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アメリカでは、いまでも小切手は現役!

2015/02/27 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)
'Travelers Cheque von American Express' by Valentin Wittich

「そういえばトラベラーズチェックっていまでもあるのかな?」と先日ふと思い出しました。一昔前までは、海外旅行に行くときとかに、よく使われていました。ご存じない方のために Wikipedia の記述を引用しておくと、

旅行や出張など海外渡航の際に、多額の現金を持ち歩かなくても済むように発行される外国旅行者向けの小切手。

……というものがトラベラーズチェックです。銀行などで買える定額小切手(額面が事前に印刷されている)で、それを旅行前に購入しておきます。例えば、1,000 米ドル分購入すると、100 米ドルが 5 枚、50 米ドルを 10 枚のように、額面が印刷されたトラベラーズチェックが渡されます。購入したらすぐにサイン(ホルダーズサイン / Holder’s Signature)をします。現地で買物をするときや両替商の店で換金するときにもう一度サイン(カウンターサイン / Countersignature)をします。そのサインが一致していれば、正当な持ち主ということで、現金化できるというものでした。サインをするのは面倒なのですが、現金を持ち歩かないので、安心というメリットがありました(紛失時の再発行や現金よりも換金レートがすこし有利というメリットも)。

先ほどの Wikipedia をもうすこし読み進めていくと、

20世紀末頃まではよく使われていたが、日本国内では2014年3月31日を持って全ての販売が終了した。

……だそうです。あれー、そうなんですねー。1 年近く前に終了していたとは……。実際、自分も 1991 年にアメリカに行ったときを最後にそれ以降買った記憶はまったくないですね。いまは、クレジットカードが普及していますから、別にトラベラーズチェックなんて買わなくても、旅行中の支払い程度であればクレジットカードで十分事足りてしまいます。現金を持ち歩くというような危険性もありませんね(クレジットカードの場合、スキミングには気をつけないといけません)。海外に住むとなると話が違ってくるのですが……。

トラベラーズチェック(旅行小切手)は廃れても、アメリカでは小切手はいまだにかなり流通しているようです。インターネット上では PayPal のような支払い方法もありますが、調べてみたところアメリカは小切手がまだまだ現役のようです。日本で小切手というと企業が振り出す小切手が思い浮かびます(映画の中で「お前の欲しい金額を書け」とか言いながら白紙の小切手をボスがポンと渡したり、「オレが欲しいのはカネじゃない!」とか言って主人公が破り捨てたりするアレ)が、アメリカでは個人でも小切手を使うシーンはまだまだ多いようです。家賃などの支払いなどにも使いますし、Google の AdSense の支払いにも使われているようです(日本国内では、銀行口座への振込のようです)。大学の授業料の支払いも小切手だったように記憶しています(90 年代初頭)。

'Small-SS_checkbook' by  RikkisRefuge Other

アメリカで小切手を使えるようになるためには、まず銀行口座の開設が必要です。アメリカでは、Checking Account という口座と Saving Account という口座の 2 種類があります。小切手を作るのに必要なのは、前者の Checking Account になります。日々のお金の動き(給与の支払先やさまざまな支払いなど)に対応する口座で、入出金に便利なようにキャッシュカード(ATM card / bank card)や小切手帳が発行されます(chequebook / checkbook)。口座維持費がかかり、利子などは付かない場合も多いです(銀行によって、また預金残高の多寡によって、条件は変わります)。Checking Account は、日本語では当座預金口座と訳されたりしますが、日本に住んでいて、個人で当座預金口座を開設する人はほとんどいないですよね(企業向けの決済口座という意味合いが強いですよね)。
Saving Account はその名のとおり貯蓄用の口座で、利子が付きます

'CanadianChequeSample.png' by Airodyssey

小切手の切り方(使い方)ですが、ちょっと面倒です(たいしたことではないのですが)。上記のサンプルは、カナダの小切手のイメージのようですが、アメリカの小切手とかなり近いので、これで説明します。

  • PAY TO THE ORDER OF : 振出先(支払先)の相手を記載
  •                / 100 Dollars : 支払い金額を記載

を記載することになっています。支払先の相手の記載はいいのですが、                / 100 Dollars(または、                Dollars)の欄に

  • One Hundred Dollars and──────────55 / 100 Dollars
    または、One Hundred Dollars and 55 / 100────────── Dollars

……のように、数字でなくアルファベットで書かないといけないのです(小数点以下のいわゆるセントの部分は数字で OK)。100.55 ドルの場合は、それでいいのですが、1235.65 ドルの場合は

  • One Thousand, Two Hundred Thirty-Five Dollars and──────────65 / 100 Dollars
    または、One Thousand, Two Hundred Thirty-Five Dollars and 65 / 100────────── Dollars

……と書かないといけません。アメリカで小切手生活を始めたばかりのころは、正しい書き方 ※ もわからず、わかったところで書き慣れなくて、何枚も無駄にした記憶があります(その場で破ってしまえば、大丈夫)。小切手帳を銀行でもらうと、ある程度の厚さがありますので、なんとなくお金持ちになった気がしますが、それは幻想です。支払いできるのは、口座に入っている金額だけですから。
※ 正書法という書式に従うようです

ざっと簡単に説明しましたが、日本とアメリカが異なるように、国によって、銀行によって、各種口座の扱いはバラバラです。お気をつけください。

おまけ : 日本では、支払金額を刻印するという慣習があります。こんな機械で小切手に刻み文字を刻印するというのもあるんですよね(小切手を触ると、刻印された文字がざらざらとした手触りがあります)。いずれにしても普段の生活で個人的にお目にかかることはなさそうですが。

photo : “Travelers Cheque von American Express” by Valentin Wittich / “Small-SS_checkbook” by RikkisRefuge Other / “CanadianChequeSample.png” by Airodyssey


韓国で親しまれるおでんのお話。

2015/01/28 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'KOREAN ODEN #01' by maki

こんにちは。maki です。ここ 2 日ほど寒さが和らいだと思ったら、また急に寒くなってしまいました……。こんな季節には、やはりアツアツのおでんが食べたくなります。

韓国では、오뎅と呼ばれています。発音は、「オデン」です。そのままですね。台湾でも「オデン」に近い発音(オーレン)で呼ばれるポピュラーな食べ物であることは、以前書いた記事(台湾で親しまれるおでんのお話。)でもお伝えしましたが、韓国でも同様の状況です。歴史的には日本の統治時代に始まったもののようですが、市場の屋台などで年間を通じて楽しまれている食べ物になっています(とはいえ、冬が人気のようです)。

揚げた練り物がメイン。おでん種は、太くて長い串に刺されています。地方によってはバラエティがある場合もあるようですが、基本的には揚げ練り物一択みたいですね。シート状の揚げた練り物を細長く切って、3 つに折りにして、うねうねと串に刺してあります。おもしろい食感で、個人的には大変気に入っています。この屋台にはもう一種類あったのですが、これは……普通です。日本でも似たようなものは売っています。たまごやはんぺんなどは見かけないですね。大根は……入っていないわけではないのですが、どちらかというとおでんつゆのだし用?という感じで入っているのは見かけました(だしのベースは昆布がメイン)。他にもおでんつゆのだしにカニを入れているケースも(なんだか豪華!)。

'KOREAN ODEN #04' by maki

屋台で立ち食いというのが一般的です(こどものおやつにも人気♪)。アツアツのおつゆの中に浸っている串をセルフサービスで食べたいものを選び、そのまま食べる。日本の練りがらしの代わりに、醤油ベースの양념(ヤンニョン)につけて食べます。醤油にタマネギや、赤や緑の唐辛子が浮かんでいて、こちらは辛いです。つゆは、すっきりとした味わいで、色は淡め(汁物用の醤油の色が薄いので)。店によって、辛さに違いはありますが、そんなに辛いものはないように感じました。気になるお値段は、このお店では、一本 500 ウォン(55 円)ぐらい。けっこう大きいので、日本のコンビニおでんよりはコストパフォーマンスはいいですね。

おもしろいのが、そのおつゆの楽しみ方。屋台には小さな紙コップが置いてあり、そのコップにおつゆを入れて飲みます。すこし唐辛子の味もあるので、冬場はおつゆの温度だけではなく、唐辛子効果で体がポカポカします。食べている間にやってきたおじさん 2 人連れは、紙コップにおつゆだけ入れていきました。おでんは食べませんでしたが、2 人分で 1,000 ウォン払っていきました。小さなコップで、1 人 55 円だし、おでんと同じ値段かと思うと、高いような気もしますが、それだけ払っても飲みたくなるおいしさ、温かさはありますね。日本ではおつゆだけを飲むというスタイルはないので、おもしろいなあと思いながら見ていたのでした。おでんまで食べれば無料になるのが普通なのか、特におつゆ代は請求されませんでしたね。

韓国キッズには、떡볶이(トッポッキ / トッポギと呼ばれる韓国のお餅)の入った오뎅(オデン)が人気だそうですよ♪ おやつとして人気ありそうですね。

supervisor : miki sakai


バベルの塔 ~ 世界の言語の分断

2014/10/09 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

こんにちは、maki です。「バベルの塔」というエピソードはご存知でしょうか?『旧約聖書』の「創世記」に登場する大きな塔です。天にも届くような建造物で、人間がこれを作ったことが神の怒りに触れ……というストーリー。

「創世記」には「全地は同じ発音、同じ言葉であった」と書かれています。また「時に人々は東に移り、シナルの地に平野を得て、そこに住んだ」とあります。つまり、人たちは皆、シナルの地に住み、全員同じ言葉でコミュニケーションしていた……ということになります。それをよしとしなかった神は、「彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」と考え、言語をバラバラにし、人類をも世界各地に分散させて住まわせました。迷惑な話ではありますが、神様のすることなので仕方ないのかな。

比較言語学では、世界の言葉は、アフロ・アジア祖語、アナトリア祖語、北西コーカサス祖語、南コーカサス祖語、バスク祖語、ドラヴィダ祖語、印欧祖語、トルコ祖語、モンゴル祖語、ウラル祖語、チュクチ・カムチャツカ祖語、パマ・ヌーガー祖語、オーストロネシア祖語、タイ・カダイ祖語、チベット・ミャンマー祖語、、ミャオ・ヤオ祖語、オーストロアジア祖語、エスキモー・アレウト祖語、、アルゴンキン祖語、イロクォイ祖語、ユト・アステカ祖語、アステカ祖語、オト・マンゲ祖語という言語の源流とも呼ぶべきグループに分類されるようです。そして、これらを元として、3,000 種とも 8,000 種とも言われている言語に分れています。世界の国々で国語・公用語と制定されているものだけでも、97 言語ほどあります。97 でも多いですね。
※ 参照 : Wikipedia – 祖語 / Wikipedia – 言語

全世界のさまざまな国で 100 万人ほどの人によって話されている言葉があります。1887 年にルドヴィコ・ザメンホフによって作られたエスペラント。ザメンホフの理想は、世界中の人の誰にとっても学習が容易なすべての人のための第 2 言語としてエスペラントを広めたいと考えていたようです。とはいえ、ラテン語などのヨーロッパ言語をベースに考案されたものであるため、日本人には敷居が高いですね。聞いたことも見たこともない言語だと思っていましたが、昔見た『銀河鉄道の夜』のアニメーション作品(1985)では作中にいろいろなエスペラントが出てきていたと後に知りました。ラテン語かな……と思っていたのですが、ちょっと違いました。『銀河鉄道の夜』は、エスペラントでは Nokto de la Galaktia Fervojo と訳されています。いかにもヨーロッパ言語(ラテン語)っぽいですね。原作にはエスペラントは使用されていないですが、宮沢賢治自身もエスペラントに傾倒していた時期があるようなので、いい演出ですね。

いまや、英語から派生した グロービッシュ(Globish)が話題です。文法も平易で、語彙も使用頻度の最も高い英単語 1,500 語を使用する実用的なコミュケーションツールですね。これなら、自分でもマスターできるかな?

翻訳をビジネスにする多くの人がいて、会社も存在します。(間接的には?)神様のおかげで我々は日々の糧を得られているのか……と思うと、複雑な気分です。機械翻訳が進化し、ドラえもんの「ほんやくコンニャク」が実現したら、また神様に怒られてしまうのでしょうか……。

photo : “The_Tower_of_Babel” by Pieter Bruegel the Elder


kingdom は何と訳す? – 多義語のマスターも翻訳者のお仕事

2014/09/17 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'King of Beasts' by  Thomas Hawk

こんにちは、maki です。TBS の『THE 世界遺産』を見ていました。アフリカ各地の世界遺産をダイジェストで紹介していましたが、ふと、『野生の王国』という番組を思い出しました。1963 年から1990 年まで放映された長寿番組。全部で 1050 回も放映されたんですね。TBS の系列局でもある MBS(毎日放送)の番組です。

『野生の王国』。なんとなくイメージは伝わるのですが、誰がその王国の王なんだろう、ライオン?……などと思っていました。ちょっと調べてみたのですが、『野生の王国』は、アメリカの動物番組 Wild Kingdom (1963 – 1988)の日本語版として放送されはじめたという歴史があるんですって。その日本語訳だったんですね。だったら、「百獣の王」(king of beasts)が支配する王国というイメージですかね?

この kingdom は、一般的には「王国」と訳すものですが、実はこんな意味もあるんです。animal kingdom という言葉があります。そのまま訳してしまうと「動物の王国」、「動物王国」になってしまいます。しかし、この kingdom は、文脈によっては日本語では「」と訳すのが正解です。つまり、「動物」 。となります。「動物」 の「」 は、「」や「芸能」の「」とは違った意味合いを持っています。

  • kingdom
    (自然界を三大区分した)界
    the animal [the plant, the mineral] kingdom
    動物[植物, 鉱物]界.
  • kingdom
    a realm or province of nature, especially one of the three broad divisions of natural objects:
    the animal, vegetable, and mineral kingdoms.
    出典 : Dictionary.com

動物」の他に「植物」、「鉱物」があるんですね。鉱物の王は金?植物は……うーん。kingdom を「王国」と考えるからいけないんですね。

てっきり

kingdom = king + dom(ain)(王+領土)

かと思ったのですが、

kingdom = king + -dom

どちらも古英語時代からある単語と接尾辞。-dom は、状態を表す接尾辞だそう。freedomwisdom にも使われています。

なぜ、kingdom を「」と訳したのかはよくわかりません。「女三界に家なし」という言葉があります。この「三界」は「欲」、「色」、「無色」という「」で構成される「全世界」を表す仏教用語だとのこと。自然界を 3 つ(動物界、植物界、鉱物界)に分けるのと似ているということで、「」を kingdom の訳語に当てたのかもしれないですね。

西洋の文物が大量に流入してきた時代にいろんな単語が日本語に翻訳されました。概念そのものが日本に存在していなかったものやことを訳出した当時の人たちの発想や知識には感心させられます。翻訳しようにも、その訳語がないわけですから、訳語を作り出さなければならないわけです。いまならそのままカタカナ表記でおしまいということもできそうですが、そうもいかなかったのでしょう。翻訳者はこういった多義語も知識として持っていないと仕事にならなさそうですね。

おまけ : 先ほどの wisdom ですが、 wis は、古英語の時代から使われているもので、「博学な」とか「教養ある」という意味を持ちます。ここから派生したのが wizard。元々の意味は、「哲人」、「賢人」。「魔法使い」は後に付け加わった意味のようです。

photo : “King of Beasts” by Thomas Hawk


中国の人は『魏志倭人伝』もすらすらと読める?

2014/08/26 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'壱岐 一支国 2011_161' by  MIXTRIBE

こんにちは、maki です。前々から疑問に思っていたことがありました。中学・高校時代に学んだ漢文。現代中国語と文法的に似ている部分があります。昔の中国の人が書いた文章なのだから、当たり前だと思われるかもしれませんが、時代により支配民族の出身地は大きく変わっていますし、時代がかけ離れている場合には当然何らかの変化はあるでしょう。日本人にとっての古文は文法的にも語彙的にも現代文とはずいぶん違います。とはいえ、漢文は現代中国語に似ていると思うのです。たとえば、「」。これは、日本語なら「私はあなたを愛しています」ですよね。中国語なら文法的には、

主語 + 動詞 + 目的語 (S + V + O)

……という語順ですが、日本語の場合は、

主語 + 目的語 + 動詞 (S + O + V)

……となります。この語順の違いは、漢文を学んだときにも学びましたよね。漢文に付記された「レ点」(れてん)や「一二点」(いちにてん)を頼りに語順を再構成し、ようやくわたしたちは漢文が読めたわけです。そして、そのための勉強もしました。

それを考えると、現代中国語と漢文には文法的な共通点はかなり多そうです。わたしは現代中国語を勉強したことはないので、あくまでも妄想ではありますが……現代中国語の文法も『魏志倭人伝』のような 3 世紀末の中国で書かれたものの文法でもそんなに大きな違いはないのではないか……だったら、中国の人はすらすらと古典を読むことができ、その学習にも日本人ほどの時間を要さないのではないだろうか……そして、どの程度理解することができるのだろうか……ということをもわもわと妄想していました。

そこで、テストをおこなってみました。歴史には興味のない中国人と日本人を被験者に、『魏志倭人伝』の一説を読ませてみました。ちょっとしたいたずら心もあり、オリジナルに近い形で、段落、句読点なしのものを用意しました。具体的には、この一節です。「卑弥呼」の名前の登場する有名な部分ですね。

其國本亦以男子爲王住七八十年倭國亂相攻伐歴年乃共立一女子爲王名曰卑彌呼事鬼道能惑衆年已長大無夫壻有男弟佐治國自爲王以來少有見者以婢千人自侍唯有男子一人給飲食傳辭出入居處宮室樓觀城柵嚴設常有人持兵守衛

句読点のない文章は、なんとも読みづらいですね。どこからどこまでが一文なのかも不明瞭で、レ点を打つのも困難。しかし、原典はこんな感じです(日本でも句読点が使われはじめたのは明治時代のことです)。で、タスクとしては、

  1. 句読点を打つべき場所を示せ
  2. 意味のわからないところに印をつけろ

の 2 点です。

中国人の同僚に紙を渡したところ、何の迷いもなく、サクサクと文章を区切っているようです。見ていると、感動的ですらあります。数分で作業完了。結果的には、明らかなミスがひとつ。ケアレスミスでひとつ。日本人の同僚の方は、区切りにも四苦八苦している様子……。単語や文字で理解できないものがいくつかありました。そう言えば、中国人の同僚のほうには、結果的には、意味のわからない単語に印がついていなかったな……と思い聞いてみたところ、わからない単語はなかったそうです。固有名詞の「卑弥呼」ですら知っていました(テレビで見たことがあるんだそうです)。中国人の圧勝です。問題なく読めるだろう……という風に思いはしますが、3 世紀のテキストが現代人でも苦もなく読めるというのは、うらやましい限りです。

元々、明確な正解がないものなので、文献ごとに区切りの解釈は異なりますが、大体こんな感じです(補足で口語訳も付記しました)。

其國、本亦以男子爲王、住七八十年。
倭國亂、相攻伐歴年、乃共立一女子爲王。
名曰卑彌呼。
事鬼道能惑衆。
年已長大、無夫壻、有男弟、佐治國。
自爲王以來、少有見者、以婢千人自侍。
唯有男子一人、給飲食、傳辭出入居。
處宮室、樓觀、城柵嚴設、常有人、持兵守衛。

(現代語訳)
其の国は、元々は男子を王として、70 – 80 年を経た。
倭国で騒乱が起き、戦いは長年にわたったため、一人の女性を王に立てた。
名を卑弥呼と言う。
(卑弥呼は)鬼道を祭祀して、人心を惑わした。
既に高齢で、夫は持たず、弟が国の支配を補佐した。
王位に就いて以来、人と会うことはほとんどなく、1000 人の侍女が仕えていた。
一人の男子だけが飲食の世話や取次ぎをしていた。
宮室は、楼観、城柵で守られ、常に人がおり、多数の兵士に守られていた。

中国人いわく、「文法的に異なる部分もある」と言うんですが、日本人からしてみれば「ほとんど同じ?」としか思えないレベルに感じました。現在中国本土で使われている文字は、簡体字という簡略化された文字ですが、学校教育で繁体字(画数の多い旧字体)も学ぶのだそうです。なので、文字についても問題なし。歴史や古来からの思想に興味のある人は、古典をそのまま読んでいるんだそうです(句読点は付与されているとは思いますが)。しかも、現在の中国語で使われている簡略化された文字(簡体字)ではなく、旧字体で。現在でも台湾などでは、画数の多い旧字体(繁体字)が使われています。台湾人の知り合いにも読んでもらいましたが、句読点の打ち方はほぼ問題なし。用語に関しても特に問題なし。
※ 実際には、『魏志倭人伝』には、多くの植物などの名前も含まれているので、そういう語彙に関しては注釈がないと厳しい部分はあるのかもしれません

日本人がいわゆる漢文を読むには、白文(漢字のみ)はかなり読みにくいですし、レ点や一二点がないと訓読も難しい。じゃあ、日本語の古典なら……というとこれも文法の違い(活用や係り受けとか面倒ですね)などのハードルもあります。歴史の長い中国に伝わる古典は数限りなくあります。そういった書籍に障害がなく接することができるというのはいいなあと思いますね。

おまけ : ついでに日本書かれた漢文の古典である『日本書紀』のイザナギとイザナミが黄泉の世界で再開するくだりも中国人の同僚に読んでもらいましたが、これは難解な部分も多くあったようで、理解度 60% 程度かな……と言っていました。まず、「伊弉諾」(イザナギ)とか「イザナミ」(伊弉冉)という固有名詞もありますし、名詞であっても現代にはないものなども含まれるので、難易度は高いようです。『日本書紀』を実際に誰が書いていたのかということなんですが、巻によって、渡来人と日本人が書いたものがあり、語彙や語法に倭習(日本風)があるものは日本人によって書かれたのではないかという研究もあるようです。このイザナギ・イザナミのくだりは、日本人が書いたものに分類されているようで、それであれば昔の中国人が書いた『魏志倭人伝』は読みやすくても、漢文を外国語として学んだ日本人が書いた『日本書紀』だと、読みやすさに差が出てもおかしくないですね。

photo : “壱岐 一支国 2011_161″ by MIXTRIBE


英語の神さま、日本語の神さま

2014/08/20 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'greek god' by  Giovanni

英語では、「神」のことを God と言います。日本では「神」は、過去において一時期ある人たちからは「でうす」と呼ばれていました。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、キリスト教の伝来したころの話です。フランシスコ・ザビエルらの宣教師が、キリスト教の布教をするときに「デウス」を信仰するよう当時の日本人に伝えたようです。この「デウス」は、ラテン語の Deus をそのまま日本に持ち込んだものです。この「デウス」がギリシャ神話の「ゼウス」と音韻がとてもよく似ていて、その関係がどうなのかが前からとても気になっていました。
※ 「でうす」から「だいうす」と変化し、京都には昔「だいうす町」という地名もあったようです

元々、deus は本来「ひとりの男神」を表す言葉だったようです。その起源は、インド・ヨーロッパ祖語の *dyēus (ディヤウス)にあり、プロト・インド・ヨーロッパ人の多神教の最高神を指し示す言葉であったようです。それを源に、ギリシア語の ΖΕΥΣ ( = Zeus)となったり、ラテン語の deus となりました。

ギリシャ神話はみなさんもご存知のように、たくさんの神々が登場します。その最高神である「ゼウス」と、一神教であるキリスト教の「デウス」が結びつかなくて、それが以前から気になっていたのです。なるほど、「デウス」と「ゼウス」の語源が一緒だったのですね

先ほど deus と書きましたが、大文字で書く Deus は実は違うものです。Deus は、キリスト教の広まりとともに、一神教の唯一神を意味するようになりました。多神教の神は deus とは区別されたようです。

さて、英語の話です。英語では、God なわけですが、これはラテン語起源の言葉がイギリスに伝わる前から使われていた歴史の古い言葉です。この昔の英語、古英語の起源はドイツ、オランダあたりの言葉と源流は同じです。そのため、現代でもドイツ語では Gott、オランダ語では God と言います。

つまり、昔イギリスに住んでいた人たちは、自分たちの使い慣れた God で、キリスト教の唯一神を呼ぶようになったんですね。「かみ」もそうですが、「やま」や「かわ」など、身近なものほど古い言葉の名残は残りやすいものですが、英語においても慣れ親しんだ単語に言語の歴史が残っているんですね。
※ 英語にも Godgod でもラテン語同様、前者は唯一神、後者は多神教のひとりの男神という使い分けになっています

おまけ :このあたりの英語の歴史的な話題は、「海=「くじらの道」…歴史ロマンあふれる英語のご先祖さま「古英語」の表現」でもご紹介していますので、合わせてお読みいただくといいでしょう。

photo : “greek god” by Giovanni


1―800―872―7245 は語呂合わせで覚えろ!?

2014/07/22 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'No. 473' by Kool Cats

こんにちは、maki です。きのう知り合いが SNS で「029894!」とつぶやいていました(ある意味、叫んでいました)。「029」は「お肉」だろうとすぐに想像できました。たぶん、友人か同僚と焼肉でも食べているのでしょう。「894!」はなんだろう……「焼くし!」……変ですね。焼き肉を食べに行くという予定がキャンセルになったのであれば、「894!」は「白紙!」と解釈できますが、文末の「」ではキャンセルになってがっかりした気持ちが伝わりません。聞いてみたところ、結論は、何てことない「029894! = お肉焼くよ!」でした。なんで、すぐに思いつかなかったんだろう……。

日本人はそういう語呂合わせ大好きですよね。「鳴くよ(794)ウグイス、平安京」とか「いい国(1192)作ろう、鎌倉幕府」といった年号暗記ものもありますし、「水兵リーベ僕の船」の「H(水素)He(ヘリウム)Li(リチウム)Be(ベリリウム)B(ホウ素)C(炭素)N(窒素)O(酸素)F(フッ素)Ne(ネオン)」の元素周期表を覚える呪文。「√2」(2 の平方根) を覚えるための「ひとよひとよにひとみごろ(1.141421356……)」。小の月を覚える「西向く士 = 2 月 = 4 月 = 6 月 = 9 月さむらい = 11 月)」などなど、中学・高校時代を振り返るとそんな語呂あわせで満ち満ちています。語呂合わせの記憶定着力は恐るべき効果があります。

そんなことを考えていて、「23―4103」というこどものころに見かけたある電話番号を思い出しました。隣町の産婦人科の電話番号でした。「23―4103」の上に、「ねえさん、よいお産」と書かれていました。どう考えても、「にいさん、よいオッサン」でしかないよな……無理があるだろう……と、こどもながらに思っていて、いまだにその記憶は消えません。

アメリカに住んだことがある方ならもちろん、よくアメリカに出張に行かれる方でもホテルのテレビやラジオなどで、“CALL NOW! 1―800―XXX―XXXX.” とか、“1―800―YYYY―YYY! CALL TODAY!” といった CM が流れるのをお聞きになったことがあるかもしれません。「1―800」は、日本の「0120」と同じようなもので、フリーダイヤル(toll-free telephone number)です。無料で通話できるのです。いちばん最初に知った番号は、

  • 1―800―USA―RAIL

です。これは、全米鉄道旅客公社(Amtrak)の予約センターの電話番号です。いちど実際に使ったこともあり、記憶にも残っています。このような形で企業のプロモーションに有効活用されています。

'telephone dial' by Leo Reynoldsこの電話番号がどうなっているかというと、右の写真にあるようにダイヤルのひとつひとつの数字には、

  • 2 = A / B / C
  • 3 = D / E / F
  • 4 = G / H / I
    ……

のように対応していて、1―800―USA―RAIL を覚えてもらえば、数字で 1―800―872―7245 を覚えてもらう必要はないわけです。

電話番号は覚えるものではなく、電話機に覚えさせる時代になったとはいえ、スマートフォン全盛の現代でもこのシステムは健在です。お使いの(日本で販売している)スマートフォンのダイヤル(?)にも数字の隣には、小さく文字が表示されていると思います。アメリカでは電話の時代からの手法なので、誰にとっても親しみやすいシステムでしょう。企業にとっても、とてもわかりやすいプロモーションになりますね。ちなみに、1―800 の後は、7 桁の数字になりますので、(3 文字)―(4 文字)や、(4 文字)―(3 文字) で区切って、覚えやすいフレーズにしたりしています。 は単なる区切りなので、ダイヤルは不要ですからね。

きっと似たような使い方をしている企業はいっぱいあるだろう……と思い、ちょっと調べてみたところ、いろいろありました。

  • 1―800―CALL―NOW コールセンターのアウトソーシング
  • 1―800―QUIT―NOW禁煙の相談
  • 1―800―GO―DEPOT文具・オフィス用品・什器などの小売店
  • 1―800―PICK―UPS大手物流企業

……などなど。

企業ばかりではありません。兵士の募集も 1―800 でやってます。

  • 1―800―USA―ARMYアメリカ陸軍の隊員募集案内
  • 1―800―USA―NAVYアメリカ海軍の隊員募集案内
  • 1―800―MARINESアメリカ海兵隊の隊員募集案内

残念なのが、アメリカ空軍……。

  • 1―800―423―USAF

いい番号が思いつかなかったのか、「これはいい!」と思ったどこかの企業に先にとられてしまったのか、数字混じり……。

おもしろいところでは、

  • 1―800―GOT―JUNK?廃品回収業者

なんかがあります。GOT―JUNK? だと 8 文字なので、7 文字ルールを 1 文字オーバーしていますが、大丈夫。最後の ? は対応したダイヤルがありません※。なので、この会社は、街を走る廃品回収車にもこの電話番号を大きくペイントしているみたいです。あとは、

  • 1―800―FLOODED → 水まわりの修理業者

覚えやすいですねえ。水まわりの修理は、「いま必要でないお客さま」が、「将来突然お客さまになるかも!」な世界なので、覚えてもらうことを第一に考えたのでしょう。
※ 1―800―GOT―JUNK? のように、規定の 7 文字を超える長さのものは他にもありますが、ダイヤルする際には超過分は無視されるので、ちゃんとつながります

おまけ : 考えてみれば、インターネットに不可欠なドメインも、概念はこれとほとんど一緒なんですよね。192.168.XXX.XXX のような覚えにく~い IP アドレス(サーバの住所というか、緯度経度のようなもの)を www.yahoo.co.jp のようなドメイン名に自動的に変換しているわけです。インターネットグループの「お名前.com」では、ドメイン登録・管理のサービスをご提供しています。ドメインもフリーダイヤル同様、覚えやすいものからどんどん売れていきますので、お急ぎください!本日(2014/07/22) 12:00 より、新ドメイン .tokyo の一般登録が開始されます。特設ページも設けていますので、ぜひご利用ください。(宣伝?)

photo : “No. 473″ by Kool Cats | “telephone dial” by Leo Reynolds


日本語で「キムさん」はよくても、韓国語で「キムシ」は不自然?!

2014/07/15 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'Eliot and the Year 6 students' by Brian Yap (葉)

こんにちは、maki です。前回の Michael D のような「ファーストネーム+姓の頭文字」の呼び方に続いて、韓国での人の呼び方について調べてみました。

パートナー企業にキムヘリム(金惠林)さんという人がいました。その会社の社長はこの人に確認したいことがあって、キムさんを呼びました。「ヘリムシ!」と。この「シ」()は、日本語の「さん」に相当するもののようです。アメリカのように韓国でもファーストネームで呼ぶ文化があるのかと思いきや、ちょっと事情はアメリカと違うようです。

OK:ヘリムシ(ヘリムさん)
NG:キムシ(キムさん)
OK:キムヘリムシ(キムヘリムさん)

しばらく前に、中国と韓国の苗字についてご紹介しましたが、韓国の苗字(姓)は 250 種類ぐらいしかないので、同姓の人がかなり多いのです。なので、「キムシ!」(キムさん!)と街中で叫んでしまうと、何人ものキムさんが振り返ってしまうことになってしまいます。そこから、「キムシ」とだけ呼ばれると、そう呼ばれたキムさんは「ああ、この人にとっては、自分はキムなんとか程度の存在でしかないのだな」と思ってしまう……なので、姓+「シ」というのは使うのはよくないという事情があるようです。

しかし、「シ」()と「さん」は、似ているようでちょっと違います。目上の人には「ニム」()を使うようです。自分の会社の社長など話者にとって目上の人物について語る場合が日本語とは異なっています。韓国語では「社長さま」(サジャンニム / 사장)や「部長さま」(プジャンニム / 부장)のように「さま」に相当する「」が付きます。これは、自社内での表現ではなく、他社の人に対しても自分の会社の社長は、「社長さま」なのです。年長者を尊敬するのは、日本でも韓国でも普通ですが、日本の場合は、ウチとソトを区別し、それが優先されるので自社の社長について言及するときには「さま」はつきませんね。

日本語の尊敬表現・謙譲表現も難しいですが、韓国語も難しい。似ているからこそ、母語の文化に引きずられてしまって、日本語を学んだ韓国人でもつい電話口で「社長さまは不在です」などと言ってしまうんですね。

Michael D の話にもどります。このアメリカでの「ファーストネーム+姓の頭文字」という呼び方は、留学中に小学校でこどもをしかるときに学んだ呼び方です。じゃあ、韓国ではどんな呼び方なのかというと、

キムヘリム!

だそうです。韓国では先生は尊敬すべき対象であり、児童、生徒に対して呼び捨てで呼びつけることが許されています。そして、姓と名は組み合わせて呼ぶのだそうです。それが韓国での「教育者としてあるべき姿」なんですね(韓国でお子さんを持つお母さん談)。田舎の方では、「おい!お前!」みたいな表現がいまだに生きているとか。一昔どころじゃない昔の日本のようですね。
※ ちなみに中国でも、教師は「フルネーム(呼び捨て)」が基本のようです

photo : “Eliot and the Year 6 students” by Brian Yap (葉)
※ 残念ながら写真は、中国の小学校の様子のようです……


マイケル D!~ファーストネームで呼ぶ文化

2014/07/11 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'shouting in the storm' by  Raul Lieberwirth

こんにちは、maki です。アメリカ留学中の思い出です。知り合いの人がある小学校で授業をしているのを見に行ったことがあります。小学校なので、みんなやんちゃでとても騒々しい。そんな中で、マイケルくんという少年が先生に怒られました。先生は、ピシッと

Michael D!

とその子の名前を呼びました。これはなかなか新鮮な体験でした。アメリカでは、ファーストネームで呼ぶ文化があるというのはよく知られていますが、その後ろに苗字の頭文字をつけて呼ぶことがあるんですね。Michael という名前はとてもポピュラーなので、クラスには 2 人の Michael がいました。おそらく、Michael DouglasMichael Stevens のどちらを叱っているのかがわかるように苗字の頭文字を付けて叱ったのかな……と思いました。アメリカの人名にもバリエーションは多いですが、やはり Michael のようにキリスト教に因んだ名前(天使や使徒、聖人など)の人は相当多そうです。それだと、学校のような環境だと、苗字の方も言わないと、誰が叱られているのかわかりませんね。
※ 『ヤバい経済学』(原題:Freakonomics)によると、アメリカでも日本のようにキラキラネームが増殖中だそうです

この「ファーストネーム + 苗字の頭文字」というスタイルは、最近ではヒップホップミュージシャンによく見かけるような気がします。Stevie B というアーティストは、Steven Bernard Hill という本名であったり、Warren G であれば Warren Griffin III だったりするみたい。スポーツ選手にもいそうですね。いいサンプルがないかなーと探していたら、見つけました。J-WAVE などで人気の DJ、ショーン K。この方の本名は、Sean McArdle Kawakami さん。アメリカ人のお父さん(McArdle)と日本人のお母さん(Kawakami)が名前に含まれていますが、ここから Sean K となったようですね。

日本だと、当然苗字が優先されるでしょう。こどものころの記憶はもうぼんやりとしかないですし、教育現場も変わってきているでしょうから、今なら

高橋君!

みたいに叱られるのかな。高橋少年が複数いる場合は、区別のために、毅くんとか良太郎くんと区別するんでしょうか(その他の児童は苗字で呼ぶとか)。

もちろん、アメリカでも誰でもがファーストネームで呼び合うわけではありません。やはり、それは人間関係とか、その発言の場と言ったコンテクストに依存します。しばらく前に、オバマ大統領が来日した際に、記者会見中に安倍首相が大統領のことを「バラク」と呼びましたが、それは適切でないという批判もありました。当人同士のコミュニケーションにおいては適切でも、オフィシャルな場では適切ではない……そんな暗黙のルールがあります。

とはいえ、アメリカでは比較的ファーストネームで呼び合う習慣は日本よりも一般的です。じゃあ、それはヨーロッパでもそうなのかというと、そうでもないようです。ドイツでは、相当親しくない限りは、Herr Schmidt(シュミットさん / Mr. Schmidt)とか、Frau Müller(ミューラーさん / Mrs. Müller)のように呼ぶようです。ドイツらしいなあと感じるのですが、地続きのお隣のオランダでは、同僚はもちろん、上司やビジネスパートナーであっても、ファーストネームで呼ぶのが普通なのだそうです。所変われば、呼び名も変わる……んですね。地続きではないですが、韓国や中国ではどうなんでしょうね。

photo : “shouting in the storm” by Raul Lieberwirth


食品業界で話題のハラル認証。次はコーシャ認証が来る?

2014/06/17 | Posted by maki in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'New York Kosher' by Thomas Hawk

こんにちは、maki です。食品業界で話題のハラル認証ハラルとは、イスラム教の戒律に従って調理・加工された食品のこと。地方の中規模レベルの食品加工業者がハラル認証の取得に力を入れているという報道を最近目にされることが多いのではないかと思います。イスラム教の食事に関する戒律で、よく知られているルールとしては、豚肉を食べてはいけないというのがあります。豚肉以外の肉でも、食肉加工する際に一定のルールに従っていないとダメですし、食肉として加工するまでの飼料であってもハラル認証を受けていないもので育てられたものも NG です。厳しい審査を経た上で、ようやく承認されるものなんですね。ようやく審査をパスし、ハラル認証というお墨付きを受けたシールを貼ることができれば、イスラム教徒の人も安心して買えるんですね(売る人も安心して売ることができます)。

全世界のイスラム教徒は、15.7 億人。イスラム教と言えば、中近東発祥なので、イスラム教徒の人口が最も多い国もあちらの方かな……と思っていたのですが、インドネシアが最多なんですね。他にも、パキスタン、インド、バングラデシュなどに多く、この国々だけで半分弱ぐらいになるんだそうです。

全世界の 15.7 億人が顧客になってくれる可能性があるとすれば、「ハラル認証を取得して、海外に売り出そう!」と考える企業も増えて当然かなと思います。和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたこともこの動きに追い風になっているのかもしれません。そして、ハラル認証を受けようという潮流が、コーシャにも波及するかも……?

いまだに忘れられないのですが、留学する前に見かけた KOSHER の文字。寮の申込書の MEAL PLAN という項目の中で聞かれていました。食事付きを希望するなら、普通の食事がいいか、KOSHER がいいか……を聞いているようでした。あまりにも馴染みがありませんでしたし、そもそも自炊をするつもりだったので、特にチェックはしませんでした。そのとき、辞書で調べればすぐわかったはずなのですが、そのときは気にもせずにいました。留学先は New York だったのですが、現地に行ってすぐにわかりました。

'Waiting at West 4th (等待地铁)' by Jens Schott Knudsen

KOSHER とは、ユダヤ人用の食べ物のことだったのです(厳密には、食べ物以外のものを指す場合もあります)。KOSHER でも豚肉は禁じられていますので、イスラム教の戒律に似た部分もあります。ユダヤ教でも、食べてもいいものと食べてはいけないものが規定されています。ハラル同様、コーシャにも細かい規定がいろいろとあります。しかし、全員が食べ物にまで気を使う敬虔なユダヤ教信者というわけではないようです。寮のルームメイトもカリフォルニア州出身のユダヤ人でしたが、服装も普通でしたし、食べ物にも気を配っているようには(それほどは?)見えませんでした。

ニューヨーク近郊には、写真にあるような黒い帽子や服を身にまとい、ひげともみあげを伸ばす身なりのユダヤ教の厳格な教義に従って生きる人たちはかなり多かったですね(データにより異なりますが、ニューヨーク州の総人口の 8 – 9 % の人がユダヤ系なんだそうです)。20 世紀初頭に東欧諸国から移民となって渡ってきた人たちがニューヨーク周辺に定住したようです。寮は 1 年で出て、アパートに住みましたが、大家さんはポーランドからやってきた移民の人でした。生い立ちまでお聞きすることはなかったのですが、彼女もユダヤ系だったのかもしれません。また、アパートは、Manhattan の East Village と呼ばれるエリアでしたが、このあたりでもちょこちょこヘブライ文字の看板を見かけました。あのころはぼんやりと「ああ、ヘブライ語の看板だなあ」と思っていたのですが、実際はイディッシュという言語だったのかもしれません。こんな文字( ייִדיש‎ = Yidish)でまったく読めませんでした……。そんなユダヤ系の人の間ではポピュラーな食べ物で、いまやアメリカ全土、最近では日本でも人気のものがあります。それは、ベーグル!トラッドな食べ方としては、2 つにスライスして、クリームチーズをはさむスタイル。ひとつ 30 – 40 セントぐらいだった記憶があります。安くておいしい食べ物として、朝食にはたびたび登場していました!

脱線してしまいましたが、話題はコーシャに戻ります。日刊工業新聞でも報じられたようですが、ハラル認証に続き、JETRO によるコーシャ認証の調査が始まったようです。ハラルがカバーできる人口は 15.7 億人、コーシャでカバーできる人口は 1400 万人。どちらにも戒律に厳格に従わない生き方をする人もいますが、イスラム教徒に選んでもらえる認証の方が現時点では数で言えば優勢ですね。コーシャは、ユダヤ人だけの食べ物ということではなく、厳密なルールにのっとって加工されている食材ということで、アメリカでは「健康」や「安全」といった印象を持たれているようです。コストコでも積極的に仕入れているようです(日本のコストコでも買えるのでしょうか?)。先ほどご案内した記事にも取り上げられていましたが、加藤吉平商店という「梵」というおいしい日本酒を作っている会社がありますが、加藤吉平商店では、全商品にコーシャ認証を取得したとか。海外での日本酒ブームが高まっていますが、「梵」のコーシャ認証は追い風になるでしょうか。今後に期待です。

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