ごま油、綿実油、ひまし油、石油?

2015/03/06 | Posted by maki in 小ネタ
’Oil well pump jacks’ by Richard Masoner / Cyclelicious

ごま油(sesame oil)は、ゴマの種子(sesame seed)を圧縮して製造します。綿実油(cottonseed oil)は、ワタの種子(cottonseed)を圧縮して製造します。残念ながらひまし油※は、ヒマシの種子ではなく、トウゴマの種子を圧縮して製造するなんだそうです(トウゴマの別名が「ヒマ(蓖麻)」)。
※ ひまし油は、食用ではなく、石けんや潤滑油、塗料、ワックス、医薬品(下剤)などに利用される油です

しかし、石を絞っても、石油は出てこないですよね。語源をたどってみると、明治初期に輸入された petroleum の訳語として採用されたのが石油だったようです。英語の語源から調べてみると、15 世紀あたりに輸入された単語で、

  • を意味する petra
  • を意味する oleum

の組み合わせから生まれた単語だったとか。petra という単語の音からは柔らかそうなものを想像しますが、のことなんだそうです。英語の stone は、フランス語では pierre、イタリア語ではpietra、ギリシャ語では πέτρα(pétra と発音)。一方、デンマーク語では sten、オランダ語では steen、ドイツ語では Stein。英語が 2 人の親を持つことがよくわかる事例です。

'Petrified Forest, Arizona' by  minniemouseaunt

petra からは、petrify という単語も生まれています。何か聞いたことがあるなあと思ったら、アメリカ・アリゾナ州の Petrified Forest National Park(化石の森国立公園)を思い出しました(テレビで見ました)。この公園には、石化した古代の樹木がゴロゴロしています。ん……石化?RPG ゲームの FINAL FANTASY の石化も英語版では、Petrify と訳されているんですね(アイテムの Gold Needle か、白魔法の Stona または Esuna で治ります♪)。

日本には石油資源がないと言われていますが、まったくゼロだったわけではありません。新潟県新潟市秋葉区新津地区には油田があって、石油の里と呼ばれています(現在は採掘されていない)。この街には、そのシンボルでもある蒸気機関車、油田のやぐら、さつきがあしらわれたマンホールをよく見かけます。
※ 新津は、信越本線、羽越本線、磐越西線が乗りいれる機関区で、新津車両製作所もある鉄道の町でもあります

新津油田は、国内でも有数の油田で、1917 年(大正 6 年)には、年間 120,000 kℓ を算出したそうです。ある論文によると、

日本の石油産業の歴史を振り返ると,1910年代のごく限られた時期に石油製品需要に対する国産石油の自給率が5割を超えたが,第一次世界大戦後の1920年代に入ると輸入原油に依存する時代を迎えた。
第一次世界大戦後の輸入原油精製 ─株式会社石油共同販売所の事例─ (伊藤武夫, 2009, p. 1)

……とあります。この時期が最大の産出量のタイミングと一致しているので、かなりの量を採掘していたことになりますね。
※ 当時は、秋田の油田なども操業していたようです

国産の石油は、古くは『日本書紀』にも登場し、天智天皇(在位 : A.D. 661 – 671)の巻(第廿七)に「越國獻燃土燃水」※(越国は、燃える土燃える水を献上した)と書かれています。貝原益軒の『大和本草』(1709)の巻三に石脳油という項目が見られ、臭水(くそうず)として紹介されいます(本草ニアリ是越後ニアル臭水ナルベシ田澤ノ中ニアリ土ヨリ出ル油ナリ……)。しかし、江戸時代には石脳油と呼ばれていたことがわかります。洋学を経由して入ってきた単語なのかもしれませんね。
越国とは現在の新潟県あたりを指します。燃土(燃える土)は、アスファルトのことだと考えられます

photo : “Oil well pump jacks” by Richard Masoner / Cyclelicious / “Petrified Forest, Arizona” by minniemouseaunt


You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 Both comments and pings are currently closed.