所変われば、表記も変わる ~ 数字の桁区切り

8月 1st, 2017 | Posted by maki in 小ネタ
'2176130_The_Reserve_Bank_of_Zimbabwe_introduces_10_20_50_and_100_trillion_Zimbabwe_dollar_notesepa01-xlarge_trans++x9qSHbeosvxfwsJrZyLDI3antVQi3GJ85Q-Ov6ogfk4' by ビッグアップジャパン

こんにちは、maki です。さて、クイズです。この人は何ドル持っているでしょうか?そもそも何枚のお札(さつ)を持っているのかがわかりませんが、1 枚のお札だけで TEN TRILLION DOLLARS の価値があるようです。MILLION ぐらいだったら「ミリオンセラー」とかの文脈で日本語でも普通に使うので、100 万だとすぐわかりますが、TRILLION と言われてもなかなかピンときません……。記載されている額面は、10000000000000。数えてみます。一、十、百、千、万……10 兆!1 枚で 10 兆ドルだとすると、この人はその高額紙幣を何枚持っている?100 枚は持ってそうですね。とすると、1000 兆ドル!

とはいえ、米ドルではありません。ジンバブエ・ドルです。すでに、ジンバブエ・ドルは廃止されてしまったのですが、ハイパーインフレで自国通貨をどんどん高額紙幣に切り替えた結果、このようなお札が生まれてしまったようです。廃止されたのは 2015 年だそうですが、当時のハフィントンポストの記事によると「300000000000000ドル=1円」とありました。10000000000000 ジンバブエドル札が 100 枚あっても、日本円だと 3.33 円!なんともがっかりな話ですが、1000 円を両替したら相当なお金持ち気分が味わえたかもしれません。
Cf. ハフィントンポスト : ジンバブエ・ドル、ついに廃止 壮絶なインフレで300000000000000ドル=1円

ここまでは、10000000000000 といった形で記載していましたが、金額を表示するときにはやはり区切りの記号を入れたほうがいいですよね。

1000000000000010,000,000,000,000

この桁区切りに使う「,」を英語では、

thousands separator (桁区切り)

……と呼びます。基本的に、英語などでは、thousand (1,000) → million (1,000,000) → billion (1,000,000,000)…… と 1,000 倍するごとに単位が変化していくので、thousands separator と呼ぶのでしょう。

日本人の脳内には (10,000) → (100,000,000) が浸みついているので、1,000 単位での切り替えがいつまでもなじめないのですけど……そんなことないですか?日ごろ数値とにらめっこしている経理の人などはそんなことないんでしょうけど、そうでない人にはそんなもんなんです!(個人的感想?)

話をもどします。一方、小数点以下の数値に使う「.」は、

decimal mark / decimal separator (小数点)

……と呼びます。

これらを組み合わせて、

1,234,567.89

……のように使います。

しかし、世界全体を見ると、各国でさまざまな違いがあります。Wikipedia(英語版)の Decimal mark の項目に詳しい説明がありましたので、一部抜粋(翻訳) + コメント追加します。

1,234,567.89 オーストラリア / カナダ(英語圏 / 非公式) / 中国 / 香港 / アイルランド / イスラエル / 日本 / 韓国 / マレーシア / メキシコ / ニュージーランド / パキスタン / フィリピン / シンガポール / 台湾 / タイ / イギリス / アメリカ
1 234 567.89 国際単位系(英語版) / カナダ(英語圏) / 中国 / スリランカ / スイス(通貨表記に推奨)
※ ちょっとだけ桁区切り部分に空白が入るパターン
1 234 567,89 国際単位系(フランス語版) / アルバニア / オーストリア / ベルギー / ブラジル / ブルガリア / カナダ(フランス語圏) / クロアチア / チェコ / デンマーク / エストニア / フィンランド / フランス / ドイツ / ギリシャ / ハンガリー / イタリア / コソボ / オランダ(通貨表記以外) / ノルウェー / ペルー / ポーランド / ポルトガル / ルーマニア / ロシア / セルビア / スロバキア / スロベニア / 南アフリカ / スペイン / スウェーデン / スイス(通貨表記以外に推奨) / ウクライナ
※ ちょっとだけ桁区切り部分に空白が入るパターン + 小数点にカンマを使うパターン
1.234.567,89 アルゼンチン / オーストリア / ボスニア・ヘルツェゴビナ / ブラジル / チリ / デンマーク / ドイツ / ギリシャ / インドネシア / オランダ(通貨表記) / ポルトガル / ルーマニア / ロシア / スロベニア / スペイン(古い書式) / スウェーデン(非推奨) / トルコ
※ 桁区切り部分にドット(ピリオド) + 小数点にカンマを使うパターン
123.4567,89 中国(万の単位での桁区切り)
※ 日本の単位の感覚に合致しています。とはいえ、日本と同じ 1,000 単位の方が利用頻度は高いのでは?と思います

国や地域の違いだけでなく、分野によっても違いが出ることがあります。これも広い意味での翻訳の範疇に入るローカライゼーションかもしれません。特にご希望のある場合は、翻訳をご依頼の際に担当者へのメモを残すことができますので、「スピード翻訳」 をご活用の際はご検討ください。
※ ある翻訳会社のブログ記事(英語)にも似たようなものがありました

おまけ
関連記事 :
所変われば、表記も変わる ~ 日付の表記法

多少なりともこのエントリーと関連ありそうな過去のエントリー(?) :
メートル法とヤード・ポンド法 / 桁数を揃えるために数字の先頭に書いておく、あの「ゼロ」

やはり、この桁区切り問題、いろんなところで話題になっているようですね。
Cf. IPF biz – 大きい数字を読むコツ ~3桁区切りは日本語に馴染まない~ / YOMIURI ONLINE(読売新聞): 発言小町 – 桁の大きな数字の読み方のコツを教えてください / ミームの死骸を越えて行け – Billion, Millionなど英語の数字単位を頭の中で日本の単位に換算する方法

IT の世界でのプログラミングにおいては、いろんな言語が存在しますが、各言語ともに国際化対応の下、それぞれの言語でちょっとした工夫(関数とロケールの使用)をすることで、同じ数値を各言語に対応した表記法に変換できるようにしているみたいですね。翻訳業務にもこんな関数があるといいですね……。
Cf : ORACLE – 国際化対応言語環境の利用ガイド

millionアメリカ英語 / イギリス英語問題もありますが、キリがないのでまた後日……。


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