「トライ・アンド・エラー」は間違い! 会議で使ってはいけない和製ビジネス英語

9月 12th, 2017 | Posted by maggy in 小ネタ
'testTubes1' by University of Liverpool Faculty of Health & Life Sciences Follow

こんにちは、maggy です。最近、翻訳が必要となる新プロジェクトの 企画会議( a project meeting )に参加する機会がありました。お相手は全員、英語ネイティブのビジネスパーソン。様々な試験的な試みについて話し合うことができ、有意義でした。

でも、反省点が一点。会議中、また使ってしまいました…… 「トライ・アンド・エラー」!

「トライ・アンド・エラー(試行錯誤)」は和製英語で、英語ネイティブは使わないのです。英語では、正しくは trial and error トライアル・アンド・エラー)になります。
※ 「トライ・アンド・エラー」の Google で検索した結果は、約 171,000 件と出ました。「トライアル・アンド・エラー」は、約 12,900 件。日本では、「トライ・アンド・エラー」の方がずいぶん定着しているようです……。

【 試行錯誤 】

<和製英語>
トライ・アンド・エラー
 ▼ ▼ ▼
<英語>
trial and error トライアル・アンド・エラー)

聞き慣れてしまっていると、つい口から出ちゃうんですよね。トライアル(試し / 試験的)どころか、単なる英語の「エラー( error = 間違い)」ですから、気を付けましょう(誰も気が付かなかったようなので、良かったのですが……)。

英語の例文で、耳慣らし&口慣らしをしておくのがオススメです。

【 trial and error を使った例文 】
We can take a trial-and-error approach.
 = 試行錯誤で進めましょう。

It took a lot of trial and error.
 = 試行錯誤にずいぶん時間がかかりました。

Trial and error is a wonderful process for continuous improvements.
 = 試行錯誤は継続的な改善にとって素晴らしいプロセスです。

他にも会議で使ってしまいがちな、和製ビジネス英語をご紹介しておきます(自戒を込めて)。

【 ちょっとしたアイデア 】

<和製英語>
ジャストアイデア
 ▼ ▼ ▼
<英語>
just an idea(ジャスト・アン・アイデア)

日本語では英語のような可算名詞・不可算名詞の概念がないので、冠詞をつけなくても違和感がないのですが、英語では必須ですね。

【 状況次第 】

<和製英語……と言うほどではないのですが
ケース・バイ・ケース
 ▼ ▼ ▼
<英語>
It depends.( = 状況によります)

case-by-case という英語もあるのですが、あまり使われていません。同じ意味でよくネイティブが使うのが、上記なんです。
ページの最後に英語での case-by-case の定義と例文などをまとめておきました

発音が違う単語にも要注意です。

【 テーマ 】

<外来語>
テーマ
 ▼ ▼ ▼
<英語>
Theme (スィーム)

「テーマ」はドイツ語から日本語に入ってきた借用語です※。英語の無声歯摩擦音 th [θ] は舌端と歯で隙間を作り、そこに空気を通して出す、日本語にはない音です(便宜上、無理やりカタカナで書くと「スィ」と言ったところ)。
※ テーマ = Thema (ドイツ語) : ギリシャ語の thema を語源とする

日本人にとっては、日本語にはない発想の表現や発音は、英語でアイデアを出す以上に難しいかも!?
刺激的な会議は有意義ですが、和製ビジネス英語で相手に不要な刺激(困惑)は与えないよう、気を付けたいですね!

こちらもあわせてご参考ください♪

参考までに…… :
CASE-BY-CASE は、英英辞書ではこう定義されています。

case-by-case :
considering each case individually rather than considering several cases together as a whole
 = 複数のケース(事象・事例)をまとめて全体として考えるよりも、それぞれのケースを別々に考えること

……なので間違いではないのですが、上記の参照元に挙げられた例文の多くは、

  • What is reasonable will be viewed on a case-by-case basis.
  • Those at an advanced stage will be reviewed on a case-by-case basis.
  • But we treat individuals on a case-by-case basis and will be flexible where possible.

……のように、basis などとセットで使われることが多いようです(前述の引用元では全例文に basis または approach がセットで使われていました)。この basis は、日本語でも使う「売上ベースで見た場合は……」だとか「でも利益ベースで言えば……」だとかの「ベース」からの派生でしょうか? であれば、case-by-case basis は、「ケースバイケースベース」? まあ、英語の case-by-case は、このフレーズのみで使うことはないのかもしれないですね。

おまけ :会議本番で英語の「トライアル・アンド・エラー」も悪くないですが、英文資料を用意しておくとスムーズですね。「スピード翻訳」なら、急に翻訳が必要なときも 24 時間、安価でスピーディーにご依頼いただけます!


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