「Food = 食べ物」ではない? 業界で異なる英語→日本語の翻訳

9月 5th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ

こんにちは、maggy です。以前も少しお話しましたが、ただいま仕事で海外企業(欧州)のウェブサイトのローカライゼーションに携わっています。わたしはディレクションを担当しています。英語 → 日本語の翻訳は、翻訳者の専門家の皆さまにお願いしています。

現在制作しているのは、旅行関係のウェブサイトで、いよいよ日本版ローンチの大詰めです。しかし、そんなタイミングでデザイナーさんからこんな内容のメールが英語で届きました。

「すみません! “Food”って日本語でなんて言いますか? サイトで旅先の Best in Food を紹介するメニューアイコンの制作に必要ですが、翻訳の依頼リストから漏れてしまっていました。至急、教えてください。」

Food……? それは、人間にとっての最重要単語。乳児だって、ママとマンマと口にしてこそ生き延びていけるというものです。そんな英語学習の超初期段階で習得するような簡単な英単語の意味を、仕事で聞かれるとは!

「Food = 食べ物じゃないの?」「辞書でも引けば、すぐ出てくるのに」。一瞬、そんな風に思いました。でも、ちょっと待って! 旅行関係のウェブサイトのアイコンに「食べ物」はちょっと直接的すぎるように思われました。オシャレにカタカナで「フード」? あれ?

オンラインの英英辞書を引いてみると……

any nourishing substance that is eaten, drunk, or otherwise taken into the body to sustain life, provide energy, promote growth, etc.
(栄養のある物質で、食べたり、飲んだり、または体内に吸収できるもの。生命を維持したり、エネルギー補給したり、成長を支えるもの。)

…とあります。2 番めには、「主に固形物」と書いてあったのですが、広義では「食べ物」だけでなく、「飲み物」も含まれるんですね。

なるほど……だとすると、それでは他の旅行関連のサイトはどうなっているのでしょうか。急いで 10 社ほどウェブサイトを確認してみたら……。お気付きでしょうか。おいしい食に関する情報は「グルメ」と書いてあったのです。グルメと書けば飲み物も入るし、「食べ物」よりおいしそうな感じがしますよね。こういう言葉を使うのか! と納得しました。

旅行関係のウェブサイトでは「Food = 食べ物」ではない。この発見のために、実に 1 時間もかかってしまいました。翻訳者の皆さんは、それぞれのご専門を持っていますが、こうした業界ごとの言葉遣いも熟知しているのだと、改めて気付かされました。

ちなみに釣りのサイトなんかだと Food = エサ、園芸サイトなんかだと Food = (植物の)肥料になるんでしょうかね。うーん、奥が深いです。

おまけ :「スピード翻訳」には、商業・PR 関係の翻訳は多数ご依頼があります。各業界に精通したプロ翻訳者にお任せください。

photo : “Event food” by faungg’s photo


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