ヒミツの英語―非公開、機密情報、オフレコ

8月 28th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (ヒミツの英語―非公開、機密情報、オフレコ はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。東京電力福島第 1 原発事故で、所長として現場の指揮を執った吉田昌郎氏の聞き取り調査をまとめた「吉田調書」。これまで非公開だったこの資料が、9 月にも公開されることになりました。

これまでは故・吉田氏本人の意向で非公開でしたが、既に複数の報道機関が内容を報じている現状を受けての政府の決断とのこと。例えば朝日新聞は、入手した調書とその英語翻訳をオンラインで公開しています(The Yoshida Testimony – The Asahi Shimbun Digital)。

さて、非公開の情報や記録、資料を「公開する」「公表する」は、英語では disclosemake public という動詞が使われます。
※ 「非開示契約(秘密保持契約)」を意味する NDA。この disclose の名詞形の disclosure は、Non-Disclosure Agreement にも含まれてますね

Late Fukushima nuclear plant chief’s testimony may be made public

Yoshida testimony on Fukushima nuclear accident may be disclosed after all

ついでに、「秘密」にまつわる英語表現をご紹介します。

confidential agreement = 秘密保持契約書
closed-door meeting = 密室会談

また、「オフレコで」という言葉を聞いたり使ったりしたことがありますか。これは、off the record という英語表現に由来する言葉です。record = 記録する、なので、記録を off にする、つまり「記録しない / 非公開」という意味になります。

英語では会話のはじめに “Let’s go off the record.” (オフレコでいこうか)と断りを入れたり、途中で、“This is off the record“. (このことはオフレコで)と念を押したりします。いかにもな「和製英語」なので使いはしないでしょうが、英語で「オフレコ」にしたい話題は、off the record で。

仕事で非公開の情報や資料の翻訳を扱う方は、うまく使いこなしましょう。

おまけ :「スピード翻訳」の登録翻訳者の全員とスピード翻訳株式会社は、秘密保持契約を締結しております。また、意図の有無にかかわらず情報流出が発生しないように情報の保全を常に念頭において作業するよう指導しております。また、実際の担当翻訳者に見られたくない個人情報や数値情報、社名などを伏字にして案件をご依頼いただくこともできます(担当翻訳者だけが、伏字処理されていない原稿を閲覧でき、翻訳の作業をおこないます)。

photo : “folder-14” by DaveBleasdale


中国の人は『魏志倭人伝』もすらすらと読める?

8月 26th, 2014 | Posted by maki in 小ネタ - (中国の人は『魏志倭人伝』もすらすらと読める? はコメントを受け付けていません)

'壱岐 一支国 2011_161' by  MIXTRIBE

こんにちは、maki です。前々から疑問に思っていたことがありました。中学・高校時代に学んだ漢文。現代中国語と文法的に似ている部分があります。昔の中国の人が書いた文章なのだから、当たり前だと思われるかもしれませんが、時代により支配民族の出身地は大きく変わっていますし、時代がかけ離れている場合には当然何らかの変化はあるでしょう。日本人にとっての古文は文法的にも語彙的にも現代文とはずいぶん違います。とはいえ、漢文は現代中国語に似ていると思うのです。たとえば、「」。これは、日本語なら「私はあなたを愛しています」ですよね。中国語なら文法的には、

主語 + 動詞 + 目的語 (S + V + O)

……という語順ですが、日本語の場合は、

主語 + 目的語 + 動詞 (S + O + V)

……となります。この語順の違いは、漢文を学んだときにも学びましたよね。漢文に付記された「レ点」(れてん)や「一二点」(いちにてん)を頼りに語順を再構成し、ようやくわたしたちは漢文が読めたわけです。そして、そのための勉強もしました。

それを考えると、現代中国語と漢文には文法的な共通点はかなり多そうです。わたしは現代中国語を勉強したことはないので、あくまでも妄想ではありますが……現代中国語の文法も『魏志倭人伝』のような 3 世紀末の中国で書かれたものの文法でもそんなに大きな違いはないのではないか……だったら、中国の人はすらすらと古典を読むことができ、その学習にも日本人ほどの時間を要さないのではないだろうか……そして、どの程度理解することができるのだろうか……ということをもわもわと妄想していました。

そこで、テストをおこなってみました。歴史には興味のない中国人と日本人を被験者に、『魏志倭人伝』の一説を読ませてみました。ちょっとしたいたずら心もあり、オリジナルに近い形で、段落、句読点なしのものを用意しました。具体的には、この一節です。「卑弥呼」の名前の登場する有名な部分ですね。

其國本亦以男子爲王住七八十年倭國亂相攻伐歴年乃共立一女子爲王名曰卑彌呼事鬼道能惑衆年已長大無夫壻有男弟佐治國自爲王以來少有見者以婢千人自侍唯有男子一人給飲食傳辭出入居處宮室樓觀城柵嚴設常有人持兵守衛

句読点のない文章は、なんとも読みづらいですね。どこからどこまでが一文なのかも不明瞭で、レ点を打つのも困難。しかし、原典はこんな感じです(日本でも句読点が使われはじめたのは明治時代のことです)。で、タスクとしては、

  1. 句読点を打つべき場所を示せ
  2. 意味のわからないところに印をつけろ

の 2 点です。

中国人の同僚に紙を渡したところ、何の迷いもなく、サクサクと文章を区切っているようです。見ていると、感動的ですらあります。数分で作業完了。結果的には、明らかなミスがひとつ。ケアレスミスでひとつ。日本人の同僚の方は、区切りにも四苦八苦している様子……。単語や文字で理解できないものがいくつかありました。そう言えば、中国人の同僚のほうには、結果的には、意味のわからない単語に印がついていなかったな……と思い聞いてみたところ、わからない単語はなかったそうです。固有名詞の「卑弥呼」ですら知っていました(テレビで見たことがあるんだそうです)。中国人の圧勝です。問題なく読めるだろう……という風に思いはしますが、3 世紀のテキストが現代人でも苦もなく読めるというのは、うらやましい限りです。

元々、明確な正解がないものなので、文献ごとに区切りの解釈は異なりますが、大体こんな感じです(補足で口語訳も付記しました)。

其國、本亦以男子爲王、住七八十年。
倭國亂、相攻伐歴年、乃共立一女子爲王。
名曰卑彌呼。
事鬼道能惑衆。
年已長大、無夫壻、有男弟、佐治國。
自爲王以來、少有見者、以婢千人自侍。
唯有男子一人、給飲食、傳辭出入居。
處宮室、樓觀、城柵嚴設、常有人、持兵守衛。

(現代語訳)
其の国は、元々は男子を王として、70 – 80 年を経た。
倭国で騒乱が起き、戦いは長年にわたったため、一人の女性を王に立てた。
名を卑弥呼と言う。
(卑弥呼は)鬼道を祭祀して、人心を惑わした。
既に高齢で、夫は持たず、弟が国の支配を補佐した。
王位に就いて以来、人と会うことはほとんどなく、1000 人の侍女が仕えていた。
一人の男子だけが飲食の世話や取次ぎをしていた。
宮室は、楼観、城柵で守られ、常に人がおり、多数の兵士に守られていた。

中国人いわく、「文法的に異なる部分もある」と言うんですが、日本人からしてみれば「ほとんど同じ?」としか思えないレベルに感じました。現在中国本土で使われている文字は、簡体字という簡略化された文字ですが、学校教育で繁体字(画数の多い旧字体)も学ぶのだそうです。なので、文字についても問題なし。歴史や古来からの思想に興味のある人は、古典をそのまま読んでいるんだそうです(句読点は付与されているとは思いますが)。しかも、現在の中国語で使われている簡略化された文字(簡体字)ではなく、旧字体で。現在でも台湾などでは、画数の多い旧字体(繁体字)が使われています。台湾人の知り合いにも読んでもらいましたが、句読点の打ち方はほぼ問題なし。用語に関しても特に問題なし。
※ 実際には、『魏志倭人伝』には、多くの植物などの名前も含まれているので、そういう語彙に関しては注釈がないと厳しい部分はあるのかもしれません

日本人がいわゆる漢文を読むには、白文(漢字のみ)はかなり読みにくいですし、レ点や一二点がないと訓読も難しい。じゃあ、日本語の古典なら……というとこれも文法の違い(活用や係り受けとか面倒ですね)などのハードルもあります。歴史の長い中国に伝わる古典は数限りなくあります。そういった書籍に障害がなく接することができるというのはいいなあと思いますね。

おまけ : ついでに日本書かれた漢文の古典である『日本書紀』のイザナギとイザナミが黄泉の世界で再開するくだりも中国人の同僚に読んでもらいましたが、これは難解な部分も多くあったようで、理解度 60% 程度かな……と言っていました。まず、「伊弉諾」(イザナギ)とか「イザナミ」(伊弉冉)という固有名詞もありますし、名詞であっても現代にはないものなども含まれるので、難易度は高いようです。『日本書紀』を実際に誰が書いていたのかということなんですが、巻によって、渡来人と日本人が書いたものがあり、語彙や語法に倭習(日本風)があるものは日本人によって書かれたのではないかという研究もあるようです。このイザナギ・イザナミのくだりは、日本人が書いたものに分類されているようで、それであれば昔の中国人が書いた『魏志倭人伝』は読みやすくても、漢文を外国語として学んだ日本人が書いた『日本書紀』だと、読みやすさに差が出てもおかしくないですね。

photo : “壱岐 一支国 2011_161” by MIXTRIBE


翻訳を手配する・翻訳を依頼するときに便利な英語表現

8月 22nd, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (翻訳を手配する・翻訳を依頼するときに便利な英語表現 はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。先日、仕事で海外企業(欧州)のウェブサイトのローカライゼーションに携わっていることについて書きました。わたしはディレクションを担当しています。英語 → 日本語の翻訳は、翻訳者の専門家の皆さまにお願いしています。

さて、この仕事のやりとりで、先方(海外企業)から翻訳の手配を依頼されることがよくあります。本日は、その際に使う便利な英語表現をご紹介したいと思います。

まず先方が「これ(ファイルなど)を翻訳してください」と言うとき。まずは、下記のような英文を想像されるのではないでしょうか。

Please see the file attached.
Can (Could, Would) you translate it?

しかし、現場では下記のような表現がよく使われています。

Can (Could, Would) you get it translated?

「get + 目的語 + 過去分詞」や「have + 目的語 + 過去分詞」という英語表現を覚えていますか。自分が直接ではなく、他者に間接的に何かしてもらったときに使う表現です。

例えば下記の例文を見てください。

I repaired the car. : わたしは車を直しました。
I got the car repaired. : わたしは車を直してもらいました。

I cut my hair. : わたしは髪を切りました。
I had my hair cut. : わたしは髪を切ってもらいました。

日本語では自分でした場合も他者にしてもらった場合も、どちらも「車の修理をした」「髪を切った」と言えます。しかし英語で直訳すると、「え、全部自分でやったの!?」と、日曜大工が大好きなアメリカ人もびっくりな「DIY」になってしまうんですよね。

ちなみに get はより口語的なくだけた表現で、have はよりフォーマルな表現です。

また、get他人に依頼するときだけではなく、自分でやるときも使います。have のときは他人に依頼するときのみに使います。

さて、仕事の話に戻ります。先方はわたしが直接翻訳するのではなく、翻訳を手配する係だと知っているので、下記のような言い方をするのですね。

Can (Could, Would) you get it translated?
これを翻訳してもらってくれませんか?

翻訳を引き受けるときも、下記のような返答しています。

All right. I will get it translated by next week.
わかりました。来週までに翻訳をしてもらいます(翻訳の手配をします)。

翻訳する書類がなかなか届かないときは、催促しましょう。

Did you send your documents to have translated?
翻訳(の手配)が必要なファイルを送りましたか?

翻訳の手配が必要なとき、お急ぎのときは、「スピード翻訳」の「スピード翻訳」をご利用くださいね。もちろんその際には、今回ご紹介したような表現は不要です♪

photo : “Do It Yourself Boy” by Randen Pederson


英語の神さま、日本語の神さま

8月 20th, 2014 | Posted by maki in 小ネタ - (英語の神さま、日本語の神さま はコメントを受け付けていません)

'greek god' by  Giovanni

英語では、「神」のことを God と言います。日本では「神」は、過去において一時期ある人たちからは「でうす」と呼ばれていました。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、キリスト教の伝来したころの話です。フランシスコ・ザビエルらの宣教師が、キリスト教の布教をするときに「デウス」を信仰するよう当時の日本人に伝えたようです。この「デウス」は、ラテン語の Deus をそのまま日本に持ち込んだものです。この「デウス」がギリシャ神話の「ゼウス」と音韻がとてもよく似ていて、その関係がどうなのかが前からとても気になっていました。
※ 「でうす」から「だいうす」と変化し、京都には昔「だいうす町」という地名もあったようです

元々、deus は本来「ひとりの男神」を表す言葉だったようです。その起源は、インド・ヨーロッパ祖語の *dyēus (ディヤウス)にあり、プロト・インド・ヨーロッパ人の多神教の最高神を指し示す言葉であったようです。それを源に、ギリシア語の ΖΕΥΣ ( = Zeus)となったり、ラテン語の deus となりました。

ギリシャ神話はみなさんもご存知のように、たくさんの神々が登場します。その最高神である「ゼウス」と、一神教であるキリスト教の「デウス」が結びつかなくて、それが以前から気になっていたのです。なるほど、「デウス」と「ゼウス」の語源が一緒だったのですね

先ほど deus と書きましたが、大文字で書く Deus は実は違うものです。Deus は、キリスト教の広まりとともに、一神教の唯一神を意味するようになりました。多神教の神は deus とは区別されたようです。

さて、英語の話です。英語では、God なわけですが、これはラテン語起源の言葉がイギリスに伝わる前から使われていた歴史の古い言葉です。この昔の英語、古英語の起源はドイツ、オランダあたりの言葉と源流は同じです。そのため、現代でもドイツ語では Gott、オランダ語では God と言います。

つまり、昔イギリスに住んでいた人たちは、自分たちの使い慣れた God で、キリスト教の唯一神を呼ぶようになったんですね。「かみ」もそうですが、「やま」や「かわ」など、身近なものほど古い言葉の名残は残りやすいものですが、英語においても慣れ親しんだ単語に言語の歴史が残っているんですね。
※ 英語にも Godgod でもラテン語同様、前者は唯一神、後者は多神教のひとりの男神という使い分けになっています

おまけ :このあたりの英語の歴史的な話題は、「海=「くじらの道」…歴史ロマンあふれる英語のご先祖さま「古英語」の表現」でもご紹介していますので、合わせてお読みいただくといいでしょう。

photo : “greek god” by Giovanni


海=「くじらの道」…歴史ロマンあふれる英語のご先祖さま「古英語」の表現

8月 13th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (海=「くじらの道」…歴史ロマンあふれる英語のご先祖さま「古英語」の表現 はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。お盆の時期は、故人やご先祖さまに思いを馳せ、感謝する時間を取りたいですね。

さて、このブログではこれまでも、英語の語源や言葉の歴史の小話をお届けしてきました。改めましてこの度は、『クリスタル:英語史入門(Crystal The History of English)』(David Crystal 著/久保内瑞郎 編/山縣宏光 編、金星堂、1993)を紐解き、英語のご先祖さまについて調べていました。ちょっとご紹介します。

英語の原型となるのが、Old English(古英語)と呼ばれる言葉です。AD 449 年、現在のオランダ、ドイツ、デンマークから海を渡ってやってきたアングロ人やサクソン人、ジュート人の侵略によってブリテン島(イギリス)にもたらされました。Anglo-Saxon(アングロサクソン語)とも呼ばれます。

現代英語のうち使用頻度の高い 2 万語において、この本来語となる Old English の占める割合はたった 2 割ほどだとか。残りの約 8 割が、後のヨーロッパ大陸からの侵略の歴史の中で流入したラテン語フランス語ギリシア語などからの借用語になるそうです。

日本語では大和言葉と漢語という言語が交じり合っていますよね。それと比較すると、現代まで生き残っている古英語時代の英語は相当少ないと言えます。今回掲載した写真は、11 世紀(日本で言えば平安時代後期)に書かれた「主の祈り」。17 世紀(日本で言えば江戸時代前期)に書かれた「主の祈り」とちょっと比較して見ると……

11th Century version

Fæder ure þu þe eart on heofonum;
Si þin nama gehalgod
to becume þin rice
gewurþe ðin willa
on eorðan swa swa on heofonum.

17th Century version

Our Father, which art in heaven,
hallowed be thy name;
thy kingdom come;
thy will be done,
in earth as it is in heaven.

左が古英語、右が 17 世紀の英語。似ているといえば、似ているようにも見えます。いちばんわかりやすいのは、Fæder = Father でしょうか。これは古英語時代からの生き残りと言えます。

今こそ存在感は薄いものの、この Old English(古英語)の言葉の特徴というのが、なかなか興味深いです。まず、neata ( = cattle) や swefn ( = dream / sleep) という単語あたりは、全く想像もつかないほど現代英語と異なりますが、beor( = beer) なんかは現代英語と似ています。そう、現代英語の beer も、古英語の生き残りのようです。

さらに特徴的なのが、この時代の詩や文学において、古英語ではある事象を 2 つ以上の言葉を組み合わせた比喩のような造語で表現する、という点です。

例えば、下記の 3 語の例を見てみましょう。

現代英語 (日本語訳) = 古英語 古英語の現代語訳 (日本語訳)
sea (海) = hronrad whale-road (くじらの道)
person’s body (人間の体) = banhus bone-house (骨の家)
sword (剣) = beadoleoma battle-light (戦いの光)

つまり古英語では、を「くじらの道」、人間の身体を「骨の家」、を「戦いの光」と表現していたというのです。
※ 古英語の起源はゲルマン祖語。そこから派生したのが現在の英語、ドイツ語、オランダ語、北欧諸言語が含まれます。そう考えると、banhusbanbone (オランダ語でも “bone”)とつながりがありそうですし、hushouse (オランダ語では “huis”、ドイツ語では “Haus”)と関係がありそうです

ビールを浴びるように飲み、くじらを眺めながら海を渡ってやってきた、戦う民族。言葉を通して、そんな世界観を垣間見たような気がしました。言葉の歴史って、ロマンがありますね。

ええと、なんの話をしていたんですっけ。そうそう。ご先祖さまの話です。わたしたちって、ご先祖さまのあらゆるロマンの重ね合わせで生まれてきたんですよね。10 代遡れば 1024 人の命が関わっているわけです。こちらの歴史も壮大ですね。

おまけ :もしも翻訳作業に追われてお盆に実家に帰る時間もなければ考え事をする暇もなく、ロマンのかけらもない生活だ!という方がいらしたら。お盆休み中も「スピード翻訳」の「スピード翻訳」、「指名翻訳」、「オークション翻訳」の 3 サービスは、無休で営業いたしますので、ぜひご活用ください。あなたに夏のロマンを!

photo : “Lord’s Prayer in Old English” by Mackenzi


お盆休み中の営業について(2014)

8月 11th, 2014 | Posted by admin in お知らせ - (お盆休み中の営業について(2014) はコメントを受け付けていません)

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お盆休み中も「スピード翻訳」の「スピード翻訳」、「指名翻訳」、「オークション翻訳」の 3 サービスは、無休で営業いたします ※ 。

また、電子メール、お電話、FAX などでのカスタマーサポート業務も通常どおりおこなっております。お問い合わせの内容によっては、ご対応に少々時間をいただく場合がございます。あらかじめご了承ください。

※ お盆休み中は、翻訳者リソースが減少する可能性があるため、「スピード翻訳」、「指名翻訳」の場合は 2 時間以内に翻訳者が決定せずキャンセルになりやすくなったり、「オークション翻訳」の場合は入札する翻訳者が少なめになることが想定されます。あらかじめご了承ください


「アイアイサー」の語源とは?

8月 6th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (「アイアイサー」の語源とは? はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。しばらくイギリスとアイルランドに暮らしていましたが、日本に帰国しました。日本の夏は暑い、暑い、とにかく暑い! シャワーをしても、すぐに汗でベットリ。なんだかもう船乗りになって、ずっと塩水でも浴びていようかという気分です。

ところで、アイアイサー!という返答を聞いたことがありますか。日本ではちょっとふざけた風に使ったりしますが、これはもともとは船乗りの言葉なんだそうです。上官の命令に対して、「承りました」と確認したときに使う返事として使われてきたそうです。

英語では Aye, aye, sir! と書きます。調べてみたら、この Aye とは Yes が訛ったもので、特にスコットランド、アイルランド、北イングランドで確認できるそうです。普段でも Yes の代わりに、ただ Aye(アイ)と言うことがあるそうですよ(日本語で「はい」と返事するとき、ちょっと気が抜けると「あい」になりますが、スコットランドあたりでは通じちゃうってことでしょうか)。

この「アイ」という訛りについて、ちょっとしたエピソードが残っています。1993 年 12 月、スコットランドの裁判所にて、執行官の質問にアイと答えた目撃者がいました。執行官は、彼にイエスノーのどちらかで返事をしなさいと諭します。再び名前が呼ばれたとき、目撃者はまたもやアイと答えました。このため、この目撃者は裁判を軽視した罪として 90 分の懲役を受けることになってしまいました。釈放されたのち、彼はこう言ったそうです。「私は誠実に答えていたんですが……」。つまり、ただ訛っていただけなんですね。かわいそうに!(詳しくは Aye – Wikipedia をご覧ください)。

ちなみに、アイアイ(aye-aye)という動物もいますよね。アーイアイ♪という童謡でおなじみの、丸い目をしたサルの一種です。こちらはアイアイが原生するマダガスカルで話されるマダガスカル語の「ハイハイ」が語源で、意味は「よく知らない」(参考:日本アイアイ・ファンド)という説と、現地人がこの動物を見て上げた驚きの声に由来する(参考:アイアイ (童謡) – Wikipedia)という説があるようです。現地では、生態のよくわからない、不吉な動物とされているのだとか。

アイアイ = Yes Yes と、まるでオノ・ヨーコさんの作品のように、ポジティブなパワーあふれる、愛と平和の象徴のような動物なのかしら?……と思いきや、違いました。ちょっと残念です。

おまけ :あわせてこちらもご覧ください。
「ラジャー!」は何語?

photo : “Aye, aye Sir!” by Éole Wind


ウェブサイト、アニメ、漫画……文化も翻訳するコンテンツの現地化(ローカライゼーション)

8月 4th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (ウェブサイト、アニメ、漫画……文化も翻訳するコンテンツの現地化(ローカライゼーション) はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。ただいま欧州を拠点とする企業の英語サイトの日本語版を作成するお仕事に携わっています。いわゆる現地化(localization/ローカライゼーション)です。

コンテンツのローカライゼーションは、ただ単に英語を日本語に訳せばいい、というわけではありません。ロンドンのローカライゼーション専門の会社とやりとりをしているのですが、緻密な分析に基づき、日本のマーケットや文化、トレンドに合わせてコンテンツを取捨選択し、デザインやコピーを決めて……と、かなりの手作業です。

自動翻訳が発達してきていますが、こうしたターゲットに合わせた編集を伴うローカライゼーションは、やはりマンパワーの方が効果的なのでは、と感じています。

さて、ふとニュースを見ていたら、先日、日本の国民的アニメ「ドラえもん」が全米デビューを果たしたという記事が目に入りました(参考:朝日新聞デジタル – ドラえもん、どら焼き減らし全米デビュー 企業も熱視線)。こちらも、ただ日本語を単に英語に吹き替えたのとはわけが違います。米国に「現地化」するために、食卓の和食を洋食に、箸をフォークに代え、日本のお札はドル紙幣にしたそう。さらには、米国で肥満が問題になっていることを受けて、米国版の番組ではドラえもんがどら焼きを食べる量を減らしたのだとか。

コンテンツの徹底的な現地化でもう一つ思い出すのが、2012 年から 2013 年にかけてインドで放送された「巨人の星」のリメイクアニメです。「スーラジ ザ・ライジングスター」(Suraj: The Rising Star)は舞台を日本からインドに移し、テーマのスポーツを野球ではなく、インドの国民的に人気スポーツであるクリケットに変更しています。各所でも文化の違いなどを考慮した工夫がなされました。クリケットは、試合が 5 日間も続くこともある世界最長の長さのスポーツですが、スーラジ( = 星飛雄馬)は耐えられるのでしょうか? ニコニコ動画で配信中とのことですので、ご興味のある方はぜひ!(ちょっとイメージ違いますが、飛雄馬や一徹、明子、花形満らしき人物も登場しますね)
※ ご存知の方もいらっしゃると思いますが、クリケットは野球にすこし似ていて、イギリス発祥のスポーツで、インドやバングラデシュ、オーストラリアやニュージーランドなどイギリスと長い交流の歴史のある国で人気のスポーツです

このようにコンテンツの現地化とは、言葉だけでなく文化も翻訳することだと言えるのではないでしょうか。

ただ、わたし自身の経験を振り返ってみると、海外のアニメや映画をきっかけに、衣食住の違いや週末は教会に行くこと、複雑な家族構成といった、海外の文化を知りました。果たして、どこまで現地化すべきなのか……ちょっと考えこんでしまいました。こうした観点も議論して社会を作っていくのもまた、機械でなく人ですね。

おまけ : 各種コンテンツの現地化(ローカライゼーション)には、どこまで徹底するのかといったちょっと面倒な問題もあります。「コンシェルジュ翻訳」サービスまでお問い合わせください。弊社のコーディネーターがご相談に乗り、適切な翻訳者のご紹介などもいたします。お急ぎの案件の場合は、「スピード翻訳」の「スピード翻訳」もご利用いただけますが、発注時に翻訳者への申し送り事項に依頼の背景などをお書き添えください(背景、目的などが明確でない場合は、よい翻訳に仕上げることができない可能性もあります)。

photo : “Dorayaki Doraemon” by phuongkim1981