春に近づくおまじない?

2月 25th, 2014 | Posted by xiaofan in その他

'春到' by Ache_Hsieh

大家好!xiaofan です。

「1 月行く、2 月逃げる、3 月去る」は、新しい年の始まりから日増しに文字通りの春に近づく日々の忙しさを表すことばです。この時期、台湾の季節感の表し方はちょっと違うようです。

基本的に、日本と台湾では時間の流れを表すための暦が違います。日本では西暦を基準としていますが、これはアジアの中では少し特殊のようです。というのも、中国、台湾、韓国など、お隣さんたちは皆、旧暦を用いているからです。台湾では「農(民)暦」といって、新年もこの農暦で祝います。ざっくり言って 1 か月ほどのタイムラグがあります。たとえば、今年の農暦の元旦は 1 月 31 日にあたります。こうした暦の意味するところは、冲方丁『天地明察』(角川書店)が映画化されたのが記憶に新しいところです。

日本では大雪が降りましたが、この農暦の上ではすでに立春を過ぎています。2 月 4 日は立春でした。日本では厳冬期の豆まきのイメージが強いかもしれませんが、節分とはつまり、季節の分かれ目を意味しています。また、実際に季節の分かれ目を表す節分は立春だけでなく、立夏、立秋、立冬もすべて節分にあたるのです。

この時期に台湾でよく見かけるのは、新年になって新しく貼り直された玄関に貼るお札「春聯」です。中国大陸では「春貼」とも呼ぶようです。日本でも「福」の字が逆さまになったのを見たことある方もいるのではないでしょうか。最初目にしたとき(あれ? これ、上下逆さにしちゃっていいのかしら)と人様の玄関先で気になりましたが、事情がわかってみると、見事な余計なお世話でした。実はこの逆さまにするのにはしっかり意味があるのです。

逆さまにする意を表す中国語「倒」は、到達する意味を表す「到」と同じく「dao」と発音するため、「春」の文字を逆さにして貼るようになったのだそう。つまり、

春倒了(春を逆さまにする) → 春到了(春が到来する、やってくる)

というふうに読み替えるのだそう。そういえば日本語でも「春=張る」だから財布を買うのは春がいい、おせち料理で昆布を食べるのは「喜ぶ」の音に由来するといった考え方がありますが、上記のように同音異義語を楽しむことは台湾でも親しまれているんですね。春の字以外にも、「福」を逆さにすることがあります。

福倒了(福を逆さまにする) → 福到了(福が到来する、やってくる)

なんだか、願掛けも気が利いていますよね。また米びつに「滿」の字を貼る習わしもあるのだそう。文字通り、米びつがいっぱいになるように、食べるものに困らぬように、という願いを込めて貼るのだとか。でも、この満の字は逆さまにしません。いつも足りないようじゃ困っちゃいますからね。

この春聯の由来には諸説あるのだそうですが、「春」を逆さまにして新しい春が来ることを祈り、立春を過ぎた頃に春がやってくる、というのは、なんだか心憎い季節の演出ではないでしょうか。日本ではまた大雪が降ったばかりですが、あと一息で春。待ち遠しいですね。

繁体字どころ台湾から xiaofan でした。再見囉~!

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photo : “春到” by Ache_Hsieh


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