中国語でポジティブな「こだわり」をどう言う?

6月 10th, 2015 | Posted by xiaofan in 小ネタ

'Restaurant Window' by SomeDriftwood

大家好! 気温が高くなり、夏が来たと思ったら、連日の雨。東京もついに梅雨入りしてしまいましたが、台湾は日本よりひと足早く、雨季に入っています。この時期の雨は台湾でも梅雨(méiyŭ)と呼ぶのだそうで、少し前までお店に並ぶ野菜の中には、やや小ぶりの梅が並んでいました。台湾でよく見る梅といえば、ドライフルーツになった干し梅。特に常温の紹興酒に入れて飲むのが人気です。台湾暮らしの長い日本人の友人の中にも「これ無しでは飲めない」という人もいるほど。こうした食に対するこだわりは、日本と台湾にかかわらず、よく見られることです。

さて、この「こだわり」「こだわる」を日本語の国語辞典で引くと、こんなふうに説明されています。

1 心が何かにとらわれて,自由に考えることができなくなる。気にしなくてもいいようなことを気にする。拘泥する。 「金に-・る人」 「済んだことにいつまでも-・るな」
2 普通は軽視されがちなことにまで好みを主張する。 「ビールの銘柄に-・る」
3 物事がとどこおる。障る。
4 他人からの働きかけをこばむ。なんくせをつける。

出典:こだわる – 大辞林 第三版(三省堂)。ただし 3 と 4 は説明のみ抜粋。

こんなふうに、もともとはどちらかというと、ネガティブな文脈で用いられることが多い語でしたが、最近は「こだわりの食材」「料理長のこだわり」といった、その姿勢をポジティブにとらえた例がよく見られるようになりました。では、こういった前向きのこだわりは、中国語でどう言えばいいのでしょうか。

一般的に「こだわる」の中国語訳として紹介されるのは拘泥(jūnì)が多いようです。日本語でもお馴染みの単語ですね。ただしこれも日本語のこだわり同様、拘泥形式(形にこだわる)、拘泥原則(ルールにこだわる)といった若干、ネガティブな意味合いが強いようです。では、好評価の場合はどうでしょうか。中国語のポジティブなこだわりには、堅持(jiānchí)もしくは講究(jiǎngjiū)を使いましょう。

對製法的堅持 作り方へのこだわり
對鵝肉的講究 ガチョウ肉へのこだわり

ただ、この両者には使い分けがあります。前者(堅持)は、まず決めたことがあり、それを譲ることがない、という意味合いであるのに対し、後者(講究)は完璧を追い求めていくことを表します。漢字からも日本語の堅持する、つまり、一つのものを堅く持ち続ける様子が、また意味を解き明かす「講」によってものごとを研究する様子が、伝わってきます。

上記の例でいうと、製法という自分なりのルールに基づくため堅持を用い、たくさんあるガチョウ肉からパーフェクトな肉を選ぶため講究を用いるのが適当、ということになります。

では、翻訳という道を貫くこだわりは堅持、よりよい言葉を探していくこだわりは講究、ということになりますね。よりよい翻訳を目指しつつも、拘泥ではなく、柔軟に取り組みたいなあとも思うのです。

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

photo : “Restaurant Window” by SomeDriftwood

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