John Doe は、山田太郎?

6月 7th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (John Doe は、山田太郎? はコメントを受け付けていません)

Meet John Doe

こんにちは、maki です。架空の人物の名前の代表例に山田太郎はよく使われますね(実在の山田太郎さん、申し訳ございません)。女性なら山田花子ですね。書式などの記入例などによく使われている名前です。「山田」では実在の方の迷惑になるからなのか、自治体ではその自治体の名称(私の住んでいる練馬区の役所では練馬太郎練馬花子など)を使ったり、企業であれば社名(の一部)を使ったりする場合もありますね。スピード翻訳株式会社であればスピード太郎とか。

英語では、John Doe が代表的な架空の人名とされ、日本語の山田太郎(××太郎)にぴったりなのではないかと思います。Wikipedia には John Doe は「名無しの権兵衛」で紹介されていますが、書式の記入例にはやはりちゃんと姓と名が必要ですから、やはり山田太郎(××太郎)がよさそうです。女性の名前はどうなるかというと、Jane Doe となるようです。

Wikipedia にも書かれていますが、名無しの権兵衛山田太郎と違って、John DoeJane Doe は訴訟などのフォーマルな場にも登場します。関係者の権利の保護などのために匿名にしておきたい場合に使うようです。Google で John Doe v で検索すると、数多くの訴訟がヒットします。

John Doe v は日本語に訳すと「John Doe 対」となります。アメリカの訴訟では、「(原告) v. (被告)」という訴訟名が使われます。v.versus の略です。ちょっと昔の映画で『クレイマー、クレイマー』(1979)という離婚・こどもの養育権をめぐる訴訟を描いた映画がありましたが、原題は Kramer vs. Kramer でした。離婚訴訟だから、原告も被告も Kramer という同じ姓になるわけですね。

John Doe 以外にも、いろんな山田太郎がいるようで、苗字が Roe だったり、Poe だったり。名前の方もいくつもバリエーションがあるようです。Average Joe(平均的な・普通のジョー)といったちょっと違うテイストのものもあります。訴訟に登場する John Doe は、イギリスなどだと Joe Bloggs になったりするようです。ミドルネーム付きだと、John Q. Public が有名。こういう架空の人名で広く知られているものは世界中にあるようで、世界各国の山田太郎が Wikipedia に掲載されています。なかなかおもしろいですよ。

おまけ : 今回の記事に添付した画像は『群衆』(1941 / 監督 : Frank Capra / 原題 : Meet John Doe)という映画のポスターです。John Doe について調べているあいだに見つけたものですが、なかなかおもしろそうなストーリーの映画です。リメイクしたらヒットしそうな気もします。ちょっと見てみたいかも。

photo : Meet John Doe


WAGYU – オージー・ビーフだけど和牛?

5月 30th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (WAGYU – オージー・ビーフだけど和牛? はコメントを受け付けていません)

'Wagyu beef marbling detail' by Schellack

こんにちは、maki です。今朝の NHK のニュースで、オーストラリアで霜降り肉の和牛の精肉の生産が伸びているという報道がありました。元々は、オーストラリアの広大な大地で日本の黒毛和牛を飼育し、日本市場に向けての輸出を目的にしていたようですが、ここしばらくはオーストラリアの国内市場向け、そして日本以外の国への輸出にも力を入れているそうです。ある農場では、国内市場向けの生産が4割にまで伸びているとか。それが WAGYU と呼ばれて、流通しているのだそうです。

一般的な認識としては、欧米文化では牛肉は赤身が好まれるという風に言われていましたが、刺しの入った霜降り肉のおいしさにオーストラリアの人たちは気付きはじめたようです。あるレストランでの取材では、「ジューシーでおいしい」、「やわらかい。ステーキナイフがいらない。スプーンでも切れる」といった感想が聞かれました。

ニュースで取り上げられるぐらいだから、当然 Wikipedia にエントリーが立っているだろうと思ってみてみたら、案の定、Wagyu の項目がありました。和牛関連のめぼしい単語を拾ってみると……

  • 霜降り肉 → marbled meat
  • 霜降り・刺し → marbling
  • 黒毛和牛 → Japanese black
  • 純血種(の) → fullblood
  • 和牛と交配させた牛 → wagyu-cross cattle

覚えておきましょう。何かの役に立つかもしれません(?)。

日本国外で最大の和牛の業界団体は、オーストラリアの The Australian Wagyu Association。このサイトにはオーストラリアの WAGYU 情報がたくさんありそうです。先に述べたように日本への輸出はおこなっているそうですので、貿易の自由化が進めばリーズナブルな価格の「オージー和牛」がスーパーに並ぶようになるんでしょうか。日本の畜産家もアジア諸国への輸出を始めているようですが、「オージー和牛」は強力なライバルになりそうです。
※ オーストラリア産の WAGYU は、普通の牛肉に比べると当然ですが高価なようです

「肉の日」は残念ながら昨日でしたが、おいしい鉄板焼きが食べたくなってきました……。

photo : “Wagyu beef marbling detail” by Schellack


Fido といえばイヌ

5月 25th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (Fido といえばイヌ はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maki です。こどものころ毎日のようにテレビで『トムとジェリー』が放映されていて、飽きもせず毎日見ていましたが、当時の『トムとジェリー』は、いまケーブルテレビで放映されている『トムとジェリー』とは違って、30 分の枠に短編アニメーションが 3 本という構成で、1 本めと 3 本めのエピソードはおなじみのトムとジェリーが登場する作品ですが、2 本めは、別のキャラクター(ドルーピーなど)などが登場する別の監督による作品でした。

この 2 本めに放映された作品に「こんなお家は」(the House of Tomorrow)という作品があります。1949 年の作品です。未来の住宅を紹介するという作品でした。紹介される住宅は、手のひらに乗る大きさの箱が自動的にパタパタ展開して、豪華な家ができあがるものであるとか、税務署員が来たらボタンひとつでお金持ちの成金趣味のお家があばら家になってしまうとか。どれもおもしろいお家ばかりでした。

この作品の中に家族ひとりひとり専用の玄関を作ってはどうでしょうという提案がありました。その最初に紹介されたのがネズミ用の玄関。確かに絵で見ると、ジェリーのお家のように壁に小さな穴のあいたもの。しかし、なぜか違和感があります。玄関の脇にイヌの水飲み皿が置いてあるのです。ご丁寧に、その皿の上には、骨も置かれています。気になって、「ネズミ用の玄関」と紹介していたのは日本語吹き替え版だったので、オリジナル版を探して見てみたところナレーションでは、For Fido. と紹介されていました。Fido(ファイド)は、イヌの名前としてはかなりよく知られています。やはり、あれはネズミではなく、イヌ用の玄関だったのです。日本語吹き替えは、誤訳だったという結論でした。

あるサイトの掲載記事で紹介された 2008 年の(アメリカの)ポピュラーなイヌの名前ランキング・ベスト 100(ペットの保険会社の調査)には、残念ながら Fido はランクインしていませんでした……。ちなみにトップ 10 はこのような結果でした。

  • ♂ : Max / Buddy / Rocky / Bailey / Jake / Charlie / Jack / Toby / Cody / Buster
  • ♀ : Bella / Molly / Lucy / Maggie / Daisy / Sophie / Sadie / Chloe / Bailey / Lola

だったそうです。きっと、小型犬には付けるけど、大型犬にはまず付けない名前とかあるんだと思いますが、現地で生活していないとなかなか判別できませんね。
Barkworld – Top 100 most popular dog names より転載

とてもありふれている名前というわけでもないのに、なぜ Fido がとてもよく知られているイヌの名前なのかについては、Why is Fido such a common name for a dog when in reality no one really names their dog Fido?(実際にはそんなに名前を付けたりしないのに、どうして Fido はイヌの名前としてよく知られているの?)にあるように、ウェブでも質問をしている人がいます。回答としては「リンカーンの飼い犬で、『私は信頼する』(I Trust)という意味」などの諸説が書き込まれていました。実際には Fido という名前を付けることが少ないのであれば、この Fido は日本で言えば「ポチ」みたいなものなんでしょうかね。日本人が「ポチ」と聞けば、イヌを連想するように。

おまけ : ちなみに、Fido がイヌの名前であると覚えたのは、Frank Zappa の “Stink-Foot” という歌の歌詞でした。
Here Fido…… Fido……
C’mere little puppy…… bring the slippers.
“Arf, arf, arf!”

photo : “Fido” by Scott Beale / Laughing Squid


五月病 – May Sickness?

5月 18th, 2012 | Posted by chicchi in 小ネタ - (五月病 – May Sickness? はコメントを受け付けていません)

'Depressed In Paris....' by Toni Birrer

こんにちは、chicchi です。もう、5 月も半ば。ゴールデンウィークも終わってしまいました。新入社員の方は、新人研修もそろそろ終わり、部門に配属され、本格的にお仕事がスタートするタイミングになったのではないでしょうか。学生さんも、4 月から新しい職場に移られた方も本格稼動しなくてはいけない、そんな時期だと思います。みなさんは、充実した毎日をお過ごしですか?

もはやこの時期の季語か、風物詩的キーワードか……というぐらい耳にするのが「五月病」です。職場にいても、なんとなくやる気が出なかったり、理由もなく憂鬱な気持ちになったり。人に会うのも億劫になったりする症状です。

改まって定義を確認したことがなかったので、辞書を調べてみました。ある国語辞書では、このように説明されていました。

五月病
四月に入った大学新入生や新人社員などに、一か月を経た五月頃に見られる、新環境に対する不適応病状の総称。

出典 : 『大辞林』 – 五月病(三省堂)

また、Wikipedia には、

五月病
日本においては、新年度の4月には新しい環境への期待があり、やる気があるものの、その環境に適応できないでいると人によってはうつ病に似た症状がしばしば5月のゴールデンウィーク明け頃から起こることが多いためこの名称がある。「さつきびょう」は誤読。医学的な診断名としては、「適応障害」あるいは「うつ病」と診断される。

出典 : Wikipedia – 五月病

……とありました。五月病って、季節の病気だと思っていましたが、精神的なものだったんですね。ちゃんとした定義は知りませんでした。長期休暇の後に新しい環境に慣れていない人は、会社や学校に行きたくなくなってしまうんでしょうね。その気持ちは分かります。

五月病は、ゴールデンウィークの明けから症状を発祥する人が多いことで、このような名前になったようですが、日本特有の症状なのでしょう。おもしろいことに Wikipedia の May の項目には “May sickness” という語彙が掲載されています。しかし、

April 29 to May 5 in Japan, which includes four different holidays, is called “Golden Week”. Many workers have up to 10 days off. There is also ‘May sickness’, where new students or workers start to be tired of their new routine. (In Japan the school year and fiscal year start on April 1.)

[抄訳]
日本には「五月病」というものがあり、新入生や新社員が新しい日常生活の繰り返しに飽きはじめることを言う。(日本では新学年や新年度は 4 月 1 日から始まる)

出典 : Wikipedia – May

……とあり、あくまでも「日本では」というスタンスの記述になっています。

日本以外の国でも、5 月中旬ごろからこのような症状に見舞われる人たちはいるのか……と思って調べてみたところ、『大方の予想通り、「自分の国にも“5月病”が存在する」という外国人は皆無だった。』そうです。この記事から一部抜粋すると……

  • 「人それぞれ落ち込むことはあるけど、時期も理由も人それぞれ。みんな揃って5月病なんてことはない。日本人は共通病名をすぐつけたがるのが特徴だ」。(スリランカ:50代男性)
  • 5月だから滅入るなんてことはない。冬の寒さで沈み込む人もいるし、僕自身は月曜が好きじゃない。翌日は仕事だからね。日照時間の少ない国は他と比べて自殺率が高くなるわけで…結局、個人の感受性の問題じゃないだろうか」。(イギリス:30代男性)
  • 5月病はないけど、月曜病ならある。毎週日曜夜9時のコメディ番組を見ると、休日の終わりを感じてげんなりする」。(韓国:20代女性)』

……などの意見が。やはり休日の後の月曜日は仕事には行きたくないといった心理はありますが、5 月だからという理由はないですね。

五月病に似た表現では、Monday Syndrome(ブルーマンデー症候群)というのは英語にもあるようです。日本だったら「サザエさん症候群」ですね。

対処方法としては、やはりストレスを溜めないことじゃないでしょうか。趣味やスポーツ、旅行など気分転換になることをして、きっちりリフレッシュをして英気を養い、週明けからは気持ちよくお仕事したいものです(『サザエさん』を見ちゃうと、そうもいかないこともあるんですけどね……)。

などと言っている間に、もう金曜日です。TGIF! 今週は、ブルーな気持ちになることなく『サザエさん』を見たいと思います♪

photo: “Depressed In Paris….” by Toni Birrer


缶コーヒーの市民権

5月 11th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (缶コーヒーの市民権 はコメントを受け付けていません)

'coffee .75 cents' by Jason Kuffer

こんにちは、maki です。以前、New York に住んでいたときのことです。何か飲み物を買おうと近くのコンビニのような商店に行きました。暑い季節だったので、店内の冷蔵庫を見ていましたが、珍しいものを見つけました。缶コーヒーです。日本ならどこにでも(店内に限らず、路上にさえ)あって、アメリカではどこの店に行ってもほとんど見かけないのが缶コーヒーでした。

じゃあ、どこでコーヒーを買うかというと、Starbucks みたいなコーヒーショップだったり、路上のコーヒー屋さん(?) ※ でした(ベーグルやホットドッグ、プレッツェル、バナナなんかも売ってました)。
※ すこし暗いですが写真にあるようなお店です

いわゆる日本の「缶コーヒー」を英語にすれば、Canned Coffee になるのですが、ちょっと気になって英語版の Wikipedia を見てみましたが、すべて日本の缶コーヒーに関する記述でした。やはり、アメリカには缶コーヒーなんてものは存在しないというか、まだ市民権を獲得できていないんでしょうかね。「缶に入ってるような(いつ煎れたのかわからないような)コーヒーをお金を出して買うの?」ということなんでしょうか。日本でも一昔(二昔?)前には、缶やペットボトルのお茶なんかをお金を出して買うのに抵抗が感じられたものですが、それに似た感覚なのかもしれないですね。あとは、自販機をどこにでも設置できるような環境ではないというのも背景にあるかもしれません。

彼らは、缶コーヒーの味が嫌いなのかというと、「甘い」というのが大半を占めるようではありますが、そうでもない人もいるようです。彼らの意見をまとめたページがありましたので、シェアしておきます。

New York で見つけた缶コーヒーの話にもどします。缶のデザインも貧相で、味の方もとてもおいしいものだとは言えませんでした……。実は、もうひとつ別の缶コーヒーも売っていて、そちらも念のため後日試してみました。こちらは、まったくの別物。とてもおいしい♪ よく見たら FIRE かなんかの日本の缶コーヒーの輸入品でした!

おまけ : 最近は Startbucks が缶コーヒーを販売しているみたいです。Starbucks の店舗やスーパーなどで販売していると書いてありました。時代も変わりつつあるんでしょうか。

photo : “coffee .75 cents” by Jason Kuffer


こんにちは、chicchiです。今回は、ちょっと自慢話(?)をさせていただきたいと思います。

なんと、あの『スティーブ・ジョブズ I・II』(Walter Isaacson)の翻訳を担当された井口耕二さんにお会いしてきました! 発売された公式伝記『スティーブ・ジョブスI・II』は、死期を悟ったスティーブ・ジョブスが 3 年もの間インタビューをさせて書かせた自伝です。ジョブズの急逝を受け、刊行予定を約 1 月前倒しして全世界同時発売された作品でもありますね。そのため、翻訳期間もかなり短く、かなり大変な作業だったとのことです。しかも、上下 2 巻をおひとりで訳されているので、本当にお疲れになられたようで、今でも体調が十分に回復していないとお話になられていました。売れっ子翻訳者は、本当に大変ですね。

井口さんは、他にも『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン – 人々を惹きつける 18 の法則』『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション – 人生・仕事・世界を変える 7 つの法則』でスティーブ・ジョブズの関連書籍の翻訳もされています。また、最近の訳書としては、『閉じこもるインターネット – グーグル・パーソナライズ・民主主義』(Eli Pariser)や最近話題の『リーン・スタートアップ』(さっき書店を見てきたら平積みになってました!)などでご活躍中です。

その井口さんが登壇される翻訳フォーラム主催のシンポジウム「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」の開催に弊社会議室をお使いいただくことになりました。そのお打ち合わせで、井口さんにお会いできたわけですが、いろいろ興味深いお話をお聞きすることができました。

井口さんの、お話でも実感しましたが、やはり翻訳業というのは体力的にも、精神的にも強くないとできないお仕事だと思いました。仕事の量にもよるかと思いますが、一日中机に向かって頭をフル回転させて作業に取り組むというのは、根気も必要ですし、気を抜けないというのがあると思います。依頼された作業が終わってない場合は、在宅の場合どこにいてもそのことばかり頭にありますし、締め切りのことを考えちゃいますよね。

翻訳業って、在宅で自分の時間も持ちながら楽に仕事ができるのでは……という印象をお持ちの方も多いと思いますが、実際は自宅でのデスクワークということで、仕事と日常生活のメリハリをつけるのが難しいという部分はありそうです。しっかり自己管理していないと、日常生活も翻訳業務も互いに影響を及ぼしあって、グダグダになってしまう危険性もありそうです。最悪の場合、健康に悪影響を与えることもありそうですね。どんなお仕事にも「仕事の大変さ」はあるかと思いますが、翻訳のお仕事の大変さは、すべて自分で責任を取り、すべて自分に返ってくるということでしょうか(自営業やフリーランスに共通する性質かもしれません)。

ところで、今度開催される「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」。翻訳者ならとても気になる題目のシンポジウムですよね! しかも、いま最も注目されている翻訳者の井口さんのお話が聞ける貴重な機会ということで、東京までわざわざお来しになられる参加者の方もいらっしゃるようです。講演後には、翻訳者同士の交流会として二次会も用意されているようですので、普段おひとりで作業をされている翻訳者の方同士、いろんな情報交換やお話ができるよい機会になればよいと思います。また、こうした形で弊社として翻訳業界のお役に立てることも光栄に思います。

井口さんの登壇されるシンポジウム「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」は、翻訳者の方限定のイベントなのですが、後日そのレポートもお届けしたいと思います。


ゴールデン・ウィーク☆ ん、GOLDEN?

4月 27th, 2012 | Posted by chicchi in 小ネタ - (ゴールデン・ウィーク☆ ん、GOLDEN? はコメントを受け付けていません)

Tentama's photo on Flickr

こんにちは chicchiです。みなさんは、ゴールデン・ウィークをどうお過ごしになられますでしょうか。3 連休+ 4 連休で、あるいは間の 2 日もお休みにしてゆっくりすごす方もいらっしゃるのではないかと思います(ちなみに「スピード翻訳」のサービスは、24 時間 365 日、翻訳のお仕事を受付中です♪ ※)。

この「ゴールデン・ウィーク」ですが、なぜ「ゴールデン」なのでしょうか。またまた気になりました(笑)。和製英語っぽい感じはかなり漂っていますが、気になりますね~。

調べてみたところ、一説には、この時期に公開された『自由学校』(1951)という映画が正月やお盆の書き入れ時よりもヒットしたことを受け、多くの人に映画館に足を運んでもらおうという映画のプロモーションとして、大映専務だった松山英夫氏による造語だというのがあるみたいです。

また、ラジオで最も聴取率の高い時間帯「ゴールデンタイム」に由来するものだという説もありました。元々は「黄金週間」と言われていたようですが、インパクトに欠けることから、「ゴールデン・ウィーク」となった……との説もありました。

数年ぐらい前からよく聞くようになった 9 月の大型連休を「シルバー・ウィーク」と呼ぶのも、ご本家「ゴールデン・ウィーク」からの連想でしょうね。

このゴールデン・ウィークですが、ご存知のとおり日本独特の連休です。ですので海外では、英語っぽい発音で “Golden Week” と言ってみても、何のことだかまったく通じません。辞書を見ても日本語の「連休」のような単語または連語はどうも英語にはないようで、consecutive holidays(連続する休日)や holiday-studded week(休日のちりばめられた週)、successive holidays(連続する休日)などあまり胸躍るようなすっきりまとまった特別な語彙はないようです。

キリスト教国では、この時期なら Easter が長めの休みとして設定されることが多いですね。あとは、アメリカだと、秋になりますが感謝祭(Thanksgiving)でしょうか。この時期は、休暇を取って帰省して、親族同士でお祝いする family reunion(親族会)なんてのをおこなう家族も多いようです。

あとは、キリスト教の方なら言わずと知れた Christmas。この時期は、ユダヤ系の方は Hanukah(ハヌカー)、アフリカ系の方なら Kwanzaa(クワンザ)などという祝日があります。さまざまな人種の入り乱れるアメリカの大都市などでは、このようにさまざまな文化的・民族的バックグラウンドを持った人が多いので、”Merry Christmas!” と言うよりも、”Happy Holidays!” というのがいいのだとか。

では、そんなところで、Happy Holidays!

※ カスタマーサポートの業務は、05/01・02 のみの営業となります。詳しくは前回のエントリー「ゴールデンウィーク中の営業について」をご覧ください

photo by Tentama


モラトリアム人間

4月 16th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (モラトリアム人間 はコメントを受け付けていません)

'Peter Pan Statue' by toastbrot81

こんにちは、maki です。自宅の近所を散歩していたらけっこう衝撃的な名称のアパートを発見しました。「モラトリアム○○」(「○○」は地名です)。「○○荘」っていうトラッドな名称のアパートは少なくなりましたが、「コーポ○○」とか「ハイツ○○」などというのはよくありますよね。「フォンテーヌ○○」なんていう意味不明なものまでうちの近所にはあったりします。こういうネーミングは、オーナーの意向なのか、あるいはオーナーに意向がなくて不動産屋さんが適当に命名しているのかわかりませんが、それにしても「モラトリアム○○」というのはちょっと……。
※ その他のおもしろい賃貸住宅の名称はこちら……

いわゆる「モラトリアム」というと「肉体的には成人しているが、社会的義務や責任を課せられない猶予の期間。また、そこにとどまっている心理状態」(出典 : 『大辞泉』)……という意味がパッと頭に浮かびますが、これは『大辞泉』では 3 番めの語義。つまり、本来の意味は別にあるわけです。先ほど引用した『大辞泉』いわく、

モラトリアム【moratorium】

  1. 支払猶予。法令により、金銭債務の支払いを一定期間猶予させること。戦争・天災・恐慌などの非常事態に際して信用制度の崩壊を防ぎ、経済的混乱を避ける目的で行われる。
  2. 製造・使用・実施などの一時停止。核実験や原子力発電所設置などにいう。
  3. 肉体的には成人しているが、社会的義務や責任を課せられない猶予の期間。また、そこにとどまっている心理状態。

出典 : 『大辞泉』 – モラトリアム(小学館)

……とのこと。moratorium の本義としては「支払猶予」や「一時停止」といった意味合いであるにもかかわらず、カタカナ語の「モラトリアム」となると俄然「ピーターパン症候群」(Peter Pan Syndrome)的な意味合いでの使われるのが日本での現状と言えるでしょう。

さらにはこんな項目まで『大辞泉』には収録されていました。

モラトリアム‐にんげん【モラトリアム人間】

年齢では大人の仲間入りをするべき時に達していながら、精神的にはまだ自己形成の途上にあり、大人社会に同化できずにいる人間。

出典 : 『大辞泉』 – モラトリアム人間(小学館)

心理学者の E. H. エリクソンが「青年が社会で一定の役割を引き受けるようになるまでの猶予期間」を moratorium という言葉を転用したことから、こうした意味が生まれたようです。日本では、1978 年に発表された『モラトリアム人間』(小此木啓吾)により「モラトリアム」という言葉が広く一般に知られるようになったものと思われます。

では、英英辞書では moratorium はどのように定義されているでしょうか。Merriam Webster では、以下のように定義されています。

Definition of MORATORIUM

  1. a : a legally authorized period of delay in the performance of a legal obligation or the payment of a debt
    b : a waiting period set by an authority
  2. : a suspension of activity

出典 : Merriam-Webster Dictionary – moratorium

上記以外にも複数の辞書を見てみましたが、moratorium の定義には、社会心理学的な意味合いでの定義は辞書には収録されていませんでした。あくまでも、社会心理学の枠内での転用ということであって、moratorium というのは日本で言う「モラトリアム」のような含意は一般的にはあまり浸透していないのかもしれません。

では「モラトリアム人間」という単語が翻訳の依頼原稿に含まれていた場合はどうすればよいでしょうか。moratorium manmoratorium people といった組み合わせはほとんど見つかりませんでした。かろうじて、people in moratorium という表現がすこしだけ見つかりました。

文脈や文章のトーンにもよりますが、英英辞書にも「成長することを望まない成人 : 思春期の興味や態度にしがみつこうとする人」と定義されているので、さきほどちらっと言及した「ピーターパン症候群」で使われている「ピーターパン」(Peter Pan)をそのまま使ってもよいかもしれませんね。改めて翻訳の難しさを痛感しました。

Definition of Peter Pan

  1. : a boy in Sir James Barrie’s play Peter Pan who lives without growing older in a never-never land
  2. : an adult who does not want to grow up : one who hangs on to adolescent interests and attitudes

出典 : Merriam-Webster Dictionary – Peter Pan
※ 下線著者

photo: “Peter Pan Statue” by toastbrot81


メートル法とヤード・ポンド法

4月 13th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (メートル法とヤード・ポンド法 はコメントを受け付けていません)

Mile 0 by Sam Howzit

こんにちは、maki です。前回のエントリーで「平方フィート」や「マイル」といった単位が出てきましたが、アメリカでは日常的に使われている度量衡の単位です。1 フィートは 30.48 cm、1 マイルは 1.609344 km。日ごろ慣れ親しんだ「メートル」でないと、すぐに「ああ、あのぐらいか」という想像がしにくいものです。日本をはじめとする多くの国々ではメートル法を採用しています。これに対し、アメリカでは日常的にヤード・ポンド法を採用しています。この違いが、翻訳のときにもどう扱うべきかをちょっと考えてしまう問題になったりすることもあります。

福島第一原発の事故を機にアメリカ大使館が 80 km 圏内に在住の米国民に対し退避勧告を出したという報道がありました。普段の感覚だと 50 km でも 100 km でもない中途半端な数字なような気もしますが、元々は 50 マイル( = 1.6 km * 50 )というガイドラインに基づく数字だったようです。また、航空機による救援活動に携わる兵士には 112 km 以内への立ち入りにはヨウ素剤の服用を義務付けたという記事もありましたが、これも 70 マイル( = 1.6 km * 70 )ということのようです。アメリカでは、自動車のスピードメーターもマイル表示ですし、60 mph といえば毎時 60 マイル(時速 96 km!)のこと。日本でよく運転をする人でも、アメリカに行ったときは、km 感覚ではなく、マイル感覚でメーターを確認するなど、気を付けないといけないですね。
※ マイル(mile : 略号 = mi)

ヤード・ポンド法では、重さはポンド(pound : 略号 = lb)を使います。1 lb は 453.59237 g です。他にはオンス(ounce : 略号 = oz)も使います。1 lb = 16 oz となります。こうした表示は、アメリカ製の輸入食品のパッケージなんかでよく見かけたりします。16 進数の単位というのも歴史的を感じさせるシステムのように思えます。

近年までヤード・ポンド法はイギリスでも使われていましたが、1995 年にメートル法に変更し、2000 年以降はヤード・ポンド法の使用を禁止しているようです。アメリカでは、法律的にはメートル法を採用しているものの、いまだにヤード・ポンド法が日常的に使われています。

こうした単位をどう翻訳するかというのは悩ましい問題でもあります。先ほどの 50 マイル 圏内の退避勧告は、80 km と訳したほうがわかりやすいでしょう。でも、伝統的にヤード・ポンド法を採用しているゴルフのヤード(yard : 略号 = yd)やボクシングのポンド(パウンド)は、そのままの方がわかりやすいでしょう。だからといって、単位があまりにも混在するのも読みにくい仕上がりになってしまいます。

実際の翻訳案件ではどう訳すべきかに迷うことも多いはずです。お客さまからの指定があればそれに従えばよいのですが、そうでない場合は案件の文書が交わされる業界に応じたスタイルガイドに従うことになります。しかし、そうしたスタイルガイドのない業界もたくさんあります。そんなときに単位をどう扱うかについては、それぞれの翻訳者によって判断は異なると思います。「お客さまからの指定やスタイルガイドがなければ、そのままの単位を残す」という考え方もあるでしょうし、「慣用的な単位に変換し、わかりやすさを重視する」という考え方もあるでしょう。ケースバイケースで臨機応変に対応し、訳者注としてコメントを残すということをされている場合もあります。

スピード翻訳」では、ご発注の際にお客さまから翻訳者の方へのメモを残す機能をご用意しています。このメモ機能を使って、単位をどう扱うかなどのリクエストをお書き添えいただくこともできますので、そうした案件のご依頼の際には、ぜひメモ機能をご利用ください。

おまけ : Google のウェブ検索には、電卓機能があるのはご存知ですか? Google の検索窓には、計算式を入力すると、検索結果の上部に計算結果が表示されます。例えば、2+3 と入力すれば、5 と返ってきますし、2^3( = 2 の 3 乗)と入力すれば 8 と返ってきます。

この電卓機能には単位の換算機能もあって、125 ポンドと入力すれば、56.6990463 キログラムと返ってきます。300ヤードなら 274.32 メートル451華氏なら、232.777778 度(摂氏) と返ってきますよ。大概の単位換算ならできてしまいますね。

photo : “Mile 0” by Sam Howzit


18 MILES OF BOOKS – 28.8 km の本

4月 11th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (18 MILES OF BOOKS – 28.8 km の本 はコメントを受け付けていません)

STRAND BOOKSTORE

こんにちは、maki です。先日通勤の途中で、STRAND と書かれたトートバッグを肩から下げた人を見かけました。本の大好きな NEW YORKER であれば知らない人はいないのではないかとおもうぐらいに有名な、Manhattan にある古書店 STRAND BOOKSTORE です。とにかく大きな古本屋さんで、店舗面積は 55,000 平方フィート、つまり約 5,110 m2。と言ってもよくわからないし、1,550 坪といってもピンとこないですね。Wikipedia の Strnad Bookstore の項目(英語)によると全米でも有数の広さの古書店なのだそうです。

お店があるのは、Manhattan でも南の方で、East Village の近くです。Manhattan を縦断する Broadway に面していて、すぐそばには公園や New York University なんかもあるエリアです。店内の壁はすべて本棚、山積みの本、本、本……という状態。このお店のキャッチコピーは、”18 MILES OF BOOKS” 。きっと本をどんどん積み上げていくとその高さが 18 マイルにおよぶということなんでしょうね。18 マイルは、28.8 km、およそ 29 km。東京の大手町を起点にすれば横浜とか町田、立川、大宮、幕張とかそんな距離。250 万冊以上の在庫があるらしいですよ。

STRAND BOOKSTORE の STRAND はオーナー(または、創業者)の苗字なのかと思っていたのですが、そうではないようです。strand を辞書で調べてみると、詩などで「岸」や「浜」を表す言葉だとわかりました。LONDON の the Strand(ストランド街)も元々はこの意味なのだそうで、そういう流れなのかもしれません。同時に strand は動詞としては、「座礁させる(する)」、「立ち往生させる(する)」、「途方に暮れさせる(暮れる)」という意味があるようです。あまりの在庫量の多さにお客さんが「途方に暮れる」という意味だったらおもしろいなあ……などと考えてしまいました。

今回の記事には、「平方フィート」や「マイル」などの単位が出てきましたが、度量衡は翻訳では重要な要素ですので、これについてはまた別の機会にお話ししたいと思います。

photo by Beyond My Ken