アメリカでは、いまでも小切手は現役!

2月 27th, 2015 | Posted by maki in 小ネタ
'Travelers Cheque von American Express' by Valentin Wittich

「そういえばトラベラーズチェックっていまでもあるのかな?」と先日ふと思い出しました。一昔前までは、海外旅行に行くときとかに、よく使われていました。ご存じない方のために Wikipedia の記述を引用しておくと、

旅行や出張など海外渡航の際に、多額の現金を持ち歩かなくても済むように発行される外国旅行者向けの小切手。

……というものがトラベラーズチェックです。銀行などで買える定額小切手(額面が事前に印刷されている)で、それを旅行前に購入しておきます。例えば、1,000 米ドル分購入すると、100 米ドルが 5 枚、50 米ドルを 10 枚のように、額面が印刷されたトラベラーズチェックが渡されます。購入したらすぐにサイン(ホルダーズサイン / Holder’s Signature)をします。現地で買物をするときや両替商の店で換金するときにもう一度サイン(カウンターサイン / Countersignature)をします。そのサインが一致していれば、正当な持ち主ということで、現金化できるというものでした。サインをするのは面倒なのですが、現金を持ち歩かないので、安心というメリットがありました(紛失時の再発行や現金よりも換金レートがすこし有利というメリットも)。

先ほどの Wikipedia をもうすこし読み進めていくと、

20世紀末頃まではよく使われていたが、日本国内では2014年3月31日を持って全ての販売が終了した。

……だそうです。あれー、そうなんですねー。1 年近く前に終了していたとは……。実際、自分も 1991 年にアメリカに行ったときを最後にそれ以降買った記憶はまったくないですね。いまは、クレジットカードが普及していますから、別にトラベラーズチェックなんて買わなくても、旅行中の支払い程度であればクレジットカードで十分事足りてしまいます。現金を持ち歩くというような危険性もありませんね(クレジットカードの場合、スキミングには気をつけないといけません)。海外に住むとなると話が違ってくるのですが……。

トラベラーズチェック(旅行小切手)は廃れても、アメリカでは小切手はいまだにかなり流通しているようです。インターネット上では PayPal のような支払い方法もありますが、調べてみたところアメリカは小切手がまだまだ現役のようです。日本で小切手というと企業が振り出す小切手が思い浮かびます(映画の中で「お前の欲しい金額を書け」とか言いながら白紙の小切手をボスがポンと渡したり、「オレが欲しいのはカネじゃない!」とか言って主人公が破り捨てたりするアレ)が、アメリカでは個人でも小切手を使うシーンはまだまだ多いようです。家賃などの支払いなどにも使いますし、Google の AdSense の支払いにも使われているようです(日本国内では、銀行口座への振込のようです)。大学の授業料の支払いも小切手だったように記憶しています(90 年代初頭)。

'Small-SS_checkbook' by  RikkisRefuge Other

アメリカで小切手を使えるようになるためには、まず銀行口座の開設が必要です。アメリカでは、Checking Account という口座と Saving Account という口座の 2 種類があります。小切手を作るのに必要なのは、前者の Checking Account になります。日々のお金の動き(給与の支払先やさまざまな支払いなど)に対応する口座で、入出金に便利なようにキャッシュカード(ATM card / bank card)や小切手帳が発行されます(chequebook / checkbook)。口座維持費がかかり、利子などは付かない場合も多いです(銀行によって、また預金残高の多寡によって、条件は変わります)。Checking Account は、日本語では当座預金口座と訳されたりしますが、日本に住んでいて、個人で当座預金口座を開設する人はほとんどいないですよね(企業向けの決済口座という意味合いが強いですよね)。
Saving Account はその名のとおり貯蓄用の口座で、利子が付きます

'CanadianChequeSample.png' by Airodyssey

小切手の切り方(使い方)ですが、ちょっと面倒です(たいしたことではないのですが)。上記のサンプルは、カナダの小切手のイメージのようですが、アメリカの小切手とかなり近いので、これで説明します。

  • PAY TO THE ORDER OF : 振出先(支払先)の相手を記載
  •                / 100 Dollars : 支払い金額を記載

を記載することになっています。支払先の相手の記載はいいのですが、                / 100 Dollars(または、                Dollars)の欄に

  • One Hundred Dollars and──────────55 / 100 Dollars
    または、One Hundred Dollars and 55 / 100────────── Dollars

……のように、数字でなくアルファベットで書かないといけないのです(小数点以下のいわゆるセントの部分は数字で OK)。100.55 ドルの場合は、それでいいのですが、1235.65 ドルの場合は

  • One Thousand, Two Hundred Thirty-Five Dollars and──────────65 / 100 Dollars
    または、One Thousand, Two Hundred Thirty-Five Dollars and 65 / 100────────── Dollars

……と書かないといけません。アメリカで小切手生活を始めたばかりのころは、正しい書き方 ※ もわからず、わかったところで書き慣れなくて、何枚も無駄にした記憶があります(その場で破ってしまえば、大丈夫)。小切手帳を銀行でもらうと、ある程度の厚さがありますので、なんとなくお金持ちになった気がしますが、それは幻想です。支払いできるのは、口座に入っている金額だけですから。
※ 正書法という書式に従うようです

ざっと簡単に説明しましたが、日本とアメリカが異なるように、国によって、銀行によって、各種口座の扱いはバラバラです。お気をつけください。

おまけ : 日本では、支払金額を刻印するという慣習があります。こんな機械で小切手に刻み文字を刻印するというのもあるんですよね(小切手を触ると、刻印された文字がざらざらとした手触りがあります)。いずれにしても普段の生活で個人的にお目にかかることはなさそうですが。

photo : “Travelers Cheque von American Express” by Valentin Wittich / “Small-SS_checkbook” by RikkisRefuge Other / “CanadianChequeSample.png” by Airodyssey


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