英文契約書・法律文書で日付の後ろに出てくる inst. ult. prox. とは?

4月 25th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ

'Latin for Lawyers; 2000 Famous Legal Quotations' by umjanedoan

こんにちは、maggy です。欧州の法律事務所で仕事のお手伝いをした話の続きです。

最高裁判所(The Supreme Court)に提出する法律文書やレターのタイピングや印刷をしたのですが、書面の本文に、こんな一節がありました。

on the 25th inst.

内容の文脈からして、日付のことを指しているようでしたが、日付の後ろの inst. とは?

調べてみたところ、この場合の inst. はラテン語を由来とする instant mense の略で、「今月の」という意味になるそうです。

例えば 2014 年 4 月 5 日付のレターや書類の本文に、on the 25th inst. と書いてあったとしたら、それは 「今月の 25 日」、つまり 2014 年 4 月 25日 を意味する、ということになります。

ほかにも、on the 25th ult.(先月の15日)、on the 15th prox.(来月の15日)という表現もあり、それぞれラテン語の ultimo mense、proximo mense の略になるそうです。

どうやらこれらは少し古い英語で、今ではあまり一般的ではないようです。ただ、こうした法律文書や契約書においては、こうしてまだ使われているんですね。すこし調べてみたところ、あるブログにジョージ・ワシントンが

I was very glad to receive your letter of the 31st ultimo, because I was afraid, from the accounts given me of your spitting blood,……

と ultimo を用いて書簡を書いていたという記事がありましたので、ワシントンの時代(書簡が書かれたのは 1792 年)にはアメリカでも使われていたようですね。この当時の教養のある階級では、書簡や法律文書などでは普通に使われていたようです。

そういえばお手伝いをした法律事務所では、同じような裁判事例がないかどうか調べるために、18 世紀の事例まで遡ったことがあるとおっしゃっていました。古い英語に触れる機会が多いので、この業界の皆さんはこうした古い英語表現も使い慣れているのでしょうか。

日付の書き方だけでなく、文章全体でも法的文書のお作法(形式)に沿って、時代を越えて誰が読んでもわかるように論理的に、分かりやすく書くことが求められるそうです。

これから何百年も保管される文書を作るのは、ちょっとしたお手伝いの身とはいえ、緊張しました。

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photo : “Latin for Lawyers; 2000 Famous Legal Quotations” by umjanedoan


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