こんにちは、maggy です。春は出かけることが増えて、おしゃれが楽しい季節ですね。新しい髪型やメイクにも挑戦したくなります。わたしは相変わらずボブヘアーですが、最近ちょっとパーマをかけてみました(過去の記事ボブヘアー(ボブカット)のボブ(bob)とは?も、ぜひご一読ください)。
さて英語には、Beauty is in the eye of the beholder. (美は見る人の目の中にある) という、ことわざがあります。しかし美はそれぞれの目のなかだけでなく、文化のなかにもあるのだと、つくづく思います。
日本語には「目は口ほどに物を言う」とことわざもありますし、見た目はビジネスでもプライベートでも、コミュニケーションにとって重要なもの。そこで今回は、わたしのイギリスに住んだ経験から、日本と海外(欧州)における美意識の違いを痛感した実体験をご紹介します。
① わたしは「ひたいブス」らしい
ロンドンの某有名サロンで、カットモデルをしたときのこと。施術前に訓練生がわたしの前髪をかき分けながら、なにやら首を傾げていました。講師のベテラン美容師がやってくると、訓練生はこんな相談を始めました。
「この女性は、額(forehead)が狭くてきれいじゃないので、前髪(bangs)を長くして、額を隠してしまおうと思います」
「どれどれ……」
講師が鏡を覗き込み、わたしの前髪がオールバックにされた、その瞬間。
「Oh no…これは隠してくれ」
生え際を見てまるで「その死体は隠しておいてくれ」と言わんばかりの態度で目を背けられたのは、生まれて初めてのことでした(そもそもカットモデルとはいえども、わたしも英語がわかるのに、目の前でこのやりとり……)。
気になったのが、額に対する日本との美意識の違いです。どうやら欧州では、額に高さと広さがあることが、美人の条件のようです(参考 : 「美しい額を作る 5 つの法則」 5 Tips to a Gorgeous Forehead – Ready Set Beauty)。
調べてみたらこの感覚は根深いようで、『美女の歴史』(ドミニク・パケ著/創元社)によると、欧州の中世の女性(本書ではドイツ、イタリアの女性を例に)は、髪の生え際を脱色までして、額が広く、つややかに見えるように努力したそう。中世当時、広い額は眼差しを際立たせる美人の条件と考えられ、脱毛後に毛が生えてこないように、コウモリやカエルの血、毒人参の汁、焼いたキャベツの灰を酢に漬けたものなどを塗ったりもしたそうです。
もしも、この中世の美意識が現代イギリスにも少しでも残っているのだとしたら、それは確かに、わたしの狭い額には、焼いたキャベツの灰を酢に漬けたものくらいなら、塗りたくなるほど醜かったのかもしれません……。
② 歯並びは日本以上に大切らしい
イギリス人の知人のおじいさんに、写真を撮ってもらったときのことです。「Say cheese(はい、チーズ)※イギリスでもこう言います」の合図にあわせて、口角を上げた瞬間。
「おお、歯並びがきれい! もっと歯を見せて」
冗談を言っているのだと思って、馬のように歯を見せて笑うと、「すばらしい!」と、上気気味で大絶賛。(じいさん、さては歯フェチ……?)と気になりましたが、実はその後、別のイギリスの方にも歯並びのことを何度か褒められました。日本では、歯医者さんでしか褒められたことがなかったのですが……。
どうやら欧州では、歯並びが美しいことは、日本よりも美の条件として重要視されているようなのです。そのため、幼い頃に矯正をする人の数は、日本よりも多いと聞きました。特に八重歯 = double tooth に対する感覚は全く違います。日本ではかわいいとされていますが、欧米ではドラキュラのようで好ましくないと考えられ、vampire tooth とも呼ばれます。
ところ変われば言語が違いますが、ところ変われば美も変わるものですね。海外に行けば、あなたの新たな魅力に気が付くかも!? 新たな欠点……は、わたしの前髪のように、隠してしまえばいいのです。
ちなみに、顎が 2 つに割れている、通称「ケツ顎 = cleft chin」は、イギリスではセクシーとされています。わたしはケツ顎ではないので、この違いは体験できませんでしたが、どなたかぜひ実証してみてください。
photo : “Beauty Is Within The Eye Of The Beholder” by Harry Thomas Photography