台湾で親しまれるおでんのお話。

12月 11th, 2014 | Posted by xiaofan in 小ネタ

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大家好! xiaofan です。12 月 7 日に二十四節気の大雪を過ぎ、そろそろ温かい食べ物が恋しくなってきました。台北の街中では、火鍋、麻辣香鍋といった文字が、美味しそうな写真と一緒に踊る広告を目にすることが増えてきました。鍋物といえば、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ちゃんこ鍋、さまざま思い浮かびますが、やはり冬の鍋物といえばおでんではないでしょうか。

もともと田楽に接頭辞「お」を付けて「おでん」と呼ばれるようになったおでん。日本では、現在の醤油ベースのスープにさつま揚げなどの種を入れて煮込む形が広まったのは、大正時代、関東大震災以降のこと。味噌だれをつけるおでんと区別するために、関東煮(かんとうだき)と呼ばれるようになったのも、この当時のことなのだとか(参考 : 紀文)。

ここ台湾でも關東煮は別の呼び名があるほど親しまれている食べ物のひとつです。またの名を黑輪。この単語には、二つの読み方があります。

Hēi lún 中国語読み
Oo-lián 台湾語読み

あれ?と思った方もいるのでは。そう、この台湾語読み日本語の音から来ています。中国語の教育が始まったのは第二次大戦後のことですから、1895 年から 1945 年まで日本が台湾を統治していたことを加味すると、台湾語の読みのほうが先だったのだとわかります。また、台湾語の文字は中国語の漢字を使用しているため、こうした交差が起きるのです。
※ この台湾語読みについては、前回の記事(「台湾語」の解釈をめぐって)をご覧ください

戦後およそ 70 年。今なお、台湾のコンビニでは店頭でおでんが売られています。店頭には、日本と同じように、大根ちくわつみれなどの種が並んでいます。ただ、滷豬血(豚の血液を固めたもの。ぷるっとした食感)など台湾独特の具材や、トウモロコシタケノコが変わり種でしょうか。

せっかくなので、台湾のおでん屋さんに足を運ぶことにしました。訪ねたのは、寧夏夜市近くにある「小巷亭」という和食のお店。和食といっても、現地で好まれる味にローカライズされていることが多いのではないかと、少々期待してみたのでした。路地の入り口には、思わず「おお!」とつぶやいた佇まいのおでんの屋台がありました。その日はちょうど、寒気の影響で台北にしては冷え込んだ夜。夕食どきだったこともあり、屋台には行列ができていました。

ステンレス製で仕切りのある角形鍋をのぞくと、ざく切りでいい具合に透明感の増した大根が目に飛び込んできました。ちくわこんにゃくなどお馴染みほか、日本の配役表では見たことのない高野豆腐、さらには台湾ならではの具材として、魚丸と呼ばれるタコ入りの丸く成形された台湾風つみれ、米血糕と呼ばれる豚の血ともち米でできた四角いお餅(写真左の黒の四角いモノ)などが見られました。反対に、ちくわぶやはんぺん、ゆでタコ、ゆでタマゴは見かけませんでした。おいしいのに。

具材を選んだ後は、お店の方が小さく切ってお皿に載せ、さらに味噌だれをかけてくれました。このたれは、白みそベース、とろりとした食感でやや甘め。日本では練りからしを添えるのが一般的ですが、からしは見られませんでした。試しにたれ無しで口に運ぶと…ふわっと日本と変わらぬ懐かしい味が広がりました。「あそこは古いお店だよ。わたしが子どもの頃にはもうあったからね」とは、戦後すぐに台北で生まれたお年寄りの談です。

台湾と日本の関係は、古い屋台と新しいコンビニの、両方に凝縮されているのかもしれないと思ったのでありました。

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

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