無形文化遺産の和食を中国語で!

1月 28th, 2014 | Posted by liang in 小ネタ

'Sashimi 刺身' by CLF

こんにちは!liang です。日本の和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことは記憶に新しいところですが、中国における和食(日本料理)の存在感というのはどの程度なのでしょうか。言葉の面から見てみたいと思います。

中国語で料理は「」と言います。中華料理は「中国菜」、フランス料理は「法国菜」、日本料理は「日本菜」です。そして日本語と同じように「料理」という言い方もあります。「日本料理」は、中国語としても通用するのです

もともと中国語にも「料理」という語はあって、「処理する」という意味の動詞でしたが(日本語にも同様の語義がありますね)、日本語「料理(する)」の意味としても使うようになり、中国語「料理」の語義が増える形で定着したのです。

中国で最も権威ある国語辞典(中国人が使用する中中辞典)のひとつである『現代漢語詞典』(商務印書館)で「料理」を調べてみると、1996 年刊行の第 3 版まで語義は「処理する」だけでしたが、2002 年刊行の第 4 版に初めて「料理(する)」の語義が登場します。また、第 4 版と第 5 版(2005 年刊行)は方言という扱いでしたが、最新の第 6 版(2012 年刊行)では方言扱いではなくなったので、一般化したと見なされているようです。

私が中国に滞在した 1990 年代後半は、北京や上海などの大都市にはすでに日本食レストランがいくつもありました。当時は私が日本人だとわかると「生鱼片」(生の魚介類を切ったもの。刺身の意味)は好きなのかとよく聞かれました。加熱していない魚介類を好むことを奇異に感じる中国人が多かったのでしょう。また、日本食レストランで提供するラーメンは日本食として認識されていて、中国人に人気がありました。

その後、中国の経済発展に伴いビジネスなどで中国を訪れる日本人が増えると、日本人向けの日本食レストランも増えていきます。看板には当然のように「日本料理」などと書きましたから、現地の中国人もすぐに言葉の意味を理解したことでしょう。营业中」のような日本語由来の言葉もよく見かけるようになりました(「营业」は「営業」の簡体字)。

今では日本料理は中国でかなりポピュラーなものとなっており、大都市であれば天ぷら、刺身や寿司など、実にさまざまな和食を食べることができます

そんな状況を反映するように、『現代漢語詞典』の最新第 6 版で追加された新語には、いくつか和食関連の言葉が含まれています。

【1】 刺身 cìshēn  (「ツーシェン」のように発音します)

【2】 定食 dìngshí  (「ディンシー」のように発音します)

【3】 寿司 shòusī  (「ショウスー」のように発音します)

【4】 天妇罗 tiānfùluó (「ティエンフールオ」のように発音します) ※「天婦羅」の簡体字

この辞典に採録されたということは、中国でこれらの語はほぼ市民権を得たと言ってよいでしょう。面白いのは、【4】の語釈に、日本語由来であることと同時にポルトガル語由来であることも併記されていることです。天ぷらの語源には諸説あるようですが、『精選版 日本国語大辞典』(小学館)によれば「テンプラ」はポルトガル語の tempero(調理)から来ているのだとか。知りませんでした。

中国語「料理 liàolǐ」は「リアオリー」のように発音します。日本語の「りょうり」に音が似ているので、一度聞くと耳に残ります。「日本料理 Rìběn liàolǐ」は「リーベン リアオリー」のように読みます。無形文化遺産に登録された記念に、覚えてしまいましょう。

おまけ :「スピード翻訳」の「スピード翻訳」サービスでは、日本料理(和食)のお店のメニューの中国語(簡体字・繁体字)翻訳も承っています。日本料理に限らず、イタリアンもフレンチも、コリアン(韓国料理)の翻訳もお引き受けいたします。飲食店経営の方はぜひご利用ください。

photo : “Sashimi 刺身” by CLF


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