スコットランド・ゲール語、スコットランド語、そしてスコットランド英語

9月 11th, 2014 | Posted by maggy in 小ネタ

こんにちは、maggy です。スコットランドで独立の機運が高まっています。独立の是非を問う住民投票は今月 18 日を予定。最新の世論調査では、独立賛成派が反対派を上回りました。

スコットランドは現在、英国を構成する 4 地域(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)の一つです。スコットランドはもともとは独立した王国で、およそ 300 年前に、イングランドに併合されました。

この動きについては経済への影響を中心に議論が活発ですが、ここは「スピード翻訳」のブログですので、今回はスコットランドの「言語」について、少しご紹介したいと思います。

さて現在、スコットランドの公用語は、英語とスコットランド・ゲール語の 2 つです。スコットランド・ゲール語(Scottish Gaelic)とは、スコットランドで話されるケルト系言語で、アイルランドのゲール語(アイルランド語)とよく似ています。「スコットランド・ゲール語」はゲール語で Gaidhlig na h-Alba と書きます。

スコットランド・ゲール語とはまた別に、スコットランド語(Scots)という言語もあります。こちらは 11 世紀半ば(前にご紹介した Norman Conquest 以降)から 15 世紀後半頃に話されていた中英語(Middle English)から分離した言葉で、現在の英語と似ているところも多くあります。例えば英語の music(音楽)は、スコットランド語で muisic という具合に、スペルが似ている単語もあります。

スコットランド・ゲール語とスコットランド語は、ともに今では話者が少ない少数言語ですが、現在スコットランドで最も耳にするのはスコットランド英語(Scottish English)です。スコットランドで一般的に使われている英語の方言のことですね。「スコットランドに行ったら、英語が全然聞き取れなくて驚いた」「英語圏の人ですら理解ができなかった」など、その訛りの強さについては、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

スコットランド英語の最大の特徴は、r の発音にあります。母音後(語末や子音前)の r を発音します。例えば bird「ビアド」となります(ちょっと巻き舌っぽくすると、より本格的に聞こえます)。またイントネーションにも特徴があり、平叙文でも上昇調で言います。

言語は文化の鏡ですから、独立の機運に乗って、こうしたスコットランドで話される言語への注目も高まりそうですね。

ところで、スコットランド・ゲール語を語源とする言葉が、わたしたちの身近にあることをご存知ですか? それはウイスキー。ゲール語の Uisge-beatha(ウシュクベーハー)が短縮された usque(水)を語源とし、命の水という意味になります。

なお、スコッチウィスキーは whisky、スコッチ以外のウイスキーは whiskey という具合に、英語ではスペルがちょっと異なるそうです。うーん、味わい深い!

おまけ :スコットランド産の whisky はもちろんのこと、カナダ産・日本産も whisky とつづられることが多いとか(詳しくは、こちらで)。ニッカウヰスキーの創業者の竹鶴政孝は、スコットランドでウイスキー作りを学んだんですって。だから当然、日本は この秋からの NHK 朝ドラ『マッサン』の主人公は、この竹鶴政孝。楽しみ♪
余談 : もうすぐ終わる『花子とアン』の主人公は翻訳家でもある村岡花子が主人公なのに一回も取り上げなかったですね……


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