(お食事中の方やタイトルから想像されるトピックにセンシティブな方はご注意ください)
こんにちは、maki です。ある人の tweet を読んでいて、台所などを徘徊する褐色の昆虫を G と呼んでいるのを見かけました。そういえば知り合いにもあの昆虫のことをその名称で決して呼ばない人がいるのを思い出しました。人によっては、アレと呼んだり、逆にもうすこし具体的(?)に gkbr と書いたりする人もいます。「噂をすれば影がさす」ということなのでしょうか、あの昆虫の名前を忌み言葉を使うことでその災厄を回避しようという心理なんですかね。
日本には古来より言霊思想があって……というのはよく語られる話ですが、日本以外でもこうした忌み言葉(taboo words)などによる婉曲表現というのは、さまざまあるようです。いちばん最初に思いついたのは、南方熊楠の『十二支考』からの一節。
出典 : 『十二支考』 – 「虎に関する史話と伝説民俗」(南方熊楠)
世界各国でクマやオオカミなど恐怖の対象の名前を口に出さないようにしているというのは、おもしろいですね。忌み言葉によって忌避されるべき対象は、恐ろしいもの(恐れ多いもの)であったり、不吉なものやこと、不浄のものであったりというパターンに収斂されそうです。
英語では、どんな表現があるか考えてみました。Gee.や Oh, my goodness.、Gosh. などの口語表現がすぐに思い当たりました。これらは、すべて GOD を忌避する表現だと言われています。この背景としては、やはりモーセの十戒の「あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない」(Thou shalt not take the name of the LORD thy God in vain ※)があるのでしょう。映画などでは、Oh, my god! というセリフなんかはよく聞くような気もしますが、こうした表現は人によって許容度はバラバラです。気をつけて使いたいものです。
※ thou は、you の古語。shalt は、shall の古語(二人称現在形の活用)
おまけ : 古代の日本においては、敵対する勢力に忌むべき名前をつけたりしていたようです。まつろわぬ人々(先住民)を「
photo : “Oh my god” by Francisco Martin