蔡一族の集会~日本の苗字・中国の苗字・韓国の苗字

6月 13th, 2014 | Posted by maki in 小ネタ

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しばらく前に NHK を見ていたら、中国内陸部の農村に「蔡」と名乗る人が 800 人集まった……というニュースがありました。3000 年前に中国で初めて「蔡」という苗字を名乗ったと言われる蔡叔度を起源とする人たちが、中国全土、タイや韓国からも集結したそうです。日本にも家系図を作るブームがありましたが、中国ではいま先祖のことを調べようという人が増えてきているのだそうです。遠い遠い親戚の人の集い、いいですね。

この報道にもあった参加者の出身地が、タイや韓国にまでおよぶという部分が気になりました。タイの人は、いわゆる華僑かもしれませんが、確かに韓国にも「蔡」(チェ / 채)という苗字があります。中国の蔡叔度の子孫が朝鮮半島に渡ってきたのでしょうか(統一新羅の時代に中国式の苗字を名乗ったという歴史があるようですので、その一致かもしれません)。仲井眞沖縄県知事もルーツをたどると、14 世紀後半に福建省あたりから琉球に渡ってきた人の子孫なんだそうです。台湾にも蔡さんは当然います。馬英九を総統候補の座を争った蔡英文も蔡一族です。

韓国と言えば、同じ苗字の人がたくさんいるなあ……と思います。それもそのはず、韓国は苗字が少なく、全部で 250 種類ぐらいだそうです。(キム / 김)、(イ / 이)、(パク / 박)、(チェ / 최)、(チョン / 정)が韓国のトップ 5 で、全体の 54% を占めるのだそうです。そして、このトップ 5 のうち「朴」以外は中国でもトップ 100 に入るポピュラーな苗字のようです。確かに朴さん以外は中国人の苗字としても思い当ります(いまの仕事場にも中国と韓国の崔さんがいます。遠い遠い親戚?)。

韓国の苗字は約 250 種類ぐらいということですが、これと比較すると中国は多いですね。3,000 とも 4,000 とも言われています。中国の場合、(ワン / Wáng)、(リー / Lǐ)、(ヂャン / Zhāng)がトップ 3。この 3 種類で総人口の 21% 程度を占めるそうです。中国の人口が 13.51 億人ですから、その 21% だと、2.8 億人?すごい数です……。

日本ではよく聞く名前はいくつもありますが、そのどれも 1 割以上いるような感覚はまったくないですね。調査によると、日本人のトップ 3 は、佐藤鈴木高橋。これに、渡辺、田中、伊藤、、山本、中村、小林、斎藤が続きます。どれもよく聞く名前ですが……トップ 3 だけでは、総人口の 4% 程度にしかならないのです。

日本の苗字は、30 万以上あると言われています。中国も韓国も苗字は 1 文字であるケースが大半です。日本の場合は、1 文字から最長 5 文字までが確認されているとか。5 文字の苗字は、「左衛門三郎」(サエモンサブロウ)と「勘解由小路」(カデノコウジ)だそうですが、勘解由小路さんはなかなか読めないですね。長い苗字、読みにくい苗字などもありますが、中田(ナカ)と中田(ナカ)のように同じ文字なのに読み方は別というバリエーションもあります。たとえば、「新谷」と書いて、

あらや、あらたに、あたらしや、しんたに、しんや、しんがや、しんがい、にいや、にいたに、にたに

……までバリエーションが広がる例もあります。きゃりーぱみゅぱみゅの「みゅ」の音が自然な日本語で発生するのは「大豆生田」の「おおまみゅうだ」だけ……いうのが話題になりましたが、この「大豆生田」にも 20 種類以上の読み方があるそうです……。中国語でも韓国語でも特定の 1 文字の読み方は基本 1 通りですので、同音異字の逆、異音同字問題は外国人だけでなく、日本人、そして翻訳者にとっても大変です。

おまけ :「スピード翻訳」では、発注時に翻訳者への申し送り事項を書き添えることができます。もし、読み方の難しい漢字や名前、簡単なものであっても間違えると困るものについては、読み方などをメモとしてお書き添えください。

photo : “樂得個傻樣兒” by Louis Cai
この写真は、Louis Cai(蔡)という方の作品です。この子がお子さんであれば、この子も蔡さん?


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