東京オリンピックは英語で「Tokyo Olympics(東京オリンピックス)」。 なぜ複数形? それとも単数形!?

9月 30th, 2016 | Posted by maggy in 小ネタ
'4頭立ての戦車(ミュンヘン古代美術博物館、紀元前540年頃)' by MatthiasKabel

こんにちは、maggy です。リオデジャネイロオリンピックが終わって、いよいよ東京オリンピックに向けて真っしぐら。英語力も高めていきたいですね。早速、英語で東京オリンピックについて英語で情報収集をしていて気が付いたのですが……あれ?

  • Tokyo 2020 Olympics
  • Tokyo 2020 Summer Olympics
  • The Tokyo Olympics
  • 2020 Summer Olympics

東京オリンピックの公式サイト(英語版)も含め、多少のバラエティはありますが、どこもオリンピックになっています。

こんな書き方もありました。


  • Tokyo 2020 Olympic Games
  • The 2020 Tokyo Olympic and Paralympic Games

こちらもオリンピック・ゲームと、複数形ですね。

オリンピックには競技(= Game)が複数あるので、英語ではこのように複数形にするのだそう。また、 Olympic Games(オリンピック競技)のほうが正式名称で、その短縮形が Olympics とのこと。

Olympic(オリンピアの)とは、もともとは形容詞で、近代オリンピック(Olympic Games)の起源である古代ギリシャで開かれていたスポーツの祭典 = 古代オリンピック(Ancient Olympic Games)の開催地オリンピア(Olympia *古代ギリシャ語の発音ではオリュンピアに近い)に由来する言葉。オリンピアの(Olympic)競技(Games)という形容詞が短縮されて名詞的に使われるようになり、

Olympic Games(オリンピック・ゲーム) => Olympics(オリンピック

と変遷したのだとか。複数の競技があるという感覚は、残っているんですね。

さらに英文を読み続けていると、文章になると The Olympics is〜. / The Olympic Games is〜. と、単数扱いで受けている文もあれば、The Olympics are〜. / The Olympic Games are〜. と、複数扱いで受けている文もあります。

英語圏では Olympics は単数扱いと複数扱い、どちらでも使われているそうです。両者の違いとしては、複数の競技の集合体として認識するなら 〜 is と単数扱い複数のイベントがいろいろある、というイメージなら 〜 are と複数扱いという微妙なニュアンスの違いがあるのだとか。

英語で名詞に s がついているのに文では単数扱いする例は、他にもあります。

例えば、国名です。

  • The United States(アメリカ合衆国)
  • The United Arab Emirates(アラブ首長国連邦)
  • The Netherlands(オランダ)

アメリカ合衆国(The United States)は、50の州(state)で構成される国ですね。The United States is〜. と言うのは、50 の州 = 50 states が一つになった集合体、というわけです。アラブ首長国連邦(The United Arab Emirates)も、イスラム世界の君主の称号(首長)のことを意味する emirate の複数形です。アブダビ、ドバイなどの 7 つの首長国 = seven emirates によって構成される一つの国、というわけです。

英語でオランダ = Holland と覚えた方も多いと思いますが、The Netherlands とも呼ばれます。これは、古くからベネルクス 3 国 (オランダ、ベルギー、ルクセ ンブルク)の地域が、「低い土地」を意味する The Netherland を複数形にしたこの言葉で呼ばれてきた、その名残りなのだそう(参考:オランダ大使館・オランダ総領事館「オランダの正式国名は何ですか?」 「“The Netherlands”と“Holland”の違い何ですか?」)。

いずれもやはり、複数の集合体の総称だから、単数扱いになるんですんですね。こういう場合は、大概、最初に The が付くそうです。

もう一つの例です。学問の名前は語尾に s が付いていますが、これも is〜. と、単数扱いだとか。

economics (経済学)
ethics(倫理学)
linguistics(言語学)
mathematics(数学)
phonetics(音声学)
physics (物理学)など

こちらは、ギリシャ語 => ラテン語 => 英語という変遷のなかで作られた、形容詞を名詞化する ic が複数形になり、学問体系の名を表わす接尾辞になったのだそう(参考:Dictionary.com “-ics”

日本語には名詞に単数形、複数形という概念がないので、ただでさえややこしいのに……。

英語はあれこれと変遷して今の形になっているんですから、2020 年あたりには東京オリンピック開催を祝して、ローマ字で Orinpikku(単数・複数関係なし)なんてダメかなあ……と考えました(まあ、ダメでしょう)。

オリンピックの原点は、神に捧げる古代ギリシャのスポーツ音祭典。五輪のシンボルマーク(The Olympic symbols)にもあるように、世界が一つの集合体になるわけです。オリンピアで行われていた、複数の競技と市民が心を一つにした時代に想いを馳せながら、英語では Tokyo Olympics とグローバル・スタンダードでがんばるとしましょう……。

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photo : ”4頭立ての戦車(ミュンヘン古代美術博物館、紀元前540年頃)” by MatthiasKabel


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