はじめまして。ライターの htby と言います。これまで 8 年ほど人材紹介会社に勤めていましたが、このほど独立してフリーランスのライターになりました。そこで得た知見をもとに、これからシリーズで「英文履歴書の書き方」についてご紹介していきたいと思います。
スピード翻訳 にはさまざまな翻訳案件が寄せられますが、その中で「履歴書」の翻訳依頼もよくある案件の一つです。
日本で英文履歴書が必要になるのは、外資系企業や海外企業へ就職・転職をする場合が多いでしょう。ワーキングホリデーの渡航先でアルバイトをするために必要になるケースもあるかもしれませんね。また、働くためだけでなく、例えば海外へ MBA 留学する場合の出願時に求められることもあります。
英文履歴書と聞いて、みなさんはどんなものを思い浮かべるでしょうか?普通は「履歴書」と言ったらこんな書類を想像すると思います。
実際、このような履歴書を埋めて翻訳依頼をしてこられる方も少数ではありますが、過去にいらっしゃいました。でも実は、日本の「履歴書」を英訳したものがそのまま「英文履歴書」になるわけではないんですね。日本で言うところの「履歴書」に書く内容と「職務経歴書」を合わせて一つにまとめた書類が、いわゆる「英文履歴書」だと考えていただくとよいと思います。
英文履歴書は、北米では Resume(レジュメ)と呼ばれたり、英国をはじめオーストラリア、ニュージーランド、ほかヨーロッパ諸国では CV(シーヴィー/ラテン語 curriculum vitae の略)と呼ばれます。
Resume と CV では多少、内容・構成要素が異なるのですが、書類の体裁としては同じです。いずれも日本の履歴書のように市販されている定型の用紙に書き込むのではなく、MS-Word などのワープロソフトで一から作ります。自身の連絡先から学歴・職務経歴の詳細までを 1 ~ 2 枚にまとめたもの(もちろん英語で!)、これが英文履歴書になります。日本の履歴書は手書きで記入するのが一般的ですが、英文履歴書の場合、手書きは NG です。
実物はこんな形になります。
用紙サイズは、A4 サイズでよいでしょう。北米在住者が現地企業に応募する場合はレターサイズを使うのが一般的ですが、日本で外資系企業に提出する場合などは A4 サイズで構いません。紙質も、通常は上質紙・透かし(watermark)入りの厚紙がよいとされていますが、国内で提出する場合は比較的厚手のコピー用紙で OK です。
※ A4 = 横 210 mm × 縦 297 mm / レターサイズ = 横 8.5 インチ × 縦 11 インチ(横 215.9 mm × 縦 279.4 mm)
レターサイズの方が A4 よりも若干横に長く、縦に短く、北米では一般的なサイズです
書体(フォント)は基本的に自由ですが、あまりクセの強くないフォントがよいでしょう。欧文フォントには、和文フォントの明朝体に相当する Serif とゴシック体に相当する Sans-serif があります。Serif なら Times New Roman、Sans-serif なら Arial が好まれます。文字の大きさは 12 ~ 14 pt、どんなに小さくても 11 pt にとどめておくと、読み手が見やすいでしょう。文字色は黒もしくは濃いグレーの一色です。強調したい語に色を付けるなどの装飾は控えましょう。
転職(職務経験がある人)の場合、英文履歴書に記載する基本的な項目は以下の通りです。
- Personal Information (名前と連絡先)
- Objective (希望職種)
- Summary (職歴の要約)
- Work Experience (職務経歴)
- Education (学歴)
- Certificates (資格・免許)
- Reference (照会先・推薦者)
逆に、日本の定型の履歴書にある以下の項目は通常は記載(添付)しません。国によっては求められる場合もありますが、アメリカではこれらの情報で採否を判断することは就職差別につながるとされるため、記載しないのが一般的です。
- 顔写真
- 誕生日・年齢
- 性別
- 高校以前の学歴
- 配偶者・扶養家族の有無
- 通勤時間
- 健康状態
日本人が英文履歴書を提出する場合、応募先企業はあなたの職歴や強みを知るだけでなく、英語力をはかる材料として捉えます。また、日本語の履歴書や職務経歴書で誤字・脱字が多ければ仕事の正確性を疑われかねませんが、それは英文履歴書であっても同じことです。
英語での面接では、仕事に支障のないコミュニケーションがとれるかどうかが重視され、細かい文法ミスなどには割と寛容なのですが、英文履歴書については話は別です。実は英語ネイティブでも、resume に関しては英語力の高い人やエージェントにチェックしてもらったり、レジュメ作成代行業者に依頼している方が多いようです。あなたが作成する場合も、第三者、できれば英語ネイティブにチェックしてもらうなどして、完璧を期しましょう。
ただ、そうは言っても英語に慣れていないといきなり完璧に近いものを作るのは難しいですし、時間もかかると思います。そこで次回は、「いきなり英文履歴書を作り始めるのはNG。日本語で職務経歴を棚卸ししてみる」というテーマでお送りします。お楽しみに!
- 01. 日本の履歴書の英訳ではダメ?英文履歴書とはこんなもの
- 02. いきなり英文履歴書を作り始めるのは NG。日本語で職務経歴を棚卸ししてみる
- 03. 英文履歴書のフォーマットは自分のキャリアに合ったものを選ぶ
- 04. 一般的な英文法とは少し違う。英文履歴書の英語、基本ルール
- 05. 日本人には意外と難関?英文履歴書の Reference はどうする?