変でおかしくちょっと変わった中国語の言い分けを考える

5月 26th, 2015 | Posted by xiaofan in 小ネタ

アジサイ hydrangea

大家好! このところ半袖ばかりの xiaofan です。連日真夏並みの気温になったと思ったら、雨が続き、そしてまた晴れ、とお天気がクルクル変わります。夏に定番のスコールも始まり、5 月なのに台風がすでに 7 号だって話ですし。沖縄地方も 05/20 に梅雨入りしたようですね。石垣島や西表島などの先島諸島と同じ緯度の台湾もそんな季節になったんですね。天気予報を見ていると、家人がぽろっと言いました。

最近天氣好奇怪(最近の天気っておかしいね)

先日の記事「Weird, odd, peculiar! strange 以外の『変な』『おかしい』英語と不思議な人」には、さまざまな用例が出ていましたが、変でおかしく不思議なことを表す中国語代表といえば 奇怪 です。この語には、個人的に少々苦い思い出があります。まずはその話から。

それは台湾でまだ留学生として中国語の授業を受けていた時のこと。通っていた学校は多国籍のメンバーが揃っていました。文化的な背景が違うことは、何かと授業中の話題になり、その都度(へえ、そうなんだ!)と気づきがあることもまた授業の楽しみでした。ただ、一つ気になることがありました。文化差異の話題になるたびに、あるクラスメイトが言うのです。

好奇怪!

訳すと「変なのー」でしょうか。使用頻度がかなり高いことに加えて、いつもキツいジョークを飛ばす彼の奇怪は、実のところ気分のよいものではありませんでした。手元の辞書を引くとこうあります。

1〈形〉おかしい。不思議だ。|〜的動物/不思議な動物|那件事情很〜/あの出来事はとても妙だ。
2〈動〉おかしいと思う。不思議に思う。|我們都~這個怎麼這麼貴/私たちはみんなこれがどうしてこんなに高いのか不思議だ。

出典 : 新時代中日辞典(大新書局)

しかし、なぜ「奇怪!」と言われるとイヤな気分になるのでしょう。単語を分解してみると、「怪」には、奇妙だ、普通でないという意味のほかに、こんな意味があります。

〈動〉過ちなどを責める。とがめる。うらむ。—のせいにする。

出典 : 新時代中日辞典(大新書局)

さらに日本語の国語辞典で「奇怪」を引くとこう説明されていました。

1 常識では考えられないほど怪しく不思議なこと。また、そのさま。きっかい。「―な事件が起こる」
2 常識に外れていて合点のゆかないこと。けしからぬこと。また、そのさま。きっかい。「責任者が出てこないとは―な話だ」

つまり、若干不愉快に受け取ってしまう原因は 2 にもありそうです。これも引いておきましょう。

けしからぬ【怪しからぬ】(連語)
道理や礼儀にはずれていてよくない。無礼だ。不都合だ。けしからん。 「 -振る舞い」 〔本来は「怪(け)しかる」の意。強い否定の意を表すために,誤って打ち消しの助動詞「ぬ」を加えたもの〕

つまり、日本語の「けしからぬ」の意味として受け取っていたのだ、と気がつきました。日本語の奇怪の語感から、単なる差異の話が善悪の評価のように聞こえていた、というわけです。

ただ、文化的な背景から生じる差は、あくまでも違いに過ぎません。決して相手を責め立てることではないので、そうした意味を持たせたくない場合、たとえばこんな表現が使えます。

特別喔! すごく違うね!
這是很有特色 それはすごく特徴的だ。

その他、奇怪以外に「変」をどう言うか、具体的なバリエーションをご紹介しておきましょう。

他的脾氣有點古怪穿著也較特別。(彼の性格はちょっと変。服装もね)
人柄や身なりが風変わりだということを言う場合は、「奇怪」以外に「古怪」も使えます。ただ、生活していると話し言葉では奇怪を耳にする頻度のほうが圧倒的に高いです。後半は先ほどの「特別」を使ってみました。

對不起,我剛莫名其妙地發脾氣。(ごめん、さっきよくわかんないけどイラついちゃった)
変は変でも、なんともいえずヘン、つまり変だと思う要因がどこから来るのかわからない場合に「莫名其妙」を使います。ドラマなどでは、語気の強い口げんかのセリフとしてよく出てきます。

他說的話太離譜了。(彼の話は常識はずれだ)
おかしい、という意味は想像されることとの差異が見られる場合に出てくる感情ですが、その一般的な範囲(譜、つまり五線譜の意)から離れている、常識はずれなほどおかしい、という場合に用いるのがこの「離譜」です。ニュースの見出しなどでも使われます。

大自然的世界會發現不可思議的事情。(自然には奇妙なことが起きる)
常識から外れるといっても、人知の及ばぬ大きな事柄には「不可思議」を使います。科学的には説明できないこと、たとえばブラックホール、バミューダトライアングル、地震などもこの類いです。
※ 「中国のメディアによく出る成語」でも中国語(簡体字)の「不可思議」をはじめとするよく使われる故事成語についてもご紹介しています

不好了!(大変です!)
通常「不好」は「よくない」あるいは「だめだ」といった意味になりますが、中国語の歴史ドラマで使われる場合、ちょっと違います。使用場面としては、戦時の陣営に兵士がこう言いながら駆け込んでくる、それはつまり大きな変化が起きている、戦況の異変や悪化が起きている、そのため「不好了!」となるわけです。

改めて考えてみると、「おかしい」あるいは「ヘン」といった感覚が起きる場所はさまざまですね。バリエーションが増えて「ドンピシャ」の場面で表現できると、なんともスッとするものです。どんな時にどう使うか具体的な場面を思い浮かべながら語彙を増やしていきましょう!

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

photo : “アジサイ hydrangea by きうこ

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