。まるで「マクドナルド」とは違いますね。あれあれ……と思って調べてみると、香港のケーブルカーの駅に「麦當労道駅」という駅があるのを Wikipedia で見つけました。香港は長らくイギリスの支配を受けていましたから、きっと McDonald Road を駅名に使ったものなんでしょう。で、そのページに書かれていたのが、「麦當労」の広東語発音。これだと、

  • 麦 = mak6
  • 當 = dong1
  • 労 = lou4

……で、「マクドンロウ」。「マイダンラオ」より、かなり「マクドナルド」に近づきました。中国語の「麦当劳」の表記は、広東語発音からの当て字なのかもしれないですね。

しかし、さっきから「マクドンロウ」や「マイダンラオ」を「マクドナルド」と比較していましたが、本来は英語の McDonald’s [məkdɑ́nəldz](マクダーナルズ)と比較すべきですよね……。たぶん英語のネイティブスピーカーには McDonald’s を「マクドナルド」と言う日本語も、「マクドンロウ」と呼ぶ広東語も、大同小異でヘンだなあ……と思っているかもしれません(しかし、きっと英語のネイティブスピーカーでも、「マクドナルド」は「マイダンラオ」よりは近いと思っているはず!?)。

中国語の学習歴はまるでないので、このブログで書き散らしていることも英語の話題中心になってしまうのですが、「スピード翻訳 by GMO」では、英語だけでなく、中国語(簡体字・繁体字)と韓国語にも対応しています。ネイティブ翻訳者も数多く在籍しています。中国語・韓国語ともに、英語同様 24 時間 365 日受付中です。ぜひ一度お試しください!

photo: “McDonald’s in Shanghai” by Jesse Varner


『スティーブ・ジョブズ I・II』の翻訳者、井口耕二さんご登壇の「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」は 06/15 開催です

6月 14th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (『スティーブ・ジョブズ I・II』の翻訳者、井口耕二さんご登壇の「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」は 06/15 開催です はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maki です。先日、Mountain Lion 関連で Apple の OS X について書いたことで思い出しました。ちょっと前にアナウンスさせていただいた『スティーブ・ジョブズ I・II』の翻訳者・井口耕二さんの登壇される翻訳者の方向けのイベントがついに明日 06/15 13:00 開催です! このイベントのテーマは、スティーブ・ジョブズにも、Apple にも関係ありませんが、「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」にご興味をお持ちの方は、Ustream での配信や Twitter での実況配信もあるとのことですので、お時間が許せば覗いてみてください。

イベントの詳しい内容は、翻訳フォーラムのページをご覧いただきたいのですが、ここでは講演内容をすこしだけ……。

「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」 : 2012/06/15 13:00 – 18:00

  • 基調講演「翻訳とは何か」(高橋さきの氏)
    翻訳は単なる言葉の置き換えとどう違うのか。翻訳者にはどのような能力が必要なのか。原文から訳文に至る思考プロセスはいかにあるべきか。ベテラン翻訳者が今こそ語る、これだけは言っておきたいこと。
    高橋さきの氏 : 特許翻訳者、大学講師、翻訳フォーラム主宰。1984 年に大学院修士課程修了後、特許事務所を経由して 1987 年独立。訳書に『猿と女とサイボーグ』『科学者とし て生き残る方法』など。日本語、人間と機械との関係などについて考察している。
  • 「翻訳メモリの功罪」(高橋聡氏)
    原文と訳文を文単位で組み合わせて保存し、訳文を再利用することで効率化を図る。しかしこのやり方では、文脈を無視して訳文を当てはめてしまう罠に陥らないだろうか。翻訳力の向上を妨げる危険性を、翻訳メモリの使い手が喝破。
    高橋聡氏 : IT 翻訳者。塾講師プラス雑多な翻訳の時代を経て、1998 年からは翻訳会社で主にローカライズ翻訳に従事。2007 年からフリー。分野の特性から、Trados とはバージョン 2.0 の頃からの長い付き合い。
  • 「ツールに使われないためのツールの使い方」(井口耕二氏)
    電子辞書、インターネット、秀丸マクロ、SimplyTerms …さまざまなツールを駆使する講師が、ツールを生かした翻訳方法を伝授。一連の翻訳作業を画像で示しつつ、なぜここで辞書を引くのか、Google の検索結果をどのように読むのか、置換する語と置換しない語をどのように分けるのかなどを解説。
    井口耕二氏 : 技術・実務・書籍翻訳者、翻訳フォーラム主宰。会社員との兼業を経た後、1998 年から翻訳専業となる。訳書は 10 冊を超え、2011 年には『スティーブ・ジョブズ I・II』がベストセラーとなった。自作の翻訳支援フリーウェア「SimplyTerms」を公開している。

残念ながら、イベント自体は満席となってしまったようですが、イベントの様子は、TwitterUstream でチェックできます。おもしろそうな講演内容なので、翻訳者の方、翻訳者を目指して勉強中の方、翻訳者ってどんなふうに仕事をしているの?……と興味をお持ちの方は、ぜひチェック / フォローしてみてくださいね。

このイベントは、弊社も加盟している社団法人・日本翻訳連盟で井口さんが常務理事をされていることがご縁でスピード翻訳株式会社として、会場提供という形でご協力させていただいております。これからもさまざまな形で翻訳業界、言語・文化の架け橋として貢献できればと思います。

※ イベントの打ち合わせ中のショットです。写真の向かっていちばん右が井口耕二氏。お隣がシンポジウムの事務局担当の曽我邦裕氏


Mountain Lion って、あれ Puma のこと?

6月 12th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (Mountain Lion って、あれ Puma のこと? はコメントを受け付けていません)

'Puma, Belgrade Zoo' by Bas Lammers

こんにちは、maki です。昨晩は、Apple の WWDC2012 をチェックしていて、眠れなかった Apple ファンも多そうですね。自分の Twitter のタイムラインにも何人もそんな方がいらっしゃいました。ご存じない方のために簡単に説明すると、WWDC は Apple が毎年開催している開発者向けのイベントで、新製品の情報などが公開される ※ ことが多いため、日本でもコアな Apple ファンにはとても人気のあるイベントです。アメリカ西海岸で開催されるため、日本でリアルタイムでチェックするとなるといつも深夜から未明あたりの時間帯になってしまい、毎年この日は寝不足の人が出てしまうんです。
※ 2008 = iPhone 3G、2009 = iPhone 3GS / 2010 = iPhone 4 といった感じで新製品情報が続出してますね

今回の発表のひとつに次期 OS である OS X v10.8 の紹介もありました。この製品はすでに発表済みのものなので、まったくの新情報ではありません。しかし、WWDC を機に前々から気になっていたことを調べてみました。

(Mac) OS X を使っている方ならご存知でしょうが、(Mac) OS X にはバージョンごとにネコ科の動物の名前が製品名に入っています。現行の OS X は Lion。この夏に出るという新バージョンは Mountain Lion。この Mountain Lion があまり耳慣れない名前だったので、前々から調べよう調べようと思っていたのですよね(そして今日に至る)。

Wikipedia によると、Mountain Lionピューマのことだそうです。ピューマPuma)ならかなり親しみのある名前です。あと、クーガーCougar)とも呼ばれるそうです。ここで気になったことがあります。Mac OS X にはすでに Puma は使ってるんですよね。(Mac) OS X シリーズの名前をリリースの順にリストすると……

  • Public Beta (Siam) : 2000 –
  • Mac OS X v10.0 (Cheetah) : 2001 –
  • Mac OS X v10.1 (Puma) : 2001 –
  • Mac OS X v10.2 (Jaguar) : 2002 –
  • Mac OS X v10.3 Panther : 2003 –
  • Mac OS X v10.4 Tiger : 2005 –
  • Mac OS X v10.5 Leopard : 2007 –
  • Mac OS X v10.6 Snow Leopard : 2009 –
  • OS X v10.7 Lion : 2010 –
  • OS X v10.8 Mountain Lion : 2012 –

……となってまして、Puma = Mountain Lion だとすると、ネーミングがかぶってしまうんですよね。まあ、どっちでもいい話ではあるんですが、なんかムズムズします……。

このネコ科の大型動物シリーズでリリースされ続けている (Mac) OS X シリーズですが、今後の展開が気になります。「百獣の王」である Lion も使ってしまったし、Lion と双璧をなす Tiger も使ってしまったし……あと残るのは何がありますかね?(商品化されなかった Public Beta の Siam も気になります。これ、シャム猫……ですよね? カワイイ)

途中 Windows を使っていた時期もあるのですが、個人的には漢字 Talk 7 時代から Apple 製品を使っています。Mac OS X は Panther 以降からですね。そんなこともあったりなかったりで、「スピード翻訳」では OS X での動作確認もおこなっています(もちろん Windows でも)。残念ながらまだ iOS 製品(iPhone / iPad)には対応できていませんが、みなさんのお使いのコンピュータの環境に関わらず、高品質な翻訳サービスをご提供できればと思います。

おまけ : 「スピード翻訳」の動作検証や推奨ブラウザに関する FAQ

photo : “Puma, Belgrade Zoo” by Bas Lammers