今こそ読みたいメアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』―生命科学と言語

2014/06/23 | Posted by maggy in 小ネタ

'Frankenstein' by wikipedia

こんにちは、maggy です。STAP 細胞のニュースを横目で見ながら、なんとなくイギリス文学の『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』(Frankenstein: or The Modern Prometheus、メアリー・シェリー作、1818 年)を手に取りました。

「フランケンシュタイン」のお話について、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。わたしも「確か、天才博士が人間を創ろうとして、顔がツギハギの怪物を創り出してしまったんだっけ?」という、極めて大雑把なあらすじくらいなら知っていました。

原作に挑戦してみたのは、生命科学というテーマについて少し考えてみたかったから。そして、文学翻訳家の友人が「あれは SF でもホラーでもなくて、ロマンチックな小説だよ」と言っていたのが気になっていたからです。

さて、これが今というタイミングに読んでみたところ、興味深い発見が大きく 3 つありました。

発見① 「フランケンシュタイン」とは、あの怪物を作った博士の名前であって、怪物の名前ではなかった

ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。私は「フランケンシュタイン」とは、あのツギハギの怪物のことだと思っていたのですが、実は主人公の博士、ヴィクター・フランケンシュタイン(Victor Frankenstein)の名前だったのですね。

解説しますと、フランケンシュタインは人間の生命の神秘を暴くという魅惑に取り憑かれて、墓から人間の死体をつなぎ合わせて、ひきこもって、狂ったかのように研究に没頭しました。そうして造られた人間は、名前すら付けらてもらっておらず、本書のなかではただ「怪物(monster)」と呼ばれています。

フランケンシュタインと怪物の名前を混同するという私の勘違いがどこから来たのか―映画のポスターからなのか、あるいは二次創作物からなのか―はっきりしません。ただ、これは非常によくあることのようです(やっぱり、『怪物くん』かしら……)。

果たして怪物を作った人間が怪物なのか、怪物だと決めつけているのは人間の主観なのか……。名前がついてないことによって、かえって問いかけてくるものが多いように思えます。

 発見② コピペの手抜き仕事は危険!

さて、フランケンシュタインは人間を創造するという目標に没頭し、急ぐあまり、狂気の果てにできあがって動き出した「それ」の容姿の醜さに驚愕します。ちなみに怪物が大男なのは、部分ごとに精密に作っていると膨大な時間がかかってしまうので、あえて大きく創ったらしいです。

こうして死体からツギハギで創った人間は、生命は持ったけれども、びっくりなほどに醜かったわけです。コピー&ペーストの手抜き仕事って、一見完成しているように見えて、本質的な問題を抱えていたりするもの

また、一人で仕事を進めてしまったので、「というかそれ、気持ち悪くない?」とか、冷静に止める人がいなかったんでしょうね。第三者に確認してもらうことは大切だなと実感します。

発見③ 言語と愛情の発見が美しい

さて、本書では実験室を飛び出し放浪した「怪物」が、道中、ある慎ましい家族を陰で観察しながら、言語そして愛情というものを発見していく章があります。よく家族の会話に出てくる「火」「牛乳」「パン」と、人の名前から覚えていき、家族愛、恋人の愛というものを知ります。

後半で「怪物」とフランケンシュタインが対峙するとき、「怪物」は一人で寂しくてたまらないので、恋人を作ってほしいと懇願します。しかしフランケンシュタインがこの依頼を断ったことから、「怪物」は次々とフランケンシュタインの恋人や家族を殺していきます。

もしも、フランケンシュタインが「怪物」に恋人を作ってあげていたら、どうなったのでしょうね。問題は解決したのか、ただ怪物が 2 人になって一層に厄介なのか、そもそも創りだすべきではなかったので抹殺すべきだったのでしょうか。いろいろ考えさせられます。

作者がスイスの別荘に滞在中、長く降り続く雨のために書かれたというこの作品。雨の日にでも、お手に取ってみてください(ちなみに、原書はこちらからダウンロードできます)。

おまけ : 翻訳作業は急いでいても手抜きせずに、「スピード翻訳」の「スピード翻訳」サービスでプロにお任せください。


You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 Both comments and pings are currently closed.