Author Archives: maki

モラトリアム人間

4月 16th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (モラトリアム人間 はコメントを受け付けていません)

'Peter Pan Statue' by toastbrot81

こんにちは、maki です。自宅の近所を散歩していたらけっこう衝撃的な名称のアパートを発見しました。「モラトリアム○○」(「○○」は地名です)。「○○荘」っていうトラッドな名称のアパートは少なくなりましたが、「コーポ○○」とか「ハイツ○○」などというのはよくありますよね。「フォンテーヌ○○」なんていう意味不明なものまでうちの近所にはあったりします。こういうネーミングは、オーナーの意向なのか、あるいはオーナーに意向がなくて不動産屋さんが適当に命名しているのかわかりませんが、それにしても「モラトリアム○○」というのはちょっと……。
※ その他のおもしろい賃貸住宅の名称はこちら……

いわゆる「モラトリアム」というと「肉体的には成人しているが、社会的義務や責任を課せられない猶予の期間。また、そこにとどまっている心理状態」(出典 : 『大辞泉』)……という意味がパッと頭に浮かびますが、これは『大辞泉』では 3 番めの語義。つまり、本来の意味は別にあるわけです。先ほど引用した『大辞泉』いわく、

モラトリアム【moratorium】

  1. 支払猶予。法令により、金銭債務の支払いを一定期間猶予させること。戦争・天災・恐慌などの非常事態に際して信用制度の崩壊を防ぎ、経済的混乱を避ける目的で行われる。
  2. 製造・使用・実施などの一時停止。核実験や原子力発電所設置などにいう。
  3. 肉体的には成人しているが、社会的義務や責任を課せられない猶予の期間。また、そこにとどまっている心理状態。

出典 : 『大辞泉』 – モラトリアム(小学館)

……とのこと。moratorium の本義としては「支払猶予」や「一時停止」といった意味合いであるにもかかわらず、カタカナ語の「モラトリアム」となると俄然「ピーターパン症候群」(Peter Pan Syndrome)的な意味合いでの使われるのが日本での現状と言えるでしょう。

さらにはこんな項目まで『大辞泉』には収録されていました。

モラトリアム‐にんげん【モラトリアム人間】

年齢では大人の仲間入りをするべき時に達していながら、精神的にはまだ自己形成の途上にあり、大人社会に同化できずにいる人間。

出典 : 『大辞泉』 – モラトリアム人間(小学館)

心理学者の E. H. エリクソンが「青年が社会で一定の役割を引き受けるようになるまでの猶予期間」を moratorium という言葉を転用したことから、こうした意味が生まれたようです。日本では、1978 年に発表された『モラトリアム人間』(小此木啓吾)により「モラトリアム」という言葉が広く一般に知られるようになったものと思われます。

では、英英辞書では moratorium はどのように定義されているでしょうか。Merriam Webster では、以下のように定義されています。

Definition of MORATORIUM

  1. a : a legally authorized period of delay in the performance of a legal obligation or the payment of a debt
    b : a waiting period set by an authority
  2. : a suspension of activity

出典 : Merriam-Webster Dictionary – moratorium

上記以外にも複数の辞書を見てみましたが、moratorium の定義には、社会心理学的な意味合いでの定義は辞書には収録されていませんでした。あくまでも、社会心理学の枠内での転用ということであって、moratorium というのは日本で言う「モラトリアム」のような含意は一般的にはあまり浸透していないのかもしれません。

では「モラトリアム人間」という単語が翻訳の依頼原稿に含まれていた場合はどうすればよいでしょうか。moratorium manmoratorium people といった組み合わせはほとんど見つかりませんでした。かろうじて、people in moratorium という表現がすこしだけ見つかりました。

文脈や文章のトーンにもよりますが、英英辞書にも「成長することを望まない成人 : 思春期の興味や態度にしがみつこうとする人」と定義されているので、さきほどちらっと言及した「ピーターパン症候群」で使われている「ピーターパン」(Peter Pan)をそのまま使ってもよいかもしれませんね。改めて翻訳の難しさを痛感しました。

Definition of Peter Pan

  1. : a boy in Sir James Barrie’s play Peter Pan who lives without growing older in a never-never land
  2. : an adult who does not want to grow up : one who hangs on to adolescent interests and attitudes

出典 : Merriam-Webster Dictionary – Peter Pan
※ 下線著者

photo: “Peter Pan Statue” by toastbrot81


メートル法とヤード・ポンド法

4月 13th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (メートル法とヤード・ポンド法 はコメントを受け付けていません)

Mile 0 by Sam Howzit

こんにちは、maki です。前回のエントリーで「平方フィート」や「マイル」といった単位が出てきましたが、アメリカでは日常的に使われている度量衡の単位です。1 フィートは 30.48 cm、1 マイルは 1.609344 km。日ごろ慣れ親しんだ「メートル」でないと、すぐに「ああ、あのぐらいか」という想像がしにくいものです。日本をはじめとする多くの国々ではメートル法を採用しています。これに対し、アメリカでは日常的にヤード・ポンド法を採用しています。この違いが、翻訳のときにもどう扱うべきかをちょっと考えてしまう問題になったりすることもあります。

福島第一原発の事故を機にアメリカ大使館が 80 km 圏内に在住の米国民に対し退避勧告を出したという報道がありました。普段の感覚だと 50 km でも 100 km でもない中途半端な数字なような気もしますが、元々は 50 マイル( = 1.6 km * 50 )というガイドラインに基づく数字だったようです。また、航空機による救援活動に携わる兵士には 112 km 以内への立ち入りにはヨウ素剤の服用を義務付けたという記事もありましたが、これも 70 マイル( = 1.6 km * 70 )ということのようです。アメリカでは、自動車のスピードメーターもマイル表示ですし、60 mph といえば毎時 60 マイル(時速 96 km!)のこと。日本でよく運転をする人でも、アメリカに行ったときは、km 感覚ではなく、マイル感覚でメーターを確認するなど、気を付けないといけないですね。
※ マイル(mile : 略号 = mi)

ヤード・ポンド法では、重さはポンド(pound : 略号 = lb)を使います。1 lb は 453.59237 g です。他にはオンス(ounce : 略号 = oz)も使います。1 lb = 16 oz となります。こうした表示は、アメリカ製の輸入食品のパッケージなんかでよく見かけたりします。16 進数の単位というのも歴史的を感じさせるシステムのように思えます。

近年までヤード・ポンド法はイギリスでも使われていましたが、1995 年にメートル法に変更し、2000 年以降はヤード・ポンド法の使用を禁止しているようです。アメリカでは、法律的にはメートル法を採用しているものの、いまだにヤード・ポンド法が日常的に使われています。

こうした単位をどう翻訳するかというのは悩ましい問題でもあります。先ほどの 50 マイル 圏内の退避勧告は、80 km と訳したほうがわかりやすいでしょう。でも、伝統的にヤード・ポンド法を採用しているゴルフのヤード(yard : 略号 = yd)やボクシングのポンド(パウンド)は、そのままの方がわかりやすいでしょう。だからといって、単位があまりにも混在するのも読みにくい仕上がりになってしまいます。

実際の翻訳案件ではどう訳すべきかに迷うことも多いはずです。お客さまからの指定があればそれに従えばよいのですが、そうでない場合は案件の文書が交わされる業界に応じたスタイルガイドに従うことになります。しかし、そうしたスタイルガイドのない業界もたくさんあります。そんなときに単位をどう扱うかについては、それぞれの翻訳者によって判断は異なると思います。「お客さまからの指定やスタイルガイドがなければ、そのままの単位を残す」という考え方もあるでしょうし、「慣用的な単位に変換し、わかりやすさを重視する」という考え方もあるでしょう。ケースバイケースで臨機応変に対応し、訳者注としてコメントを残すということをされている場合もあります。

スピード翻訳」では、ご発注の際にお客さまから翻訳者の方へのメモを残す機能をご用意しています。このメモ機能を使って、単位をどう扱うかなどのリクエストをお書き添えいただくこともできますので、そうした案件のご依頼の際には、ぜひメモ機能をご利用ください。

おまけ : Google のウェブ検索には、電卓機能があるのはご存知ですか? Google の検索窓には、計算式を入力すると、検索結果の上部に計算結果が表示されます。例えば、2+3 と入力すれば、5 と返ってきますし、2^3( = 2 の 3 乗)と入力すれば 8 と返ってきます。

この電卓機能には単位の換算機能もあって、125 ポンドと入力すれば、56.6990463 キログラムと返ってきます。300ヤードなら 274.32 メートル451華氏なら、232.777778 度(摂氏) と返ってきますよ。大概の単位換算ならできてしまいますね。

photo : “Mile 0” by Sam Howzit


18 MILES OF BOOKS – 28.8 km の本

4月 11th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (18 MILES OF BOOKS – 28.8 km の本 はコメントを受け付けていません)

STRAND BOOKSTORE

こんにちは、maki です。先日通勤の途中で、STRAND と書かれたトートバッグを肩から下げた人を見かけました。本の大好きな NEW YORKER であれば知らない人はいないのではないかとおもうぐらいに有名な、Manhattan にある古書店 STRAND BOOKSTORE です。とにかく大きな古本屋さんで、店舗面積は 55,000 平方フィート、つまり約 5,110 m2。と言ってもよくわからないし、1,550 坪といってもピンとこないですね。Wikipedia の Strnad Bookstore の項目(英語)によると全米でも有数の広さの古書店なのだそうです。

お店があるのは、Manhattan でも南の方で、East Village の近くです。Manhattan を縦断する Broadway に面していて、すぐそばには公園や New York University なんかもあるエリアです。店内の壁はすべて本棚、山積みの本、本、本……という状態。このお店のキャッチコピーは、”18 MILES OF BOOKS” 。きっと本をどんどん積み上げていくとその高さが 18 マイルにおよぶということなんでしょうね。18 マイルは、28.8 km、およそ 29 km。東京の大手町を起点にすれば横浜とか町田、立川、大宮、幕張とかそんな距離。250 万冊以上の在庫があるらしいですよ。

STRAND BOOKSTORE の STRAND はオーナー(または、創業者)の苗字なのかと思っていたのですが、そうではないようです。strand を辞書で調べてみると、詩などで「岸」や「浜」を表す言葉だとわかりました。LONDON の the Strand(ストランド街)も元々はこの意味なのだそうで、そういう流れなのかもしれません。同時に strand は動詞としては、「座礁させる(する)」、「立ち往生させる(する)」、「途方に暮れさせる(暮れる)」という意味があるようです。あまりの在庫量の多さにお客さんが「途方に暮れる」という意味だったらおもしろいなあ……などと考えてしまいました。

今回の記事には、「平方フィート」や「マイル」などの単位が出てきましたが、度量衡は翻訳では重要な要素ですので、これについてはまた別の機会にお話ししたいと思います。

photo by Beyond My Ken


planets – 惑う星たち

4月 2nd, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (planets – 惑う星たち はコメントを受け付けていません)

'Venus, Moon and Jupiter' by T. Itakura

こんにちは、maki です。このあいだのちょっとした天体ショーはご覧になられましたか? 03/26 の夕方、西の空に金星と木星が三日月を挟み撃ちにするような感じで 3 つの天体が並んでました。そのちょっと前の 03/14 には、金星と木星が大接近してました。天文学的にはそんなに珍しい現象ではないようですが、空の明るい東京でも十分に観測できて、起きているのが辛くなうような時間でもないタイミングで見られたというのは、とてもよかったと思います。

大接近していた 2 つの惑星が、2 週間ちょっとでずいぶん離れてその間に三日月が割って入る構図に変わっているというのは、とてもおもしろいですね。惑星や衛星以外の恒星は、季節によって変化はしますが、恒星と恒星の相対的な位置関係はそんなに短い時間では変わりません。昨日と今日でオリオン座の形が変わるなんてことはないですよね。現代人であれば、惑星は恒星とは違うこと、惑星の運行は複雑であることといった程度の基礎知識がありますが、惑星の存在やその運行について知識のなかった昔の人たちにはとても不思議な現象だと感じられたのではないかと思います……と Twitter に書いたところ、『「惑星」っていうぐらいですから』と知り合いからレスポンスが返ってきました。

なぜ「」星なのかな……と考えたことはなかったわけではないですが、なるほどねーと思いました。すこし調べてみたところ、明治時代には「惑星」と呼ぶか、「遊星」と呼ぶかで論争があったみたいですが、どちらも天体としての運行がふらふらしているというところからこういった名称になったようです。

では、英語の planet の語源は……と見てみると、ギリシャ語の 古フランス語の planète、後期ラテン語の planeta、ギリシャ語の planetai / planeatai にたどりつくようで、意味は「ぶらぶらする、さまよう」だとのこと。やはり、planet も「惑う星」ということだったんですね。何でも調べてみるものです♪

photo: “Venus, Moon and Jupiter” by T. Itakura


頭痛の種は、”a Seed of Headache”?

3月 26th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (頭痛の種は、”a Seed of Headache”? はコメントを受け付けていません)

Seed by the yes man

こんにちは、maki です。人間生きていればいろいろなトラブルや悩みに遭遇します。それが継続的に潜在していると「頭痛の種」と呼ばれるようになります。直訳すれば、”a seed of headache“。しかし、これでは英語では通じません。どうやったらうまく伝えられるかという「頭痛の種」もタンポポの綿毛のようにふわりふわりとどこかに飛んでいってくれればいいんですけどね。

アメリカにいたときに知人に、日本には “a seed of headache” という表現があるんだよという話をしたら、案の定通じませんでした。そこで、

“Suppose you’ve got an annoying issue. This is the seed. You sow the seed and it grows up. And finally you get a fruit called HEADACHE.”(何か煩わしい問題があるとするでしょ。それが種。その種を蒔いておくと、それが育って、最後には「頭痛」っていう実になるんだよ)

……という説明をすると、

“Ah, interesting! We call it A PAIN IN THE NECK“(なるほど、おもしろいね! それなら「首の痛み」と言ってるよ)

……と理解してくれました。

この「頭痛の種」にしても、”a pain in the neck” にしても、先日ご紹介した “(Has the) Cat got your tongue?” もそうですが、日本語や英語の中ではとてもポピュラーな慣用表現(イディオム)です。こうしたイディオムは、直訳してもダメな場合がほとんどです。ターゲット言語(翻訳先の言語)の似通った意味を持つ慣用表現があればそれを使うこともできるでしょうし、パラフレーズ(言い換え)しなくては翻訳できないことも多々あるでしょう。翻訳という仕事には、辞書を調べるだけでなく、どう表現することで正しく意味を伝えられるかを検討するという作業もあるんです。

ちなみに「頭痛の種」は、「心配の元」ということで “a source of worry” というフレーズもよく使われるようです。”a pain in the neck” が適切なのか、”a source of worry” が適切なのかを原文の文脈や文章のトーン、書き言葉なのか話し言葉なのかなどを見ながら判断するのも翻訳というお仕事なんです。

「あの問題は頭痛の種だ。」という文章をウェブ上で使える機械翻訳サービスで翻訳してみました。

  • That problem is a source of worry.
  • That problem is a cause of trouble.
  • That is a headache problem.
  • That problem is the kind of headaches.

精度の高い翻訳結果もあれば、ちょっと???な結果も混じっているという感じでしょうか。機械翻訳だと精度に不安が残る大事な文書の翻訳は、ウェブで発注、ウェブで納品、24 時間 365 日受付中の「スピード翻訳」をご利用ください。経験豊かなプロの翻訳者がお待ちしております。

photo : “Seed” by the yes man


白人はなぜ薄着なのか

3月 23rd, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (白人はなぜ薄着なのか はコメントを受け付けていません)

'Toilette de chat' by Erminig Gwenn

こんにちは。maki です。きょうからブログの執筆メンバーに加わりました。普段は「スピード翻訳」の企画・開発、マーケティング方面を見ています。今後ともよろしくお願いします。

オフィスの入居しているビルのロビーフロアに STARBUCKS がテナントとして入っているのですが、ひとりの白人男性が注文したコーヒーを受け取るために待っているのを見かけました。ようやく気候も春めいてきましたが、彼は当然のごとく T シャツ 1 枚です。よく見かける光景ですよね。寒くないのかと聞けば、寒くないと彼らは答えます。

前々から気になっていたことがあります。彼らは……

  • 暑さ・寒さに対して耐性が高いのか
  • 寒さに強いだけなのかなのか

という疑問です。

ウェブで調べてみると、白人は筋肉量が多いとか、基礎体温が高いとかそういった理由が書かれていました。寒いヨーロッパで居住していた人類の環境への適応として、「寒冷地仕様」の体質になっているということのようです。そのため、日本人が肌寒いと感じるような気温でも T シャツ 1 枚でも快適に過ごせるのでしょう。

寒さへの耐性についてはなんとなくわかりましたが、暑さについてはどうなのだろうと思い、調べてみたところ、暑さには弱いようです。つまり、白人は日本人よりも「快適と感じる温度帯が低め」だということですね。

さっきのコーヒー待ちの白人男性見ていたときに、「暑さ」ではなく「熱さ」はどうなんだろうと思って調べてみましたが、白人には全体的に猫舌である傾向があるようです。熱々の食べ物や飲み物は苦手だという話はよく聞きますし、知り合いの白人男性も「温泉はいいと思うんだけど、どこに行っても熱いんだよね」と言っていたのを思い出しました。

モンゴロイドである私は、猫舌です。熱いコーヒーなどはすこし冷めないと飲めません。温泉も 43℃ を超えると、ほぼ入れません。しばらく前は、41℃ でも辛かったですが、慣れたのか 42℃ ぐらいでも平気になってきました。つまり、モンゴロイドには「熱いものに平気な人とそうでない人」が両方ともある程度の人数がいるということなのでしょう。みなさんの周りにも猫舌の人、いらっしゃいますよね?

それで和英辞典を調べてみる気になりました! 果たして、和英辞典には「猫舌」に相当する単語(名詞や形容詞)があるのでしょうか。小学館の『プログレッシブ和英中辞典』では「猫舌」は 1 件だけヒット。

私は猫舌です
I can’t eat food that’s too hot. / My tongue cannot take anything too hot.

『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

Langue de Chat Cookies From Susina Bakery by Muy Yum

「熱すぎるものは食べられません」、「熱すぎるものは舌が受け付けません」とパラフレーズ(言い換え)するしかないということは、「猫舌」にぴったりマッチする単語はない……ということですね。考えてみれば、みんなが猫舌ならば、それはフツーのことであって、それを表現する言葉は必要ないということですね。

ちなみに “cat tongue” で検索すると、”(Has the) cat got your tongue?” というフレーズが見つかります。これは直訳すれば「猫に舌を取られたの?」、つまり「なぜ黙っているの?」という定番フレーズです。なぜこのイディオムに「猫」が登場するのかについても調べてみましたが、古代の中東地域の刑罰で嘘をつくと舌を抜かれて、猫の餌にされるというのがこのイディオムの起源だという説も見かけましたが、残念ながら定説はないようです。

英語には「猫舌」に相当する語彙はなくても、実はフランス語には「猫舌」にぴったりな語彙があります。それは、”Langue de Chat”。”langue” は英語の “tongue”、”de” は “of”、”Chat” は “cat” です。なので、「猫舌」。「ラング・ド・シャ」おいしいですよね。すみません、今回はダジャレでおわります……。

photo: “Toilette de chat” by Erminig Gwenn
photo: Langue de Chat Cookies From Susina Bakery by Muy Yum