こんにちは、maki です。前回の記事で大きな数の単位の名称がアメリカ英語とイギリス英語で違っている……という話にちょこっとだけ触れましたが、きょうはそんな話題です。
US | UK | |
1,000 | thousand | thousand |
1,000,000 | million | million |
1,000,000,000 | billion | thousand million (milliard) |
イギリスとアメリカという違いはありながら、同じ英語の中で billion の表す数値が違うというのはびっくりですね!これで米英間で国際取引するのは大変!
でも、大丈夫!これはもうすでに過去の話なんです。1974 年にイギリスは公式文書ではアメリカ式(short scale と呼ばれます ※)を使うことを宣言。その後、広く一般に周知され、イギリスの billion とアメリカの billion は同じ値となりました。しかし、前掲の表に書かれている milliard ( = thousand million) というのも聞きなれない数字ですねー。
※ 以前のイギリス式は、long scale と呼ばれるヨーロッパで広く普及している数え方(進数)。詳しくは、Wikipedia > 西洋の命数法をご覧ください
イギリスの権威のある辞書のサイトでも、以下のように記載されています。
In British English, a billion used to be equivalent to a million million (i.e. 1,000,000,000,000), while in American English it has always equated to a thousand million (i.e. 1,000,000,000). British English has now adopted the American figure, though, so that a billion equals a thousand million in both varieties of English.
訳 : イギリス英語において、かつて billion は、million million( = 1,000,000,000,000 : 1 兆 = 100 万 × 100 万)と等しいとされていました。一方、アメリカ英語では、ずっと thousand million( = 1,000,000,000 : 10 億 = 1,000 × 100 万)に等しいとされていました。現在のイギリス英語では、アメリカ式の数値を採用しています。そのため、イギリス英語でもアメリカ英語でも billion は 1,000 million に相当します。
こどものころに、一、十、百、千、億、兆、京、垓……阿僧祇、那由他、不可思議、無量大数……などと、意味もなく大きな数の単位を覚えた(覚えようとした?)ことがありますが、英語では以下のようになっています。
※ 以前のイギリス英語の表記は省きます
1,000 | = 103 | thousand |
1,000,000 | = 106 | million |
1,000,000,000 | = 109 | billion |
1,000,000,000,000 | = 1012 | trillion |
1,000,000,000,000,000 | = 1015 | quadrillion |
1,000,000,000,000,000,000 | = 1018 | quintillion |
1,000,000,000,000,000,000,000 | = 1021 | sextillion |
1,000,000,000,000,000,000,000,000 | = 1024 | septillion |
1,000,000,000,000,000,000,000,000,000 | = 1027 | octillion |
1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000 | = 1030 | nonillion |
1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000 | = 1033 | decillion |
このような形で、1,000 倍になる(乗数が 3 増える)たびに、million、billion、trillion、quadrillion、sextillion……のように llion の前の文字列が変化していきます。この bi–、tri–、quadri–、sexti–……は、
- bi : バイアスロン(クロスカントリー・ライフル射撃の 2 種目競技)の bi
- tri : トライアスロン(水泳・自転車・長距離走の 3 種目競技)の tri
- quadri : クアドラフォニック(4 チャンネルステレオ)の quadri
- quinti : クインテット(五重奏の 5)の quinti
- sexti : セクステット(六重奏の 6)の sexti
- septi : セプテット(七重奏の 7)の septi ※
- octi : オクテット(八重奏の 8)の octi ※
……と続くラテン語起源の数字に関わる言葉です。数に関連するラテン語起源の数字については、覚えておくといろいろ応用が利きそうですね。
※ セプテンバーは 9 月、オクトーバーは 10 月だよね?ずれてんじゃない?……という話はまたの機会に……
おまけ :
以前のイギリス英語(long scale)で使われていた の 1,000,000,000 の milliard ですが、似たもので、
US (short scale) |
UK (long scale) |
||
1,000,000,000,000,000 | = 1015 | quadrillion | thousand billion (billiard) |
……があります。これ、玉突きのビリヤードと同じ綴りなんですねー。ビリヤードでボールをたくさん使う競技としてはスヌーカーがありますが、これでも全部で 22 個。1,000,000,000,000,000 のボールは使わないです。なんで同じ名前なんですかね……。
関連記事 :
QUICKTRANSLATE says…… : 所変われば、表記も変わる ~ 数字の桁区切り