セレブと celeb ~ 日本と英語での意味の違い

6月 17th, 2015 | Posted by maki in 小ネタ
'Walk on Fame' by Fred Hasselman

こんにちは、maki です。先日、あるテレビ番組を見ていたところ、地中海のマルタ島の特集をしていました。イスラム教国からの防衛のためにマルタ島には騎士団が集結し、そのメンバーはヨーロッパ諸国の貴族出身の子弟、いわゆるセレブによって構成された……という説明をしていました。この番組だけでなく、日本では富裕層であったり、ゴージャス優雅な雰囲気などを意味しています。

日本でセレブという言葉が定着したのは、10 年ぐらい前の話で、これは英語の celebrity およびその略語である celeb が元。しかし、英語圏で使われている celebrity(または celeb)と日本のセレブにはその意味に大きな隔たりがあります。

英語の celebrity の最も重要な意味は、有名人です。20 世紀の映画やテレビの発展などで、映画スターや、テレビの人気キャスター、スポーツ選手などが英語圏では celebrity と認識されているようです。メジャーなメディアで多数の人に顔を知られており、収入も多く、富裕層のひとりになる……というシチュエーションは考えられますが、誰でも知っている有名人であることが最も重要です。つまり、裕福でなくても、よく知られた人であれば celebrity と言えます。

celebrity は、17 世紀ごろに英語に取り込まれたラテン語の celebritas を語源とし、この単語には「有名な」とか「ごったがえしている」といった意味があります。この「有名な」は、理由は何であれ「有名である」ことであり、悪い意味でも使われていたようです。つまり、悪名が高い人物celebrity だったわけです。現在では、悪い意味で有名であることは希薄にはなっています。現在の日本のセレブという言葉の意味だけで認識していると、おかしなことになってしまいます。

日本語のセレブから想像される豪華さ優雅さ高級さといった意味から、派生商品としての鼻セレブというやわらかくしっとりとした豪華なティッシュペーパーはあってもよいですが、本来の celeb とは無縁です。まあ、 花粉症のceleb も気に入って鼻セレブを使うかもしれませんけどね。

photo : “Walk on Fame” by Fred Hasselman


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