こんにちは、maki です。ここしばらく、「イギリスの 10 億は、アメリカの 10 億ではない?!」や「暦のひみつ ~ September(9月)は、第7の月?!」の記事で英語とフランス語・ラテン語、あるいはドイツ語との関連を見てきたわけですが、ついでに曜日についても調べちゃいましょう♪
英語 | ドイツ語 | フランス語 | ラテン語 | |
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月曜日 | Monday | Montag | Lundi | dies Lunae |
火曜日 | Tuesday | Dienstag | Mardi | dies Martis |
水曜日 | Wednesday | Mittwoch | Mercredi | dies Mercurii |
木曜日 | Thursday | Donnerstag | Jeudi | dies Iovis |
金曜日 | Friday | Freitag | Vendredi | dies Veneris |
土曜日 | Saturday | Samstag | Samedi | dies Saturni |
日曜日 | Sunday | Sonntag | Dimanche | dies Solis |
このリストの中で、同じ色で着色された曜日については、語源が共通するものです。4 言語で完全に一致するものは、月曜日だけですね。
まずは、月曜日。Monday / Montag の Mon は、moon(月)で、ラテン語の Lūna(月の女神ルーナ)ですので、Lundi / Lunea と意味はほぼ同じ。
次は、火曜日。Mardi / Martis の Mar は、Mars(軍神マールス → 火星)を起源としています。英語 / ドイツ語については、何の関係もなさそうに見えますが、微妙に関係はあるようです。Tuesday / Dienstag は、ゲルマン神話の Tyr(テュール)を起源とする言葉(英語とドイツ語ではずいぶん違うように見えますが……)。これもゲルマン神話では軍神。ラテン語から曜日がゲルマン語に取り入れられた際に Mar は、Mars と Tyr が習合(同一視)されたようです。
※ 日本古来の神と仏教由来の仏を同一視する神仏習合はよく聞く話ですが、世界にはいろいろあるんですね
ひとつ飛ばして、木曜日。フランス語の Jeudi とラテン語の Iovis はちょっと違うように見えますが、ローマ神話の主神の Ivppiter(主神ユーピテル → 木星)を起源としています。英語 / ドイツ語については、これも火曜日同様の習合で、ゲルマン神話の Tor(トール)を起源とします。ここから Thursday / Donnerstag となりました。
金曜日も火曜日、木曜日と同様の習合です。フランス語の Vendredi とラテン語の Veneris、日本でも馴染み深いローマ神話の愛の女神の Venus(女神ウェヌス = ヴィーナス → 金星)から。英語 / ドイツ語は、ゲルマン神話の愛の女神 Freya(フレイヤ)を起源とします。ここから Friday / Freitag に。
火曜日、木曜日、金曜日とローマ神話とゲルマン神話の習合のコンビネーションでしたが、土曜日はちょっと違います。英語の Saturday とラテン語の Saturniは、ローマ神話の Saturnus(農耕神サートゥルヌス → 土星)から。ドイツ語の Samstag、フランス語の Samediは、いずれもラテン語の sabbatum(安息日)を起源としています。
そして、日曜日。これは、わかりやすいパターンで、英語 = Sunday、ドイツ語 = Sonntag、ラテン語 = Solis は、ローマ神話の Sol(太陽神ソール → 太陽)です。フランス語だけが、ちょっと違って Dimanche。ラテン語の dies Dominicus(主の日)を起源とします。
さっき後回しにした水曜日ですが、これも変則的なパターン。フランス語の Mercredi とラテン語の Mercurii は、ローマ神話の Mercurius(商いの神メルクリウス → 水星)から。英語の Wednesday は、ゲルマン神話の最高神 Odin(最高神オーディン)から。ゲームのファイナルファンタジーや、パズドラにも登場するキャラクターなので、聞きなじみがあるかもしれませんね。英語では、Woden とも綴られるようなので、そう考えると Wednesday も何となくわかります。そして、ドイツ語の Mittwoch ですが、真ん中の日(週の中日)という意味。Mittwoch が英語の mid と同義です(とはいえ、水曜日だけ手抜きっぽくも感じます)。
日本の曜日は、英語の曜日の命名法よりもよりラテン語の命名法に沿っているように感じます。日本の曜日は、弘法大師が唐からもたらした『宿曜経』(文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経)によって広まったと言われています。原典はインドの古代占星術に起源を持つと言われます。インドの古代占星術はヘレニズム時代にギリシアから影響を受けたとも言われていますので、ギリシャを起点に西はローマに至り、東はインドを経由して日本まで伝わったのかもしれないですね。
Cf. 中外日報 : 空海がもたらした曜日 ― 唐から『宿曜経』持ち帰る
おまけ :
『宿曜経』には、九曜(土曜、水曜、木曜、火曜、金曜、月曜、日曜、計都、羅睺)があり、このうち土曜から日曜までが七曜と呼ばれます。木曜、火曜、土曜、金曜、水曜が、5 大元素の木・火・土・金・水の五行に、月曜、日曜が陰陽にあたります。そう考えると、木・火・土・金・水を「陰」(と = 弟・おとうと)と「陽」(え = 兄・あに)をコンビネーションにすると、甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)の十干となります。