フリーランス(freelance)が増加中? 語源は中世の「自由契約の騎士」という意味だった!

2015/05/01 | Posted by maggy in 小ネタ

こんにちは、maggy です。みなさんはゴールデンウイーク中は、会社はお休みでのんびりしていますか。わたしはフリーランスのライターなので、ご依頼の案件ベースで出動するため、連休も祝日もあまり関係ない生活を送っています(海外企業とのやりとりもあるので)。代わりに、適宜都合がつくときに休むようにしています。

さて、ここ 10 年ほどで、先進国では世界的にフリーランス(freelance)という労働形態の人口が増えていると耳にしました。一体、世の中では何が起きているのでしょうか? 日本よりも早くこの現象が進んでいるアメリカの現状を調査し、フリーランスの実態と社会の向かう方向を分析している書籍、ダニエル・ピンク著『フリーエージェント社会の到来 新装版 』(2014 年、ダイヤモンド社、池村千秋・訳)を読んでみました。

本書は新装版ですが、初版が刊行された 2002 年当時、アメリカでは既に 4 人に 1 人がフリーランス。著者は膨大なインタビューから彼らの生活実態を明らかにし、彼らの存在感がますます高まっていくなかで、個人の生活における家庭と仕事のバランスや、社会の仕組みがいかに変わっていくか、今後どんな新しいビジネスが必要かを予測しています。

「オフィスに代わる『サードプレイス(第 3 の場所)』」という章では、彼らがスターバックスなどのカフェで働いていることなどにも触れられています。今や、日本でもよくみかけますよね。そして個人が組織に頼らず、スキルや知恵を頼りに仕事をするフリーランスという新しい働き方は、インターネットが普及したからこそだという社会背景についても、わかりやすく説明されています。

ところでこのフリーランス(freelance)という言葉。語源は中世のイタリアやフランスの傭兵部隊に遡るのだそう。本書から解説部分を引用します。

当時の傭兵たちは、報酬が納得できて、戦いに意義を感じることができれば、どの君主の旗の下でも戦った。このシステムがイングランドに伝わると、傭兵は「フリー・ランス(自由な槍)」と呼ばれるようになった。忠誠心や主従関係から自由な騎士という意味である。お呼びがかかれば、槍を持ってどこへでも飛んでいく、というわけだ。

出典 : ダニエル・ピンク著 『フリーエージェント社会の到来 新装版 — 組織に雇われない新しい働き方 』
(2014、ダイヤモンド社、池村千秋・翻訳)、p.34)

Wikipedia にも、下記のような説明がありました。

英語「freelance」の語源は、中世に遡る。中世は王や貴族は戦争の度に傭兵団と契約して戦争に臨んだ。その中で傭兵団を離れて戦場に臨む兵士達がいた。当時は槍騎兵 (lancer) が自分の従卒として歩兵や弓兵を連れている形態が多かったため、契約の際には槍の本数=1 戦闘単位としてカウントされた。まだ敵勢力と契約を交わしていない (英: free) 戦闘単位 (英: lance) を指す言葉として「freelance」が用いられるようになった。当時は兵士を指していた「free lancer」が、近世以降組織を離れて働く状態を指す言葉に変化した。フリーランスのフリー(英: free)は、政治的立場が自由さを意味するものであって、値段が無料という意味ではない。

頭の「フリー(free)」という言葉の響きからなのか、日本ではときどき、フリーランス = 自由人……という誤解や、あるいはフリーターと勘違いされるという声も耳にします。

ちなみにフリーターとは、日本で正社員・正職員以外の就労形態(契約社員・契約職員・派遣社員・アルバイト・パートタイマーなどの非正規雇用)で生計を立てている人を指す言葉で、和製英語です。いや、和製英語でもないですね。フリーターフリー・アルバイターの略語です。free + Arbeiter。Arbeiter (アルバイター) = 労働者・勤労者は、ドイツ語ですから和製外国語でしょうか。英語では part-time worker や、part-time jobber と呼ばれます。確かに名前が似ているので、ちょっと誤解しやすいそうですよね。

ダニエル・ピンク氏は、同書のなかで、歴史上フリーランスという言葉が侮辱的に使われてきたこともあったということに触れて、高度成長期に王道とされた「大企業に所属する」という働き方を捨て、組織に頼ることなく、自分の知恵を頼りに独立して働く人=フリーエージェント(free agent)という言葉で、新たに定義し直していました。

エージェント(agent)と言うと、映画『マトリックス』に出てくるエージェント・スミス(Agent Smith)みたいで、なんだかプロフェッショナルでスマート、戦う感じも出てカッコイイ気がします(悪役じゃないですけどね……)。

ともあれ、フリーランス = 自由契約の中世の騎士、という語源がもっと広まれば、やっかない和製英語のフリーターと混同するようなトラブルは減るでしょうか。

おまけ : 「スピード翻訳」のプロ翻訳者たちも、自由契約の騎士団、フリーランス(フリーエージェント)です。ゴールデンウィーク期間中も、翻訳という戦いがあれば、槍を持って戦いますよ!(もちろん、お休みを取られる翻訳者の方もいますので、稼働中の翻訳者が少なくなる傾向があります。担当翻訳者が 2 時間以内に決まらなかった場合は、再発注も可能です)
ゴールデンウィーク中の営業について(2015)

photo : “Jousting Knight” by Lee Jordan


You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 Both comments and pings are currently closed.