ユネスコ無形文化遺産登録の和食、海外発信のキーワードは「umami(うま味)」?

12月 13th, 2013 | Posted by maggy in 小ネタ

'Japanese Food' by timtak

こんにちは、maggy です。先日、和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。海外からの注目も高まりそうです。

和食のおいしさの決め手といえば出汁(だし)です。出汁にはギュッとうま味が詰まっていますからね。

この「うま味」が近年、海外で注目されていることをご存知でしたか。名前もそのまま、umami(ウマミ) と呼ばれています。

改めて「うま味」とは何でしょう。「甘味・酸味・塩味・苦味」の 4 つに並ぶ、人間が感知できる基本的な味覚のひとつなんだそうです。うま味成分にはグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などがあります。それぞれの成分を多く含む代表的な食材として、下記が挙げられます。

グルタミン酸: こんぶ、イワシ、パルメザンチーズ、トマト
イノシン酸: かつお、煮干し、さば、豚肉
グアニル酸: 干し椎茸

出汁をつくるとき、うま味を複数掛け合わせますが、そうしてグンとおいしくしているんですね(これぞ「ウマウマ」ですか?)。

日本人は昔からこの味覚を経験的に認識し、さまざまな料理に活用してきました。「うま味」という名が付けられたのは 1908(明治 41)年のこと。グルタミン酸を発見した東京帝国大学の池田菊苗教授が名付け親で、日本語の「うまい(旨い)」に由来しているそうです。その後、イノシン酸、グアニル酸も日本人によって発見されました。

さて、この「うま味」が海外からの注目されるきっかけとなったのが、それから約 100 年後の 2000 年代。アメリカの科学誌で、「人間の舌には『うま味(umami)』を感知する機能があることが確認された」と発表されました。この出来事は The fifth taste(第 5 の味覚)の発見として海外メディアで話題になりました(詳しくはこちらの The guardian のニュースなどをご覧ください)。

その後、アメリカには 2009 年に Umami Burger(ウマミバーガー)なるチェーン店が登場し、イギリスでは 2010 年に Umami paste(ウマミペースト)なるチューブ型の調味料が登場したとか……。商品名は、第 5 の味覚ということで、そのまま「Taste No 5」です(詳しくはこちらの Daily Mail のニュースなどをご覧ください)。

「うま味」は日本の伝統料理に多く含まれますが、日本食に限ったものではありません。先に見たようにパルメザンチーズトマトなどにも多く含まれています。イギリスのニュースでは「イギリスの食材では、ウスターソースマーマイトに多く含まれる」などと紹介されてます。ただ、この海外でのうま味ブームによって日本食のおいしさの認識が高まっている、という波及効果はありそうですね。

話は戻りまして、和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたのは、うま味そのものや会席料理といったメニューそれ自体ではありません。食に関する慣習になります。例えば、四季折々の素材を取り入れること、一汁三菜を基本とすること、色どりなど、世代を越えて受け継がれる無形の文化のことなんだそうです。

なんだか「うま味」がひとり歩きしていますが、この注目キーワードの活用しながら、もっと和食の食文化をトータルに海外に発信していきたいですね。

おまけ :「スピード翻訳」の「スピード翻訳」サービスでは、和食(日本料理)のお店だけでなく、海外からのお客さまも「お・も・て・な・し」するホテルや飲食店などのメニューやその解説の翻訳のご注文を多数いただいています。食材や成分はもちろん、伝統や成り立ち、慣習などの和食文化も一緒に伝えましょう!

photo : “Japanese Food” by timtak


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