日本語で「キムさん」はよくても、韓国語で「キムシ」は不自然?!

7月 15th, 2014 | Posted by maki in 小ネタ

'Eliot and the Year 6 students' by Brian Yap (葉)

こんにちは、maki です。前回の Michael D のような「ファーストネーム+姓の頭文字」の呼び方に続いて、韓国での人の呼び方について調べてみました。

パートナー企業にキムヘリム(金惠林)さんという人がいました。その会社の社長はこの人に確認したいことがあって、キムさんを呼びました。「ヘリムシ!」と。この「シ」()は、日本語の「さん」に相当するもののようです。アメリカのように韓国でもファーストネームで呼ぶ文化があるのかと思いきや、ちょっと事情はアメリカと違うようです。

OK:ヘリムシ(ヘリムさん)
NG:キムシ(キムさん)
OK:キムヘリムシ(キムヘリムさん)

しばらく前に、中国と韓国の苗字についてご紹介しましたが、韓国の苗字(姓)は 250 種類ぐらいしかないので、同姓の人がかなり多いのです。なので、「キムシ!」(キムさん!)と街中で叫んでしまうと、何人ものキムさんが振り返ってしまうことになってしまいます。そこから、「キムシ」とだけ呼ばれると、そう呼ばれたキムさんは「ああ、この人にとっては、自分はキムなんとか程度の存在でしかないのだな」と思ってしまう……なので、姓+「シ」というのは使うのはよくないという事情があるようです。

しかし、「シ」()と「さん」は、似ているようでちょっと違います。目上の人には「ニム」()を使うようです。自分の会社の社長など話者にとって目上の人物について語る場合が日本語とは異なっています。韓国語では「社長さま」(サジャンニム / 사장)や「部長さま」(プジャンニム / 부장)のように「さま」に相当する「」が付きます。これは、自社内での表現ではなく、他社の人に対しても自分の会社の社長は、「社長さま」なのです。年長者を尊敬するのは、日本でも韓国でも普通ですが、日本の場合は、ウチとソトを区別し、それが優先されるので自社の社長について言及するときには「さま」はつきませんね。

日本語の尊敬表現・謙譲表現も難しいですが、韓国語も難しい。似ているからこそ、母語の文化に引きずられてしまって、日本語を学んだ韓国人でもつい電話口で「社長さまは不在です」などと言ってしまうんですね。

Michael D の話にもどります。このアメリカでの「ファーストネーム+姓の頭文字」という呼び方は、留学中に小学校でこどもをしかるときに学んだ呼び方です。じゃあ、韓国ではどんな呼び方なのかというと、

キムヘリム!

だそうです。韓国では先生は尊敬すべき対象であり、児童、生徒に対して呼び捨てで呼びつけることが許されています。そして、姓と名は組み合わせて呼ぶのだそうです。それが韓国での「教育者としてあるべき姿」なんですね(韓国でお子さんを持つお母さん談)。田舎の方では、「おい!お前!」みたいな表現がいまだに生きているとか。一昔どころじゃない昔の日本のようですね。
※ ちなみに中国でも、教師は「フルネーム(呼び捨て)」が基本のようです

photo : “Eliot and the Year 6 students” by Brian Yap (葉)
※ 残念ながら写真は、中国の小学校の様子のようです……


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