台湾で活躍する「運ちゃん」。

7月 7th, 2014 | Posted by xiaofan in 小ネタ

大家好! xiaofanです。連日 35 度を越える台北では、午後になると急に暗くなり、ひと雨ざーっと降る日が増えてきました。ゲリラ豪雨と言えそうですが、どうやら台湾では結構よくあることのよう。たいてい店の軒先がぐっと伸びているので、雨宿りする姿をよく見かけます。こんなに連日雨が降るのに、傘を持ち歩かない人もいるのがなんだか不思議です。

さて、台湾はすっかり夏の装いですが、日本もそろそろ夏休みの相談をしている人もいるのでは? 街中では色とりどりのマンゴーがどっさり売られる季節に入った台湾で、マンゴーを食べに行きたい!と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。旅には役立たないかもしれないけれど、移動にまつわる豆知識をお届けします。

台湾、特に台北近郊の観光であれば、割と気軽に利用できるであろう交通機関に、MRT(市内鉄道)タクシーがあげられます。
※ 以前、ご紹介した MRT の関連記事はこちら

MRT は、東京近郊の鉄道網と比べると、路線はぐっと理解しやすく、アジアでスカイツリーの次に高いタワーを誇る台北 101 や、縁結びの神様で有名な龍山寺、おしゃれの街・永康街、夜市で賑わう士林をはじめ、主要な観光地は網羅されていますから、現地に着いたらすぐにアシとして利用できるのではないでしょうか。運賃は、台湾ドル 20 元(約 60 円)からで、デポジットを払えば Suica や PASMO のような IC カード(悠遊卡 = 悠遊カード・ゆうゆうカード)を購入できます。悠遊卡を使えば、MRT だけでなく市内のバスなどまとめて、小銭に煩わされることなく移動ができます。

日本では「いや、初乗り 700 円もするようじゃ、ちょっと…」と敬遠しがちなタクシーですが、台湾では初乗り台湾ドル 70 元(約 210 円)という金額で、日本に比べればずっと気軽に乗ることができます。車によって行灯は異なりますが、タクシーはすべて山吹色で、夜でも遠くからでもはっきりと見分けることができます。また、漢字圏の台湾では、行き先を漢字で書いて運転手さんに見せれば連れて行ってもらえる、という点もやや気楽。区画整理の行き届いた街づくりがされているので、大きな通りを押さえれば場所も理解しやすい、というのが旅行者にとっても有り難い点です。

ワタクシ、初の台湾旅行で、台北市内に長年住む友人宅を訪ねるためにタクシーを利用した際に友人と住所や行き方をやりとりしていたら、「運ちゃんに A 路と B 路、っていえばわかりますから。あ、運ちゃんって言って大丈夫ですからね!」と言われました。そうなのです、台湾ではタクシー運転手のことを運ちゃんと呼ぶのです。

『台灣人也不知道的 台式國語』(曹銘宗著、貓頭鷹出版、日本未刊行)という本(タイトルの意味は「台湾人も知らない台湾式国語」)によれば、繁体字では運將と書き、「日本統治時代に使われはじめた」とあります。1895 年から 1945 年までの 50 年という間、台湾は日本だった時代があります。その間、台湾では公用語として日本語が使われていました。そのため、人々の暮らしの中に根づき、今なお使われているものが多くあるのです。「運ちゃん」のほかにも、歐吉桑(おじさん)、歐巴桑(おばさん)なんてのも紹介されています。ちなみに当該の項には、この 2 語は「年寄り扱いする意味が含まれているので、親戚などでない限りは相手に失礼だと思わせる可能性があるので使わぬほうがよい」とあります。

話を「運ちゃん」に戻します。この本の「運ちゃん」の項は、「おもしろいことに、台湾式国語の『運ちゃん』という言い方はだんだんと一般に使われるようになったのに対し、日本では 1990 年代以降、あまり使われなくなってきた。理由は、後輩や子どもを呼ぶ際に使う『ちゃん』という呼称で、場合によっては運転手を軽視する意味を含んでしまうからだ」と続けられています。確かに、第三者同士で話していて口にすることはあっても、運転手さん本人に「あ、運ちゃん、そこ曲がってください」なんて言いませんね。そして、この項目はこう結ばれています。「日本ではすでに使われなくなった『運ちゃん』という語は、台湾で新しい命を得たのである」と。ううむ。は、「将軍」や「大将」のなので、軽視されている呼び方だとは認識されていないのかもしれないですね。

確かに、台湾で暮らしていると、台湾で独自に進化した語に出逢うことが多々あります。「運ちゃん」はそのうちのひとつに過ぎません。ほかにもいろいろあるので、また機会を改めてご紹介していきます。あ、この夏、もし台湾旅行を考えているなら、折りたたみ傘をお持ちください。きっと役に立つと思いますよ!

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

photo : “I Don’t Want To Get Out Of The Taxi In This Weather” by Alex Watson

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