こんにちは、maggy です。先週、観光庁より「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン(案)」が発表されました。
これは、日本を訪れる外国人の目線に立って、美術館・博物館、自然公園、観光地、道路、公共交通機関などで多言語対応の改善・強化をするために共通のガイドラインを策定しようと議論されてきた案です。今後、さらなる検討の上、策定・公表される予定です。
対応時期は「禁止・注意を促す内容については速やかに」、「名称・案内・誘導・位置を示す内容や 展示物等の理解のために文章で解説を行うものについては、できる限り早期に」となっていますので、早めに準備を始めましょう。
ガイドラインの概要を少しご紹介します。まず、多言語対応の対象となる情報は下記の 3 種類になります。
① 禁止・注意
② 名称・案内・誘導・位置
③ 展示物等の文章解説
いずれも英語での併記を行うことを基本とし、外国人の来訪者数や誘致目標等、施設特性や地域特性の観点から英語以外の表記の必要性が高い施設には、中国語・韓国語・その他必要とされる言語の表記が望ましいとされます。
「禁止・注意」については、災害や事故、火災等の非常時や、公共交通機関における異常運行のほか、外国人がケガや病気になった際の初期対応の参考になる基礎的文例が記載されます。
「名称・案内・誘導・位置」については、観光地の地名や観光名所の固有名詞など、これまでバラバラだった表記の統一ルールが示されます。例えば、温泉の表記は、現在は Onsen、Hot Spring、Spa が混在しています。これらを、「日本語の読み方が広く認識されている場合は英語の補記は不要」と考え Onsen に統一します。侍 → Samurai も同様です。
日本語の読み方が広く認識されている場合は英語の補記
Onsen、Hot Spring、Spa → Onsen に統一
※ Onsen は日本固有の温泉文化を正しく表しており、海外発行のガイドブックを含め、既に世界的に広く定着しているため。
清水寺の表記も、Kiyomizu Temple、Kiyomizu-dera、Kiyomizu-dera Temple が混在していました。これらを、道を尋ねられた際等でも円滑なやり取りができるよう全体をローマ字に表記し、外国人に意味を理解してもらうため、下記のルールで Kiyomizu-dera Temple に統一します。
「固有名詞(ローマ字)+普通名詞(ローマ字)」+普通名詞(英語)で表記
Kiyomizu Temple、Kiyomizu-dera、Kiyomizu-dera Temple → Kiyomizu-dera Temple に統一
※ 「○○山」「○○川」等、普通名詞部分を含めた全体が不可分の固有名詞として広く認識されている場合。
※ ただし、Mt. Fuji のような表記が広く認識されている場合には、当該表記による。
(例) 富士山 Mt. Fuji
「展示物等の文章解説」については、外国人の展示物等に対する確実な理解を深め、満足度を向上させるために、解説の翻訳に併せて、外国人向けに補足すべき解説文章を添えるようにとなっています。
例えば「屋形船(Yakatabune)」は、roofed pleasure boat という英語の併記だけでなく、
A yakatabuneis a traditional flat-bottomed vessel. Partying on such boats is a custom
that dates back centuries …
(訳 : 屋形船とは、船底の平らな伝統的な船。このような船に集い楽しむという習慣は数百年の歴史があり……)
といった補足解説を付けましょう、ということです。
詳しくは観光庁ホームページ「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン(案)」についてにてご確認いただけます。
これまで私自身も、「荒川 → Arakawa River だと川を強調しすぎでは? かといって Ara River だとまるで違う川みたい」 「温泉 → Spa と言うと突然、水着で楽しむ外国のリゾート地のようなイメージに変わる……」などと疑問に思っていました。今回のガイドライン案を読んで、スッキリしました!
対応が面倒だな……なんて思われるかもしれませんが、はるばる日本に来る外国人の皆さんのことを想って、早めの多言語対応で真の「おもてなし」を目指しましょう。
もちろん、英語、中国語、韓国語など、翻訳が必要な場合は「スピード翻訳」の「スピード翻訳」をご活用ください。
おまけ :「お風呂にタオルを入れないで!」など、温泉(Onsen)の外国人向けの注意書きや館内案内に役立つ例文集を、英語・中国語(簡体字・繁体字)、韓国語でこちらにご用意しています。
お風呂にタオルを入れないで! 観光地の国際化
photo : ‘Welcome to JAPAN’ by Toby Oxborrow