中国語、漢語、普通話

4月 8th, 2013 | Posted by liang in 小ネタ

'葡萄沟:吐鲁番的维吾尔族姑娘在葡萄架下欢快地舞蹈' by Jinning

こんにちは!liang です。わたしたちがふだん中国語と呼んでいる言語は、中国では「中国语」とは呼びません(「」は「語」の簡体字)。また、中国語で日本語を「日语」、英語を「英语」と呼びますが、中国語は「中语」ではありません。

中国では中国語のことをふつう「汉语」(漢語)、あるいは「中国话」(中国話)、「中文」などと呼びます。

汉语 Hànyǔ」は漢民族(汉族)が使う言語という意味です。中国には 56 の民族があり、民族によって使用する言語はさまざまです。属する民族が異なっても中国の国籍があれば中国人と言えますから、中国語を「中国人が使う言語」と定義するならば、チワン族(壮族)が話すチワン語もウイグル族(「维吾尔族」。写真はウイグル族の女性)が話すウイグル語も、みな中国語になってしまいますよね

漢民族は中国の人口の 9 割以上を占めますので、彼らの使用する「汉语」が中国の代表的な言語であるのは間違いないでしょう(漢民族以外の 55 の民族は少数民族と呼ばれます)。しかし、広い国土を有する中国では、同じ漢民族でも地域によって話す言葉に違い(方言)があります。北京語、上海語、広東語などの方言はほとんど外国語のように違うともいわれています。

しかし、それでは不便だということで「普通话 pǔtōnghuà」が生まれました。これは北京語音を標準音とし、中国の北方の方言をベースに、模範的な現代口語文の著作を文法規範とした漢民族の共通語であり、中国の標準語とされています。

わたしたちが中国語と呼んでいるのは、ふつうはこの「普通话」のことです。中国における「汉语」も、狭義では「普通话」をさします。

なお、『講談社 中日辞典 第三版』(講談社刊)によれば、「中国话」は「汉语」が学術的・専門的なのに比べて通俗的な表現であり、「中文」は文字としての中国語という意味もあるとのこと。

余談ですが、中国人に「普通话」ができるかどうかをたずねたら、多くの人が「できる」と答えるでしょう。学校で「普通话」による教育を受けたことになっているのですから当然ですね。しかし、パーフェクトな「普通话」を話せるのは、おそらくアナウンサーや教育関係者など、正確な「普通话」を要求される一部の職業に従事する人だけであろうと思います。ふつうは語彙や発音などに育った地域の方言の影響が出るものです。

日本語でも同じですよね。わたしは東京都生まれの神奈川県育ちで、両親は九州出身の日本人です。「方言がある」と言われたことはありませんが、標準的とされる日本語の語彙と発音だけで会話できるかどうか、かなりあやしいものです

中国人に中国語ナレーションを依頼する場合、方言の影響に注意する必要があります。たとえば日本人向けの中国語教材の音声吹き込みなどは、発音が重要視されるため、プロのアナウンサーや北京出身のナレーターに依頼するケースが多いのです。

また、方言の影響に限りませんが、「中国人だから正確な中国語が書ける」という考えは、「日本人でさえあればきちんとした日本語が書ける」という考えと同じで、あり得ないことです。日中翻訳を専門家ではなく身近な中国人に頼む場合は、その点も念頭に置いておきたいですね。

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photo : “葡萄沟:吐鲁番的维吾尔族姑娘在葡萄架下欢快地舞蹈” by Jinning


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