Author Archives: maki

ジャン=リュック・ゴダールの「=」は何?

7月 11th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (ジャン=リュック・ゴダールの「=」は何? はコメントを受け付けていません)

'Jean-Luc Godard at Berkeley, 1968' by Gary Stevens

こんにちは、maki です。外国の方(特に西洋)の名前で、「ジャン=リュック・ゴダール」(フランスの映画監督)みたいに姓や名の間に等号のような記号(=)が入っているのをちょくちょく見かけます。でも、同じ人名が「ジャン・リュック・ゴダール」のように記述されているのもあります。「=」が正解なのか、「・」が正解なのか、よくわかりません。ちょっと気になったので調べてみました。

いきなり結論ですが、「どちらでもいい」ようです。「・」でつなぐか、「=」でつなぐかについては、従わなくてはならない厳密なルール(正書法)はないようなのです。

日本語は、英語や多くのヨーロッパ言語と違って、単語ごとにスペースで区切って記述することはしません。例えば「私は今朝は10時に起床した」に対して “I woke up at ten this morning.” といった具合です。これは、「分かち書き」と呼ばれますが、英語などは分かち書きする言語、日本語は分かち書きしない言語ということになります。この分かち書きをしない日本語の中に分かち書きをする言語の人名を混ぜると「昨日観たジャン リュック ゴダールの映画はおもしろかった」のようになってしまい、なんとも具合が悪いのです。

そこで、第一のルールとして、「外国人名の区切りは『』で表記する」というのがあります。これにより、「昨日観たジャン リュック ゴダールの映画はおもしろかった」は、「昨日観たジャン・リュック・ゴダールの映画はおもしろかった」となります。

次は、懸案の「」問題です。これは、元の人名を見れば解決します。「ジャン=リュック・ゴダール」は、本来は Jean-Luc Godard と綴ります。この JeanLuc で姓名の「名」の方になります。フランスでは複合名といって、聖人の名前ともうひとつ別の名前をハイフンで接続するのが伝統的な命名法となっているようです(ちなみに、Jean とは、聖ヨハネのこと。英語では John となります)。この (ハイフン)を日本語で文字表記する際には、 に置き換えているということなのです。この が等号記号に見えてしまうので、Jean = Luc?(ジャンとリュックが等しい?)のように思えてしまうのですが、これはダブルハイフン(二重ハイフン)という記号なのだそうです。ここでは、全角の等号記号で代用していますが、本当は全角の等号記号とダブルハイフンは別物なのだそうです。
フランス人のファーストネームに関して詳しく説明されているページを見つけました。ご興味をお持ちの方は一読されるとおもしろいと思います

おまけ : イギリスのハードロックバンド、Led Zeppelin のベーシストの John Paul Jones さんは、John と Paul の間にハイフンがないので、ジョン・ポール・ジョーンズでよさそうです。しかし、John(ヨハネ)と Paul(パウロ)の組み合わせは豪華(?)ですね。

photo : “Jean-Luc Godard at Berkeley, 1968” by Gary Stevens


ママが馬を叱りましたか? マーママーマーマー?

6月 28th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (ママが馬を叱りましたか? マーママーマーマー? はコメントを受け付けていません)

'Pinyin Tone Chart-zh-hans.svg' by Wereon

こんにちは、maki です。前回前々回と中国語に関連するエントリーを書いてきましたが、その中で特に説明もせずにいたのですが、「麦当劳」の màidāngláo や、「可口可乐」の kěkǒukělè の母音の上に書かれた記号について、いまさらという気もしますが書いておきます。

これは、中国語の標準語にあるイントネーション(声調)を表わす記号で、四声と呼ばれるものです。中国の標準語で使われる 4 つのイントネーションをマスターすることこそが、中国語学習者にとってとてもとても重要なのだそうです。というのも、日本語の文字で表記すれば同じ「マー」という音だとしても、中国語では声調が違うだけで漢字にするとまったく別の意味の文字になってしまうからだそうです。漢字一文字一文字に声調が決まっていて、それを覚えるだけでも大変そうです。ざっくりと説明すると……

  1. 第一声 :  ̄ : 高い音で平板に
  2. 第ニ声 :  ́ : 中ぐらいの高さで始めてさらに高く
  3. 第三声 :  ̌ : 中ぐらいの高さからいったん低く下げ、最後は尻上がりに
  4. 第四声 :  ̀ : 高い音から低い音に下げる

……というパターンがあります。このように説明するよりは、上の図を見てもらった方がイメージが湧くと思います。

ちょっとした言葉遊びのようにも思えますが、四声の練習用フレーズに「妈妈骂马吗?」というのがあるそうです。ここで用いられている漢字、は、カタカナ表記すればすべて「マ(ー)」です。

  • 妈妈 = 母、お母さん
  • = 叱る、罵る
  • = 馬
  • 吗? = (疑問文を示す助詞のようなもの)

……で、カタカナ表記すると「マーママーマーマー?」となってしまいますが、声調は māmamàmǎma となります。ちょっと、これはとてもマスターできそうにありません……。

おまけ : 「妈妈骂马吗?」の声調は、māmamàmǎma のようにアクセントのような記号で表記することもできますが、ma1mama4ma3ma のように数字で表記することもできます。1 は第一声、2 は第二声、3 は第三声、4 は第四声に対応しています。また、māmamàmǎmama1mama4ma3ma のように漢字を使わず、発音をアルファベット表記したものを拼音ピンイン)と呼びます。

chart: “Pinyin Tone Chart-zh-hans.svg” by Wereon


オバマは、奥巴马? 欧巴马?

6月 26th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (オバマは、奥巴马? 欧巴马? はコメントを受け付けていません)

'可口可乐 adds life' by Arimm

こんにちは、maki です。先日、ハンバーガーチェーン店のマクドナルドが、中国語では麦当劳と綴られるというエントリーを書きました。中国では、外来の固有名詞(人名・地名……)などを漢字表記するために、原語と近い発音の音を持つ文字を組み合わせて使うというやり方で対応しているようです。

日本人にもわかりやすい例で言えば、「克林顿」が挙げられます。1文字めは知っていないとすこし難しいですが、2文字め以降は音読みのままで「リントン」。「」は という音で、k の音を表現するのによく使うようです(例 : 克莱斯勒 = Chrysler = クライスラー)。なので、「克林顿」は「クリントン」となります。
※ 簡体字の「顿」は「頓」に相当します

この中国語表記を誰がどのようにして決めるのかについては、特に決まりはないそうです。そんなときにおもしろい記事を見つけました。オバマ大統領の中国語表記について、アメリカと中国の間でもめたという内容です。中国のメディアでは、ほぼ「奥巴马」(àobāmǎ)で統一されていたのですが、アメリカ側から「欧巴马」(ōubāmǎ)と表記するよう求めたんだそうです。アメリカ側の主張する「」(ōu = オウ)の方が「」(ào = アオ)よりは「オバマ」の音韻には近いように思います。日本では「奥州」(おうしゅう)という読み方もありますから、中国側の主張する「奥巴马」もそのまま読めてしまうかも。
※ 簡体字の「马」は「馬」に相当します

どなたかのブログにも書かれていたのですが、この当て字の感覚というのは、日本神話の神の名前の綴りにも似たところがあるように感じました。日本の国土を作り上げた神のひとり、イザナギノミコトは『古事記』では「伊邪那岐命」と綴られ、『日本書紀』では「伊弉諾神」と綴られます。確かに「奥巴马 vs 欧巴马」問題と似ています。漢字をカタカナのように使うしかないという意味では、カタカナのなかったころの日本も中国語も状況としては同じということですね。

スピード翻訳」で対応させていただいた日中翻訳の案件で、依頼原稿中に登場する製品名をその名称の音韻に似た文字を与えるスタイルで翻訳するか、音韻は無視して、その製品の特徴がどんなものであるかがすぐに理解してもらえるような名称に翻訳するかで、お客さまと翻訳者の方の間で何往復かやり取りをしたことがありました。中国語翻訳のポイントのひとつかもしれません。「コカコーラ」は中国語では「可口可乐」と綴られますが、これは 音韻的には kěkǒukělè で、「コカコーラ」とは音韻としては違っていますが、音韻的にも大きくは外れておらず、かつ好印象を得ることのできる文字を選んだという話を聞いたことがあります。商品の場合は印象が大事ですから、中国語訳にはネーミングセンスも大事な要素なのかもしれません。
※ 簡体字の「乐」は「楽」に相当します

なんだか当て字つながりで「仏恥義理」とか「夜露死苦」なんかも連想してしまいました……。

photo: “可口可乐 adds life” by Arimm


マクドナルド、麦当劳、バクトウロウ……?

6月 22nd, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (マクドナルド、麦当劳、バクトウロウ……? はコメントを受け付けていません)

'McDonald's in Shanghai' by Jesse Varner

こんにちは、maki です。前々から気になっていたことをちょっと調べてみました。ファストフードの「マクドナルド」(McDonald’s)は、中国語では「麦当劳」と綴ります。中国語の知識ほぼゼロの私にとっては「バクトウロウ」(?)としか読めません。日本の漢字の音読みと現代中国語の音韻は大きく異なるものが多いので、この「バクトウロウ」(?)も、もしかしたら「マクドナルド」に近い発音なのかもなあ……とぼんやり想像していました。その辺をちょっと調べてみました。

「麦当劳」は、それぞれ

  • 麦 = mài
  • 当 = dāng
  • 劳 = láo

……となり、あえてカタカナで表記すれば、「マイダンラオ」になっちゃうみたいです。これは、中国の標準語である現代標準中国語(普通話)の発音なのでしょう。まるで「マクドナルド」とは違いますね。あれあれ……と思って調べてみると、香港のケーブルカーの駅に「麦當労道駅」という駅があるのを Wikipedia で見つけました。香港は長らくイギリスの支配を受けていましたから、きっと McDonald Road を駅名に使ったものなんでしょう。で、そのページに書かれていたのが、「麦當労」の広東語発音。これだと、

  • 麦 = mak6
  • 當 = dong1
  • 労 = lou4

……で、「マクドンロウ」。「マイダンラオ」より、かなり「マクドナルド」に近づきました。中国語の「麦当劳」の表記は、広東語発音からの当て字なのかもしれないですね。

しかし、さっきから「マクドンロウ」や「マイダンラオ」を「マクドナルド」と比較していましたが、本来は英語の McDonald’s [məkdɑ́nəldz](マクダーナルズ)と比較すべきですよね……。たぶん英語のネイティブスピーカーには McDonald’s を「マクドナルド」と言う日本語も、「マクドンロウ」と呼ぶ広東語も、大同小異でヘンだなあ……と思っているかもしれません(しかし、きっと英語のネイティブスピーカーでも、「マクドナルド」は「マイダンラオ」よりは近いと思っているはず!?)。

中国語の学習歴はまるでないので、このブログで書き散らしていることも英語の話題中心になってしまうのですが、「スピード翻訳 by GMO」では、英語だけでなく、中国語(簡体字・繁体字)と韓国語にも対応しています。ネイティブ翻訳者も数多く在籍しています。中国語・韓国語ともに、英語同様 24 時間 365 日受付中です。ぜひ一度お試しください!

photo: “McDonald’s in Shanghai” by Jesse Varner


『スティーブ・ジョブズ I・II』の翻訳者、井口耕二さんご登壇の「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」は 06/15 開催です

6月 14th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (『スティーブ・ジョブズ I・II』の翻訳者、井口耕二さんご登壇の「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」は 06/15 開催です はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maki です。先日、Mountain Lion 関連で Apple の OS X について書いたことで思い出しました。ちょっと前にアナウンスさせていただいた『スティーブ・ジョブズ I・II』の翻訳者・井口耕二さんの登壇される翻訳者の方向けのイベントがついに明日 06/15 13:00 開催です! このイベントのテーマは、スティーブ・ジョブズにも、Apple にも関係ありませんが、「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」にご興味をお持ちの方は、Ustream での配信や Twitter での実況配信もあるとのことですので、お時間が許せば覗いてみてください。

イベントの詳しい内容は、翻訳フォーラムのページをご覧いただきたいのですが、ここでは講演内容をすこしだけ……。

「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」 : 2012/06/15 13:00 – 18:00

  • 基調講演「翻訳とは何か」(高橋さきの氏)
    翻訳は単なる言葉の置き換えとどう違うのか。翻訳者にはどのような能力が必要なのか。原文から訳文に至る思考プロセスはいかにあるべきか。ベテラン翻訳者が今こそ語る、これだけは言っておきたいこと。
    高橋さきの氏 : 特許翻訳者、大学講師、翻訳フォーラム主宰。1984 年に大学院修士課程修了後、特許事務所を経由して 1987 年独立。訳書に『猿と女とサイボーグ』『科学者とし て生き残る方法』など。日本語、人間と機械との関係などについて考察している。
  • 「翻訳メモリの功罪」(高橋聡氏)
    原文と訳文を文単位で組み合わせて保存し、訳文を再利用することで効率化を図る。しかしこのやり方では、文脈を無視して訳文を当てはめてしまう罠に陥らないだろうか。翻訳力の向上を妨げる危険性を、翻訳メモリの使い手が喝破。
    高橋聡氏 : IT 翻訳者。塾講師プラス雑多な翻訳の時代を経て、1998 年からは翻訳会社で主にローカライズ翻訳に従事。2007 年からフリー。分野の特性から、Trados とはバージョン 2.0 の頃からの長い付き合い。
  • 「ツールに使われないためのツールの使い方」(井口耕二氏)
    電子辞書、インターネット、秀丸マクロ、SimplyTerms …さまざまなツールを駆使する講師が、ツールを生かした翻訳方法を伝授。一連の翻訳作業を画像で示しつつ、なぜここで辞書を引くのか、Google の検索結果をどのように読むのか、置換する語と置換しない語をどのように分けるのかなどを解説。
    井口耕二氏 : 技術・実務・書籍翻訳者、翻訳フォーラム主宰。会社員との兼業を経た後、1998 年から翻訳専業となる。訳書は 10 冊を超え、2011 年には『スティーブ・ジョブズ I・II』がベストセラーとなった。自作の翻訳支援フリーウェア「SimplyTerms」を公開している。

残念ながら、イベント自体は満席となってしまったようですが、イベントの様子は、TwitterUstream でチェックできます。おもしろそうな講演内容なので、翻訳者の方、翻訳者を目指して勉強中の方、翻訳者ってどんなふうに仕事をしているの?……と興味をお持ちの方は、ぜひチェック / フォローしてみてくださいね。

このイベントは、弊社も加盟している社団法人・日本翻訳連盟で井口さんが常務理事をされていることがご縁でスピード翻訳株式会社として、会場提供という形でご協力させていただいております。これからもさまざまな形で翻訳業界、言語・文化の架け橋として貢献できればと思います。

※ イベントの打ち合わせ中のショットです。写真の向かっていちばん右が井口耕二氏。お隣がシンポジウムの事務局担当の曽我邦裕氏


Mountain Lion って、あれ Puma のこと?

6月 12th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (Mountain Lion って、あれ Puma のこと? はコメントを受け付けていません)

'Puma, Belgrade Zoo' by Bas Lammers

こんにちは、maki です。昨晩は、Apple の WWDC2012 をチェックしていて、眠れなかった Apple ファンも多そうですね。自分の Twitter のタイムラインにも何人もそんな方がいらっしゃいました。ご存じない方のために簡単に説明すると、WWDC は Apple が毎年開催している開発者向けのイベントで、新製品の情報などが公開される ※ ことが多いため、日本でもコアな Apple ファンにはとても人気のあるイベントです。アメリカ西海岸で開催されるため、日本でリアルタイムでチェックするとなるといつも深夜から未明あたりの時間帯になってしまい、毎年この日は寝不足の人が出てしまうんです。
※ 2008 = iPhone 3G、2009 = iPhone 3GS / 2010 = iPhone 4 といった感じで新製品情報が続出してますね

今回の発表のひとつに次期 OS である OS X v10.8 の紹介もありました。この製品はすでに発表済みのものなので、まったくの新情報ではありません。しかし、WWDC を機に前々から気になっていたことを調べてみました。

(Mac) OS X を使っている方ならご存知でしょうが、(Mac) OS X にはバージョンごとにネコ科の動物の名前が製品名に入っています。現行の OS X は Lion。この夏に出るという新バージョンは Mountain Lion。この Mountain Lion があまり耳慣れない名前だったので、前々から調べよう調べようと思っていたのですよね(そして今日に至る)。

Wikipedia によると、Mountain Lionピューマのことだそうです。ピューマPuma)ならかなり親しみのある名前です。あと、クーガーCougar)とも呼ばれるそうです。ここで気になったことがあります。Mac OS X にはすでに Puma は使ってるんですよね。(Mac) OS X シリーズの名前をリリースの順にリストすると……

  • Public Beta (Siam) : 2000 –
  • Mac OS X v10.0 (Cheetah) : 2001 –
  • Mac OS X v10.1 (Puma) : 2001 –
  • Mac OS X v10.2 (Jaguar) : 2002 –
  • Mac OS X v10.3 Panther : 2003 –
  • Mac OS X v10.4 Tiger : 2005 –
  • Mac OS X v10.5 Leopard : 2007 –
  • Mac OS X v10.6 Snow Leopard : 2009 –
  • OS X v10.7 Lion : 2010 –
  • OS X v10.8 Mountain Lion : 2012 –

……となってまして、Puma = Mountain Lion だとすると、ネーミングがかぶってしまうんですよね。まあ、どっちでもいい話ではあるんですが、なんかムズムズします……。

このネコ科の大型動物シリーズでリリースされ続けている (Mac) OS X シリーズですが、今後の展開が気になります。「百獣の王」である Lion も使ってしまったし、Lion と双璧をなす Tiger も使ってしまったし……あと残るのは何がありますかね?(商品化されなかった Public Beta の Siam も気になります。これ、シャム猫……ですよね? カワイイ)

途中 Windows を使っていた時期もあるのですが、個人的には漢字 Talk 7 時代から Apple 製品を使っています。Mac OS X は Panther 以降からですね。そんなこともあったりなかったりで、「スピード翻訳」では OS X での動作確認もおこなっています(もちろん Windows でも)。残念ながらまだ iOS 製品(iPhone / iPad)には対応できていませんが、みなさんのお使いのコンピュータの環境に関わらず、高品質な翻訳サービスをご提供できればと思います。

おまけ : 「スピード翻訳」の動作検証や推奨ブラウザに関する FAQ

photo : “Puma, Belgrade Zoo” by Bas Lammers


John Doe は、山田太郎?

6月 7th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (John Doe は、山田太郎? はコメントを受け付けていません)

Meet John Doe

こんにちは、maki です。架空の人物の名前の代表例に山田太郎はよく使われますね(実在の山田太郎さん、申し訳ございません)。女性なら山田花子ですね。書式などの記入例などによく使われている名前です。「山田」では実在の方の迷惑になるからなのか、自治体ではその自治体の名称(私の住んでいる練馬区の役所では練馬太郎練馬花子など)を使ったり、企業であれば社名(の一部)を使ったりする場合もありますね。スピード翻訳株式会社であればスピード太郎とか。

英語では、John Doe が代表的な架空の人名とされ、日本語の山田太郎(××太郎)にぴったりなのではないかと思います。Wikipedia には John Doe は「名無しの権兵衛」で紹介されていますが、書式の記入例にはやはりちゃんと姓と名が必要ですから、やはり山田太郎(××太郎)がよさそうです。女性の名前はどうなるかというと、Jane Doe となるようです。

Wikipedia にも書かれていますが、名無しの権兵衛山田太郎と違って、John DoeJane Doe は訴訟などのフォーマルな場にも登場します。関係者の権利の保護などのために匿名にしておきたい場合に使うようです。Google で John Doe v で検索すると、数多くの訴訟がヒットします。

John Doe v は日本語に訳すと「John Doe 対」となります。アメリカの訴訟では、「(原告) v. (被告)」という訴訟名が使われます。v.versus の略です。ちょっと昔の映画で『クレイマー、クレイマー』(1979)という離婚・こどもの養育権をめぐる訴訟を描いた映画がありましたが、原題は Kramer vs. Kramer でした。離婚訴訟だから、原告も被告も Kramer という同じ姓になるわけですね。

John Doe 以外にも、いろんな山田太郎がいるようで、苗字が Roe だったり、Poe だったり。名前の方もいくつもバリエーションがあるようです。Average Joe(平均的な・普通のジョー)といったちょっと違うテイストのものもあります。訴訟に登場する John Doe は、イギリスなどだと Joe Bloggs になったりするようです。ミドルネーム付きだと、John Q. Public が有名。こういう架空の人名で広く知られているものは世界中にあるようで、世界各国の山田太郎が Wikipedia に掲載されています。なかなかおもしろいですよ。

おまけ : 今回の記事に添付した画像は『群衆』(1941 / 監督 : Frank Capra / 原題 : Meet John Doe)という映画のポスターです。John Doe について調べているあいだに見つけたものですが、なかなかおもしろそうなストーリーの映画です。リメイクしたらヒットしそうな気もします。ちょっと見てみたいかも。

photo : Meet John Doe


WAGYU – オージー・ビーフだけど和牛?

5月 30th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (WAGYU – オージー・ビーフだけど和牛? はコメントを受け付けていません)

'Wagyu beef marbling detail' by Schellack

こんにちは、maki です。今朝の NHK のニュースで、オーストラリアで霜降り肉の和牛の精肉の生産が伸びているという報道がありました。元々は、オーストラリアの広大な大地で日本の黒毛和牛を飼育し、日本市場に向けての輸出を目的にしていたようですが、ここしばらくはオーストラリアの国内市場向け、そして日本以外の国への輸出にも力を入れているそうです。ある農場では、国内市場向けの生産が4割にまで伸びているとか。それが WAGYU と呼ばれて、流通しているのだそうです。

一般的な認識としては、欧米文化では牛肉は赤身が好まれるという風に言われていましたが、刺しの入った霜降り肉のおいしさにオーストラリアの人たちは気付きはじめたようです。あるレストランでの取材では、「ジューシーでおいしい」、「やわらかい。ステーキナイフがいらない。スプーンでも切れる」といった感想が聞かれました。

ニュースで取り上げられるぐらいだから、当然 Wikipedia にエントリーが立っているだろうと思ってみてみたら、案の定、Wagyu の項目がありました。和牛関連のめぼしい単語を拾ってみると……

  • 霜降り肉 → marbled meat
  • 霜降り・刺し → marbling
  • 黒毛和牛 → Japanese black
  • 純血種(の) → fullblood
  • 和牛と交配させた牛 → wagyu-cross cattle

覚えておきましょう。何かの役に立つかもしれません(?)。

日本国外で最大の和牛の業界団体は、オーストラリアの The Australian Wagyu Association。このサイトにはオーストラリアの WAGYU 情報がたくさんありそうです。先に述べたように日本への輸出はおこなっているそうですので、貿易の自由化が進めばリーズナブルな価格の「オージー和牛」がスーパーに並ぶようになるんでしょうか。日本の畜産家もアジア諸国への輸出を始めているようですが、「オージー和牛」は強力なライバルになりそうです。
※ オーストラリア産の WAGYU は、普通の牛肉に比べると当然ですが高価なようです

「肉の日」は残念ながら昨日でしたが、おいしい鉄板焼きが食べたくなってきました……。

photo : “Wagyu beef marbling detail” by Schellack


Fido といえばイヌ

5月 25th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (Fido といえばイヌ はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maki です。こどものころ毎日のようにテレビで『トムとジェリー』が放映されていて、飽きもせず毎日見ていましたが、当時の『トムとジェリー』は、いまケーブルテレビで放映されている『トムとジェリー』とは違って、30 分の枠に短編アニメーションが 3 本という構成で、1 本めと 3 本めのエピソードはおなじみのトムとジェリーが登場する作品ですが、2 本めは、別のキャラクター(ドルーピーなど)などが登場する別の監督による作品でした。

この 2 本めに放映された作品に「こんなお家は」(the House of Tomorrow)という作品があります。1949 年の作品です。未来の住宅を紹介するという作品でした。紹介される住宅は、手のひらに乗る大きさの箱が自動的にパタパタ展開して、豪華な家ができあがるものであるとか、税務署員が来たらボタンひとつでお金持ちの成金趣味のお家があばら家になってしまうとか。どれもおもしろいお家ばかりでした。

この作品の中に家族ひとりひとり専用の玄関を作ってはどうでしょうという提案がありました。その最初に紹介されたのがネズミ用の玄関。確かに絵で見ると、ジェリーのお家のように壁に小さな穴のあいたもの。しかし、なぜか違和感があります。玄関の脇にイヌの水飲み皿が置いてあるのです。ご丁寧に、その皿の上には、骨も置かれています。気になって、「ネズミ用の玄関」と紹介していたのは日本語吹き替え版だったので、オリジナル版を探して見てみたところナレーションでは、For Fido. と紹介されていました。Fido(ファイド)は、イヌの名前としてはかなりよく知られています。やはり、あれはネズミではなく、イヌ用の玄関だったのです。日本語吹き替えは、誤訳だったという結論でした。

あるサイトの掲載記事で紹介された 2008 年の(アメリカの)ポピュラーなイヌの名前ランキング・ベスト 100(ペットの保険会社の調査)には、残念ながら Fido はランクインしていませんでした……。ちなみにトップ 10 はこのような結果でした。

  • ♂ : Max / Buddy / Rocky / Bailey / Jake / Charlie / Jack / Toby / Cody / Buster
  • ♀ : Bella / Molly / Lucy / Maggie / Daisy / Sophie / Sadie / Chloe / Bailey / Lola

だったそうです。きっと、小型犬には付けるけど、大型犬にはまず付けない名前とかあるんだと思いますが、現地で生活していないとなかなか判別できませんね。
Barkworld – Top 100 most popular dog names より転載

とてもありふれている名前というわけでもないのに、なぜ Fido がとてもよく知られているイヌの名前なのかについては、Why is Fido such a common name for a dog when in reality no one really names their dog Fido?(実際にはそんなに名前を付けたりしないのに、どうして Fido はイヌの名前としてよく知られているの?)にあるように、ウェブでも質問をしている人がいます。回答としては「リンカーンの飼い犬で、『私は信頼する』(I Trust)という意味」などの諸説が書き込まれていました。実際には Fido という名前を付けることが少ないのであれば、この Fido は日本で言えば「ポチ」みたいなものなんでしょうかね。日本人が「ポチ」と聞けば、イヌを連想するように。

おまけ : ちなみに、Fido がイヌの名前であると覚えたのは、Frank Zappa の “Stink-Foot” という歌の歌詞でした。
Here Fido…… Fido……
C’mere little puppy…… bring the slippers.
“Arf, arf, arf!”

photo : “Fido” by Scott Beale / Laughing Squid


缶コーヒーの市民権

5月 11th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (缶コーヒーの市民権 はコメントを受け付けていません)

'coffee .75 cents' by Jason Kuffer

こんにちは、maki です。以前、New York に住んでいたときのことです。何か飲み物を買おうと近くのコンビニのような商店に行きました。暑い季節だったので、店内の冷蔵庫を見ていましたが、珍しいものを見つけました。缶コーヒーです。日本ならどこにでも(店内に限らず、路上にさえ)あって、アメリカではどこの店に行ってもほとんど見かけないのが缶コーヒーでした。

じゃあ、どこでコーヒーを買うかというと、Starbucks みたいなコーヒーショップだったり、路上のコーヒー屋さん(?) ※ でした(ベーグルやホットドッグ、プレッツェル、バナナなんかも売ってました)。
※ すこし暗いですが写真にあるようなお店です

いわゆる日本の「缶コーヒー」を英語にすれば、Canned Coffee になるのですが、ちょっと気になって英語版の Wikipedia を見てみましたが、すべて日本の缶コーヒーに関する記述でした。やはり、アメリカには缶コーヒーなんてものは存在しないというか、まだ市民権を獲得できていないんでしょうかね。「缶に入ってるような(いつ煎れたのかわからないような)コーヒーをお金を出して買うの?」ということなんでしょうか。日本でも一昔(二昔?)前には、缶やペットボトルのお茶なんかをお金を出して買うのに抵抗が感じられたものですが、それに似た感覚なのかもしれないですね。あとは、自販機をどこにでも設置できるような環境ではないというのも背景にあるかもしれません。

彼らは、缶コーヒーの味が嫌いなのかというと、「甘い」というのが大半を占めるようではありますが、そうでもない人もいるようです。彼らの意見をまとめたページがありましたので、シェアしておきます。

New York で見つけた缶コーヒーの話にもどします。缶のデザインも貧相で、味の方もとてもおいしいものだとは言えませんでした……。実は、もうひとつ別の缶コーヒーも売っていて、そちらも念のため後日試してみました。こちらは、まったくの別物。とてもおいしい♪ よく見たら FIRE かなんかの日本の缶コーヒーの輸入品でした!

おまけ : 最近は Startbucks が缶コーヒーを販売しているみたいです。Starbucks の店舗やスーパーなどで販売していると書いてありました。時代も変わりつつあるんでしょうか。

photo : “coffee .75 cents” by Jason Kuffer