Author Archives: maggy

ロンドンのインターネット&無料 Wi-Fi 事情と東京五輪に向けて

10月 29th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (ロンドンのインターネット&無料 Wi-Fi 事情と東京五輪に向けて はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。先日、連休にロンドンへ旅行にいく方に、「ロンドンって、どこでもインターネットが使えるの?」と聞かれました。

昨年、わたしはロンドンに半年間住んでいましたが、市内のカフェを転々しながら仕事をする、いわゆるノマドワークのようなことをしていました(取材や打ち合わせの前後に、カフェで執筆や調べ物をすることが多かったので、結果的にそうなりました)。
ノマド = nomad (遊牧民・放浪者)

ロンドンは町中に無料 Wi-Fi スポットがあり、スピードも十分速くて便利でした。そこで今回は、2013 年~現在のロンドン Wi-Fi 事情について、旅行、出張に行く方、そしてロンドン市内でノマドワークをしたい方に、ちょっとしたアドバイスをお届けしたいと思います。

ロンドン市内には、あちこちに無料 Wi-Fi スポットがある
ロンドンではスタバやマックをはじめとした大抵の大手チェーンのカフェやレストラン、そしてパブに無料 Wi-Fi があります。看板やショーウィンドウに Free Wi-Fi というサインが出ているので、チェックしてから入店しましょう。

他にも、主要なデパートや、ロンドンの赤い公共バスのなかにも、無料 Wi-Fi があります。ちなみにヒースロー空港は、登録手続き後 45 分間だけ無料で使えて、この制限時間を越えると有料利用の手続きが必要になります。

地下鉄(Tube)は有料、鉄道は運営会社によって無料・有料の双方がありました。いずれもクレジットカードがあれば、画面上の入力と決済で手続きができます。

The Cloud のアプリが便利
無料 Wi-Fi の利用には、名前、メールアドレス、住所の入力などの初回登録手続きが必要なことが多いです。一度登録すれば、設定したメールアドレス(ID)、パスワードの入力だけでログインできるようになります。

ロンドンのチェーン店で最もよく使われているのが、「The Cloud」という無料 Wi-Fi サービスです。毎回メールアドレス、パスワードを入力しなくても素早くログインできるようになる、「Fastconnect App」というアプリをダウンロードすると便利です。

PIN Number を教えてもらおう
チェーンではないお店に多いのが、パスワード(PIN Number/ピンナンバー)の入力のみが必要、というスタイルです。お店のスタッフさんに尋ねると教えてもらえます(お店のメニューボードの端っこに書いてあることや、レシートに印字してあることも)。

ロンドン到着当初は、モバイルブロードバンドのレンタルを考えていたのですが、結局、契約しませんでした(自宅にもインターネットがあったこともありますが)。「ロンドンの無料 Wi-Fi 便利!」「大英博物館のカフェなう」「ショーディッチなう」などと、浮かれて Twitter でつぶやいていた自分が、今となれば少し恥ずかしいのですが……それだけ便利で快適で、嬉しかったんだと思います。お店のサービスは、競争の激しいロンドンでお客さんの囲い込みのための戦略であり、公共サービスは 2012 年のロンドン五輪の開催時に、かなり整えられたと耳にしました。

さて、ロンドンに比べ、東京の通信事情の悪さに、やや驚いている今日このごろ。外国人旅行者からも、Wi-Fi を利用できるエリアが少ないという不満の声も上がっているそうですね(参考:日本観光「WiFi 使いづらい」整備遅れて外国人不満:朝日新聞デジタル)。東京五輪に向けて改善していけばいいのですが。

「Tokyo は kawaii!」「Cool!」など、外国人旅行者目線での新発見をたくさんつぶやいていただき、世界中でバズってほしいです。

おまけ :「スピード翻訳」は、オンラインで 24 時間 365 日、ご依頼を承っています。翻訳が必要なときは、海外の出張先や旅行先からもご利用ください♪

photo : “free wifi” by Ambernectar 13


ボブヘアー(ボブカット)のボブ(bob)とは? 意外と古い英語の語源

10月 17th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (ボブヘアー(ボブカット)のボブ(bob)とは? 意外と古い英語の語源 はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。しばらく伸ばしていた髪の毛を短くカットして、ボブヘアーにしました。そのままでもいいし、アレンジも楽しむこともできて便利なので、あれこれ変えても、結局はいつもボブに戻ります。

ところで、このボブヘアー、あるいはボブカットと呼ばれる髪型。名称の「ボブ」って何なんでしょう。あるいは、誰なんでしょうか。少し調べてみました。

まず、英語では、bob haircutbob hairstylebobbed style、または単に bob と言います。

英語圏の男性の名前の Robert(ロバート)を、短縮形にして Bob(ボブ)という愛称がありますが、どうやらこれは関係ないようです。

語源は古く、16 世紀頃には “a horse’s tail cut short(馬の尾を短くカットする)” という意味で、bob という単語が使われていたとか。葉の房(cluster)を意味する、14 世紀半ばには記録されている bobbe という単語やゲール語の babag が起源とも考えられているのだそうです(参考:Online Etymology Dictionary)。

ボブと聞くと、どうも新しいもののようなイメージを持っていたのですが、思ったよりも、英語自体は古いんですね。というのもボブといえば、1920 年代に女性の社会進出の象徴として一世を風靡した髪型。例えばお針子さんからファッションデザイナーとなり、実業家として活躍したココ・シャネルや、女優のルイーズ・ブルックスなどが愛した髪型です。この頃は前髪(bangs)を作り、シャープなラインのボブが主流でした。おかっぱみたいですよね。

その後、1930 年代には少し長めのショートや、前髪を横に流したショートカットもボブと呼ばれ、その範疇が広がったそうです(参考 : A complete history of the bob hairstyle)。

そういえば昨年、ロンドンのある有名美容室で、カットモデルをやったことがあります。スタッフ全員が、ほとんどボブ。当時、肩よりも長かった髪型をしたわたしも、「背が低いのでもっと短くした方がいい」と、シャープなボブにされました。

ちょっと思い切りすぎたかなと戸惑ったものの、ボブはロンドンの友人知人に好評を博しました。ロンドンは多国籍な街ですし、海外からの観光客も多いので、トレンドだったのかどうかははっきり分かりません。しかしボブを褒めるロンドナーには、女性が活躍する社会への前向きな気持ちが込められていたのかも。

アベノミクス成長戦略、「女性が輝く日本」の実現に向けて、さて、日本でボブヘアーが大流行したりするのでしょうか?

おまけ :オンラインサービスなので現在ボブヘアーかどうかは確認できませんが、「スピード翻訳」では、国際的な女性の翻訳家が多数活躍しております。ご依頼、お待ちしています。

photo : “long asymmetrical bob with layers 2” by Maria Morri


英国のオンラインテレビ出演で噛み噛み赤っ恥!

10月 7th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (英国のオンラインテレビ出演で噛み噛み赤っ恥! はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。実りの秋に食欲の秋。しかも海外から帰国したばかりですから、日本の食べ物がおいしくてたまりません。

先日、都内商店街で秋の味覚を物色していたところ、グルメ番組のロケ班らしき人たちが街頭インタビューを行っていました。テレビ出演を頼まれましたが、すみません。「栗団子を手にテレビに出てたでしょ?」なんて、田舎の遠い親戚あたりに言われるのはごめんですから、お断りしてしまいました。

さて、おいしい食べ物には目のないわたし。英国では、Taste of London(テイスト・オブ・ロンドン)というフードフェスティバルに行ったことがあります。ロンドンの五つ星レストランや注目の食材が一堂集まります。※英国観光庁さんの公式ブログで、当日の様子をリポートしたこともあります。詳しくはこちら:Friday Food Club ~ イギリスのフードフェスティバルに参加しました!(Britain Park)

会場にはテレビ局の人たちもたくさん来ていました。わたしが絶品な英国チーズの試食を堪能していたところ。突然、大きなカメラを持ったお兄さん二人組に話しかけられました。

「君、このイベントは何回目?」
「イギリス料理は好き?」
「自分のこと fine dining lover(美食家)だと思う?」

日本では世界のさまざま国の食が手軽に手に入りますよね。各国のバラエティを楽しんできたし、舌が肥えているでしょうから、外国に比べて、現代日本人は総じて美食家なのではないかと思います。ということで、わたしも自称・美食家ではないか……というウンチクを語りました。

「いいね、よし。じゃあ今のセリフ、このカメラとマイクに向かって言ってくれない? こんな感じで。

“I’m from Japan. I’m a fine dining lover because I enjoyed the variety of food.
(わたしは日本から来ました。多様な食事を楽しんできた美食家です。) 」

異国ならば、テレビに出演しても日本の誰の目にも触れることはないでしょう。旅の恥はかき捨て。意を決して大きなレンズに挑みました。

「あ、あいむ…あ……だ、ダイイング、ファイン、ラバー! あれ? ファイン、ダイイング、ラバー! え? ファニング、ダイン、ラバー???」

緊張のせいか、fine dining lover(美食家)の部分のダイニング(dining/食事をする)を、ダイイング(dyeing /死にかけている)だとか、fine と dining が混じってファニングだとか、何度も言い間違ってしまったのです。皆さんも口に出して言ってみてください。言葉遊びのように、非常に言いにくいのです。

「O.K. 落ち着いて。fine dining lover、fine dining lover。さあ、繰り返して」

20 回くらい練習させられましたでしょうか。無事に撮影を終えたとき、あまりの嬉しさにお兄さんたちと飛び上がって喜びました。ああ、fine dining lover!  私はこの言葉を、一生忘れないでしょう。

すると突然、お兄さんたちが名刺を渡してきたのです。

「僕たちはフードブロガーで、グルメのオンラインマガジンとテレビ番組を作ってるんだ。検索してみて、“Fine dining lovers” って。」

彼ら二人の正体は、有名フードブロガー。彼らが運営するサイト(ウェブマガジン)の名前が Fine Dining Lovers(https://www.finedininglovers.com/) だったのです!

この 2 人、この後も次々と来場者に声をかけていましたが、彼女彼らもまた、噛み噛みだったのでした。さてはサイト名を何度も言わせることで覚えさせ、さらには番組の収録と宣伝を兼ねるという戦略だったのでしょうか……? 

怖くて未だに、自分の放映姿は確認しておりません。

おまけ :「スピード翻訳」は、お客さまにサービス名を何度も言わせたりはしませんが、翻訳が必要なときは思い出してくださいね。


P と Q にはとにかくご注意! 英語の慣用句「Mind your P’s and Q’s」

9月 29th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (P と Q にはとにかくご注意! 英語の慣用句「Mind your P’s and Q’s」 はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。最近、文字を書くときはパソコンかスマホとタイプ打ちばかり。久しぶりに手書きで書類を作ったら、平仮名の「め」と「ね」を書き間違える、という実にマヌケなミスをしました。

しかし、このことを周囲に白状すると、「『め』『ね』『む』『ぬ』は、ややこしいよね」「わたしもよく間違う」と、意外にも共感が集まりました。日本語の未来が心配にすらなりました。

そういえば英語の「Mind your P’s and Q’s(P と Q に注意)」という慣用句はご存知ですか。「言動に注意しなさい」という意味になります。

大文字で書くとピンと来ませんが、小文字だと分かりすいかもしれせん。

pq に注意

そう。この 2 つのアルファベットは、似ていますよね。書き間違えないように気を付けなければ、という感じがします。

実はこの慣用句の語源は奥深くて、諸説あるそうです。そのうちの一つが、印刷用語から来たという説。昔、一般的だった活版印刷では、左右反転になっている活字を組んで版を作りますよね。このときに新米は p と q を間違いやすかったので、こうしてよく注意したことから来たとか。

もう一説はパブ用語。お酒の量を示す英語に、クオート(quartパイント(pintがあります。クオートはアメリカでは 0.946 リットル、イギリスでは 1.136 リットルのことで、パイントはそれぞれその半分の量を指します。

イギリスのパブにて、「勘定はつけといてくれ」なんてときに、客の飲んだ酒の量を pq と表したことから、後でどちらだったかわからなくならないように……という意味で使ったとか。あるいは、大酒飲みに対して「あまり飲み過ぎないようにね!(p の方にしておきなさいよ)」のような意味で使われたとも言われています。

英語ネイティブの方々に聴いてみたら、まだまだ山ほどの諸説があるそうです。いずれにせよ p と q はあまりにややこしく、きっとさまざまな時代と場面で、いろんな人を困らせてきたのでしょう。

デジタルのタイプ打ちになってからというもの、こうした活字ミスはあまりないかと思います。でもタイピングミス、コピペミス、添付忘れ、その他デジタルならではのありがちなミスってあります。

スピード翻訳」はオンラインで一括してご依頼から受け取りまでご利用できます。うっかりミスがないよう、ご依頼の際はどうぞお気を付けて!

photo : “Minding one’s P’s and q’s” by Nathan Willis


ボイコット、ストライキの意味と語源―ボイコットされたボイコット大尉

9月 24th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (ボイコット、ストライキの意味と語源―ボイコットされたボイコット大尉 はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。「今こそ民主主義を」―香港では 22 日より、大学 20 校以上の多数の学生が一週間に渡る授業のボイコットを行っています。次期行政長官選挙に民主派の立候補を認めない決定を下した中国に対する抗議活動です。

大学教員もこの授業ボイコットを支持する声明を発表し、期間中に教室の外で、民主主義に関する講義を学生向けに行う意向も表明したそうです。しばらく緊迫した状況が続きそうです。

さて、このボイコットという言葉。英語では boycott と書きます。考えや要求を実現させる目的で不買、拒否、排斥などを行うことですよね。

語源は、人名に由来するそうです。どんな人かというと、19 世紀のアイルランドで土地の管理人だったイギリス貴族のチャールズ・ボイコット大尉(Charles Boycott)です(左の画像の人物)。

農民の地代引き下げの要求に応じなかったボイコット大尉に対して、農民たちは一致団結して彼に抗議。彼の一家や関係者に対する労働と食料供給を拒否して、コミュニティで孤立させたのだとか。この出来事から、こうした事態を boycott と呼ぶようになったのだそうです。ボイコット大尉はアイルランドを去り、そのまま戻らなかったとか。

すると語源では排斥されたのがボイコット大尉だったはずですが、いつの間にか、排斥する側の運動のことが、ボイコットと呼ばれるようになったのですね。ボイコット大尉がボイコットされる……とは、よく考えたらちょっと不思議です。

似たような言葉でストライキ(strike)があります。こちらは、働いている人たちが自分たちの働く条件をよくするために、わざと仕事をしない行動のこと。ストと略すこともありますね。

ストライキの語源は、ストライキ大尉……ではありません。英語で to strike the sails = 帆を降ろすという表現がありますが、ロンドンの港にて、待遇に不満のある水夫たちが帆を降ろして船主に抗議したことに由来するのだそうです。

こうした言葉が日本語にはなく、翻訳された借用語だというのも興味深いですね。

photo : チャールズ・ボイコットの肖像画 – Wikipedia


スコットランド・ゲール語、スコットランド語、そしてスコットランド英語

9月 11th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (スコットランド・ゲール語、スコットランド語、そしてスコットランド英語 はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。スコットランドで独立の機運が高まっています。独立の是非を問う住民投票は今月 18 日を予定。最新の世論調査では、独立賛成派が反対派を上回りました。

スコットランドは現在、英国を構成する 4 地域(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)の一つです。スコットランドはもともとは独立した王国で、およそ 300 年前に、イングランドに併合されました。

この動きについては経済への影響を中心に議論が活発ですが、ここは「スピード翻訳」のブログですので、今回はスコットランドの「言語」について、少しご紹介したいと思います。

さて現在、スコットランドの公用語は、英語とスコットランド・ゲール語の 2 つです。スコットランド・ゲール語(Scottish Gaelic)とは、スコットランドで話されるケルト系言語で、アイルランドのゲール語(アイルランド語)とよく似ています。「スコットランド・ゲール語」はゲール語で Gaidhlig na h-Alba と書きます。

スコットランド・ゲール語とはまた別に、スコットランド語(Scots)という言語もあります。こちらは 11 世紀半ば(前にご紹介した Norman Conquest 以降)から 15 世紀後半頃に話されていた中英語(Middle English)から分離した言葉で、現在の英語と似ているところも多くあります。例えば英語の music(音楽)は、スコットランド語で muisic という具合に、スペルが似ている単語もあります。

スコットランド・ゲール語とスコットランド語は、ともに今では話者が少ない少数言語ですが、現在スコットランドで最も耳にするのはスコットランド英語(Scottish English)です。スコットランドで一般的に使われている英語の方言のことですね。「スコットランドに行ったら、英語が全然聞き取れなくて驚いた」「英語圏の人ですら理解ができなかった」など、その訛りの強さについては、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

スコットランド英語の最大の特徴は、r の発音にあります。母音後(語末や子音前)の r を発音します。例えば bird「ビアド」となります(ちょっと巻き舌っぽくすると、より本格的に聞こえます)。またイントネーションにも特徴があり、平叙文でも上昇調で言います。

言語は文化の鏡ですから、独立の機運に乗って、こうしたスコットランドで話される言語への注目も高まりそうですね。

ところで、スコットランド・ゲール語を語源とする言葉が、わたしたちの身近にあることをご存知ですか? それはウイスキー。ゲール語の Uisge-beatha(ウシュクベーハー)が短縮された usque(水)を語源とし、命の水という意味になります。

なお、スコッチウィスキーは whisky、スコッチ以外のウイスキーは whiskey という具合に、英語ではスペルがちょっと異なるそうです。うーん、味わい深い!

おまけ :スコットランド産の whisky はもちろんのこと、カナダ産・日本産も whisky とつづられることが多いとか(詳しくは、こちらで)。ニッカウヰスキーの創業者の竹鶴政孝は、スコットランドでウイスキー作りを学んだんですって。だから当然、日本は この秋からの NHK 朝ドラ『マッサン』の主人公は、この竹鶴政孝。楽しみ♪
余談 : もうすぐ終わる『花子とアン』の主人公は翻訳家でもある村岡花子が主人公なのに一回も取り上げなかったですね……


「Food = 食べ物」ではない? 業界で異なる英語→日本語の翻訳

9月 5th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (「Food = 食べ物」ではない? 業界で異なる英語→日本語の翻訳 はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。以前も少しお話しましたが、ただいま仕事で海外企業(欧州)のウェブサイトのローカライゼーションに携わっています。わたしはディレクションを担当しています。英語 → 日本語の翻訳は、翻訳者の専門家の皆さまにお願いしています。

現在制作しているのは、旅行関係のウェブサイトで、いよいよ日本版ローンチの大詰めです。しかし、そんなタイミングでデザイナーさんからこんな内容のメールが英語で届きました。

「すみません! “Food”って日本語でなんて言いますか? サイトで旅先の Best in Food を紹介するメニューアイコンの制作に必要ですが、翻訳の依頼リストから漏れてしまっていました。至急、教えてください。」

Food……? それは、人間にとっての最重要単語。乳児だって、ママとマンマと口にしてこそ生き延びていけるというものです。そんな英語学習の超初期段階で習得するような簡単な英単語の意味を、仕事で聞かれるとは!

「Food = 食べ物じゃないの?」「辞書でも引けば、すぐ出てくるのに」。一瞬、そんな風に思いました。でも、ちょっと待って! 旅行関係のウェブサイトのアイコンに「食べ物」はちょっと直接的すぎるように思われました。オシャレにカタカナで「フード」? あれ?

オンラインの英英辞書を引いてみると……

any nourishing substance that is eaten, drunk, or otherwise taken into the body to sustain life, provide energy, promote growth, etc.
(栄養のある物質で、食べたり、飲んだり、または体内に吸収できるもの。生命を維持したり、エネルギー補給したり、成長を支えるもの。)

…とあります。2 番めには、「主に固形物」と書いてあったのですが、広義では「食べ物」だけでなく、「飲み物」も含まれるんですね。

なるほど……だとすると、それでは他の旅行関連のサイトはどうなっているのでしょうか。急いで 10 社ほどウェブサイトを確認してみたら……。お気付きでしょうか。おいしい食に関する情報は「グルメ」と書いてあったのです。グルメと書けば飲み物も入るし、「食べ物」よりおいしそうな感じがしますよね。こういう言葉を使うのか! と納得しました。

旅行関係のウェブサイトでは「Food = 食べ物」ではない。この発見のために、実に 1 時間もかかってしまいました。翻訳者の皆さんは、それぞれのご専門を持っていますが、こうした業界ごとの言葉遣いも熟知しているのだと、改めて気付かされました。

ちなみに釣りのサイトなんかだと Food = エサ、園芸サイトなんかだと Food = (植物の)肥料になるんでしょうかね。うーん、奥が深いです。

おまけ :「スピード翻訳」には、商業・PR 関係の翻訳は多数ご依頼があります。各業界に精通したプロ翻訳者にお任せください。

photo : “Event food” by faungg’s photo


ヒミツの英語―非公開、機密情報、オフレコ

8月 28th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (ヒミツの英語―非公開、機密情報、オフレコ はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。東京電力福島第 1 原発事故で、所長として現場の指揮を執った吉田昌郎氏の聞き取り調査をまとめた「吉田調書」。これまで非公開だったこの資料が、9 月にも公開されることになりました。

これまでは故・吉田氏本人の意向で非公開でしたが、既に複数の報道機関が内容を報じている現状を受けての政府の決断とのこと。例えば朝日新聞は、入手した調書とその英語翻訳をオンラインで公開しています(The Yoshida Testimony – The Asahi Shimbun Digital)。

さて、非公開の情報や記録、資料を「公開する」「公表する」は、英語では disclosemake public という動詞が使われます。
※ 「非開示契約(秘密保持契約)」を意味する NDA。この disclose の名詞形の disclosure は、Non-Disclosure Agreement にも含まれてますね

Late Fukushima nuclear plant chief’s testimony may be made public

Yoshida testimony on Fukushima nuclear accident may be disclosed after all

ついでに、「秘密」にまつわる英語表現をご紹介します。

confidential agreement = 秘密保持契約書
closed-door meeting = 密室会談

また、「オフレコで」という言葉を聞いたり使ったりしたことがありますか。これは、off the record という英語表現に由来する言葉です。record = 記録する、なので、記録を off にする、つまり「記録しない / 非公開」という意味になります。

英語では会話のはじめに “Let’s go off the record.” (オフレコでいこうか)と断りを入れたり、途中で、“This is off the record“. (このことはオフレコで)と念を押したりします。いかにもな「和製英語」なので使いはしないでしょうが、英語で「オフレコ」にしたい話題は、off the record で。

仕事で非公開の情報や資料の翻訳を扱う方は、うまく使いこなしましょう。

おまけ :「スピード翻訳」の登録翻訳者の全員とスピード翻訳株式会社は、秘密保持契約を締結しております。また、意図の有無にかかわらず情報流出が発生しないように情報の保全を常に念頭において作業するよう指導しております。また、実際の担当翻訳者に見られたくない個人情報や数値情報、社名などを伏字にして案件をご依頼いただくこともできます(担当翻訳者だけが、伏字処理されていない原稿を閲覧でき、翻訳の作業をおこないます)。

photo : “folder-14” by DaveBleasdale


翻訳を手配する・翻訳を依頼するときに便利な英語表現

8月 22nd, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (翻訳を手配する・翻訳を依頼するときに便利な英語表現 はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。先日、仕事で海外企業(欧州)のウェブサイトのローカライゼーションに携わっていることについて書きました。わたしはディレクションを担当しています。英語 → 日本語の翻訳は、翻訳者の専門家の皆さまにお願いしています。

さて、この仕事のやりとりで、先方(海外企業)から翻訳の手配を依頼されることがよくあります。本日は、その際に使う便利な英語表現をご紹介したいと思います。

まず先方が「これ(ファイルなど)を翻訳してください」と言うとき。まずは、下記のような英文を想像されるのではないでしょうか。

Please see the file attached.
Can (Could, Would) you translate it?

しかし、現場では下記のような表現がよく使われています。

Can (Could, Would) you get it translated?

「get + 目的語 + 過去分詞」や「have + 目的語 + 過去分詞」という英語表現を覚えていますか。自分が直接ではなく、他者に間接的に何かしてもらったときに使う表現です。

例えば下記の例文を見てください。

I repaired the car. : わたしは車を直しました。
I got the car repaired. : わたしは車を直してもらいました。

I cut my hair. : わたしは髪を切りました。
I had my hair cut. : わたしは髪を切ってもらいました。

日本語では自分でした場合も他者にしてもらった場合も、どちらも「車の修理をした」「髪を切った」と言えます。しかし英語で直訳すると、「え、全部自分でやったの!?」と、日曜大工が大好きなアメリカ人もびっくりな「DIY」になってしまうんですよね。

ちなみに get はより口語的なくだけた表現で、have はよりフォーマルな表現です。

また、get他人に依頼するときだけではなく、自分でやるときも使います。have のときは他人に依頼するときのみに使います。

さて、仕事の話に戻ります。先方はわたしが直接翻訳するのではなく、翻訳を手配する係だと知っているので、下記のような言い方をするのですね。

Can (Could, Would) you get it translated?
これを翻訳してもらってくれませんか?

翻訳を引き受けるときも、下記のような返答しています。

All right. I will get it translated by next week.
わかりました。来週までに翻訳をしてもらいます(翻訳の手配をします)。

翻訳する書類がなかなか届かないときは、催促しましょう。

Did you send your documents to have translated?
翻訳(の手配)が必要なファイルを送りましたか?

翻訳の手配が必要なとき、お急ぎのときは、「スピード翻訳」の「スピード翻訳」をご利用くださいね。もちろんその際には、今回ご紹介したような表現は不要です♪

photo : “Do It Yourself Boy” by Randen Pederson


海=「くじらの道」…歴史ロマンあふれる英語のご先祖さま「古英語」の表現

8月 13th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ - (海=「くじらの道」…歴史ロマンあふれる英語のご先祖さま「古英語」の表現 はコメントを受け付けていません)

こんにちは、maggy です。お盆の時期は、故人やご先祖さまに思いを馳せ、感謝する時間を取りたいですね。

さて、このブログではこれまでも、英語の語源や言葉の歴史の小話をお届けしてきました。改めましてこの度は、『クリスタル:英語史入門(Crystal The History of English)』(David Crystal 著/久保内瑞郎 編/山縣宏光 編、金星堂、1993)を紐解き、英語のご先祖さまについて調べていました。ちょっとご紹介します。

英語の原型となるのが、Old English(古英語)と呼ばれる言葉です。AD 449 年、現在のオランダ、ドイツ、デンマークから海を渡ってやってきたアングロ人やサクソン人、ジュート人の侵略によってブリテン島(イギリス)にもたらされました。Anglo-Saxon(アングロサクソン語)とも呼ばれます。

現代英語のうち使用頻度の高い 2 万語において、この本来語となる Old English の占める割合はたった 2 割ほどだとか。残りの約 8 割が、後のヨーロッパ大陸からの侵略の歴史の中で流入したラテン語フランス語ギリシア語などからの借用語になるそうです。

日本語では大和言葉と漢語という言語が交じり合っていますよね。それと比較すると、現代まで生き残っている古英語時代の英語は相当少ないと言えます。今回掲載した写真は、11 世紀(日本で言えば平安時代後期)に書かれた「主の祈り」。17 世紀(日本で言えば江戸時代前期)に書かれた「主の祈り」とちょっと比較して見ると……

11th Century version

Fæder ure þu þe eart on heofonum;
Si þin nama gehalgod
to becume þin rice
gewurþe ðin willa
on eorðan swa swa on heofonum.

17th Century version

Our Father, which art in heaven,
hallowed be thy name;
thy kingdom come;
thy will be done,
in earth as it is in heaven.

左が古英語、右が 17 世紀の英語。似ているといえば、似ているようにも見えます。いちばんわかりやすいのは、Fæder = Father でしょうか。これは古英語時代からの生き残りと言えます。

今こそ存在感は薄いものの、この Old English(古英語)の言葉の特徴というのが、なかなか興味深いです。まず、neata ( = cattle) や swefn ( = dream / sleep) という単語あたりは、全く想像もつかないほど現代英語と異なりますが、beor( = beer) なんかは現代英語と似ています。そう、現代英語の beer も、古英語の生き残りのようです。

さらに特徴的なのが、この時代の詩や文学において、古英語ではある事象を 2 つ以上の言葉を組み合わせた比喩のような造語で表現する、という点です。

例えば、下記の 3 語の例を見てみましょう。

現代英語 (日本語訳) = 古英語 古英語の現代語訳 (日本語訳)
sea (海) = hronrad whale-road (くじらの道)
person’s body (人間の体) = banhus bone-house (骨の家)
sword (剣) = beadoleoma battle-light (戦いの光)

つまり古英語では、を「くじらの道」、人間の身体を「骨の家」、を「戦いの光」と表現していたというのです。
※ 古英語の起源はゲルマン祖語。そこから派生したのが現在の英語、ドイツ語、オランダ語、北欧諸言語が含まれます。そう考えると、banhusbanbone (オランダ語でも “bone”)とつながりがありそうですし、hushouse (オランダ語では “huis”、ドイツ語では “Haus”)と関係がありそうです

ビールを浴びるように飲み、くじらを眺めながら海を渡ってやってきた、戦う民族。言葉を通して、そんな世界観を垣間見たような気がしました。言葉の歴史って、ロマンがありますね。

ええと、なんの話をしていたんですっけ。そうそう。ご先祖さまの話です。わたしたちって、ご先祖さまのあらゆるロマンの重ね合わせで生まれてきたんですよね。10 代遡れば 1024 人の命が関わっているわけです。こちらの歴史も壮大ですね。

おまけ :もしも翻訳作業に追われてお盆に実家に帰る時間もなければ考え事をする暇もなく、ロマンのかけらもない生活だ!という方がいらしたら。お盆休み中も「スピード翻訳」の「スピード翻訳」、「指名翻訳」、「オークション翻訳」の 3 サービスは、無休で営業いたしますので、ぜひご活用ください。あなたに夏のロマンを!

photo : “Lord’s Prayer in Old English” by Mackenzi