Author Archives: maki

米食べろ、豆つまめ?

9月 27th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (米食べろ、豆つまめ? はコメントを受け付けていません)

'IN ROCK' by DEEP PURPLE

こんにちは、maki です。YouTube なんかで動画を見て、夜更かししてしまうことがたまにあります。ひさしぶりに直訳ロックで一世を風靡した(?)王様の PV を観ちゃいました。数々のロッククラシックを生み出した DEEP PURPLE の日本語直訳カバー『深紫伝説』からいろいろ観たのですが、前々から気になっていたことを調べてみました。

『深紫伝説』にも収録されている「速さの王様」という曲の歌詞に「米食べろ、豆つまめ」というのがあります。いかに直訳としても、意味がわからないのです。すぐに原曲 “Speed King” の歌詞をチェックしました。それによると “Take a little rice take a little beans” とあります。直訳の日本語のとおりで、これもまた意味不明です。

この歌詞の意味の解説をウェブでしてる人がいないかな……と思って、調べてみたのですが……ありました! そのサイトによると、ricebeans も薬物だというのです。なるほど、それであれば意味が通じます。

次に調べたのは、スラングの辞書サイト。beans はすぐ見つかりました。細かいことは割愛しますが、過去にその蔓延が問題視され、テレビでも取り上げられたことがあるものでした。rice については、すこし時間がかかりましたが、それらしい記述は見つけました。

スピード翻訳」で活躍中の翻訳者のみなさんは、それぞれ専門的な知識を持った方々ですが、そうであっても翻訳作業をおこなうには、一般的な辞書だけではなく、オンライン・オフラインの専門分野に特化した辞書やレファレンス、専門書などを駆使して、翻訳をおこなっています。今回のような簡単な調査でも複数のウェブページを参考にしながら調べたので、翻訳者の人の苦労がなんとなく体感できたような気がしました。翻訳に必要なのは、単なる外国語の知識だけではなく、母語に対する知識と理解だという話はよく語られますが、それに加えて調査能力もかなり要求されますね。

おまけ : “Speed King” の収録されている DEEP PURPLE の in Rock は、4 人のアメリカの大統領の胸像が刻まれたラシュモア山をモチーフにしたものです。ひさしぶりにこのジャケットを見て、気づきました! これって DEEP PURPLE のメンバーが岩(rock)の中に(in)いるっていうシャレなんですかね? ちなみに王様の『深紫伝説』のジャケットはこちらです(笑)

photo : “in Rock” by DEEP PURPLE


09/22 が秋分の日なのは、116 年ぶり!

9月 21st, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (09/22 が秋分の日なのは、116 年ぶり! はコメントを受け付けていません)

'Equinox' by ideum

こんにちは、maki です。明日は、秋分の日。今年の秋分の日は、22 日なんですね。秋分の日といえば 09/23 だという印象が強かったのですが、それもそのはずで前回 09/22 が秋分の日だったのは、1896 年(明治 29 年)で 116 年ぶりなんだそうです。後ろにずれて 09/24 だったのは、1979 年(昭和 54 年)。それ以降は、ずっと 09/23。どおりで「秋分の日 = 09/23」という固定観念が強いはずです。

それに比べて、春分の日は「今年は何日だっけ?」といった感じで、ぼんやりと 03/20 ごろ……といった認識しかありません。調べてみると、今世紀に入ってからの春分の日は、

  • 2001/03/20
  • 2002/03/21
  • 2003/03/21
  • 2004/03/20
  • 2005/03/20
  • 2006/03/21
  • 2007/03/21
  • 2008/03/20
  • 2009/03/20
  • 2010/03/21
  • 2011/03/21
  • 2012/03/20

で、20 日か 21 日のどちらかでした。春分の日も秋分の日も、何かの記念日のように最初から日が確定しているわけではなく、天体の運行の観測結果によって、昼の長さと夜の長さが同じになる日を計算して決められているので、こういう風にずれが発生することがあるんですね。特に春分の日は 2 月の閏年があったりするので、それでずれやすいのかもしれないですね。

秋分の日は、英語では Autumn(al) Equinox Day。春分の日と秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。この「昼と夜の長さが同じ」という意味があまり耳慣れない equinox という単語に込められています。equinox = equi + nox で、equal を意味し、nox は、night の意味なんだそうです(どちらもラテン語起源)。「夜が(昼と)同じ(長さ)」ということなんですね。

例年どおり 09/23 だったら、日曜日なので 09/24 の月曜日は振替休日となるわけですが、今年は土曜日なのでそれはなし。残念なような気もしますが、116 年ぶりの 09/22 の秋分の日を enjoy しましょう♪

おまけ : 今回の写真は、メキシコのチチェン・イッツァ遺跡の春分の日のカスティーヨ(ククルカン神殿)。春分の日には、太陽が上るにつれて階段のところに蛇のようにうねる影が映しだされるので有名な遺跡です。ククルカンは羽根の生えた蛇神で、春分の日はククルカンの降臨する日だとされているようです。

photo : “Equinox” by ideum


がぶ飲みしたいときー! がぶ飲みしたいときー!(ちょっと古い?)

9月 18th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (がぶ飲みしたいときー! がぶ飲みしたいときー!(ちょっと古い?) はコメントを受け付けていません)

'A Very Big Cup of Water!' by Totoro's Expy

先日のテレビ報道で、New York City のレストランや映画館などでの巨大なサイズの容器での炭酸飲料の販売を規制する条例案が可決されたというのを聞きました。NYC に限らず、学校での炭酸飲料の販売に関する規制が設けられるという話はアメリカではよく聞きます。要は、大量の糖分を含む炭酸飲料を大量に摂取するのは健康によくないという予防医療的な見地からの動きなのだと思います。これに対しては、炭酸飲料メーカーの反対はもちろん、一般市民からもあの大きさの炭酸飲料を飲むのが映画にはぴったりなのに……という声も聞かれるそうです。

コーラなどの炭酸飲料は、総称として soda と呼ばれています。なので、前述の条例などは soda ban(「ソーダ禁止条例」とでも訳しましょうか)と呼ばれているようです。アメリカには、BIG SODA FAN(ソーダ星人)がたくさんいるんですよね(そうでない人もたくさんいます)。NYC にはそんなに店舗数はないので見たことがありませんでしたが、California の 7-Eleven でかなり大容量の容器を見たことがあります。日本と同じように缶や瓶での販売もありますが、カウンター脇にファミリーレストランのドリンクバーにあるようなベンディングマシンが設置されていることが多いのです。自分の飲みたい容量のカップに soda を注いで、その容器の大きさに応じた価格を支払うというシステムです。そこに置いてある大容量のカップが BIG GULP です。gulp は、ゴクゴク飲むことですので、日本語に訳せば「がぶ飲み」といったところでしょうか。

BIG GULP は、1980 年に登場した商品で、32 oz.(946.35 ミリリットル)の大容量。約 1 リットルですね! BIG GULP シリーズは、まだまだあります。SUPER BIG GULP は、44 oz.(1.30 リットル)。X-treme GULP は、52 oz.(1.54 リットル)。最大サイズの DOUBLE GULP は、その名のとおり BIG GULP の 2 倍で、64 oz.(1.89 リットル)! 日本で言えば、2 リットルのペットボトルをひとりでゴクゴク飲んじゃうような感じですね。どんだけ soda 好きなんだ……というレベル。
※ oz. は、この場合は fluid ounce(fl. oz.)で、液体の容量に関する単位でアメリカで用いられています。1 fl. oz. = 29.5735296 ml となります

しばらく前に「悲しいときー」で人気だったいつもここからが、ソフトドリンクの CM で「がぶ飲みしたいときー」というセルフパロディをやってました。彼らが CM 出演していた「がぶ飲みミルクコーヒー」は、現在の商品では 500 ml(CM 当時の量は不明)。BIG GULP の半分強。こんな量で「がぶ飲み」と言われても BIG GULP を飲みなれた人からは鼻で笑われちゃいますね。なんだかまだまだ蒸し暑い日が続いています。おなかを壊さない程度に、過剰な糖分を摂取しない程度に BIG GULP したいですね!

fl. oz. のような耳慣れない単位もそうですが、アメリカでの soda の消費事情や、それにともなう健康政策とか、翻訳の仕事にはこういう文化的・社会的理解も重要ですね。

photo : “A Very Big Cup of Water!” by Totoro’s Expy


G と呼ばれるアレ : コトバの呪力

9月 11th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (G と呼ばれるアレ : コトバの呪力 はコメントを受け付けていません)

'Oh my god' by Francisco Martins

(お食事中の方やタイトルから想像されるトピックにセンシティブな方はご注意ください)

こんにちは、maki です。ある人の tweet を読んでいて、台所などを徘徊する褐色の昆虫を G と呼んでいるのを見かけました。そういえば知り合いにもあの昆虫のことをその名称で決して呼ばない人がいるのを思い出しました。人によっては、アレと呼んだり、逆にもうすこし具体的(?)に gkbr と書いたりする人もいます。「噂をすれば影がさす」ということなのでしょうか、あの昆虫の名前を忌み言葉を使うことでその災厄を回避しようという心理なんですかね。

日本には古来より言霊思想があって……というのはよく語られる話ですが、日本以外でもこうした忌み言葉(taboo words)などによる婉曲表現というのは、さまざまあるようです。いちばん最初に思いついたのは、南方熊楠の『十二支考』からの一節。

スウェーデンの 牧牛女うしかいめは狼を黙者だんまり灰色脚はいいろあし金歯きんばなど呼び、熊を老爺おやじ大父おおちち、十二人力にんりき金脚きんあしなど名づけ決してその本名を呼ばず、また同国の小農輩キリスト昇天日の前の第二週の間鼠蛇等の名を言わず、いずれもその害を避けんためだ(ロイド『瑞典小農生活ピザント・ライフ・イン・スエデン』)。カナリース族は矮の本名を言わずベンガルでは必ず虎を外叔父ははかたのおじと唱う(リウィス『錫蘭セイロン俗伝』)。わがくににも諸職各々忌詞いみことばあって、『北越雪譜ほくえつせっぷ』に杣人そまびとや猟師が熊狼から女根まで決して本名をとなえぬ例を挙げ、熊野でもうさぎ巫輩みこども狼を山の神また御客様など言い山中で天狗を天狗と呼ばず高様たかさまと言った。

出典 : 『十二支考』 – 「虎に関する史話と伝説民俗」(南方熊楠)

世界各国でクマやオオカミなど恐怖の対象の名前を口に出さないようにしているというのは、おもしろいですね。忌み言葉によって忌避されるべき対象は、恐ろしいもの(恐れ多いもの)であったり、不吉なものやこと、不浄のものであったりというパターンに収斂されそうです。

英語では、どんな表現があるか考えてみました。Gee.Oh, my goodness.Gosh. などの口語表現がすぐに思い当たりました。これらは、すべて GOD を忌避する表現だと言われています。この背景としては、やはりモーセの十戒の「あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない」(Thou shalt not take the name of the LORD thy God in vain ※)があるのでしょう。映画などでは、Oh, my god! というセリフなんかはよく聞くような気もしますが、こうした表現は人によって許容度はバラバラです。気をつけて使いたいものです。
※ thou は、you の古語。shalt は、shall の古語(二人称現在形の活用)

おまけ : 古代の日本においては、敵対する勢力に忌むべき名前をつけたりしていたようです。まつろわぬ人々(先住民)を「悪し奴あしぬ」と呼び、それはいまも(奈良の)「吉野」という地名として残っているという説を読んだことがあります。植物の「アシ」(葦)が「悪し」につながるということで「ヨシ」と呼ばれるようになったのと同じで、後世になってから地名の文字を変更したという説です。「熊野」の「熊」も「熊襲くまそ」の「熊」であり、「蜘蛛」であり、「雲」というよくない言葉が起源だということなんですが……。

photo : “Oh my god” by Francisco Martin


きょうは BLUE MOON ですよ♪

8月 31st, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (きょうは BLUE MOON ですよ♪ はコメントを受け付けていません)

'New Year's Blue Moon' by FrozenInLight

こんにちは、maki です。中高がいっしょだった友人の Facebook に、きょうは BLUE MOON だと書いてあったので、チェックしてみたら、たしかにそうでした。今月は、ひと月の間に満月が 2 回ある BLUE MOON でした。その 2 回めが今晩ということのようです。

BLUE MOON には、いくつか定義があるようなのですが、そのひとつが、この「ひと月の間に満月が 2 回ある」というものです。月は 29.5 日の周期で満ち欠けし、ひと月は 30 日前後なので、それよりすこし長い(大の月なら 31 日)……つまり、稀に「ひと月の間に満月が 2 回ある」晩がある……ということなんですね。実際に月が青く輝くわけではないのです。

これとは違って「大気中の塵の影響で月が青く見えること」という定義もあるようです。「ひと月の間に満月が 2 回ある」BLUE MOON なら、楽しみに待つこともできますが、こっちの定義だと偶発的な自然現象なので、とても待つことなんてできないですね。

BLUE MOON を使ったイディオムで、once in a blue moon というのがあります。「極めて稀な(に)」とか「ありえない」といった意味なのですが、どちらの定義でもレアな現象と言えますね。さらに、「大気中の塵の影響で満月が青く見える」……とかだったりすると、かなりのレアケースですね。

BLUE MOON について調べてみると、「ひと月の間に満月が 2 回ある」のが BLUE MOON だというのは間違いだという記事もみつかりました。こちらの「大みそかの夜空に輝く“ブルームーン”」(『NATIONAL GEOGRAPHIC』)という記事です。

この記事によると、本来は「農作業用の暦では、1 年は 3 ヵ月後との 4 つのシーズンに分割するが、この 1 つのシーズンに 4 回の満月がある場合、その 3 番めの満月を BLUE MOON と呼ぶ」ことのようなのですが、それをどこでどう間違えたか、「ひと月の間に満月が 2 回ある」ことを BLUE MOON と呼ぶ……と、ある天文学雑誌で紹介してしまったことが始まりだとするものです。これが「珍しいこと」なのか、どう BLUE なのか、よくわからなくなりました……。

いずれにしても、「ひと月の間に満月が 2 回ある」BLUE MOON は、珍しいことなので、今晩は夜空を見上げてみることにしましょうかね。次回の BLUE MOON は、2015/07/31 だそうです。

PR : 翻訳という作業にも「大みそかの夜空に輝く“ブルームーン”」で紹介されていたような間違いは発生する可能性はあります。翻訳のアウトソーシングをお考えの際は、プロの翻訳者ぞろいの「スピード翻訳」をご検討ください。万が一、誤訳や訳漏れがあったときにも、安心のフォローアップサービスでご対応いたします

photo : “New Year’s Blue Moon” by FrozenInLight


ミント(オビ付き)? 何、それ?

8月 16th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (ミント(オビ付き)? 何、それ? はコメントを受け付けていません)

'young women wearing kimono in Kyoto in February 2007' by Mv3112

こんにちは、maki です。これまでの「ナイス・ボケ! ナイス・ツッコミ?」、「アメリカのフトン」に続き、日本語からの英語の借用語シリーズ第 3 弾です。今回の単語は obi です。 obi といっても、柔道の kuro-obi とか Luke Skywalker の師匠の Obi-Wan Kenobi ではなくて、紙でできたの話です。

留学中に知り合いの中古レコード屋さんのバイヤーのアルバイトをしてたんですよね。日本で高く取引できそうな LP や CD を買い付けて、日本に送るという簡単な仕事です。そんな関係で、アメリカの中古市場についても現地の中古レコード店のスタッフやコレクター向けの雑誌などから、いろんな情報を吸収しました。そんな中で学んだのが、今回の MINT w/OBI です。

海外で生産されたいわゆる輸入盤は、LP なら紙のジャケット(スリーブ)だけ、CD ならプラスチックケースに入っているだけの簡素なパッケージであることがほとんどです。しかし、国内盤の場合は、そのパッケージにアーティスト名やアルバムタイトルなどが印刷された紙の帯がかけられています。これが、海外の中古レコード・CD 市場では、w/OBI ※ と特記事項として記載されることが多いんですよね。海外にはそんなものがないものですから、日本の帯がそのまま OBI という単語であちらの業界内でも広く使われているということなんです。
w/ は、with の省略形

『クリムゾン・キングの宮殿』(1969)

日本で生産されたいわゆる国内盤は、OBI が付いていることや、輸入盤との差別化のためのボーナストラックが収録されていたりすることもあり、海外のコレクターの人たちにとっても手に入れておきたいアイテムになっていることが多いようです。そのため、価格もすこし高めで取引されています。

で、ほったらかしにしていた MINT ですが、こちらは英語です。これは、すーっとする植物のミントではなく、その商品のコンディションを表しています。意味としては、「新品同様」、「極上品」ということです。辞書にもこのように定義されています。

  1. 〈切手が〉未使用の
  2. (一般に)未使用の;新品同然の
    a car in mint condition
    新車同然の車.

出典 : 『eプログレッシブ英和中辞典』 – mint(小学館)

この 2 番めの意味なんですね。例文にある中古車だけでなく、中古レコードや古銭などの中古品のコンディションを表すときによく使う単語です。なので、MINT w/OBI は「新品同様(帯付き)」という意味になります。

スピード翻訳」で中古レコードの取引に関するご依頼をお引き受けしたことがあるかどうかは不明ですが、MINT w/OBI のようにその業界に関する知識が翻訳には必要になることが多々あります。「スピード翻訳」で活躍中の翻訳者のみなさんはそれぞれ何らかの専門分野に関する知識や経験をお持ちの方が数多くいらっしゃいますので、専門性の高い翻訳案件は「スピード翻訳」にご用命いただければと思います。

おまけ : 今回掲載した写真は、1969 年にリリースされた King Cimson の In the Court of the Crimson King(クリムゾン・キングの宮殿)の国内盤の写真ですが、昔はこんな派手な OBI が付いていたんですよね。最近の市場価値はよくわかりませんが、以前は中古レコード店などで、このアルバムの帯付きのものなんかは、確実に 1 万円以上の値が付いてました。

ちなみに、MINT 以外の中古レコードのコンディションランクには、上から順に S ( = Sealed)(未開封)、EX ( = Excellent)(優良)、VG ( = Very Good)(良)、G (= Good)(可)などがあります。M ( = Mint)(新品同様)は、SEX の間になります。G より下のランクとしては、F (= Fair) や P ( = Poor) なんかがありますが、まあ買う価値はないレベルのものだと思って間違いないでしょう。
※ 未開封であっても、Cut-out と呼ばれるジャケットの一部を切り落としたり、パンチ穴が空けられている商品もありますので要注意です(Cut-out は、返品扱いになった商品などでバーゲン品です)。

だらだらと書いてしまいましたが、音楽の流通が MP3 などのデジタルフォーマットに完全移行したら、こんな知識もムダになってしまいますね……。いや、もう既にムダかも。

photo : “young women wearing kimono in Kyoto in February 2007” by Mv3112


アメリカのフトン

8月 14th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (アメリカのフトン はコメントを受け付けていません)

'Futon Sale' by Jeremy Brooks

こんにちは、maki です。前回の「ナイス・ボケ! ナイス・ツッコミ?」に続き、日本語からの英語の借用語シリーズ(?)です。先日、会社の近くのデパートで開催中の古本市に行きまして、田山花袋の『温泉めぐり』という本を買いました。田山花袋の代表作と言えば『蒲団』……ということで、本日の借用語は futon です。

アメリカでは New York の Manhattan に住んでいたのですが、着いた早々、路上でよく見かけたのが、この futon という単語でした。店の看板に大きく FUTON と書いてありました。やっぱりこれは日本の「フトン」なのかな……と思って店内を覗いてみると、寝具店ではあるようですが、掛け布団や敷き布団、シーツや枕を取り揃えた、いわゆる寝具全般の専門店ではありませんでした。

じゃあ、何を売っているかというと、ソファベッドのようなものなんですね。アメリカで床の上に敷き布団と掛け布団を敷いて……っていうのはないでしょうけど、それにしてもベッドでもなく、ソファベッドのようなものというのは、とてもそもそもの「布団」と比較すると、かなり限定的な定義で何だか不思議な感じがします。

'American futon' by Thief12

ここで何回か「ソファベッドのようなもの」と書いていますが、これは futon が、正確には、折り畳んだり広げたりできる木製または金属製の枠(フレーム)が付いていて、ベッドとしてもカウチ(寝そべることのできる長いソファ)としても使うことができるものだということで、ソファベッドとはちょっと定義が違うので、「のようなもの」として紹介しました。日本語では、ソファとカウチ(寝そべることができる長さがあるベンチ状のもの)の違いもあまり認識していないですから、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、こんなものです。

日本の布団は、ベッドと違って、寝るときに敷くものなので、通常は布団の大きさの床面積を占有することがありません。この FUTON も寝たいときに広げれば、すぐに使うことができ、起きたら畳んで片付ける……という特徴が布団と共通しているところから命名されたのかもしれないですね。

おまけ : ちなみに英語では、掛け布団のことは、comforter と言います。Wikipedia いわく、comforter は、アメリカ英語なんだそうです。毎日使うものなのに、知らないことがまだまだたくさんあります……。海外でなくてもホテルとかだと、直にシーツとかでベッドメイクされていて、タオルケット愛好者としてはどうも好きになれないのですが、日本以外ではあのタオルケットも一般的な商品ではないようです。アメリカでも大きめのバスタオルは売ってましたが、日本のタオルケットに相当するものは見かけませんでした。あれは、きっと towelblanket を合成した和製英語ですね。

photo : “Futon Sale” by Jeremy Brooks / “American futon” by Thief12


ナイス・ボケ! ナイス・ツッコミ?

7月 30th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (ナイス・ボケ! ナイス・ツッコミ? はコメントを受け付けていません)

'Josefina with Bokeh' by carlosluis

こんにちは、maki です。「ナイス・ボケ!」……こんなフレーズをネット上で見かけることがちょくちょくあります。ここでいう「ボケ」は、漫才の「ツッコミ」に対する「ボケ」ではなく、bokeh という言葉になります。どこで見られるフレーズかというと、Flickr のような海外の写真共有サイトが多いですね。写真で bokeh と言えば、それは日本語の「ボケ(味)」になります。被写体の人物だけに焦点が合っていて、背景がぼけている写真ってよくありますよね。そのボケ具合がいい雰囲気の写真に Nice bokeh!Great bokeh! というコメントが付いているのをかなりの頻度で見かけます。日本語の写真用語が英語に借用語として取り入れられた例のひとつです(英語版の Wikipedia にも bokeh で立項されています)。

この bokeh は、DoF と言う人も多いようです。これも bokeh と同じぐらいよく見かけます。これは、Depth of Field (Focus) という写真用語で、日本語では被写界深度と呼びます。「被写界深度」とともに用いられる形容詞は、「浅い」と「深い」になります。「被写界深度が浅い」写真の中の被写体のピントの合っている部分が限定的でそれ以外はボケているもの、「被写界深度が深い」写真は画面の中のボケが少なくてどこもピントが合っているようなものということです。写真へのコメントで Nice DoF! などと言う場合は、ほぼ間違いなく「被写界深度が浅い」写真になります。被写界深度の深い写真はドラマチックなところが洋の東西を問わず人気のようです。浅いのか深いのかがわからないニュートラルな DoF よりも被写界深度が浅いボケ味のある写真を明示的に bokeh と呼ぶのはなんかわかるような気がします。

写真関連の文献であれば、bokehDoF被写界深度など専門用語を熟知している人が翻訳すれば、質の高い翻訳に仕上がります。「スピード翻訳」では、数多くの各種専門分野に通じた登録翻訳者が待機しています。専門性の高い翻訳はぜひ「スピード翻訳」までご用命ください。

おまけ : コンパクトデジタルカメラだと難しい場合も多いですが、一眼レフなどのレンズ交換ができるカメラで、焦点距離の長いレンズ(望遠レンズなど)で、絞りを開いて撮影すると nice bokeh な写真が簡単に撮れたりします。ズームレンズがあれば、90mm 以上の焦点距離にして、絞りを開放にする(最大に開く)とかなりのボケが得られます。涼しくなったら、ひさしぶりに写真撮影しようかな。

photo : “Josefina with Bokeh” by carlosluis


ザリガニパーティー:サカナだけどサカナじゃない

7月 25th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (ザリガニパーティー:サカナだけどサカナじゃない はコメントを受け付けていません)

'Crayfish Party' by Victoria Reay

こんにちは、maki です。IKEA からダイレクトメールが届きました。2012/08/25 に開催されるザリガニパーティーcrayfish party)のお知らせでした。ザリガニパーティーは、スウェーデン発祥の夏のイベント(フィンランドでも広まっている)で、夏の終わりにみんなで集まって、ザリガニを食べるイベントなんだそうです。その案内ページで初めて知ったのですが、ザリガニは英語では crayfish と言うんですね。英語圏で生まれ育った人であれば、こどものときに覚えて当然の単語でも、日本の英語の授業ではこういうごくごく日常的な単語に触れることが少なかったりしますから、「そう言えば、crayfish って知らなかった!」という発見がありました。

crayfish つながりで思ったのは、fish って付くけど、サカナじゃない生き物っているなあ……ということ。最初に思いついたのは、jellyfish。クラゲですね。ゼリー状だから jellyfish。他には starfish。★の形をしたヒトデ。どちらもサカナではないですね。

思いついたのはこれだけしかなかったのですが、他にもあるのかな……と調べてみたら、shellfishcuttlefish というのが見つかりました。shellfish は、体の外に殻(shell)を持つものということで、貝やエビがこの範疇に入るそうです。cuttlefishは、イカのことだそうです。

でも、イカって英語だと squid とも言うよね……と思って調べてみたところ、cuttlefishsquid は別の種類のイカのことでした。同じ疑問を持った方のブログを読んで、初めてこの違いを知りました(翻訳者の方のブログでした! 翻訳者なら気になりますよね)。squid はいわゆる「イカの耳」(エンペラ)のあるようなヤリイカとかスルメイカのようなイカで、cuttlefish はコウイカのようなずんぐりしたタイプのイカのようです。確かに Wikipedia で cuttlefish を調べてみると、そんな感じのイカの写真がありました

スウェーデンのザリガニパーティーでは、ザリガニを塩ゆでして、ディルなんかを添えて食べるそうですが、どんな味なんでしょうね。小さいロブスターみたいな感じなんでしょうか。気になります……。写真を見るだけでもおいしそうです♪
※ このページに掲載した写真は IKEA で出されるザリガニ料理ではありません

photo : “Crayfish Party” by Victoria Reay


Manhattan の特別な夕日 – Manhattanhenge

7月 20th, 2012 | Posted by maki in 小ネタ - (Manhattan の特別な夕日 – Manhattanhenge はコメントを受け付けていません)

'manhattanhenge.' by Shana Berenzweig

こんにちは、maki です。先日テレビを見ていたら Manhattanhenge という現象を紹介していました。2 年近く住んでいたのですが、その間はまるで聞いたことがなかったので、見てみたかったなあ……と思いながらテレビを見てました。

Manhattanhenge とは、ニューヨークのマンハッタンのビルの間に夕日が沈んでいく現象のことなんだそうです。厳密には朝日が昇ってくるのも Manhattanhenge だそうです。この現象は年に 2 回観測できるそうで、夕日は夏至に近いころ、朝日は冬至に近いころに見られるようです。そのため、Manhattan Solstice とも呼ばれるとのことです(solstice は、夏至とか冬至とかの「至」という意味の単語です)。

Manhattanhengeは、イギリスの Stonehenge で夏至に観測される巨石柱の間を通過する現象になぞらえて、Stonehenge の hengeManhattan を合成して作られた造語なんだそうです。写真を見てみると、ビルの間を太陽が沈んでいく様子は Stonehenge を連想させます。ちょうど東西を横切る大通りの延長線上に沈んでいくんですね。

Manhattan には碁盤の目のように縦横を走る道路が数多く造られています。東西を走るのが Street、南北を走るのが Avenue と呼ばれています。日本語だと Avenue の方は「◯番街」と訳されることが多いですね。Fifth Avenue五番街なんてのが有名です。一方、Street の方は「◯丁目」。42nd Street42 丁目とか。どの街でも Avenue は「◯番街」、Street は「◯丁目」と訳すわけではなく、Avenue や Street に数字が付いている場合が多いようです。「◯◯街」の代名詞的な存在のベーカー街は、Baker Street ですよね。エルム街Elm Street ですね。数字でない XXX Street を「◯◯街」と訳す例は多いのかもしれません。作家の常盤新平氏は、Manhattan に関する文章に Steet が「ストリート」と訳されているのを見るとその本を閉じたてしまいたくなる……といったようなことを言っていたと Wikipedia に紹介されていました。こだわりがあるんでしょうね。

photo : “manhattanhenge.” by Shana Berenzweig