P と Q にはとにかくご注意! 英語の慣用句「Mind your P’s and Q’s」

2014/09/29 | Posted by maggy in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

こんにちは、maggy です。最近、文字を書くときはパソコンかスマホとタイプ打ちばかり。久しぶりに手書きで書類を作ったら、平仮名の「め」と「ね」を書き間違える、という実にマヌケなミスをしました。

しかし、このことを周囲に白状すると、「『め』『ね』『む』『ぬ』は、ややこしいよね」「わたしもよく間違う」と、意外にも共感が集まりました。日本語の未来が心配にすらなりました。

そういえば英語の「Mind your P’s and Q’s(P と Q に注意)」という慣用句はご存知ですか。「言動に注意しなさい」という意味になります。

大文字で書くとピンと来ませんが、小文字だと分かりすいかもしれせん。

pq に注意

そう。この 2 つのアルファベットは、似ていますよね。書き間違えないように気を付けなければ、という感じがします。

実はこの慣用句の語源は奥深くて、諸説あるそうです。そのうちの一つが、印刷用語から来たという説。昔、一般的だった活版印刷では、左右反転になっている活字を組んで版を作りますよね。このときに新米は p と q を間違いやすかったので、こうしてよく注意したことから来たとか。

もう一説はパブ用語。お酒の量を示す英語に、クオート(quartパイント(pintがあります。クオートはアメリカでは 0.946 リットル、イギリスでは 1.136 リットルのことで、パイントはそれぞれその半分の量を指します。

イギリスのパブにて、「勘定はつけといてくれ」なんてときに、客の飲んだ酒の量を pq と表したことから、後でどちらだったかわからなくならないように……という意味で使ったとか。あるいは、大酒飲みに対して「あまり飲み過ぎないようにね!(p の方にしておきなさいよ)」のような意味で使われたとも言われています。

英語ネイティブの方々に聴いてみたら、まだまだ山ほどの諸説があるそうです。いずれにせよ p と q はあまりにややこしく、きっとさまざまな時代と場面で、いろんな人を困らせてきたのでしょう。

デジタルのタイプ打ちになってからというもの、こうした活字ミスはあまりないかと思います。でもタイピングミス、コピペミス、添付忘れ、その他デジタルならではのありがちなミスってあります。

スピード翻訳 by GMO」はオンラインで一括してご依頼から受け取りまでご利用できます。うっかりミスがないよう、ご依頼の際はどうぞお気を付けて!

photo : “Minding one’s P’s and q’s” by Nathan Willis


ボイコット、ストライキの意味と語源―ボイコットされたボイコット大尉

2014/09/24 | Posted by maggy in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

こんにちは、maggy です。「今こそ民主主義を」―香港では 22 日より、大学 20 校以上の多数の学生が一週間に渡る授業のボイコットを行っています。次期行政長官選挙に民主派の立候補を認めない決定を下した中国に対する抗議活動です。

大学教員もこの授業ボイコットを支持する声明を発表し、期間中に教室の外で、民主主義に関する講義を学生向けに行う意向も表明したそうです。しばらく緊迫した状況が続きそうです。

さて、このボイコットという言葉。英語では boycott と書きます。考えや要求を実現させる目的で不買、拒否、排斥などを行うことですよね。

語源は、人名に由来するそうです。どんな人かというと、19 世紀のアイルランドで土地の管理人だったイギリス貴族のチャールズ・ボイコット大尉(Charles Boycott)です(左の画像の人物)。

農民の地代引き下げの要求に応じなかったボイコット大尉に対して、農民たちは一致団結して彼に抗議。彼の一家や関係者に対する労働と食料供給を拒否して、コミュニティで孤立させたのだとか。この出来事から、こうした事態を boycott と呼ぶようになったのだそうです。ボイコット大尉はアイルランドを去り、そのまま戻らなかったとか。

すると語源では排斥されたのがボイコット大尉だったはずですが、いつの間にか、排斥する側の運動のことが、ボイコットと呼ばれるようになったのですね。ボイコット大尉がボイコットされる……とは、よく考えたらちょっと不思議です。

似たような言葉でストライキ(strike)があります。こちらは、働いている人たちが自分たちの働く条件をよくするために、わざと仕事をしない行動のこと。ストと略すこともありますね。

ストライキの語源は、ストライキ大尉……ではありません。英語で to strike the sails = 帆を降ろすという表現がありますが、ロンドンの港にて、待遇に不満のある水夫たちが帆を降ろして船主に抗議したことに由来するのだそうです。

こうした言葉が日本語にはなく、翻訳された借用語だというのも興味深いですね。

photo : チャールズ・ボイコットの肖像画 – Wikipedia


kingdom は何と訳す? – 多義語のマスターも翻訳者のお仕事

2014/09/17 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'King of Beasts' by  Thomas Hawk

こんにちは、maki です。TBS の『THE 世界遺産』を見ていました。アフリカ各地の世界遺産をダイジェストで紹介していましたが、ふと、『野生の王国』という番組を思い出しました。1963 年から1990 年まで放映された長寿番組。全部で 1050 回も放映されたんですね。TBS の系列局でもある MBS(毎日放送)の番組です。

『野生の王国』。なんとなくイメージは伝わるのですが、誰がその王国の王なんだろう、ライオン?……などと思っていました。ちょっと調べてみたのですが、『野生の王国』は、アメリカの動物番組 Wild Kingdom (1963 – 1988)の日本語版として放送されはじめたという歴史があるんですって。その日本語訳だったんですね。だったら、「百獣の王」(king of beasts)が支配する王国というイメージですかね?

この kingdom は、一般的には「王国」と訳すものですが、実はこんな意味もあるんです。animal kingdom という言葉があります。そのまま訳してしまうと「動物の王国」、「動物王国」になってしまいます。しかし、この kingdom は、文脈によっては日本語では「」と訳すのが正解です。つまり、「動物」 。となります。「動物」 の「」 は、「」や「芸能」の「」とは違った意味合いを持っています。

  • kingdom
    (自然界を三大区分した)界
    the animal [the plant, the mineral] kingdom
    動物[植物, 鉱物]界.
  • kingdom
    a realm or province of nature, especially one of the three broad divisions of natural objects:
    the animal, vegetable, and mineral kingdoms.
    出典 : Dictionary.com

動物」の他に「植物」、「鉱物」があるんですね。鉱物の王は金?植物は……うーん。kingdom を「王国」と考えるからいけないんですね。

てっきり

kingdom = king + dom(ain)(王+領土)

かと思ったのですが、

kingdom = king + -dom

どちらも古英語時代からある単語と接尾辞。-dom は、状態を表す接尾辞だそう。freedomwisdom にも使われています。

なぜ、kingdom を「」と訳したのかはよくわかりません。「女三界に家なし」という言葉があります。この「三界」は「欲」、「色」、「無色」という「」で構成される「全世界」を表す仏教用語だとのこと。自然界を 3 つ(動物界、植物界、鉱物界)に分けるのと似ているということで、「」を kingdom の訳語に当てたのかもしれないですね。

西洋の文物が大量に流入してきた時代にいろんな単語が日本語に翻訳されました。概念そのものが日本に存在していなかったものやことを訳出した当時の人たちの発想や知識には感心させられます。翻訳しようにも、その訳語がないわけですから、訳語を作り出さなければならないわけです。いまならそのままカタカナ表記でおしまいということもできそうですが、そうもいかなかったのでしょう。翻訳者はこういった多義語も知識として持っていないと仕事にならなさそうですね。

おまけ : 先ほどの wisdom ですが、 wis は、古英語の時代から使われているもので、「博学な」とか「教養ある」という意味を持ちます。ここから派生したのが wizard。元々の意味は、「哲人」、「賢人」。「魔法使い」は後に付け加わった意味のようです。

photo : “King of Beasts” by Thomas Hawk


スコットランド・ゲール語、スコットランド語、そしてスコットランド英語

2014/09/11 | Posted by maggy in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

こんにちは、maggy です。スコットランドで独立の機運が高まっています。独立の是非を問う住民投票は今月 18 日を予定。最新の世論調査では、独立賛成派が反対派を上回りました。

スコットランドは現在、英国を構成する 4 地域(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)の一つです。スコットランドはもともとは独立した王国で、およそ 300 年前に、イングランドに併合されました。

この動きについては経済への影響を中心に議論が活発ですが、ここは「スピード翻訳 by GMO」のブログですので、今回はスコットランドの「言語」について、少しご紹介したいと思います。

さて現在、スコットランドの公用語は、英語とスコットランド・ゲール語の 2 つです。スコットランド・ゲール語(Scottish Gaelic)とは、スコットランドで話されるケルト系言語で、アイルランドのゲール語(アイルランド語)とよく似ています。「スコットランド・ゲール語」はゲール語で Gaidhlig na h-Alba と書きます。

スコットランド・ゲール語とはまた別に、スコットランド語(Scots)という言語もあります。こちらは 11 世紀半ば(前にご紹介した Norman Conquest 以降)から 15 世紀後半頃に話されていた中英語(Middle English)から分離した言葉で、現在の英語と似ているところも多くあります。例えば英語の music(音楽)は、スコットランド語で muisic という具合に、スペルが似ている単語もあります。

スコットランド・ゲール語とスコットランド語は、ともに今では話者が少ない少数言語ですが、現在スコットランドで最も耳にするのはスコットランド英語(Scottish English)です。スコットランドで一般的に使われている英語の方言のことですね。「スコットランドに行ったら、英語が全然聞き取れなくて驚いた」「英語圏の人ですら理解ができなかった」など、その訛りの強さについては、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

スコットランド英語の最大の特徴は、r の発音にあります。母音後(語末や子音前)の r を発音します。例えば bird「ビアド」となります(ちょっと巻き舌っぽくすると、より本格的に聞こえます)。またイントネーションにも特徴があり、平叙文でも上昇調で言います。

言語は文化の鏡ですから、独立の機運に乗って、こうしたスコットランドで話される言語への注目も高まりそうですね。

ところで、スコットランド・ゲール語を語源とする言葉が、わたしたちの身近にあることをご存知ですか? それはウイスキー。ゲール語の Uisge-beatha(ウシュクベーハー)が短縮された usque(水)を語源とし、命の水という意味になります。

なお、スコッチウィスキーは whisky、スコッチ以外のウイスキーは whiskey という具合に、英語ではスペルがちょっと異なるそうです。うーん、味わい深い!

おまけ :スコットランド産の whisky はもちろんのこと、カナダ産・日本産も whisky とつづられることが多いとか(詳しくは、こちらで)。ニッカウヰスキーの創業者の竹鶴政孝は、スコットランドでウイスキー作りを学んだんですって。だから当然、日本は この秋からの NHK 朝ドラ『マッサン』の主人公は、この竹鶴政孝。楽しみ♪
余談 : もうすぐ終わる『花子とアン』の主人公は翻訳家でもある村岡花子が主人公なのに一回も取り上げなかったですね……

photo : “White Label Whisky” by tiffany terry


「Food = 食べ物」ではない? 業界で異なる英語→日本語の翻訳

2014/09/05 | Posted by maggy in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

こんにちは、maggy です。以前も少しお話しましたが、ただいま仕事で海外企業(欧州)のウェブサイトのローカライゼーションに携わっています。わたしはディレクションを担当しています。英語 → 日本語の翻訳は、翻訳者の専門家の皆さまにお願いしています。

現在制作しているのは、旅行関係のウェブサイトで、いよいよ日本版ローンチの大詰めです。しかし、そんなタイミングでデザイナーさんからこんな内容のメールが英語で届きました。

「すみません! “Food”って日本語でなんて言いますか? サイトで旅先の Best in Food を紹介するメニューアイコンの制作に必要ですが、翻訳の依頼リストから漏れてしまっていました。至急、教えてください。」

Food……? それは、人間にとっての最重要単語。乳児だって、ママとマンマと口にしてこそ生き延びていけるというものです。そんな英語学習の超初期段階で習得するような簡単な英単語の意味を、仕事で聞かれるとは!

「Food = 食べ物じゃないの?」「辞書でも引けば、すぐ出てくるのに」。一瞬、そんな風に思いました。でも、ちょっと待って! 旅行関係のウェブサイトのアイコンに「食べ物」はちょっと直接的すぎるように思われました。オシャレにカタカナで「フード」? あれ?

オンラインの英英辞書を引いてみると……

any nourishing substance that is eaten, drunk, or otherwise taken into the body to sustain life, provide energy, promote growth, etc.
(栄養のある物質で、食べたり、飲んだり、または体内に吸収できるもの。生命を維持したり、エネルギー補給したり、成長を支えるもの。)

…とあります。2 番めには、「主に固形物」と書いてあったのですが、広義では「食べ物」だけでなく、「飲み物」も含まれるんですね。

なるほど……だとすると、それでは他の旅行関連のサイトはどうなっているのでしょうか。急いで 10 社ほどウェブサイトを確認してみたら……。お気付きでしょうか。おいしい食に関する情報は「グルメ」と書いてあったのです。グルメと書けば飲み物も入るし、「食べ物」よりおいしそうな感じがしますよね。こういう言葉を使うのか! と納得しました。

旅行関係のウェブサイトでは「Food = 食べ物」ではない。この発見のために、実に 1 時間もかかってしまいました。翻訳者の皆さんは、それぞれのご専門を持っていますが、こうした業界ごとの言葉遣いも熟知しているのだと、改めて気付かされました。

ちなみに釣りのサイトなんかだと Food = エサ、園芸サイトなんかだと Food = (植物の)肥料になるんでしょうかね。うーん、奥が深いです。

おまけ :「スピード翻訳 by GMO」には、商業・PR 関係の翻訳は多数ご依頼があります。各業界に精通したプロ翻訳者にお任せください。

photo : “Event food” by faungg’s photo


東西ってどんなモノ?――中国語の東西南北

2014/09/01 | Posted by liang in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'東南西北 中發白' by PhotoInko

こんにちは!liang です。方角を表す「東」「西」「南」「北」は日中で共通する語ですが、「房東」という漢字を見て、どんな意味を思い浮かべますか?

ヒント:中国語の「」は建物、部屋などといった意味があります。……どうでしょうか? わたしが中国語の「房东」(「」は「東」の簡体字)を最初に見たときには、単純に建物の東側のことだと思いました。

正解は家主、大家の意味です。賃貸アパートの大家さんも「房东」です。また、株式会社の株券は中国語で「股票」と言いますが、株主は「股东」です。なぜ「」なのでしょう。

中国語「东」には「あるじ、主人」という意味もあるのです。日本語の感覚だとぴんと来ませんね。昔、主人は東側、客は西側に位置した(座った)ことから来ているのだそうです。ほかに「宾东」(客と主人。「」は「賓」の簡体字)、「店东」(店主)といった語もあります。

また、「东西」という語もあります。「dōng」(「ドンシー」のように発音)と読めば日本語と同じく「東と西」の意味ですが、「dōngxi」(「ドンシ」のように発音)と読むと「モノ」の意味で、英語 thing の訳語にもなります。「買い物(をする)」は「买东西」です(「」は「買」の簡体字)。この「东西」は口語で大変よく使われますので、覚えておいて損はありません。なお、モノを表す「东西」の語源には諸説あるようです。

中国語「指南」は指針という意味です。日本語でも使う言葉なので分かりやすいですね。書名などで《~指南》のように用いると、『~の手引き』『~ガイド』の意味になります(《 》は書名を表す)。中国の書店で旅行ガイドを探すときは「~旅游指南」が目印です。ちなみに、この「指南」は「指南车」から来ているのだそうです(「」は「車」の簡体字)。

败北」(敗北)の「」はどういう意味なのでしょうか。『現代漢語詞典第 6 版』(商務印書館)によれば「」はもともと二人が互いに背を向けるという意味であり、戦争で負けて、敵に背を向けて逃げることを「败北」と呼んだのだそうです。

『広漢和辞典』(大修館書店)の「北」の項には「…人は多くの場合、明るい南方に面して坐立するので、そのとき背にする方が、きたであるところから、北方の意を表す」とあります。中国では「北極星」を「天の中心」と見立てた……という思想に由来するようですね。「天子南面」という言葉があります。これは、皇帝は「天の中心」、つまり「北極星」であると見立てて、北に配置されます。つまり「天子する」わけです。家臣はその皇帝を南側から見上げるという意味で「臣下北面」と言います。

さて、中国語では「方角」の意味でよく「东南西北」と言いますが、日本語ではふつう「東西南北」と言いますよね。順番が違います。中国語の「东西南北」には四方八方、あらゆる場所といった意味があるので、方角というよりも広がりのイメージになるのでしょうか。東西と南北はそれぞれ対立する概念ですから、「春夏秋冬」で季節を表すのなら、方角は中国式に「東南西北」で表すほうが合っているような気もします。

マージャンをやる人は東南西北(日本のマージャン用語で「トン・ナン・シャー・ペー」と読む)という並びに違和感はないかもしれません。中国語では「ドン・ナン・シー・ベイ」のように発音します。

ところで、わたしが「房东」を見て意味が分からなかったように、中国人が日本語の「男前」を見ても、最初はきっと分からないでしょうね……。

photo : “東南西北 中發白” by PhotoInko


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