Author Archives: xiaofan

台北の秋葉原へ、自撮り棒探しに行くの巻。

2014/10/22 | Posted by xiaofan in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)


大家好! xiaofanです。

この夏、京都へ旅行する機会がありました。外国人観光客の多い京都、JR京都駅の観光協会には英語、韓国語、中国語の簡体字版、繁体字版とガイドブックが揃っていて、その魅力を伝える努力がなされていました。おまけに、相談員さんに滞在時間が限られているんだけど、二条城と清水寺、それから金閣寺を回りたいのだと相談すると、閉館時間や交通などを勘案した上で、ルートを提案してくださいました。プロだなあ、と感動しながら楽しんだ京都の旅でした。

その京都の観光名所ど真ん中で頻繁に見かけたのが自撮り棒です。棒の先にスマホを付けることができ、手元でシャッターを押すことができます。わたしたちは二人旅だったので写真を撮るとなると、誰かに撮ってもらうか、相手を撮るか、無理矢理自撮りしてちょっと残念な写真を我慢するか、の選択肢しかありませんが、自撮り棒なら自由自在! 「ちょっと、あれ欲しいね……」と羨ましく思っていたのでした。

この自撮り棒、台湾でも「自分で撮影する棒」の意味で、自拍棒と呼びます。英語では Selfie Stick。意味としては、世界共通ですね。
Selfie については、こちらの記事をどうぞ

台湾へ戻ってきて、街中でも自撮り棒を見かけるようになりました。アレコレ聞いてみると、電器屋さんや夜市で売っているとのこと。そこで行ってきました、自撮り棒探しの旅。向かった先は、台北の秋葉原光華商場です。

台湾は実は IT 産業が盛んです。シャープとの提携話が話題になった鴻海、日本の携帯市場ですでに広く認知されている HTC、タブレット市場で伸びている ASUS など、大手の電子産業が隆盛なのは、数十年前から政策として工業に力を入れてきたからです。国立台北科技大学のすぐそばには電気街があり、多くの学生がここに足を運ぶのだとか。その電気街を代表するのが光華商場です。さながら日本のヨドバシカメラか、はたまた秋葉原ラジオセンターを思わせる光華商場は、地下 1 階、地上 6 階のビルの中には大小さまざまなテナントが軒を連ね、所狭しと商品をお客さんに売ります

目指す自撮り棒は、ビルの中のあちこちで売られていました。大きく分けて種類は二つ。ざっとまとめてみましょう。

一体型 : リモコンと棒が一緒 400 元〜 ズーム有
分離型: リモコンと棒は別 計 250 元〜 ズーム無
※ 1 台湾元 = 約 3.5 円(2014/10/21 現在)

ズームの有無は大きな違いですが、使っている知人の話によれば、分離型のメリットは、故障の際にリモコンの買い替えだけで済むこと、大勢の撮影でリモコンと棒の距離を考えなくてよいのだそう。また、お店の人の話によれば、自撮り棒は台湾では製造されておらず、製造元はすべて中国だそう。

リモコンは Bluetooth でつなぐ(ペアリングする)だけ、スマホの OS が iOS だとそのままカメラで撮影できました! とっても簡単です。ただ、Android では Camera360 というアプリが必要でした(他にも対応アプリはいろいろあるかも)。リモコンは、棒のあるなしに関係なく、シャッターとしてだけでも使えるので、三脚などをお持ちの方はリモコンの購入だけでもよいかもしれません。

さて、これで次の旅は「あの、シャッター押していただいてもいいでしょうか」と言わなくても済みそうです。以上、繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

おまけ :「スピード翻訳」では、自撮り棒の販売は行っていませんが、24 時間 365 日、中日・日中・韓日・日韓の翻訳を受け付けております(もちろん、英日・日英翻訳も)。プロの翻訳者のご用命は「スピード翻訳」にお任せください。


台湾で中国語を学ぶ際に注意したい辞典の話。

2014/10/03 | Posted by xiaofan in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

大家好! 立秋が過ぎましたね。そういえば、留学して授業が始まったのはこの時期だった、と思い出す xiaofan です。

台湾で中国語を学ぶ際、一つ問題になるのが辞典選びです。紙の辞典、電子辞書、WEB 辞書、アプリなど、今ではさまざまなツールがありますが、このうちどれを選ぶのかは実は悩ましいのです。

というのも、繁体字の辞典は残念ながら選択肢が多くなく、中国語学習者向けの中日辞典の多くは簡体字が使用されています。言語情報も中国大陸がベース、記載されている例文もすべて簡体字というのは、繁体字圏の中国語学習者には大きなハンディです。

電子辞書はどうかというと、紙の辞典のデータが元になっていることが多く、作っているメーカーは違っても情報や内容は原典が同じ紙媒体ということが往々にしてあります。辞典はピンイン検索が基本で、文字の読み方を正確に知らなければたどり着くことができませんでした。ただ、最近は手書き機能が追加されて、だいぶ解消されてきましたが。

反対に、WEB 上の辞典やスマートフォンのアプリは、手書きで文字を検索し、その文字の音を表記から確認することはできます。ただ、問題なのは意味です。ざーっくりとしたなんとなくの理解に役立つことはあっても、信頼性という観点から現時点では少々心もとない。そこで、語彙がどんどん増えていく中級以上の学習者におすすめの選択肢が日本語の漢和辞典台湾の国語辞典です。

日本語の漢和辞典は、入門から初級の学習者におすすめです。日本で使用されている漢字は、中国から渡って来て長い長い間に日本でローカライズされ、使用法や意味が違っていることがあります。ただ、漢和辞典を引いてみると(あ、元々こんな意味があったんだ!)と漢字の理解を深める瞬間が少なくありません。以前お伝えした「当」の字もその一例。高校の漢文の授業でしか引かなかった漢和辞典、一度ひっくり返してみてください。思わぬ発見がありますよ。

中級以上の学習者におすすめなのは、台湾の国語辞典、つまり中中辞典です。語彙が増え、一つ一つの違いを厳密に理解していくには、ある語の言い換えも含めてやはり繁体字で触れていく機会を増やしたいものです。ただし、ここで立ちはだかる問題があるのです。それは、台湾の国語辞典は注音符号(ボポモフォ)の理解が必要だ、ということ。

以前の記事(台湾に「ひらがな」がある?!)でもご紹介しましたが、台湾には台湾のひらがな、といえる文字があります。それが注音符号です。文字を探したいときは部首引きと画数でたどりつけますが、音の表記が注音符号です。したがって、発音を知りたい、となると、この注音の理解は欠かせません。ただし、子ども向けの辞典の中には、注音だけでなくピンインも併記されているものがあります。

いずれにしても、学習段階や自分の語学力、あるいは興味にあわせて辞典を選ぶこと。これは語学学習者にとって自分の力をより確かにしていくためにも必要な技かもしれません。

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

おまけ :「スピード翻訳」では、辞書の販売は行っていませんが、24 時間 365 日、中日・日中・韓日・日韓の翻訳を受け付けております(もちろん、英日・日英翻訳も)。プロの翻訳者のご用命は「スピード翻訳」にお任せください。


台湾の 1 枚のカンバンを辿っていくと?

2014/07/24 | Posted by xiaofan in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'GMO07_PH1' by xiaofan

大家好! それにしても暑い、と毎日つぶやいている xiaofan です。日本はだいたい温帯にあたりますが、台湾の気候は、北部と南部で少し違うんだそう。台北は亜熱帯南部の高雄や台南は熱帯に位置します。なんだか「亜熱帯」「熱帯」と聞いただけで暑く感じてしまいます。ええ、実際暑いのですが。

さて、同じ漢字圏なので、街中を歩いていてたとえ中国語がまったくわからなかったとしても、ここは診療所なんだな……とか、喫茶店なのか……などということは看板でおおよそ推測が効くのですが、一つ不思議な文字がありました。それはの 1 字。日本語の字体に直すとです。これってなんの意味だろうなあと疑問に思っていました。それが一転、これってもしかして…と思ったのは、中国語の授業中に観た映画の 1 シーンでした。

映画は『今天不回家』( = 今日は家に帰らない)といって、60 歳になったばかりの歯科医である主人公が浮気を始めたことをきっかけに、家族内での問題が次々と表面化し、世代間の距離、関係性のあり方をそれぞれが見つめ直す、というもの。習ったばかりの単語が出てくる喜劇タッチの物語を観ながら、毎回こういう授業だといいのに……と要らんことを思いながら観ていました。その当該の場面は、歯科医の息子が事業の資金繰りのため、金貸しらしき場所を後にしたシーンでした。彼の向こう側にたくさんの「當」と書かれた看板が映し出されたのです。それでわかったのでした。その文字は質屋を表しているのだ、ということを。

それで思い出したのは、映画を観るよりも少し前、友達に「この本、売れてるんだって」と教えてもらった 1 冊の本でした。『29 張當票』( = 29枚の質札)という本で、2013 年にはシリーズ 3 冊めが刊行されています。主人公は質屋の店主で、彼の元を訪ねてくる客や質草にまつわる物語を紹介していくお話です。

それにしてもオモシロいのは、同じ内容を表しているのに、(当)、と台湾と日本では違う漢字を使うなんて、思いもかけぬ違いがあるものです。いったい(当)にはどんな意味があるのか、手元の中国語辞書を開いてみました。すると、説明がふたつありました。ここでその違いを抜粋してみます。

(当) dāng
前置詞 : …の時。ことの起きた時間をあらわす。
動詞 : 担当する。任じる。
助動詞 : 当然…すべきだ。
例)當兵 ; 兵隊になる、當地 ; その土地、 當然 ; 当然だ、當選 ; 当選する

(当) dàng
形容詞 : 適当である。ちょうどよい。
動詞 : …に当たる。…に相当する。
名詞 : 質草。
例)當當 ; (品物を)質に入れる當鋪 ; 質屋當時 ; ちょうどその時

出典 : 『新時代中日辞典』大新書局、2005 年

これに対して、漢和辞典ではどのような説明になっているのか、見てみましょう。

なりたち)
旧字体は「當」。「田」と、ここでは、見合う意(償 しょう)とともに音を示す「尚 しょう」とを合わせた字。二つの田の面積や価値がたがいに見合う、相当する意味をあらわす。
1) あたる。あてはまる。      例)当選 該当 相当
2) あたりまえ。そうあるはず。   例)当然 妥当 適当 不当
3) ひきうける。任務とする。    例)当直 担当
4) ちょうどそれ。事物を示す名詞の上にうけて、「その」「この」「いま」などの意味に使う。
                 例)当時 当人
5) まさに…すべし。当然…である。
6) 質。質ぐさ。          例)抵当

出典 :『角川最新漢和辞典 改訂新版』角川学芸出版、1989 年

日本語の(しち)と同義のdàng という声調(イントネーション)で発音し、もうひとつのdāng という声調で読むのですね。こうやって比較してみると、中国語では漢字 1 字を音で読み分けて意味の混乱を避けているのに対し、日本語では 1 字にいろいろな意味を持たせていることがわかります。

で、調べてハッと気づきました。そう、抵当があるではありませんか! 実は昔から、どうして担保のことを「抵当」っていうんだろうなあ……と思っていたのですが、これも漢字本来の字源をたどって、納得することができました。ちなみに、中国語の辞典では今ひとつピンと来ないとき、漢和辞典を引いてみるとたいてい(へぇ)と思わされます。字源を理解すると、なんだかより深く理解できるような。

'GMO07_PH2' by xiaofanさらにこののお話。台湾人の友達に「この文字の意味って、お金を借りられる場所のことなんだね」と言ってみたら、「そうそう。昔は銀行がなかったから、質屋でお金を借りてたんだよ。一般市民が銀行で借りられるようになってからは、質屋もずいぶんと減ったんだけれど、実は公立の質屋もあるんだよ」。

なんと、公立の質屋!!! さっそくググってみると、ありました。本当に。こちらのサイト によれば、1952 年当時、民間の金利の高さを問題視した政府によって、市内 4 カ所に公営の質屋を設立した、とあります。台湾の歴史的には、中国国民党政府が 1949 年に台湾に渡り、その後、月額の利率が 23% という急激なインフレが起き、貨幣改革を行いました。現在では「當舖業法」(つまり、質屋業法)という法律によって、営業が行われているのだそうです。

1 枚の看板から台湾の金融史まで、幅広くなってしまいました。そうそう、ちなみに日本語の看板、台湾でも「カンバン」と日本語と同じ発音で通じますよ。

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

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台湾で活躍する「運ちゃん」。

2014/07/07 | Posted by xiaofan in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

大家好! xiaofanです。連日 35 度を越える台北では、午後になると急に暗くなり、ひと雨ざーっと降る日が増えてきました。ゲリラ豪雨と言えそうですが、どうやら台湾では結構よくあることのよう。たいてい店の軒先がぐっと伸びているので、雨宿りする姿をよく見かけます。こんなに連日雨が降るのに、傘を持ち歩かない人もいるのがなんだか不思議です。

さて、台湾はすっかり夏の装いですが、日本もそろそろ夏休みの相談をしている人もいるのでは? 街中では色とりどりのマンゴーがどっさり売られる季節に入った台湾で、マンゴーを食べに行きたい!と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。旅には役立たないかもしれないけれど、移動にまつわる豆知識をお届けします。

台湾、特に台北近郊の観光であれば、割と気軽に利用できるであろう交通機関に、MRT(市内鉄道)タクシーがあげられます。
※ 以前、ご紹介した MRT の関連記事はこちら

MRT は、東京近郊の鉄道網と比べると、路線はぐっと理解しやすく、アジアでスカイツリーの次に高いタワーを誇る台北 101 や、縁結びの神様で有名な龍山寺、おしゃれの街・永康街、夜市で賑わう士林をはじめ、主要な観光地は網羅されていますから、現地に着いたらすぐにアシとして利用できるのではないでしょうか。運賃は、台湾ドル 20 元(約 60 円)からで、デポジットを払えば Suica や PASMO のような IC カード(悠遊卡 = 悠遊カード・ゆうゆうカード)を購入できます。悠遊卡を使えば、MRT だけでなく市内のバスなどまとめて、小銭に煩わされることなく移動ができます。

日本では「いや、初乗り 700 円もするようじゃ、ちょっと…」と敬遠しがちなタクシーですが、台湾では初乗り台湾ドル 70 元(約 210 円)という金額で、日本に比べればずっと気軽に乗ることができます。車によって行灯は異なりますが、タクシーはすべて山吹色で、夜でも遠くからでもはっきりと見分けることができます。また、漢字圏の台湾では、行き先を漢字で書いて運転手さんに見せれば連れて行ってもらえる、という点もやや気楽。区画整理の行き届いた街づくりがされているので、大きな通りを押さえれば場所も理解しやすい、というのが旅行者にとっても有り難い点です。

ワタクシ、初の台湾旅行で、台北市内に長年住む友人宅を訪ねるためにタクシーを利用した際に友人と住所や行き方をやりとりしていたら、「運ちゃんに A 路と B 路、っていえばわかりますから。あ、運ちゃんって言って大丈夫ですからね!」と言われました。そうなのです、台湾ではタクシー運転手のことを運ちゃんと呼ぶのです。

『台灣人也不知道的 台式國語』(曹銘宗著、貓頭鷹出版、日本未刊行)という本(タイトルの意味は「台湾人も知らない台湾式国語」)によれば、繁体字では運將と書き、「日本統治時代に使われはじめた」とあります。1895 年から 1945 年までの 50 年という間、台湾は日本だった時代があります。その間、台湾では公用語として日本語が使われていました。そのため、人々の暮らしの中に根づき、今なお使われているものが多くあるのです。「運ちゃん」のほかにも、歐吉桑(おじさん)、歐巴桑(おばさん)なんてのも紹介されています。ちなみに当該の項には、この 2 語は「年寄り扱いする意味が含まれているので、親戚などでない限りは相手に失礼だと思わせる可能性があるので使わぬほうがよい」とあります。

話を「運ちゃん」に戻します。この本の「運ちゃん」の項は、「おもしろいことに、台湾式国語の『運ちゃん』という言い方はだんだんと一般に使われるようになったのに対し、日本では 1990 年代以降、あまり使われなくなってきた。理由は、後輩や子どもを呼ぶ際に使う『ちゃん』という呼称で、場合によっては運転手を軽視する意味を含んでしまうからだ」と続けられています。確かに、第三者同士で話していて口にすることはあっても、運転手さん本人に「あ、運ちゃん、そこ曲がってください」なんて言いませんね。そして、この項目はこう結ばれています。「日本ではすでに使われなくなった『運ちゃん』という語は、台湾で新しい命を得たのである」と。ううむ。は、「将軍」や「大将」のなので、軽視されている呼び方だとは認識されていないのかもしれないですね。

確かに、台湾で暮らしていると、台湾で独自に進化した語に出逢うことが多々あります。「運ちゃん」はそのうちのひとつに過ぎません。ほかにもいろいろあるので、また機会を改めてご紹介していきます。あ、この夏、もし台湾旅行を考えているなら、折りたたみ傘をお持ちください。きっと役に立つと思いますよ!

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

photo : “I Don’t Want To Get Out Of The Taxi In This Weather” by Alex Watson

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台湾に「ひらがな」がある?!~中国語の入力方法、あれこれ。

2014/06/11 | Posted by xiaofan in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'taipei sign' by Connor Walsh

大家好! すでに夏の様相を呈している台北から xiaofan です。前回「スマートフォンで効率よく韓国語や中国語を入力!」として、ハングルと中国簡体字の入力についてご紹介しました。同じ中華圏ですが、ここ台湾の入力方法はちょっと違います。中国語学習というと、前回ご紹介したローマ字を使って音を表すピンイン(拼音)がよく知られています。ただ実はあれ、中国大陸で編み出された音声の表記方法で、現在台湾の学校教育では使われていません

台湾の代表的な入力法として、まず注音符号(中文:注音符號)という独自の音声表記があげられます。ボポモフォ(ㄅㄆㄇㄈ、bpmf)ともいわれ、一般的に今の子どもたちの学習はここから始まります。台湾式ひらがなともいえる注音符号は、日本語のひらがなカタカナと同じように、漢字を出発点にして作られた表音文字で、全部で 37 字あります。

注音符号は、日本のふりがなと同じ機能を持っているため、街中のあちこちで見かけます。冒頭の写真 ※ のように標識のふりがなとして用いられていたり、あるいは書店の棚の並びがボポモフォ順になっていたり、携帯電話にはボポモフォ入力しかできないものもあります。そういえば、台湾で最も有名な中国語教育のテキスト『實用視聴華語』にはピンインとボポモフォが同じように記されています。ドラマの字幕にだって登場するくらいですから、台湾の生活には欠かせない文字といえます。
※ 写真のボポモフォが見えにくい場合は、写真をクリックしてください。漢字の隣に小さくボポモフォが書かれているのがわかるでしょう

'kbd_tw01' by Maki

ではその注音符号、実際の iPhone の画面で見てみましょう。左の緑色の部分が子音、右の赤い部分が母音にあたり、入力する際はそれらを組み合わせながらローマ字入力のように入力していきます。たとえば台湾の総統・馬英九の場合、簡体字ピンインでは「Mǎ Yīngjiǔ」と表します。ボポモフォは、ひらがなというよりは、ローマ字に近い書き方の表音文字です。たとえば、「馬」は「ma」という読み方です。「m」に相当する子音は「」で、「a」に相当する母音は「」となります。「ㄇㄚ」で「ma」となります。こんな感じで、「馬英九」を注音符号に置き換えてみましょう。
※ 実際には、キーボードに色はついていません

馬英九 → ( ㄇㄚ ) + ( 候補選択 ) + ( ㄧ ㄥ ) + ( 候補選択 ) + ( ㄐ ㄧ ㄡ ) + ( 候補選択 )2 + 1 + 2 + 1 + 3 + 1 = 10
※ Windows では、上記の例の「」が「|」のように表示され、前掲のキーボード画像にはこの文字がないように見えますが、「一」に見えるキーに相当します。縦書きと横書きの場合では、文字の形が違います。日本の長音記号と同じルールですね

となります。

台湾などで使われている繁体字は、ピンインでも入力できますので、試してみると、

馬英九 = Mǎ Yīngjiǔ → ( m a ) + ( y i n g ) + ( j i u ) + ( 候補選択 )2 + 4 + 3 + 1 = 10

となり、

馬英九 = Mǎ Yīngjiǔ → ( m ) + ( y ) + ( j ) + ( 候補選択 )1 + 1 + 1 + 1 = 4

という前回の記事でもご紹介したピンインの頭文字だけで入力する方法でも予測変換候補を得ることができました。

ボポモフォから話がずれてしまいましたが、このように注音輸入法でも 10 回の操作で入力ができました。ピンインからの変換だと、予測変換機能を利用して、簡単に入力できるのですが、注音符号だと、ㄇㄚ と入力したところで、変換候補から 1 文字を選択しなければなりません。ㄇㄚㄧ のように 3 文字入力すると、「馬英九」という予測変換候補が出てくれるのであれば、とても便利ですよね。でも、iPhone でも Android でもボポモフォは単漢字変換はできますが、予測変換はできないようです。

'kbt_tw02' by Maki

さて。台湾にはピンイン、注音符号以外にも倉頡(そうけつ)という入力法があります。実質的には注音符号を使う人のほうが多いのですが、30 代後半から 40 代前後の世代では今なお使われている入力法です。なお、その下の世代が注音符号を使って文字を入力していることになります。台湾のほか、繁体字を使う香港マレーシアでも使用されているとか。倉頡入力法が根本的にピンインや注音符号と異なるのは発音とは関係ないという点です。これは日本にはない入力法ですが、部首の組み合わせで入力することから、漢和辞典の部首検索を進化させた方法といっていいかもしれません(こじつけ??)。ここで、ほかの入力法と比べながら台湾総統の名前を入力してみます。

例 : 馬英九
ピンイン = ( m a ) + ( y i n g ) + ( j i u ) + ( 候補選択 )
ボポモフォ = ( ㄇ ㄚ ) + ( 候補選択 ) + ( ㄧ ㄥ ) + ( 候補選択 ) + ( ㄐ ㄧ ㄡ ) + ( 候補選択 )
倉頡 = ( 尸 手 尸 火 ) + ( 候補選択 ) + ( 廿 中 月 大 ) + ( 候補選択 ) + ( 大 弓 ) + ( 候補選択 ) = 4 + 1 + 4 + 1 + 2 + 1= 13

この方法のメリットとしては発音がわからなくても形から類推していけることでしょう。その際、尸 手 火 廿 中 月 大 など全 26 種類の意味(用法)を理解しておくことは必須ですが、日本人にとっては、水 = さいんずい、手 = てへん、人 = にんべん、など馴染みのあるものも含まれているので、日本人中国語学習者には比較的習得しやすい入力法かもしれません。何より、手書き入力の登場で解消されつつあるとはいえ、意味を表す漢字学習の最大の関門は「発音がわからないと探せない」、この点に尽きるのではないでしょうか。あるいは、倉頡で入力して発音を調べる、というのも一案かもしれません。

大陸ならピンイン、台湾なら注音など、どこの中国語を勉強したいかによって入力方法を変えるのもいいでしょうし、あるいは音の習得が苦手な方は倉頡と選択肢を広げてみるのもオモシロいでしょう。いろいろ試すと中国語の漢字への理解がいっそう深まること間違い無し。ピンイン以外の方法もぜひお試しあれ!

あ、ボポモフォのキーボードだと、左端のキーが上から順に「ㄅㄆㄇㄈ」(bpmf)と並んでいるんですね。英語のパソコンやスマートフォンのキーボードのいちばん上の行にならんでいる Q W E R T Y から生まれた QWERTY という単語にとても似てますね。

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春に近づくおまじない?

2014/02/25 | Posted by xiaofan in その他 - (コメントは受け付けていません。)

'春到' by Ache_Hsieh

大家好!xiaofan です。

「1 月行く、2 月逃げる、3 月去る」は、新しい年の始まりから日増しに文字通りの春に近づく日々の忙しさを表すことばです。この時期、台湾の季節感の表し方はちょっと違うようです。

基本的に、日本と台湾では時間の流れを表すための暦が違います。日本では西暦を基準としていますが、これはアジアの中では少し特殊のようです。というのも、中国、台湾、韓国など、お隣さんたちは皆、旧暦を用いているからです。台湾では「農(民)暦」といって、新年もこの農暦で祝います。ざっくり言って 1 か月ほどのタイムラグがあります。たとえば、今年の農暦の元旦は 1 月 31 日にあたります。こうした暦の意味するところは、冲方丁『天地明察』(角川書店)が映画化されたのが記憶に新しいところです。

日本では大雪が降りましたが、この農暦の上ではすでに立春を過ぎています。2 月 4 日は立春でした。日本では厳冬期の豆まきのイメージが強いかもしれませんが、節分とはつまり、季節の分かれ目を意味しています。また、実際に季節の分かれ目を表す節分は立春だけでなく、立夏、立秋、立冬もすべて節分にあたるのです。

この時期に台湾でよく見かけるのは、新年になって新しく貼り直された玄関に貼るお札「春聯」です。中国大陸では「春貼」とも呼ぶようです。日本でも「福」の字が逆さまになったのを見たことある方もいるのではないでしょうか。最初目にしたとき(あれ? これ、上下逆さにしちゃっていいのかしら)と人様の玄関先で気になりましたが、事情がわかってみると、見事な余計なお世話でした。実はこの逆さまにするのにはしっかり意味があるのです。

逆さまにする意を表す中国語「倒」は、到達する意味を表す「到」と同じく「dao」と発音するため、「春」の文字を逆さにして貼るようになったのだそう。つまり、

春倒了(春を逆さまにする) → 春到了(春が到来する、やってくる)

というふうに読み替えるのだそう。そういえば日本語でも「春=張る」だから財布を買うのは春がいい、おせち料理で昆布を食べるのは「喜ぶ」の音に由来するといった考え方がありますが、上記のように同音異義語を楽しむことは台湾でも親しまれているんですね。春の字以外にも、「福」を逆さにすることがあります。

福倒了(福を逆さまにする) → 福到了(福が到来する、やってくる)

なんだか、願掛けも気が利いていますよね。また米びつに「滿」の字を貼る習わしもあるのだそう。文字通り、米びつがいっぱいになるように、食べるものに困らぬように、という願いを込めて貼るのだとか。でも、この満の字は逆さまにしません。いつも足りないようじゃ困っちゃいますからね。

この春聯の由来には諸説あるのだそうですが、「春」を逆さまにして新しい春が来ることを祈り、立春を過ぎた頃に春がやってくる、というのは、なんだか心憎い季節の演出ではないでしょうか。日本ではまた大雪が降ったばかりですが、あと一息で春。待ち遠しいですね。

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

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photo : “春到” by Ache_Hsieh


新しい1年を迎える漢字のお話。

2014/01/22 | Posted by xiaofan in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'過年' by falcon0125

大家好! この冬、何度も寒波が訪れて日本は寒い日が続いているそうですね。連日 15 度前後の台北から xiaofan です。

日本ではとっくの昔に年末年始が終わり、そろそろ年度末も気になるような時期だというのに、「何を今さら新年の話?」と思われるかもしれません。ただ、こと中華文化圏においては、ちょっと事情が違うのです。

というのも、旧暦でお正月を迎える慣わしだから。東アジア地域では、中国、韓国、台湾、香港、マカオなど、日本以外の多くが旧暦で新しい年を迎えます。元旦の日程は毎年変わり、今年は 1 月 30 日が大晦日、31 日が元旦にあたります。そのため 1 月の後半である今まさに年末の装いで、街中のいたるところが同じ色で埋め尽くされています。

日本では新年を迎える色はといえばズバリ紅白ですよね? ところが、台湾で「白」は一般的に葬儀で用いられる色であるため、新年のお正月用品に白い色は避けます。一方の紅は、縁起がよい色とされており、この紅の一文字自体で人気があることを表します。そういったことから、年末年始といえば紅がよく使われます。

'NEX_00072,' by 黃 基峰たとえば「春聯」。新しい年を迎えるお正月用のお札です。特に玄関など人の出入りする場所に貼り、幸運がやってくることを祈願します。「福」「吉祥」などは日本で見かけたことがある方もいるかもしれません。

しかし、この右の春聯、見たことありますか。実はこれ、縁起のよい四つの字を一緒にしているんです。何の字かぱっとわかるでしょうか。

答えは「」の四字。この「財」は財産や資財の財ですし、「寶」は宝の繁体字です。それらを「招」き、さらに「進」は中国語で入るの意味です。つまりはたくさんお金が舞い込むように、お金持ちになるように、ということを全体で意味しています。1 字としての読み方はないそうですが、文字を読む順番は「招→財→進→寶」が一般的なのだとか。4 字をあわせるとなんと 48 画にもなります。ちなみに、日本語でよく画数の多い字の代表格「鬱」は全 29 画です。ただここまで意味がはっきりしていると、なんだか一文字で豊かささえ感じてしまいます。


'NEX_00065' by 黃 基峰では、次はどうでしょう。こちらは「學好孔孟」の四字が組み合わさった一字。「」は「学」の繁体字です。孔子や孟子のような賢人にちなんで学業祈願を意味します。孔子と孟子の二人がついていたら、鬼に金棒な気さえしてくるから不思議です。日本でも四字熟語があるように、ここ台湾でも「成語」(故事成語ですね)はよく使われ、子どもたちが早くから学校で習います。同じ漢字圏なのに、こんなふうに漢字を遊ぶ発想が日常に溶け込んでいる様子は日本にはないよなあ、と少し羨ましく感じてしまいました。


さて今年は午年。皆さんに「馬到成功」が訪れますように。繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見喔~!

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photo : “過年” by falcon0125 / “NEX_00072″ by 黃 基峰 / “NEX_00065″ by 黃 基峰


アイに心は必要かをめぐる問題について。

2013/11/13 | Posted by xiaofan in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'帥 仕 相' by Jonathan Chen

「あなたには心がないのよ。それってアイって言える?」
「君だっていつも時間がかかって人を待たせるじゃないか。それだってアイがあるとは思えないよ」

この手のケンカを久しくしていない台湾の xiaofan です(遠い目)。なんだか安っぽいセリフにしちゃいましたが、これ、中華圏でアイという字をどう書くか、つまりはいたってマジメな文字のお話をお届けしようと思います。

まずは中国本土や、台湾で使われている 2 つの文字を実際に書いてみましょう。

  • 心を書かない 
  • 心を書く 

上の字は中国大陸やシンガポールで使われる字で簡体字と呼ばれ、下の字は台湾や香港マカオで使われる字で繁体字と呼ばれます。なんと中国大陸では、アイに心がこもってないんですね!

アイの 1 字だけなら日本で使う新字体と繁体字は同じに見えますが、日本で使う文字とも違います。ちょっと 3 つを並べてみましょう。

簡体字(中国大陸やシンガポール) : 广
新字体(日本):
繁体字(台湾や香港・マカオ):

いかがですか。いやはやなんとも…違うものですね!

そもそも。
漢字は今から 3,300 年前には使われていることがわかっています。中国で識字率向上を目的に漢字の画数を減らすことになったのは1956 年、つまりはごく最近のことです。

確かに 13 億とも 14 億ともいわれる人への文字教育を考えたら、できるだけ簡略化したいと考えるのも無理のない話です。簡体字の効果であったかどうか定かではありませんが、1970 年の識字率と 2000 年の識字率を比べたユネスコの調査では、中国での識字率は 52.9 % から 93 % へと向上したとされています。ただ簡体字よりも画数の多い日本は識字率 99 % といわれますから、調査をどう判断するかはまた別のお話です。

日本人の使用する新字体は、ざっくり言って簡体字と繁体字の中間くらいの画数なので、簡体字と繁体字、どちらの文字も馴染みやすいのではないでしょうか。いずれにしても「同じ漢字圏だ」と一括りにできないようです。

さて、アイに心が必要かどうか。皆さんはどう考えますか。

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見喔~!

photo : “帥 仕 相” by Jonathan Chen

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台湾で車内アナウンスが長い理由。

2013/10/03 | Posted by xiaofan in 小ネタ - (コメントは受け付けていません。)

'Taipei's MRT' by Pedro Angelini

大家好! 皆さん、こんにちは!
繁体字どころ台湾から記事をお届けすることになった xiaofan です。

台湾といえばここ最近、女性誌でたびたび特集が組まれ、旅行サイトの調べではソウルやホノルルと並ぶ人気の海外旅行先のひとつ。飛行機なら、沖縄から約 1 時間、羽田から約 3 時間半で到着というすぐ近くのお隣、台湾にまつわる小ネタをお伝えしていきます。

台湾で使われている言語は、一般的には中国語といわれます。けれども、街を歩くと、それだけではないことばが聞こえてきます。

たとえば台北の街を東西南北あちこちに走る市内鉄道 MRT。MRT は、原宿表参道のような賑わいをみせるオシャレな街・永康街、市内一古くからある龍山寺、中国大陸から運ばれた宝物を所蔵する故宮博物館など、多くの人気観光地へ行くのはもちろん、台北市民の暮らしにも欠かすことのできない公共交通機関です。

'@Taipei MRT' by Slayer

さて、この MRT の車内に流れるアナウンス、旅行で利用した方の中には、(やけに長いな)と気づいた人もいるのでは? そう、実は 4 つの言語で案内されているんです。

1 つめは台湾の公用語、いわゆる中国語です。台湾の教育は、北京語もしくは普通話ともいわれる標準中国語で行われ、現在では子どもから大人まで大多数の人が理解する国語です。発音は中国大陸南部に近く、文字は日本でいう旧漢字、つまり繁体字を使います。

2 つめは台湾語。17 世紀から 18 世紀に中国の福建省閩南みんなん地方から台湾に渡ってきた人たちが使っていた方言で、現在の人口のうち 7 割近くは当時渡ってきた人たちをルーツにもつそう。普通の買い物でもテレビドラマでも、日常のあらゆるところでよく耳にします。台湾の南部に行けば行くほど、台湾語を聞く機会が増えます。
※ Wikipedia : ビン南語(台湾語)

3 つめは客家はっか。広東省から渡ってきた「客家」と呼ばれる人たちのことばです。人口構成でいうとおよそ 15 % を占めており、現在の台湾発展を築いたといわれる李登輝元台湾総統も客家の出身だそう。
※ Wikipedia : 客家語

そして最後の 4 つめのアナウンスが英語です。

このように公共交通機関で 4 つの言語を使ったアナウンスがあるということは、4 つで案内しなければならない事情がある、ということを意味しています。

ちなみに、MRT 車内の電光掲示板は、漢字とアルファベットの 2 種類で案内があります。アナウンスをうっかり聞き逃しても、文字で確認できますので、どうか安心してご乗車くださいね。

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見喔~!

おまけ :「スピード翻訳」の「スピード翻訳」サービスでは、台湾で使われている繁体字の翻訳も承っております。ご発注の際は、「中国語(繁体字)」をお選びください。

photo : “Taipei’s MRT” by Pedro Angelini / “@Taipei MRT” by Slayer