Author Archives: maki

映画に騙される……のを楽しむ : モキュメンタリー

6月 13th, 2018 | Posted by maki in 小ネタ - (映画に騙される……のを楽しむ : モキュメンタリー はコメントを受け付けていません)

Wikimedia : Zeligposter.jpg

こんにちは、maki です。最近、ひさしぶりに映画をたくさん見ています。DVD で見るのはもちろん、「これは!」と思った映画もたまに見にいったりします。

先月は、『カメレオンマン』というウディ・アレンの 1983 年の映画を再見しました。しかも、レーザーディスクで!さすがに DVD の映画や、しかもリマスタリングされた映画の DVD や Blu-ray と比較すると、さすがに画質は落ちますが、そのあたりはこの映画ではまったく問題ありません。この映画は、第二次世界大戦前後(主に 1920 – 30 年代)を扱ったドキュメンタリー映画 ※ なので、当時の白黒のフィルムも挿入されていたりして、そもそもの映像の画質も高いわけではないので、問題ないんです。
※ ホントは、ドキュメンタリー映画ではありませんw

モキュメンタリーとは?

この映画の主人公は、レナード・ゼリグ(ウディ・アレン)という人物。まわりにいる人物にあわせて、自分自身の姿が自然に変化してしまうという奇妙な人物です。上流階級の白人といると共和党支持者の白人に、ジャズ・ミュージシャンといればトランぺッターに、中国人といっしょにいると中国人に変身してしまいます。それを精神疾患と考えた精神科医が献身的に治療をおこなう……という話。作品中に当時の白黒フィルム ※ が挿入されていたり、カラー映像の回想インタビュー(実際の著名人も出演しています)が挿入されていたりで、とてもよくできたドキュメンタリー作品だと思います。
※ 合衆国大統領からベーブ・ルース、ローマ法王、果てはヒトラーとも同じフレームに!

このような、架空の人物・事象などをテーマにしたドキュメンタリーの作品のことを

mockumentary (モキュメンタリー)
mocumentary とも綴る

……と呼ぶそうです。これは、

mockumentary = mock + documentary

……という造語なんだそうです。

mock には、形容詞として「見せかけの」「にせの」「まがいの」といった意味があります。ウェブサービスの開発現場でも「とりあえず、モックを作ってから考えよう」(モック = ダミーのサイトやプログラム)なんてことを言ったりします。

なので、mockdocumentary がくっつくと、

mockumentary = 偽のドキュメンタリー

……ということになりますね。

mockumentary の類義語として、

pseudo-documentary = 疑似ドキュメンタリー

……があります。この pseudo にも「偽りの」「にせの」「まがいの」「見せかけの」「擬似の」といった意味があります。

こういった映画は、けっこうあるみたいで、Wikipedia の「モキュメンタリー」のページ にもいくつか掲載されています。おもしろそうなので、見てみようと思います♪
※ Wikipedia のリストの中にある『スパイナル・タップ』(1984)は、評価がとても高いモキュメンタリー作品なんですが、なぜか当時は日本では公開されませんでした。そして、なぜか今年(2018!)上映されるみたいです!これは映画館に行くべきかも……

類語でも、分野によっては訳し分けも必要

この mockpseudo非常に意味が近いのですが、翻訳ではどの分野で使われているかによって、訳語は変わってきます

医学・化学・環境分野では、

  • pseudo ⇒ 疑似 > 擬似 >> 擬
  • mock ⇒ 模擬 >> モック

……と訳されることが多いようです。
※ 訳語間の > / >> は、その前後の訳語の利用頻度を表しています

しかし、IT・機械・電気電子分野においては、

  • pseudo ⇒ 擬似 > 疑似 >>擬
  • mock ⇒ モック >> 模擬

……のように訳されます。

このような分野ごとの訳語の頻度については、ロゼッタ『究極の辞書』(統計型辞書)サービスで調べることができます。次回は、この使い方について説明したいと思います。

おまけ(どうでもいい話)(ホントにどうでもいいので小さい字で書きますね)なぜ、わざわざ DVD でなく、レーザーディスクの『カメレオンマン』を見たかというニッチな話。現在流通している DVD(20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン)は、字幕でしか見られません。レーザーディスク版(VHS 版も)の『カメレオンマン』(ワーナー・ホーム・ビデオ)は公開当時そのまんま!挿入されたモノクロ映像でのセリフは英語(字幕あり)ですが、ナレーションやインタビューシーンは吹替という凝った作り(配給元の気合が感じられます)。公開当時の形でこの映画を見ていると、本物の海外制作のドキュメンタリー番組をみているような気分になれます♪


訪日外国人向けの翻訳 : 観光案内・施設案内・交通案内・メニューなど

5月 1st, 2018 | Posted by maki in 小ネタ - (訪日外国人向けの翻訳 : 観光案内・施設案内・交通案内・メニューなど はコメントを受け付けていません)
photo by Wokandapix

こんにちは、maki です。先日、帰宅したときに、地元の駅の前に大きなスーツケースを持った外国人の女性がいるのを見かけました。スマートフォンを片手に、周りを見回しています。近所にある銀行の計算センターがあるので、インド人は家の近くでもちょいちょい見かけますが、見るからに訪日観光客っぽい感じ。いかにも、民泊の施設を探していそうに見えました。日本は比較的安全な国ではあるけど、薄暗い住宅地だとたどり着けないんじゃないか、しかも夜だし……と思うとかなり心細いですねー。途方に暮れているようだったので、声をかけてみました。

幸いにも英語が通じました。英語圏の人ではないようだったので聞いてみたところ、メキシコから来たとのことでした。やはり、宿泊する予定の民泊の部屋のあるマンションがわからないとのことでした。スマートフォンで宿泊予定の部屋の情報を見せてもらったら、駅の反対側の出口を出てしまったらしいことがわかりました。反対側の出口は、商店街で人通りも多いし、交番もあるので、そちらに行けば何とかなったのかもしれません。民泊サイトの情報を見たところ写真があったので、その建物まで連れていってあげることができました。その道すがら、メキシコからだということだったので、

Welcome to Japan, amiga!

……と言うと、ちょっとほっとしたような笑顔が出ました(スペイン語交じりの英語なのが残念)。
※ amiga は、amigo (スペイン語) = friend (英語) の女性形

無事にたどり着けたし、階下にはお寿司を食べられるお店もあったので、食事もできたかも。そして、次の日からは日本旅行が楽しめたかもしれません。

彼女に見せてもらった民泊サイトは、ちょっと雑然としたレイアウトでしたが、写真があったので、すぐに場所がわかりました(住所で地図検索するという手もありますがw)。

そういう意味では、写真はとても大事な情報です。多分、その近隣の写真を見せれば、南口の派出所の警官が英語がわからなかったとしても、すぐに場所を教えてもらえたでしょう。

スピード翻訳にも、こうした観光案内や、宿泊施設や設備の案内、交通情報、メニューの翻訳の依頼はお寄せいただいています。しかし、こうした案件では、担当者がつかないまま、キャンセルになってしまうものも少なくありません。そのような案件の依頼文を見てみると、翻訳しづらい内容が含まれていることがよくあります。

よくあるパターンとしては、以下のようなものがあります。

  • 日本語のパンフレットの原稿をそのまま原稿として用いている
  • メニューの名称だけが列挙されている
  • 背景がわからないと、翻訳できない文章が含まれている

このような案件は、翻訳者から敬遠されやすい依頼になる確率が高いようです。

  • 日本語のパンフレットを、そのまま原稿として用いている
    地名・人名などの日本人でも何と読むのかわからない固有名詞が含まれているケースもありますし、漢字だけだと簡単だけど、読み方が複数あるようなものもあったりします。また、日本の伝統・文化・風習など、外国人にはその背景から説明しないと伝わりにくいようなものも見受けられます。そのようなものが含まれると、同じようなレイアウトやデザインで翻訳するのはかなり工夫が必要になります。
  • メニューの名称だけが列挙されている
    これも翻訳者泣かせの案件です。地方ならではのメニュー名には、難易度の高いものが多くあります。栃木のしもつかれとか、青森の切り込みなども、知らなければウェブで調べたりして、訳出することが必要になってきます。メニューのみの依頼の場合は、どうしてもそうしたリサーチが必要になってくるので、敬遠されてしまいます。また、蕎麦豆腐Japanese NoodleBean Curd のように訳すのか、SOBATOFU でよいのかといった悩みも出てきます。こうしたときに、メニュー名だけでなく、写真もあるとイメージがつかみやすくなることもあります。
  • 背景がわからないと、翻訳できない文章が含まれている
    市区町村によって、ごみの分別ルールがバラバラで、可燃ごみなのか、不燃ごみなのかの判別がつかなくなるようなことは、日本人でもよく体験することだと思います。国内でも地方自治体によってバラバラなので、外国人には何が可燃で、何が不燃で、何が資源なのかはわかりません。

スピード翻訳では、ご発注時に簡単なメモを書き添えることにより、翻訳者に背景・知識などを伝えることもできます。ウェブ上に参考になるものがあれば、このメモ欄にその URL(アドレス)を書き添えることもできます。また、MS WORD などに写真を貼り付けた状態でご依頼いただければ、翻訳者はそのままの MS WORD で原稿を受け取ることもできます。そうした工夫により翻訳者の受注の確率が高まる可能性があります。お客さまにもご協力願えれば幸いです。

Wikimedia : Ginza-eki-Station_Numbering.jpg

交通案内に関しては、実際にわかりやすいものとして、訪日外国人から評価されているかどうかはわかりませんが、駅名がアルファベット(ローマ字)は必ず併記されていますし、中国語・簡体字 / ハングルもよく見かけます。また、写真にあるように、アルファベットと数字の組み合わせで、駅名に書き添えられていたりしますね。

東京メトロ・日比谷線の銀座であれば、降車駅を、単純に GINZA と記載するのではなく、Tokyo Metro Hibiya Line : GINZA (H08) と記載するとわかりやすいかもしれません。バスは、錦27(錦糸町 27 系統)のように漢字が含まれているので、難易度高いですね……。


おまけ :迷子のメキシコ人女性を民泊施設までお送りしてから、¡Bienvenidos a Japón, amiga! と言えばよかった!……と思いました(訪日外国人向けの成田空港のポスターで見たことがあるように記憶しています)。でも、調べてみると、こんなバリエーションが……

  • ¡Bienvenido! : (男性 1 名に対して)ようこそ!
  • ¡Bienvenidos! : (複数の男性に対して)ようこそ!
  • ¡Bienvenida! : (女性 1 名に対して)ようこそ!
  • ¡Bienvenidas! : (複数の女性に対して)ようこそ!

……のような対象者の人数 / 性別によって変化する言語は難しいですね……(正解は、¡Bienvenida a Japón, amiga! になるんですかね?)。 これも、翻訳者向けのメモ欄に記載すべきかもしれませんね。> <


ビジネス文書にもちょいちょい出現する cf. / e.g. / i.e.の意味・使い方

3月 16th, 2018 | Posted by maki in 小ネタ - (ビジネス文書にもちょいちょい出現する cf. / e.g. / i.e.の意味・使い方 はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maki です。論文からビジネス文書まで、文字で書き表されたテキストには、cf.e.g.i.e. がちょいちょい出現します。自分でもつい使ってしまうのですが、これを機にこれらの略語について調べてみました。これらの略語は、ラテン語を起源としています。

  • cf.confer
  • e.g.exempli gratia
  • i.e.id est

それぞれを見ていきましょう。

cf.confer
日本語で言うところの、参照せよ / 比較せよを意味します。
confer は英語の動詞としても使われていて、 英語では 与える / 授ける / 相談する / 話し合う / 協議する を意味しますが、元のラテン語は 比較する / 相談する の意味があります。

使用例 :
各都道府県の面積は、国土地理院のサイトに詳しい。
cf. 国土地理院 : 平成29年全国都道府県市区町村別面積http://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MENCHO/201710/area_todofuken.pdf

似たような使い方で、ref. もよく見かけます。こちらは、ラテン語ではなくて、英語の refer (to) / reference (to) の略語です。

e.g.exempli gratia
日本語で言うところの、 を意味します。
exempli gratia を英語に直訳すると for the sake of an example(例のために / 例の目的で)となるようです。

使用例 :
政令指定都市は、2018年(平成30年)現在、全国に20市が存在する。
e.g. 札幌市 / 仙台市 / 横浜市 / 川崎市 / 名古屋市 / 京都市 / 大阪市 / 神戸市 / 広島市 / 北九州市 / 福岡市 ほか

同じ意味の略語として、英語の example を略した ex もよく見かけますが、こちらもラテン語ではなくて、 英語から。ただし、日本ではよく使われるようですが、海外ではあまり使わないようです。

i.e.id est
日本語で言うところの、すなわち / 言い換えると を意味します。
ラテン語の id est は、英語では that is となるそうです。

使用例 :
地方自治法上の有資格市(i.e. 法定人口50万人以上の市)には、戦前から区制をしいている五大都市、および、区制をしいていない福岡市(54.4万人)の計 6 市が存在した。

この i.e.e.g. は、いつも使うときに混同してしまいます。せっかく調べたので、今後は、

  • e.g. =
  • i.e. = 言い換えると

……を記憶に定着させたいと思います。

学術論文には、ibid.(脚注などに記載する参考文献で、同じものが繰り返し記載される場合に使う「同」) やその仲間の id.et al.(論文の著者名で、個人名を記載せず「他」(ほか)のように使う)のようなラテン語起源の略語はたくさんあります(学生時代に卒業論文を書くときは、こうしたものもよく使ったなあ……と思いだしたりして)。スピード翻訳でも論文などの翻訳も承っておりますが、こうした学術論文の校正 / 翻訳専用のサービス「コンシェルジュ校正・翻訳」もございます。学会誌に提出したい英語で書いた論文の校正や、日本語で書いた論文の翻訳などのご用命がございましたら、

おまけ :歴史上世界で最も科学の発展に貢献したイタリア出身の科学者、Et al(エト・アルもしくはエトール)に関する記述がアンサイクロペディアに掲載されています。こんな科学者がいたんですねえ(ウソ)。
※ et al の正しい説明は、以下を参照せよ
cf. いっしきまさひこ 「論文によくある「et al.」の読み方と意味は?」(2004 年 4 月 1 日) 〔http://blog.masahiko.info/entry/2004/04/01/024518〕(最終検索日 : 2018 年 2 月 26 日)


平昌五輪(ピョンチャン五輪)の大会ロゴにはどういう意味がある?

2月 20th, 2018 | Posted by maki in 小ネタ - (平昌五輪(ピョンチャン五輪)の大会ロゴにはどういう意味がある? はコメントを受け付けていません)
'Sils Maria' by ND Strupler

こんにちは、maki です。みなさんは、平昌五輪(ピョンチャン五輪)をテレビなどで観戦されましたか?お隣の国なので、実際に会場に足を運ばれた方もいらっしゃるかもしれないですね(『冬のソナタ』の巡礼で、以前に行かれた方もいらっしゃるかも?)。

個人的には、ソチ五輪のときよりも断然見ています。時差がないから見やすいのかもしれません。フィギュアスケートもよかったし、スピードスケート(個人的にはパシュートやショートトラックが好きかな)、スキーのアルペン / ノルディック、スノーボードなんかもけっこう見ました。リュージュとスケルトンは見損ねてしまいました……。

いちばん見ているのは、カーリングですね。特に女子チームの試合中の会話が聞けるのはおもしろいですよね。他の競技と違って臨場感があります。おやつタイムにも話題になっていますね♪ カーリング女子のチームの強さの秘密のひとつはコミュニケーションにあるそうですが、たしかに他の国の選手団よりもよく相談をしているように感じます。「そだねー」が話題になっていますが、個人的には「○○かい?」っていうフレーズが、とても北海道らしさを感じます(さすがに「なまら」は聞いてないですねw)。他の競技よりも時間的に余裕があるので、解説も聞きやすく、だいたいルールも覚えられました。昨日は、強豪スウェーデンに勝利しましたね。ぜひ勝ち進んでいってもらいたいものです♪

見ているうちに気になったのが、ピョンチャン五輪の大会ロゴマーク。選手がストーンを滑らせる場所の手前にこのロゴが書かれているので、いちばん目につきやすいいいポジションを占拠していますw。ローマ数字の とアスタリスク(*)の組み合わせのようなこのロゴ、

*

気になるなーって思ったので、調べました(開会式のときに解説の人が教えてくれてたんだと思うんですけど、聞いてませんでした……)。ちょうど前回 Twitter や Instgram でよく使うハッシュタグ(#)について調べたときに、*についても調べたのでした(cf. Twitter や Instagram でお馴染みの #(ハッシュタグ))。

このローマ数字 に見える記号は、ハングルP に相当する子音記号で、正確には

……と綴ります。

次のアスタリスク * に見える記号は、ハングルCh に相当する子音記号で、正確には

……と綴ります。

これらのコンビネーションで、

ㅍㅊ

……となります。これが大会ロゴの正しい綴りになります。

そしてこれは、開催地

평창(ピョンチャン / 平昌)

……の頭文字とも言えるもの(PyeongChang)なんですね。
※ その他、いくつもの意味が込められているようですが、詳しくはこちらを……

ハングルは、子音と母音の 2 文字からの 3 文字の組み合わせで表記されます。日本語にはない音韻を持つ子音・母音も多く、正しい発音をするのは難しそうですが、読み下しだけであれば、がんばればできる?ような気がします(と言ったまま、勉強していないのですが……)。この組み合わせで文字入力をするのですが、韓国に行ったときは、みなさんスマートフォンを両手を使って入力していました(子音を左手、母音を右手で入力します)。日本語の場合は文字の種類が音ごとに存在するので、フリック入力が主流ですね。

スピード翻訳では、日本語から韓国語への翻訳(日韓翻訳)、韓国語から日本語への翻訳(韓日翻訳)も承っております。プライベートなメールや、ブログ記事からビジネス文書まで、ネイティブスピーカーによる自然な翻訳をご希望の方はぜひ一度お試しください。


Twitter や Instagram でお馴染みの #(ハッシュタグ)

2月 14th, 2018 | Posted by maki in 小ネタ - (Twitter や Instagram でお馴染みの #(ハッシュタグ) はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maki です。きょうはバレンタインデーということで、Twitter 上にもたくさんの #happyvalentine が投稿されていますねー。Instagram も #happyvalentine 祭り状態♪

Twitter や Instagram でお馴染みの #。この記号 + キーワードのコンビネーションで、ハッシュタグって言いますね。知人は編み物が好きなんですが、Instagram にアップした自作の編み物の写真に #編み部 のハッシュタグを追加して、ポストしています。この #編み部 をクリックをすると、編み物好きな人たちがアップした写真が見られます。こんな感じで、同じ話題や興味などをこのハッシュタグに書いておくと、そのトピックに関連する他の人たちの投稿も見られる……そんな形で使われています。このハッシュタグを使っている人たちは必ずしも現実社会でも交友関係があるわけではないケースも多々あるので、ハッシュタグでつながるソーシャルな関係性もおもしろいところです。

ところで、この # 、さっきまで(楽譜などに使われる)シャープだとばかり思っていたのですが、楽譜などに使うシャープ記号) とハッシュタグ# は全然別の文字なんですね。大きく表示してみましょう。

#
number sign / hash
番号記号 [cf. Wikipedia]
sharp
シャープ [cf. Wikipedia]

こう見ると、明確に違いますね。

  • # : 平行な水平線を 2 本持ち、斜めの平行線 2 本と交差する
  • : 平行な垂直線を 2 本持ち、斜めの平行線 2 本と交差する

先日、日本郵便の不在通知の再配達依頼を電話でしたのですが、自動受付で「シャープを押してください」と言われました。自然な反応として # ボタンを押しました(それと思われるキーは # 以外ないし!)が、これも正しくは「番号記号を押してください」であるべきんなんでしょうね(そう言われても「え、どれ?」ってなっちゃいそうですが)。まあ、それぐらい # の呼称の境目は曖昧だということなんでしょう。

似たような類似例として、日本郵便の不在通知の再配達依頼でいうところの「※印」(こめじるし)もあります。これも日本人にとっては、(こめじるし)と呼んでしまった方がわかりやすいということなんでしょうけど、これも実際には なんですね。いわゆる の違いは明確ですけど、ここにも落とし穴が……。

*
sextile
スターマーク [cf. Wikipedia]
asterisk
アステリスク [cf. Wikipedia]

この記号もこう見ると、明確に違いますね。

  • : ×
  • * : ×|

* も一緒に見れば違う記号だとはわかりますが、別々に見るとやはり同じ記号に見えます。普通にどちらもアステリスクとかアスタリスクとか呼んでました。

このアスタリスク、けっこう曲者でして、フォントによっては、ずいぶん見た目が違っちゃうんですよね……。
※ お使いのパソコンの OS やブラウザによっては、同じ形に見えるかもしれませんが、いま使っているマシン(Windows 10 + Chrome)では別の形で表示されます

* * *

念のため、画像も。

asterisk

記号の世界、奥が深いです……。


冬将軍来る

1月 22nd, 2018 | Posted by maki in 小ネタ - (冬将軍来る はコメントを受け付けていません)
'snowman' by skeeze

こんにちは、maki です。ひさしぶりの投稿です。きょうは、天気予報どおりに東京でも雪が降りはじめました。ここは雪国?と思えるくらいの勢いで降ってますね(@千代田区)。日本海側の豪雪地帯はもうずいぶん前から大雪が降っていますので、「何をいまさら」と言われるかもしれませんが……。東京の交通機関は降雪に弱いので、ちゃんと帰れるか不安です。

NHK の天気予報を見ていると、この季節はシベリア方面から寒気が南下してくるといつも冬将軍のイラストが天気図に表示されますね。と書かれた立物が付いた兜をかぶった戦国時代の武将(寒色系)のような擬人化されたアレです。日本人にとっては、冬将軍というと大体そんなイメージかと思います。
※ 立物(たてもの) = 兜の額や側頭部につける装飾部品のこと
※※ 参照リンク : NHK放送文化研究所 : ことば(放送用語) – ことばウラ・オモテ – 冬将軍

NHK 放送文化研究所の解説では、英語では General Frost(霜将軍)と言う……と書かれていますが、英語版の Wikipedia では、Russian Winter(ロシアの冬)で立項されています(General Winter で検索すると Russian Winter にリダイレクトされます)。そこに列挙された冬将軍の英語表現としては、

General Winter(冬将軍) / General Frost(霜将軍)/ General Snow(雪将軍)

……の順に記載されています。英語では、単純に強烈な寒気や大規模な積雪ではなく、ロシアへの軍事的侵攻を阻んだロシアの厳冬を指す言葉のようです。

Wikipedia - General Winter19 世紀にフランスのナポレオン軍は、冬将軍に撃退されました。そのあたりから、戦況に大きな影響およぼす厳しいロシアの冬を Genral Winter と呼ぶようになったのだとか。左のイラストはナポレオン軍の敗退第一次世界大戦の東部戦線を描いたもののようです。ここにはさっきの英語表現 General Winter と対になる Général Hiver(冬将軍)と書かれています。
hiver (fr.) = winter (en.)

フランス語版の Wikipedia では、Général Hiver で立項されていて、

Hiver Russe(ロシアの冬)/ Général Givre(霜将軍)

……の順に記載されています。
givre (fr.) = frost (en.)

この冬将軍の来襲を懸念して、東京では早めの帰宅をしようとしている人たちが、駅にあふれている模様。もし、こんなときにも早めにこなさなければならない翻訳などごいざいましたら、スピード翻訳をぜひご利用くださいw
たくさんの翻訳者がみなさんのご依頼をお待ちしています♪


曜日のひみつ ~ ゲルマン神話とローマ神話

9月 19th, 2017 | Posted by maki in 小ネタ - (曜日のひみつ ~ ゲルマン神話とローマ神話 はコメントを受け付けていません)
'Solar System (artist's impression)' by Andrew Caw

こんにちは、maki です。ここしばらく、「イギリスの 10 億は、アメリカの 10 億ではない?!」や「暦のひみつ ~ September(9月)は、第7の月?!」の記事で英語とフランス語・ラテン語、あるいはドイツ語との関連を見てきたわけですが、ついでに曜日についても調べちゃいましょう♪

英語 ドイツ語 フランス語 ラテン語
月曜日 Monday Montag Lundi dies Lunae
火曜日 Tuesday Dienstag Mardi dies Martis
水曜日 Wednesday Mittwoch Mercredi dies Mercurii
木曜日 Thursday Donnerstag Jeudi dies Iovis
金曜日 Friday Freitag Vendredi dies Veneris
土曜日 Saturday Samstag Samedi dies Saturni
日曜日 Sunday Sonntag Dimanche dies Solis

このリストの中で、同じ色で着色された曜日については、語源が共通するものです。4 言語で完全に一致するものは、月曜日だけですね。

まずは、月曜日Monday / MontagMon は、moon(月)で、ラテン語の Lūna(月の女神ルーナ)ですので、Lundi / Lunea と意味はほぼ同じ。

次は、火曜日Mardi / MartisMar は、Mars(軍神マールス → 火星)を起源としています。英語 / ドイツ語については、何の関係もなさそうに見えますが、微妙に関係はあるようです。Tuesday / Dienstag は、ゲルマン神話の Tyrテュール)を起源とする言葉(英語とドイツ語ではずいぶん違うように見えますが……)。これもゲルマン神話では軍神。ラテン語から曜日がゲルマン語に取り入れられた際に Mar は、MarsTyr習合(同一視)されたようです。
※ 日本古来の神と仏教由来の仏を同一視する神仏習合はよく聞く話ですが、世界にはいろいろあるんですね

ひとつ飛ばして、木曜日。フランス語の Jeudi とラテン語の Iovis はちょっと違うように見えますが、ローマ神話の主神の Ivppiter(主神ユーピテル → 木星)を起源としています。英語 / ドイツ語については、これも火曜日同様の習合で、ゲルマン神話の Torトール)を起源とします。ここから Thursday / Donnerstag となりました。

金曜日も火曜日、木曜日と同様の習合です。フランス語の Vendredi とラテン語の Veneris、日本でも馴染み深いローマ神話の愛の女神の Venus(女神ウェヌス = ヴィーナス → 金星)から。英語 / ドイツ語は、ゲルマン神話の愛の女神 Freyaフレイヤ)を起源とします。ここから Friday / Freitag に。

火曜日、木曜日、金曜日とローマ神話とゲルマン神話の習合のコンビネーションでしたが、土曜日はちょっと違います。英語の Saturday とラテン語の Saturniは、ローマ神話の Saturnus(農耕神サートゥルヌス → 土星)から。ドイツ語の Samstag、フランス語の Samediは、いずれもラテン語の sabbatum(安息日)を起源としています。

そして、日曜日。これは、わかりやすいパターンで、英語 = Sunday、ドイツ語 = Sonntag、ラテン語 = Solis は、ローマ神話の Sol(太陽神ソール → 太陽)です。フランス語だけが、ちょっと違って Dimanche。ラテン語の dies Dominicus(主の日)を起源とします。

さっき後回しにした水曜日ですが、これも変則的なパターン。フランス語の Mercredi とラテン語の Mercurii は、ローマ神話の Mercurius(商いの神メルクリウス → 水星)から。英語の Wednesday は、ゲルマン神話の最高神 Odin(最高神オーディン)から。ゲームのファイナルファンタジーや、パズドラにも登場するキャラクターなので、聞きなじみがあるかもしれませんね。英語では、Woden とも綴られるようなので、そう考えると Wednesday も何となくわかります。そして、ドイツ語の Mittwoch ですが、真ん中の日(週の中日)という意味。Mittwoch が英語の mid と同義です(とはいえ、水曜日だけ手抜きっぽくも感じます)。

日本の曜日は、英語の曜日の命名法よりもよりラテン語の命名法に沿っているように感じます。日本の曜日は、弘法大師が唐からもたらした『宿曜経』(文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経)によって広まったと言われています。原典はインドの古代占星術に起源を持つと言われます。インドの古代占星術はヘレニズム時代にギリシアから影響を受けたとも言われていますので、ギリシャを起点に西はローマに至り、東はインドを経由して日本まで伝わったのかもしれないですね。
Cf. 中外日報 : 空海がもたらした曜日 ― 唐から『宿曜経』持ち帰る

おまけ
『宿曜経』には、九曜(土曜、水曜、木曜、火曜、金曜、月曜、日曜、計都、羅睺)があり、このうち土曜から日曜までが七曜と呼ばれます。木曜、火曜、土曜、金曜、水曜が、5 大元素の木・火・土・金・水の五行に、月曜、日曜が陰陽にあたります。そう考えると、木・火・土・金・水を「陰」(と = 弟・おとうと)と「陽」(え = 兄・あに)をコンビネーションにすると、甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)の十干となります。


暦のひみつ ~ September(9月)は、第7の月?!

8月 8th, 2017 | Posted by maki in 小ネタ - (暦のひみつ ~ September(9月)は、第7の月?! はコメントを受け付けていません)
'September Poster Calendar' by Jason Taellious

こんにちは、maki です。きょうは前回の September(9 月)の最初の sept は、ラテン語の 7 (septem) を起源に持つ語彙なのに、月の名前になるとなぜ 9 月になるのか……という話です。

英語とフランス語、ラテン語の月の名称を並べてみました。英語は、その成立にフランス語の影響を受けていますが、元はゲルマン語由来の言語なので、比較のためにゲルマン語系のドイツ語も並べてみました。

英語 フランス語 ラテン語 ドイツ語
1 月 January Janvier Jānuārius Januar
2 月 February Février Februārius Februar
3 月 March Mars Mārtius März
4 月 April Avril Aprīlis April
5 月 May Mai Māius Mai
6 月 June Juin Jūnius Juni
7 月 July Juillet Jūlius Juli
8 月 August Août Augustus August
9 月 September Septembre September September
10 月 October Octobre Octōber Oktober
11 月 November Novembre November November
12 月 December Décembre December Dezember

比較のために比べてみましたが、英語、フランス語、ラテン語、ドイツ語ともに、そっくりですね!英単語は、ラテン語系の言語(フランス語もこの範疇)とゲルマン語系の言語(ドイツ語など)と比較すると、そのどちらかにかなりの類似性がある例はよく見かけますが、ここまでそっくりだとは思いませんでした。

9 月 / 10 月 / 11 月 / 12 月は、どの月も同じ語尾で終わっています(英語・ラテン語・ドイツ語 : -ber / フランス語 : bre)。この部分だけを抜き出して、各月とその数字を見てみましょう。

英語 ラテン語の数 意味
9 月 September septem = 7
10 月 October octo = 8
11 月 November novem = 9
12 月 December decem = 10

この接尾辞の -ber の意味は明確にわかってはいませんが、仮に「……の」だと考えると、

  • 9 月 = 7 の月
  • 10 月 = 8 の月
  • 11 月 = 9 の月
  • 12 月 = 10 の月

……となります。

だとすると、

  • 8 月 = 6 の月
  • 7 月 = 5 の月
  • 6 月 = 4 の月
  • 5 月 = 3 の月
  • 4 月 = 2 の月
  • 3 月 = 1 の月

……と逆算できます。

3 月 = 1 の月であるというこのズレは、暦の考え方の違いに起因しています

3 月は、現在の暦(グレゴリオ暦)では 3 番めの月ですが、それ以前のユリウス暦までは 3 月が 1 年の始まりだったのです。なので、

  • 3 月 = 1 の月

……には何の矛盾もないのです。春は、生命の息吹を感じる時期。3 月が 1 年の始まりなのは、現代にとっても自然な考えのように感じますね。
※ ユリウス暦 : 紀元前 45 年にカエサル(ジュリアス・シーザー)が制定 / グレゴリオ暦 : 1582 年にローマ教皇グレゴリウス 13 世が制定

おまけ
英語とドイツ語の類似性は、月の名称だけでなく、数字にも見られます。月の名称は、英語でもフランス語、ラテン語、ドイツ語間での共通点はとても多いですが、数の名称については、4 = four : vier(フィーア)、5 = five : fünf(フュンフ)、7 = seven : sieben(ジーベン)、10 = ten : zehn(ツェーン)あたりが似ているなあ……と感じます。

英語 フランス語 ラテン語 ドイツ語
1 one un unus eins
2 two due duo zwei
3 three trois tres drei
4 four quatre quattuor vier
5 five cinq quinque fünf
6 six six sex sechs
7 seven sept septem sieben
8 eight huit octo acht
9 nine neuf novem neun
10 ten dix decem zehn

関連記事 :
QUICKTRANSLATE says…… : イギリスの 10 億は、アメリカの 10 億ではない?!


イギリスの 10 億は、アメリカの 10 億ではない?!

8月 4th, 2017 | Posted by maki in 小ネタ - (イギリスの 10 億は、アメリカの 10 億ではない?! はコメントを受け付けていません)
'One Billion Dollars' by Matt Brown

こんにちは、maki です。前回の記事大きな数の単位の名称がアメリカ英語とイギリス英語で違っている……という話にちょこっとだけ触れましたが、きょうはそんな話題です。

US UK
1,000 thousand thousand
1,000,000 million million
1,000,000,000 billion thousand million (milliard)

イギリスとアメリカという違いはありながら、同じ英語の中で billion の表す数値が違うというのはびっくりですね!これで米英間で国際取引するのは大変!

でも、大丈夫!これはもうすでに過去の話なんです。1974 年にイギリスは公式文書ではアメリカ式(short scale と呼ばれます ※)を使うことを宣言。その後、広く一般に周知され、イギリスの billionアメリカの billion同じ値となりました。しかし、前掲の表に書かれている milliard ( = thousand million) というのも聞きなれない数字ですねー。
※ 以前のイギリス式は、long scale と呼ばれるヨーロッパで広く普及している数え方(進数)。詳しくは、Wikipedia > 西洋の命数法をご覧ください

イギリスの権威のある辞書のサイトでも、以下のように記載されています。

In British English, a billion used to be equivalent to a million million (i.e. 1,000,000,000,000), while in American English it has always equated to a thousand million (i.e. 1,000,000,000). British English has now adopted the American figure, though, so that a billion equals a thousand million in both varieties of English.

: イギリス英語において、かつて billion は、million million( = 1,000,000,000,000 : 1 兆 = 100 万 × 100 万)と等しいとされていました。一方、アメリカ英語では、ずっと thousand million( = 1,000,000,000 : 10 億 = 1,000 × 100 万)に等しいとされていました。現在のイギリス英語では、アメリカ式の数値を採用しています。そのため、イギリス英語でもアメリカ英語でも billion は 1,000 million に相当します。

こどものころに、一、十、百、千、億、兆、京、垓……阿僧祇、那由他、不可思議、無量大数……などと、意味もなく大きな数の単位を覚えた(覚えようとした?)ことがありますが、英語では以下のようになっています。
※ 以前のイギリス英語の表記は省きます

1,000 = 103 thousand
1,000,000 = 106 million
1,000,000,000 = 109 billion
1,000,000,000,000 = 1012 trillion
1,000,000,000,000,000 = 1015 quadrillion
1,000,000,000,000,000,000 = 1018 quintillion
1,000,000,000,000,000,000,000 = 1021 sextillion
1,000,000,000,000,000,000,000,000 = 1024 septillion
1,000,000,000,000,000,000,000,000,000 = 1027 octillion
1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000 = 1030 nonillion
1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000 = 1033 decillion

このような形で、1,000 倍になる(乗数が 3 増える)たびに、millionbilliontrillionquadrillionsextillion……のように llion の前の文字列が変化していきます。この bitriquadrisexti……は、

  • bi : バイアスロン(クロスカントリー・ライフル射撃の 2 種目競技)の bi
  • tri : トライアスロン(水泳・自転車・長距離走の 3 種目競技)の tri
  • quadri : クアドラフォニック4 チャンネルステレオ)の quadri
  • quinti : クインテット(五重奏の 5)の quinti
  • sexti : セクステット(六重奏の 6)の sexti
  • septi : セプテット(七重奏の 7)の septi
  • octi : オクテット(八重奏の 8)の octi

……と続くラテン語起源の数字に関わる言葉です。数に関連するラテン語起源の数字については、覚えておくといろいろ応用が利きそうですね。
セプテンバー9 月、オクトーバー10 月だよね?ずれてんじゃない?……という話はまたの機会に……

おまけ
以前のイギリス英語(long scale)で使われていた の 1,000,000,000milliard ですが、似たもので、

US
(short scale)
UK
(long scale)
1,000,000,000,000,000 = 1015 quadrillion thousand billion (billiard)

……があります。これ、玉突きのビリヤードと同じ綴りなんですねー。ビリヤードでボールをたくさん使う競技としてはスヌーカーがありますが、これでも全部で 22 個。1,000,000,000,000,000 のボールは使わないです。なんで同じ名前なんですかね……。

関連記事 :
QUICKTRANSLATE says…… : 所変われば、表記も変わる ~ 数字の桁区切り


所変われば、表記も変わる ~ 数字の桁区切り

8月 1st, 2017 | Posted by maki in 小ネタ - (所変われば、表記も変わる ~ 数字の桁区切り はコメントを受け付けていません)
'2176130_The_Reserve_Bank_of_Zimbabwe_introduces_10_20_50_and_100_trillion_Zimbabwe_dollar_notesepa01-xlarge_trans++x9qSHbeosvxfwsJrZyLDI3antVQi3GJ85Q-Ov6ogfk4' by ビッグアップジャパン

こんにちは、maki です。さて、クイズです。この人は何ドル持っているでしょうか?そもそも何枚のお札(さつ)を持っているのかがわかりませんが、1 枚のお札だけで TEN TRILLION DOLLARS の価値があるようです。MILLION ぐらいだったら「ミリオンセラー」とかの文脈で日本語でも普通に使うので、100 万だとすぐわかりますが、TRILLION と言われてもなかなかピンときません……。記載されている額面は、10000000000000。数えてみます。一、十、百、千、万……10 兆!1 枚で 10 兆ドルだとすると、この人はその高額紙幣を何枚持っている?100 枚は持ってそうですね。とすると、1000 兆ドル!

とはいえ、米ドルではありません。ジンバブエ・ドルです。すでに、ジンバブエ・ドルは廃止されてしまったのですが、ハイパーインフレで自国通貨をどんどん高額紙幣に切り替えた結果、このようなお札が生まれてしまったようです。廃止されたのは 2015 年だそうですが、当時のハフィントンポストの記事によると「300000000000000ドル=1円」とありました。10000000000000 ジンバブエドル札が 100 枚あっても、日本円だと 3.33 円!なんともがっかりな話ですが、1000 円を両替したら相当なお金持ち気分が味わえたかもしれません。
Cf. ハフィントンポスト : ジンバブエ・ドル、ついに廃止 壮絶なインフレで300000000000000ドル=1円

ここまでは、10000000000000 といった形で記載していましたが、金額を表示するときにはやはり区切りの記号を入れたほうがいいですよね。

1000000000000010,000,000,000,000

この桁区切りに使う「,」を英語では、

thousands separator (桁区切り)

……と呼びます。基本的に、英語などでは、thousand (1,000) → million (1,000,000) → billion (1,000,000,000)…… と 1,000 倍するごとに単位が変化していくので、thousands separator と呼ぶのでしょう。

日本人の脳内には (10,000) → (100,000,000) が浸みついているので、1,000 単位での切り替えがいつまでもなじめないのですけど……そんなことないですか?日ごろ数値とにらめっこしている経理の人などはそんなことないんでしょうけど、そうでない人にはそんなもんなんです!(個人的感想?)

話をもどします。一方、小数点以下の数値に使う「.」は、

decimal mark / decimal separator (小数点)

……と呼びます。

これらを組み合わせて、

1,234,567.89

……のように使います。

しかし、世界全体を見ると、各国でさまざまな違いがあります。Wikipedia(英語版)の Decimal mark の項目に詳しい説明がありましたので、一部抜粋(翻訳) + コメント追加します。

1,234,567.89 オーストラリア / カナダ(英語圏 / 非公式) / 中国 / 香港 / アイルランド / イスラエル / 日本 / 韓国 / マレーシア / メキシコ / ニュージーランド / パキスタン / フィリピン / シンガポール / 台湾 / タイ / イギリス / アメリカ
1 234 567.89 国際単位系(英語版) / カナダ(英語圏) / 中国 / スリランカ / スイス(通貨表記に推奨)
※ ちょっとだけ桁区切り部分に空白が入るパターン
1 234 567,89 国際単位系(フランス語版) / アルバニア / オーストリア / ベルギー / ブラジル / ブルガリア / カナダ(フランス語圏) / クロアチア / チェコ / デンマーク / エストニア / フィンランド / フランス / ドイツ / ギリシャ / ハンガリー / イタリア / コソボ / オランダ(通貨表記以外) / ノルウェー / ペルー / ポーランド / ポルトガル / ルーマニア / ロシア / セルビア / スロバキア / スロベニア / 南アフリカ / スペイン / スウェーデン / スイス(通貨表記以外に推奨) / ウクライナ
※ ちょっとだけ桁区切り部分に空白が入るパターン + 小数点にカンマを使うパターン
1.234.567,89 アルゼンチン / オーストリア / ボスニア・ヘルツェゴビナ / ブラジル / チリ / デンマーク / ドイツ / ギリシャ / インドネシア / オランダ(通貨表記) / ポルトガル / ルーマニア / ロシア / スロベニア / スペイン(古い書式) / スウェーデン(非推奨) / トルコ
※ 桁区切り部分にドット(ピリオド) + 小数点にカンマを使うパターン
123.4567,89 中国(万の単位での桁区切り)
※ 日本の単位の感覚に合致しています。とはいえ、日本と同じ 1,000 単位の方が利用頻度は高いのでは?と思います

国や地域の違いだけでなく、分野によっても違いが出ることがあります。これも広い意味での翻訳の範疇に入るローカライゼーションかもしれません。特にご希望のある場合は、翻訳をご依頼の際に担当者へのメモを残すことができますので、「スピード翻訳」 をご活用の際はご検討ください。
※ ある翻訳会社のブログ記事(英語)にも似たようなものがありました

おまけ
関連記事 :
所変われば、表記も変わる ~ 日付の表記法

多少なりともこのエントリーと関連ありそうな過去のエントリー(?) :
メートル法とヤード・ポンド法 / 桁数を揃えるために数字の先頭に書いておく、あの「ゼロ」

やはり、この桁区切り問題、いろんなところで話題になっているようですね。
Cf. IPF biz – 大きい数字を読むコツ ~3桁区切りは日本語に馴染まない~ / YOMIURI ONLINE(読売新聞): 発言小町 – 桁の大きな数字の読み方のコツを教えてください / ミームの死骸を越えて行け – Billion, Millionなど英語の数字単位を頭の中で日本の単位に換算する方法

IT の世界でのプログラミングにおいては、いろんな言語が存在しますが、各言語ともに国際化対応の下、それぞれの言語でちょっとした工夫(関数とロケールの使用)をすることで、同じ数値を各言語に対応した表記法に変換できるようにしているみたいですね。翻訳業務にもこんな関数があるといいですね……。
Cf : ORACLE – 国際化対応言語環境の利用ガイド

millionアメリカ英語 / イギリス英語問題もありますが、キリがないのでまた後日……。