アイに心は必要かをめぐる問題について。

11月 13th, 2013 | Posted by xiaofan in 小ネタ

'帥 仕 相' by Jonathan Chen

「あなたには心がないのよ。それってアイって言える?」
「君だっていつも時間がかかって人を待たせるじゃないか。それだってアイがあるとは思えないよ」

この手のケンカを久しくしていない台湾の xiaofan です(遠い目)。なんだか安っぽいセリフにしちゃいましたが、これ、中華圏でアイという字をどう書くか、つまりはいたってマジメな文字のお話をお届けしようと思います。

まずは中国本土や、台湾で使われている 2 つの文字を実際に書いてみましょう。

  • 心を書かない 
  • 心を書く 

上の字は中国大陸やシンガポールで使われる字で簡体字と呼ばれ、下の字は台湾や香港マカオで使われる字で繁体字と呼ばれます。なんと中国大陸では、アイに心がこもってないんですね!

アイの 1 字だけなら日本で使う新字体と繁体字は同じに見えますが、日本で使う文字とも違います。ちょっと 3 つを並べてみましょう。

簡体字(中国大陸やシンガポール) : 广
新字体(日本):
繁体字(台湾や香港・マカオ):

いかがですか。いやはやなんとも…違うものですね!

そもそも。
漢字は今から 3,300 年前には使われていることがわかっています。中国で識字率向上を目的に漢字の画数を減らすことになったのは1956 年、つまりはごく最近のことです。

確かに 13 億とも 14 億ともいわれる人への文字教育を考えたら、できるだけ簡略化したいと考えるのも無理のない話です。簡体字の効果であったかどうか定かではありませんが、1970 年の識字率と 2000 年の識字率を比べたユネスコの調査では、中国での識字率は 52.9 % から 93 % へと向上したとされています。ただ簡体字よりも画数の多い日本は識字率 99 % といわれますから、調査をどう判断するかはまた別のお話です。

日本人の使用する新字体は、ざっくり言って簡体字と繁体字の中間くらいの画数なので、簡体字と繁体字、どちらの文字も馴染みやすいのではないでしょうか。いずれにしても「同じ漢字圏だ」と一括りにできないようです。

さて、アイに心が必要かどうか。皆さんはどう考えますか。

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見喔~!

photo : “帥 仕 相” by Jonathan Chen

おまけ :「スピード翻訳」の「スピード翻訳」サービスでは、台湾で使われている繁体字の翻訳も承っております。もちろん簡体字の翻訳も承ります!


You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 Both comments and pings are currently closed.