「台湾語」の解釈をめぐって

2014/11/27 | Posted by xiaofan in 小ネタ

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大家好! xiaofan です。この秋、日本からの台湾旅行客が増加しているそう。そんな中、とある友人が台北にやってきました。初めての台湾ツアーの忙しい隙間をぬって予定をこじあけてくれた彼女が開口一番、こう言うのです。「いやあ、台湾語がさっぱりわからなくて、どうしようかと思った」……この一文、あなたならどう解釈しますか。

文脈から察するに、現地の言葉を「地名+語」という方程式に当てはめて、

台湾語 = 台湾で使われている語

のように解釈している人は多いのではないでしょうか。けれども、実はこの台湾語という語、いろんな解釈があるのです。まず、冒頭の例から考えてみましょう。現地には選択肢がたくさんあるということが、想定されていないのかもしれません。日本の言語環境をそのまま当てはめていると受け止められます。台湾で使われている言葉といっても、中国語、客家語(はっかご)、原住民族の言葉などたくさんあります。結局、そのどれを指すのか、もしかしたら相手は測りかねることになります。

二つめの解釈は、これ。

台湾語 = 中国語(北京方言)

実際、ある翻訳会社ではこのように位置づけているそう。それは台湾語 = 台湾の国語、そして台湾で国語とされるのは中国語の北京方言だから、という理由によるもの。ただこれは、あくまでも日本人向けの用語という理解に留めておく必要がありそうです。というのも台湾では、台湾語は特定の言語体系を意味するのです。つまり、三つめの解釈です。

台湾語 = 閩南語(びんなんご・みんなんご)

台湾では学校で用いられる中国語の北京方言を国語と呼び、特に南部や上の世代が日常生活で多く使う言語を台湾語もしくは台語と呼び分けています。言語体系としては、中国の閩南地方で用いられていた言語がベースになっているそう。一般に中国語の声調(トーン、イントネーション)は 4 声ですが、台湾語の声調は諸説あり 6 声とも 8 声ともいわれます。たとえば「わたしは日本人です」を言うとこうなります。

漢字表記 我是日本人
中国語の拼音表記 Wǒ shì rìběn rén
台湾語の拼音表記 Gòa sī jìt-pún-lang

音だけ見ると、なんだかまるで違うのですが、台湾語の基本的な文法構造は中国語に似ています。言語学的な位置づけはさまざま議論があるようですが、400 年以上前に中国大陸から渡ってきた人たちがいた歴史を考えると、その人たちの言葉が根付いたのではないかと想像します。

日常生活では、この三番めの解釈で言う台湾語を台語と呼び、二番めの解釈である中国語(北京方言)を国語と呼んで、相手や場面によって両者を切り替えながら話します。たとえば市場のおばちゃんも、最初は台語で話しているけれど、わからないと認識するとすぐに国語に切り替えます。台北では台湾語の比率はやや低く、台湾南部に向かえば向かうほど使用率があがるそう。この使用に関して、こんな記述を見つけました。

台湾語は一地方の方言ということで長い間、抑圧されてきました。ところが1987年に戒厳令が解禁されてから本土化意識(台湾人アイデンティティー)が高まり、それまで日常生活でしか使うことが許されなかった台湾語はあらゆる場面での活躍が目立つようになりました。(略)政治の場においても、これまで唯一、公用語として使用されてきた國語(台湾華語)を使うよりも、台湾人である証を示す意味で、台語(台湾語)を話すほうが民衆に受けが良いとされるようになりました。

出典 : 『はじめての台湾語』 明日香出版社

戒厳令下、たとえば学校では台語の使用は禁じられ、うっかり使うと罰が待っていたとか。台湾では 11 月 29 日に選挙が行われることもあって、街には選挙カーが走り回っているのですが、候補者への投票を呼びかける言語は、台語国語が入り交じります。

「台湾語」と言われた時に、それが何を意味するのか、聞く側のリテラシーも問われるといえるかもしれません。また日本と台湾、この近さであっても、まだまだ台湾がどういう言語環境にあるところなのかがよく知られていない、ということを表しているように思えてなりません。

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

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