訪日外国人向けの翻訳 : 観光案内・施設案内・交通案内・メニューなど

5月 1st, 2018 | Posted by maki in 小ネタ
photo by Wokandapix

こんにちは、maki です。先日、帰宅したときに、地元の駅の前に大きなスーツケースを持った外国人の女性がいるのを見かけました。スマートフォンを片手に、周りを見回しています。近所にある銀行の計算センターがあるので、インド人は家の近くでもちょいちょい見かけますが、見るからに訪日観光客っぽい感じ。いかにも、民泊の施設を探していそうに見えました。日本は比較的安全な国ではあるけど、薄暗い住宅地だとたどり着けないんじゃないか、しかも夜だし……と思うとかなり心細いですねー。途方に暮れているようだったので、声をかけてみました。

幸いにも英語が通じました。英語圏の人ではないようだったので聞いてみたところ、メキシコから来たとのことでした。やはり、宿泊する予定の民泊の部屋のあるマンションがわからないとのことでした。スマートフォンで宿泊予定の部屋の情報を見せてもらったら、駅の反対側の出口を出てしまったらしいことがわかりました。反対側の出口は、商店街で人通りも多いし、交番もあるので、そちらに行けば何とかなったのかもしれません。民泊サイトの情報を見たところ写真があったので、その建物まで連れていってあげることができました。その道すがら、メキシコからだということだったので、

Welcome to Japan, amiga!

……と言うと、ちょっとほっとしたような笑顔が出ました(スペイン語交じりの英語なのが残念)。
※ amiga は、amigo (スペイン語) = friend (英語) の女性形

無事にたどり着けたし、階下にはお寿司を食べられるお店もあったので、食事もできたかも。そして、次の日からは日本旅行が楽しめたかもしれません。

彼女に見せてもらった民泊サイトは、ちょっと雑然としたレイアウトでしたが、写真があったので、すぐに場所がわかりました(住所で地図検索するという手もありますがw)。

そういう意味では、写真はとても大事な情報です。多分、その近隣の写真を見せれば、南口の派出所の警官が英語がわからなかったとしても、すぐに場所を教えてもらえたでしょう。

スピード翻訳にも、こうした観光案内や、宿泊施設や設備の案内、交通情報、メニューの翻訳の依頼はお寄せいただいています。しかし、こうした案件では、担当者がつかないまま、キャンセルになってしまうものも少なくありません。そのような案件の依頼文を見てみると、翻訳しづらい内容が含まれていることがよくあります。

よくあるパターンとしては、以下のようなものがあります。

  • 日本語のパンフレットの原稿をそのまま原稿として用いている
  • メニューの名称だけが列挙されている
  • 背景がわからないと、翻訳できない文章が含まれている

このような案件は、翻訳者から敬遠されやすい依頼になる確率が高いようです。

  • 日本語のパンフレットを、そのまま原稿として用いている
    地名・人名などの日本人でも何と読むのかわからない固有名詞が含まれているケースもありますし、漢字だけだと簡単だけど、読み方が複数あるようなものもあったりします。また、日本の伝統・文化・風習など、外国人にはその背景から説明しないと伝わりにくいようなものも見受けられます。そのようなものが含まれると、同じようなレイアウトやデザインで翻訳するのはかなり工夫が必要になります。
  • メニューの名称だけが列挙されている
    これも翻訳者泣かせの案件です。地方ならではのメニュー名には、難易度の高いものが多くあります。栃木のしもつかれとか、青森の切り込みなども、知らなければウェブで調べたりして、訳出することが必要になってきます。メニューのみの依頼の場合は、どうしてもそうしたリサーチが必要になってくるので、敬遠されてしまいます。また、蕎麦豆腐Japanese NoodleBean Curd のように訳すのか、SOBATOFU でよいのかといった悩みも出てきます。こうしたときに、メニュー名だけでなく、写真もあるとイメージがつかみやすくなることもあります。
  • 背景がわからないと、翻訳できない文章が含まれている
    市区町村によって、ごみの分別ルールがバラバラで、可燃ごみなのか、不燃ごみなのかの判別がつかなくなるようなことは、日本人でもよく体験することだと思います。国内でも地方自治体によってバラバラなので、外国人には何が可燃で、何が不燃で、何が資源なのかはわかりません。

スピード翻訳では、ご発注時に簡単なメモを書き添えることにより、翻訳者に背景・知識などを伝えることもできます。ウェブ上に参考になるものがあれば、このメモ欄にその URL(アドレス)を書き添えることもできます。また、MS WORD などに写真を貼り付けた状態でご依頼いただければ、翻訳者はそのままの MS WORD で原稿を受け取ることもできます。そうした工夫により翻訳者の受注の確率が高まる可能性があります。お客さまにもご協力願えれば幸いです。

Wikimedia : Ginza-eki-Station_Numbering.jpg

交通案内に関しては、実際にわかりやすいものとして、訪日外国人から評価されているかどうかはわかりませんが、駅名がアルファベット(ローマ字)は必ず併記されていますし、中国語・簡体字 / ハングルもよく見かけます。また、写真にあるように、アルファベットと数字の組み合わせで、駅名に書き添えられていたりしますね。

東京メトロ・日比谷線の銀座であれば、降車駅を、単純に GINZA と記載するのではなく、Tokyo Metro Hibiya Line : GINZA (H08) と記載するとわかりやすいかもしれません。バスは、錦27(錦糸町 27 系統)のように漢字が含まれているので、難易度高いですね……。


おまけ :迷子のメキシコ人女性を民泊施設までお送りしてから、¡Bienvenidos a Japón, amiga! と言えばよかった!……と思いました(訪日外国人向けの成田空港のポスターで見たことがあるように記憶しています)。でも、調べてみると、こんなバリエーションが……

  • ¡Bienvenido! : (男性 1 名に対して)ようこそ!
  • ¡Bienvenidos! : (複数の男性に対して)ようこそ!
  • ¡Bienvenida! : (女性 1 名に対して)ようこそ!
  • ¡Bienvenidas! : (複数の女性に対して)ようこそ!

……のような対象者の人数 / 性別によって変化する言語は難しいですね……(正解は、¡Bienvenida a Japón, amiga! になるんですかね?)。 これも、翻訳者向けのメモ欄に記載すべきかもしれませんね。> <


You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 Both comments and pings are currently closed.