中国のメディアによく出る成語

9月 2nd, 2015 | Posted by liang in 小ネタ

'Yangshuo' by Arian Zwegers

こんにちは!liang です。立秋以降、雨が降るたびに涼しくなり、過ごしやすくなりましたね。まさに「一场秋雨一场寒」([秋は]ひと雨ごとに寒くなる)という感じです。しばらくしたらまた暑くなりそうですが……。

さて、中国語には「成語 chéngyǔ」というものがあります。中国で古くから使われてきたことばで、多くは四字で構成され、典拠(よりどころとなる出典)が存在するものもあります。日本語にも「朝三暮四」「傍若無人」など多数の成語が入ってきています。日本では故事成語や四字熟語などと呼ばれることが多いようです。

日本語の会話の中で故事成語はそれほど頻繁に使われるものではありませんが、中国語においては会話の中で自然に使われますから、中国語学習者にとって、そしてもちろん中国人にとっても、成語の習得は避けて通れないものです。

しかし、成語を学ぶといっても膨大な量がありますので(成語の定義にもよるが、現代も使われている主要なものだけでも 8000 以上あるとも言われる)、使用頻度の高いものから覚えていくことになります。中国では成語関連の書籍が多数刊行されています。

ここでは、中国の主要なメディア(新聞、放送、インターネットのニュース)によく登場する(※)成語を出現頻度の高い順に 10 個紹介します。意味を覚えておけば、中国のメディアに接する際に役立つでしょう。

※年に 1 度中国で刊行されている『中国語言生活状況報告』(商務印書館)の過去3年(2011~2013 年度)の「媒体成語表」を参照。各年の頻度数上位の成語を総合して選出。

【1】 前所未有
意味は「いままでにない」「空前の」。新しい情報を伝えるメディアの特性からすると、よく登場するのも当然ですね。

【2】 坚定不移 ※「」→「堅」
意味は「意志が固く、動揺しない」。政府の方針を推し進めるという文脈で使われるのをよく見ます。

【3】 脱颖而出 ※「」→「穎」
意味は「頭角を現す」。戦国時代、趙国・平原君の食客である毛遂が、重要な任務に自分を売り込んだ際、平原君が「才能があるなら、袋の中の錐(きり)のように、すぐに先が抜け出ていただろう」と、実績のないことを理由に退けたところ、毛遂が「もし遂(自分)を早く袋に入れていたならば、錐の先どころか柄に付いた輪(穎)も抜け出たでしょう」と答えた故事から。競争の激しい中国社会には欠かせない成語ですね。

【4】 见义勇为 ※「見義勇為」
意味は「正義を見たら(正しいと思ったら)勇敢に行う」。模範的な行為を奨励、あるいは称賛する際によく使われるようです。

【5】 众所周知 ※「」→「衆」
意味は「だれでも知っている」「周知である」。文頭で「周知のように~」と前置きする際に多く使われています。

【6】 无论如何 ※「无论」→「無論」
意味は「どんなことがあっても」。「无论」は、単独では「~にかかわらず」という意味です。メディアにかぎらず、幅広く使われます。

【7】 丰富多彩 ※「」→「豊」
意味は「内容が豊富で多彩である」。さまざまな活動や生活を形容する際によく使われます。

【8】 全力以赴
意味は「全力をもって事にあたる」。前向きな決意を表明するのに使われます。ちなみに日本の映画『俺はまだ本気出してないだけ』(同名の漫画が原作)のタイトルは、中国語では我只是还没有全力以赴と翻訳されています。「我只是还没有~」は「わたしはまだ~していないだけ」という意味。

【9】 不可思议 ※「」→「議」
意味は「理解できない」「想像できない」。仏教用語から来ているそうです。日本語にも入ってきていますね。意味も似通っています。
※ しばらく前の「変でおかしくちょっと変わった中国語の言い分けを考える」でも、中国本土だけでなく、台湾でも頻繁に「不可思議」が使われるというお話をしましたね。

【10】 一如既往
意味は「これまでとまったく変わらない」

上記は出現頻度の高いものをほんの少し集めただけですが、複雑な意味内容を短いことばで表すことができる成語の世界は、本当に奥が深くて興味が尽きません。漢文が好きな人なら、すでに成語についての豊富な知識を持っていると言えるかもしれませんね。中国人との会話の中で、その場にぴったりの成語をすらりと言えたら、きっと一目置かれますよ!


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